名前のない物語 -Nanashi's Side-
Sun not bubble the sun sinks, no nothing.

Someday must come spring.



      1



風を、感じた。
まとめた髪が戦ぐ。ストールがはためく。


「これで、よかった」


私は彼の身体を抱きかかえながら、呟いた。

彼の身体は、まだ人間そのものだった。身体能力は多少高くなっていたかもしれないけれど。
意識が、彼自身の意識が、不安定だった。恐らく、自分が魔王にとどめを刺したことに気付いた瞬間に、絶望に支配されてしまったのだろう。
その彼をギリギリ、『彼』に留めていたのは、たったひとつの希望。私の手で逝くと言う、希望。

何故彼が、神の地にいたのかは、わからなかった。彼自身もわからないだろう。

彼に誤算があるとしたら、今の私には当時のような身体能力がないことだ。以前のような、強力なフォースも使えない。剣を振っても毛ほどの威力もないだろう。
そして、今の私は、あの頃のように世界を救うことだけに心血を注ぐ無私の存在ではない。


「行くか?」


背後からセタが、尋ねてくる。
流石だ。王が生きていることを、見抜いている。ぎりぎりのところで剣の軌道を逸らし、急所を辛うじて外していることに、気付いている。


「リーリルに戻りましょう。旅がいつ終わるのか、わかったものじゃないけれど」

「病院にいけばイシュテナがいるだろう。エージスには、彼女を通せばいい。野鳥に襲われたことにでもすればいいさ」

「あなたは、それでいいの?」


私は思わず尋ねた。
もう、私にはアーサを抱える力などない。セタは流石、それすら見抜いて彼の身体を代わりに背負ってくれた。


「護衛の任務についている、あなたの名前が折れるわ」

「そんなこと気にしている場合じゃないだろう」


セタは溜め息をついた。
恐らくイシュテナなら、セタの処遇はどんなに悪くても数日の謹慎程度で済ませてくれるはずだ。事情が分かればエージスも理解してくれるだろう。
そんなことを言わずに、自らの立場が崩れることを厭わぬと、堂々と宣言して見せた。

アーサ、いい王様じゃない。
素敵な側近に、恵まれているじゃない。

私には、五年の空白は、少し重すぎたのかも知れない。

アーサもセタも、何も私に聞かなかった。
知りたいことが、たくさんあっただろうに。


「セタ、今の私に力がないことには、いつ気付いた?」


アーサを背負ってリーリルへ向かう道すがら、私は尋ねてみた。


「お前が世界の町を回りたいと言った時点で、勘付いていた。転移を使えなくなったのかとな。どうしても寄り道したい場所があるのなら、そこの最寄りから行けばいいだけの話だ。
 ……それに、悪い言い方をすれば、平均的な人間や竜人より、今のお前は力がないだろう?」

「え?」

「もし今のお前が以前のように旅をしたいと望んだとしたら、以前のように野宿を選ぶはずだ。アーサに焚火を熾して貰って。それを選ばず、宿への宿泊を選んだのは王にそれをさせたくなかったのではなく、お前自身が野宿を厭うたのではないか、体力もないのではないかとな。
 お前が本気になれば、世界一周など一日で済ませてこられただろうしな」


呆れるほど、セタは鋭かった。
あの頃の私なら、本気になれば世界を一周するのは寄り道したって二日で済んだ。
アーサと旅をする目的があったとしても、以前と同じ野宿を選んだだろう。


「終わったのですね、ナナシ様」


リーリルへの道中で、スケイルと合流した。
私たちを神の地へ導いてくれたのは、彼女だった。
彼女がアーサの居場所を、神としての力で見つけだしていたのだ。そんな力があることは彼女自身、サリムが亡くなってその気配が消えるまで知らなかったという。通称「魔王レーダー」だが、はっきり言ってネーミングセンスが今一つだ。


