8日間の幻想
目録

0日目:R
1日目:G



<0日目:R>

 『白い小さな丘』と呼ばれる場所に1人、佇む少女が居た。
彼女の名はリクレール。
この世界において、最初にトーテムと呼ばれる精霊を得た者。
――彼女の力は、多くの人のためとならんとされている。
そんな口伝はともかく。
彼女は、力を持ってして、15日後を<予知>していた。
――<予知>とは、未だ来ない先を見ること。
この<予知>によって得られた答えは運命であり、絶対。
ただし、1つだけ<例外>が認められる。
――『運命外の干渉』
そして、彼女は後にこう語る。
「<予知>とは、<例外>を作るために必要な<儀式>」なのだと。
こうして、リクレールは<例外>となりうるモノをすくい上げた。



<1日目:G>

「<火炎>!<火炎>!!<火炎>っ!!!」
 俺の片手が火の玉を放つたびに、周りの世界がモノトーンへと変わる。
しかし、轟音と共に、モノトーンの世界は崩れ、暖色の世界へと切り替わる。
そして、暖色の世界の中心、つまり、燃えているモノが揺らぐ。
「――まだ生きてんのか。」
俺は、ため息と共にナイフを鞘から抜く。
金属と金属が擦れる音が堪らなく懐かしい。

――――

俺は、暖色の世界に、終わりを与えた。

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 事の始まりは、とある女神の願いだった。
先の戦いで傷心していた俺の魂を、彼女が掬ったのが始まり。
彼女は、俺に身体を与える代わりに世界を救って欲しい、と願った。
――これはチャンスだと思った。

 こうして、身体を得た俺は、実際に救う世界へと降り立った。
いや、降り落とされたといった方が正しかっただろうか?
『空』を急降下していく俺の意識は、まもなく消えていった。

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 そして、気がついたのが先ほど。
ちょうど、起きたばかりで寝ぼけていたところを
『――ゴンベエ様!!』
と叩き起こされ、襲い掛かってきた獣に対応していたところだ。

―――――

「フゥー、すげぇな、この魔法?」
そう言いつつ、ついさっきまで火の玉を連射していた片手を眺める。
痛みは無い、というか、火傷や焦げた様子も無い。
「マホウではありません、理力です。」
「リリョク、ね。覚えておくよ。」
そう言いつつ、視線をもう一方の手に移す。
そこには、燐類というべき、蛇のような生き物が巻きついていた。
彼女(?)の名は、スケイル。
理力の制御を得意とするトーテムで、水を司る。
故に、とり憑かれた者は水中でも難なく行動できるようになるらしい。
「なぁ、スケイル。」
なんでしょうか、と言わんばかりに顔をこちらに向けてくる。
やや顔が近いのは、ご愛嬌と言ったところか。
「どうして<火炎>なんだ?」
属性は水なのに――と続ける前に彼女は即答した。
「燃費が良いからです。」
そして、興味が無くなったかのようにそっぽを向く。
「そもそも、水系攻撃用の理力自体が――」
何かブツブツ言っているようだが、俺には聞こえなかった。

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篠森らるあ
2009/09/22(火)
00:01:23 公開
■この作品の著作権は篠森らるあさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのコメント
初めましての方は、初めましてです。
お久しぶりの方は、お久しぶりです。
篠森らるあ と名乗る者です。

(2010/05)
いつまでも、停滞するわけにも行かないので、(一体何度目になるのか分からない)リメイクしつつ、ちびちびと地味に更新していこうかと思ってます。

この作品の感想をお寄せください。
ハジメマシテー、こんばんわ。
ややや、難しいといわれると、余計にやりたくなって(そして後悔して)しまう者です。
このまま続くかと聞かれると、変化したらいいなぁ〜と。(何分、飽き性なので)
とりあえず、当分の目標は、完結させること、ということで、頑張ってみます

(感想を書いて貰えた嬉しさでベッドでゴロゴロ転がり中)
・・・では、失礼します〜
Name: 篠森らるあ
PASS
■2009-09-04 00:10
ID : EEzbtPeJgko
初めましてー。
作中に漂うちぐはぐ感が凄い好みだったりしますです。このまま神を倒すまで進んでいくんでしょうか?
こういうメタ的な題材は色々と難しそうな予感もしますが、それだけに楽しみです。
Name: 角砂糖
PASS
■2009-09-02 16:39
ID : UVBQmRM8e.g
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