「ええ。アーサが世界の脅威になることは、まずなくなったわ」

「それは、よかったです。
 以前のサリム様同様に殴って目覚めさせるなどと仰ったものですから、気が気でなかったです」

「ふふ、ごめんなさい」


豪快なものだ、とセタが嘆息したのが伺えて、思わず苦笑した。
私が平均的な人間や竜人よりも力が低いことにまず間違いはない。生活において気にする必要があるわけではないけれども。


「久しぶりね、スケイル。今の私の状態での『久しぶり』には、少々違和感があるけれど」

「いいえ、『意識』に、お変わりはありません」

「……そう」


リクレールに誤算があるとしたら、「私」がここにいることなのだろうか。私は彼女ではないし、彼女に二度と会わないだろうから、わからない。ただ、彼女がこの世界に何も干渉しなかったのは、ある意味正解だったのかもしれない。干渉できなかった、のかもしれないけれど。

今の私に、リーリルと神の地を往復するのは、少々きついものがあった。



      2



リーリルのクラートの元へアーサを運んだ。


「疲労が吹き飛ぶ薬なんだって。ナナシさん、これ飲んどきなよ」


私も休もうとしたところで、セシルが父親から預かったと薬を差し出された。


「……色々な意味で、大丈夫なの?」

「さぁ? 疲労を理由に薬飲みたがる患者さんなんていないから、被験者不在らしいよ」

「私は実験台か」


私が溜め息をつくと、セシルは肩を竦めて見せた。
結局、被験者がいないとどうしようもないのは事実なので否定できないのだろう。その現状は理解できるが、やはり気が引けると言う心理が働く。


「嫌なら、無理強いはしないけれど」

「いいわ。飲みましょう」

「ナナシさんって」

「無謀だって思ったでしょ」

「ううん、医者に優しいなって」


セシルが笑った。
多忙な両親に、魔王になってしまった曾祖父という家庭環境のせいか笑わない印象の強い子だったので、こんな顔するんだ、と正直少しだけハッとした。
笑うと、とても可愛らしい十一歳の年相応の男の子だ。

私はセシルが小さな病室から出て行くのを見送ってから、小包に入った錠剤を取り出し、水で一気に飲み干した。
薬も、飲み慣れてしまったものだと、少し自嘲する。一気に身体に脱力感と倦怠感を同時に覚える。かえって疲労感を覚えるじゃないのよと部屋を出たばかりのセシルに苦情を言おうとした瞬間、ベッドに倒れこんでいる自分に気づいた。無理やり眠らせる効果があるらしい。

荒療治にもほどがある。もしこれで目覚めた時に少しでも疲れが残ってたら、承知しないわよ。
私はそんなことを思いながら、眠りに落ちていた。

目を覚ますと、深夜だった。夕方に病院に着いたはずなので、どうも十時間ほどは寝たらしい。

薬のせいなのか、睡眠のせいなのか、どちらにしても得るべき効果があり、疲労感はなかった。
軽く伸びをしてベッドを降りる。部屋を出ようと歩き出して、少しだけ身体がフラフラした。そう言えば朝から何かを食べた記憶がない。そんなことを考えながら、真っ暗な廊下を歩く。

壁の手すりを軽く掴みながら歩くと、イシュテナに会った。


「あら、ナナシさん。お目覚めだったのね。旦那の例の薬を飲んだって聞いたけど、どう?」


例の薬って言い方が余計に実験台っぽく感じるのは気のせいなのだろうか。イシュテナの冗談っぽいところは五年経っても健在なようだ。


「アホらしいことによく効いたわ」


私が嘆息すると、彼女は肩を竦めて見せた。どうやら私の様子を見にきていたらしく、同じ方向に歩き出す。


「アーサは?」


イシュテナが軽く俯いたのが、わかった。


「……エージスさんに事情は話してあるから、しばらくは安静なのだけれど。あなたが行ってあげられないかしら」

「ん、わかった」


あまり説明したくない状態なのだろう。
自分が魔王で、しかも死ねなかったとなると確かに精神的に不安定になる心理が理解できないわけではない。しかも自分を殺すために私が現れたと、勘違いしているのだ。
悠長に食事をとってる場合じゃないかもしれない。


「アーサ?」


私はイシュテナに案内された扉を開き、中に入る。


「ナナシさん……やっぱり俺を、殺してくれるんだよな?」


殴り倒して目を覚まさせたら、これか。
と言っても、意識を失う程度には怪我人なので暴れたりすることはないようだが。出血で死ぬんじゃないのかと、一瞬焦りはした。

私はアーサの方へ歩み寄り、思い切り彼の頬を張り飛ばした。力はないので、痛くはなかったと思うけれど。実際、腫れてないようだ。


「いい加減になさい」


途端に、私の感情が溢れ出る。
アーサは頬を抑えながら、目を見張るように、私を食い入るように見つめた。感情を強く表に出したことは、ほとんどなかった。


「わざわざ急所を避けてやったのに何馬鹿こと言ってるのよ。私があなたを殺すためにあなたの前に現れたんなら、殺り逃したりしないわよ!」

「急所を、避けた……?」

「そうよ」


私は嘆息して、近くにあった椅子に腰をかけた。


「完全に覚醒する前なら、何とかして食い止められるのはサリムの例があるからわかるでしょう?
 今のあなたの中にいるのは魔王の精神じゃないわ。絶望よ。肉体の魔王化が進んでないことは、スケイルから聞いているわ。彼女が感知できる魔王の気配が、なくなったというからね」

「じゃあ、君は……? 何のために、ここに?」

「本当ならもう少し後に話そうと思って連れ出したのだけれど……まあ、いいわ」


私はふう、と息を吐き出し、自分が世界の脅威とならないことを理解して大人しくなったアーサの頬を、指でなぞった。


「会いたかったら、会いに行ったら、いけないの?」



      3



平和になった世界から、私が消えて間もなくのことだった。

大陸東部を覆う森林の奥にある、ある一件の小さな民家で、幸せな事件が起きたの。

その家には一人の老婆が住んでいた。老婆には息子夫婦がいたが、野鳥に襲われて死んでしまった。息子夫婦の忘れ形見の、孫娘と二人暮らしだった。
でも、その孫娘は、二歳の頃に患った熱病で、十五年間昏睡状態を続けていたのだが、突然目を覚ました。彼女をたったひとりで看病していた、老婆はそれはもう泣いて喜んだわ。

でも、十五年の空白は大き過ぎた。身体だけが成長した孫娘に、リハビリに教育を全て施さなくてはいけなくなった老婆には、辛いものがあったでしょうね。

ただ、その孫娘は何故かそれなりの知識を持っていた。それが老婆をかなり楽にしてくれたのだけれど、何故なのかはわからなかった。本人は、わかっていたけれど、最後まで祖母に話さず謎のままにした。

彼女が目覚めて数年して、祖母が老衰で死んでしまった。
自分の死期を悟っていたのか、老婆は孫娘をできうる限り教育し、好きなように生きよとの遺言を残してこの世を去ったという。



「……それが、私よ」


私はここまでゆっくりと話して、一息ついた。


「私が自分の名前を知らなかったのも、自分の過去を知らなかったのも、二歳から昏睡状態だったから。
 私が今ここにいるのも、今の私に力なんてひとつも残ってないのも、元々この世界の住人の私がいるから」

「じゃあ、君が旅の間に寄り道したい場所って……」

「実家よ。今は両親と祖母の墓が残っているだけだけど」


私はアーサが話の流れを理解したのを確認して、続けた。


「私はそれから、最低限の荷物を手に家を出た。私に野鳥と戦うなんて土台無理な話で、もちろん命だってひとつしかなくて。でも、森林から洞窟までを一気に駆け抜けられるほどの体力は、基礎体力をつける幼少期に眠り続けていた私にあるわけがなかった。
 正直、生きて出られるなんて思ってなかったわよ」


それでもなお、私は森と洞窟を歩いた。
南下して森林を抜けることも考えた。
だが、一刻も早く、お城に行きたくて。
一刻も早く、アーサに会いたくて。
ここで死んだらそれまでの命で、それまでの想い。私は最短距離を迷わず選んでいた。

シイルで会えたのは、夢にも思わぬ僥倖でさえあった。

アーサが、項垂れた。


「あなたがどんな五年間を過ごしたのか、私はほとんど知らない。でも、私はあなたに会うためだけに、一生懸命体力をつけた」


私は痩せていた。
腕は、あの頃よりずっと細かった。脚も、戦いなんて知らない。あの頃はフォースをメインに扱っていたとはいえ、普通の人よりは強いという自負があった。後で知ったがそれを一目で見受けたエージスは、私に力などない事に気付いていたらしい。

容姿がそっくりだったのは、私の意識がそうさせたのか、ただの偶然なのか。
そもそも、ずっと昏睡していた私が、何故十五年後に目覚めたのかも、わかっていないのだ。

意識の海でリクレールが私の意識を選びとらなければ、目覚めることすらなかったかもしれない。
まさに、図らずも彼女が呼び起こした、奇蹟と言えた。


「ナナシさん、俺、ずっと悔しかった。ありがとうも、大好きも、ずっと一緒にいたいも、なにひとつ、伝えられなくて。
 凄く、悔しかった」

「全部、伝わってた。だから、最後まで折れずに戦えたのよ」


アーサが、ゆっくりと私に腕を伸ばした。うまく動かない身体で、私の手に触れてくれる。私は、その手を、温かいその手を、取った。


「俺、生きてていいんだよな」


その言葉に、何とも表現し難い痛みを感じる。自分が魔王と気付いた彼の心の痛みを。死ななければならないのかと言う強い葛藤を。

復興されたシイルの街。確実に豊かになった人々の暮らし。愛する人との別れを乗り越え、人のためにと身を粉にして国を治めた国王。その先に待ち受けるのが、国を守るための自死では、あまりに哀しすぎる。
そろそろ、幸せになってもいいじゃない。


「生きてて、いいんだよな……」


その一言が、切なくて、もどかしくて。
私は、アーサを抱き締めた。



      4



二日後の朝に、私はリーリルを旅立つことを決意した。

国王に怪我をさせたとして、セタの立場は危ぶまれたが、エージスがうまくやってくれたようだった。アーサが勝手に私を野鳥から庇ったことにしてくれたらしい。そもそも、二人も守りながら森を歩くのは少々では済まさない程度には難しいことのはずだ。

それでも、彼女は謹慎処分になってしまった。国王が負った怪我の大きさに比べれば軽い処分とは言えた。
そこまでさせてしまって彼女に護衛させるのは申し訳なくすらあったが、謹慎中だからこそ今守りたい者を自由に守れるのだと、笑った。

目的地は、シイルだった。私にとっては、辛い記憶も混ざる、複雑な地である。英雄の石碑などという、本人にしてみればどう捉えていいものやらなものが国王によって設置されている街だ。
今は、かつてのように穏やかな街である。

私だって、働かなくてはならない。シイルの図書館に仕事があると、イシュテナが教えてくれたのだ。


「私にできるかはわからないけれど、頑張るわ」

「ああ、頑張れよ。私も、良くも悪くも休みがとれたからな、ゆっくりするさ」


セタが微笑んだのがわかった。


「たまには城に来いよ。相手は国王だぞ。会いに行ってやれ」

「私の生活が落ち着く頃には勝手に来てくれてるわ。この国の王様は、あなたが苦労できるようになったらたくさん苦労させるでしょうよ」

「全く、人使いの荒い王だ」


私が肩を竦めてみせると、セタは苦笑した。


「――が、お前はそれ以上だな。王を使うなど」


それはそうだ。
アーサが王子と知ってからも、情報整理に彼を利用していたところはあった。イシュテナやエージス、サリムなどとの繋がりも、彼の王子という立場がなければ作れなかっただろう。彼は私に頼り切っていると思っているようだったが、実は彼の方こそが利用されていた。
私の人使いの荒さなど、今更である。

私は肩を竦めて、苦笑した。



「行くんだね、ナナシさん」


旅立つ朝、私はアーサの病室にいた。
アーサの経過は良好だが、しばらくは安静にしていた方がいいらしい。なので、彼の病室に別れの挨拶をしにきたのだ。


「ええ」

「シイルの図書館は蔵書が多いから大変かもな。まぁ、国に申し出てる求人だし、イシュテナが斡旋してくれたところなら大丈夫だろ」


この国は求人の管理まで国営でしていたのか。これは初耳だった。


「国でそんなことまでやってるの?」

「うん。街ごとに施設を置いて、それぞれで連携組めるようにしてるんだ。就業者が増えると俺らが何もしなくても税収が上がって他のことに回す予算が増えて、更に国を豊かにしていけるって手筈なんだよ。
 今度、貧しい家の子どもも教育を受けられるようにしたいんだ。そしたらその子達の将来の幅がいくらでも広がるだろ?」

「ええ、そうね」


まるで夢を語っているようだったが、言っていることは理にかなっていた。
夢のようなことではあるものの、現状として、医療が発達した上に、貧しい人も医者を頼れるようになったのだ。現状を打ち砕くという、夢を叶えようとした明確な意思がそうさせたのだと、クラートが言っていた。

今度は、全ての子どもたちに夢を抱く権利を与えたいという夢を、叶えようとしているのだ。

即位当時は、シイルの復興ですら絵空事と国の文官達には嘲笑われたらしい。
それでも、彼はやってのけたのだ。
今、彼がどんな夢のような提案をしても嘲笑う者はいないという。誰もが嬉々として国王の夢を実現するために奔走するのだと、イシュテナが笑っていた。


「あなた、いい王様ね」

「別れ際に、アルバートにいい王になれって言われたからな。男の約束だと思ってるよ。あいつがまた来た時に胸を張って案内してやりたい」

「きっと彼、びっくりするでしょうね」


きっと、アルバートがこの世界に来ることはもうないだろう。救世主としての彼の役目は、どこにもないのだから。
それでも、約束を叶えるのだ。親友との、約束だから。

アーサは国王だから、ずっと夢を抱きながら、そしてそれを実現させるべく奔走しながら生きていくだろう。
これからも、ずっと。

将来を選べないのは俺だけでいいという皮肉を、彼は言わなかった。
五年前、王子は死んだことにして隠れて生きても良かったのに即位を選んだのは彼の意思だ。彼は自分の子にも、王位を継ぐことを強要しないだろう。子どもが王になりたくないと言ったら、王にならなくていい新たな国の姿を求めるのだろう。


「シイルで、よかった」


アーサが、唐突にポツリと呟いた。


「シイルなら、いつでも君を迎えにいける」


私の手を取って、彼は言った。果てしなく優しい表情で。これほどかと思うくらいに無垢な表情で。


「いいよな。迎えに行って、いいよな」


私はその手を握り返して、放した。


「待ってるわよ」

「ああ、待っててくれ。必ず、迎えに行く。……それから」

「何?」

「君の本当の名前を、教えてほしいな。『名無し』じゃない本当の名前で、君を呼びたい」


みんなにナナシと呼ばれ続けて、本当の名前をあまり気にしていなかった。
だけど、記憶のない両親がくれた名を、私は確かに祖母に聞いていた。

もう私は、名前のない英雄などではないのだ。何の尊厳もなかった虚像でも、蜃気楼でもないのだ。

私は、私なのだ。
夢を抱いたっていい。幸せになったっていい。
私なのだ。

私は、アーサに促されて、口を開く。


「私の、本当の名前は――」







 沈まぬ太陽がないように、上らぬ太陽もない。

 いつの日か、必ず春は、訪れる。







        At the End of Another one
すー
2012/03/21(水)
12:57:27 公開
■この作品の著作権はすーさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのコメント
幻想譚その後、そのまたさらにその後、です。
二人の物語はここで完結です。

現在、シル学長編二次創作をゆっくり書いているところなので、時間が取れたらそちらをアップしていく予定です。あまり期待はしないでください。
…SSを書くスキルが私にはなかったw

ここまで読んでくださったすべての皆様に大きな感謝を。本当にありがとうございました。

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