#真説・幻影帳異聞 第二章「覚醒」 前編 !v28=1 !bgm別れ 「あの子を・・・死なせないでください・・・。」 それがあいつの最後の言葉だった。 夥しい血を流し、息も絶え絶え、 真白のローブが真紅に染まる。 自分が死に瀕しているにもかかわらず、 息子の心配だけをしていた。 あいつはどこまでも強く。\s誰よりも母親で。 \sそれ故に、どうしようもなく弱かった。 俺の愛した女はそういう女だった。 俺にはもったいない女だった。 だからこそ、生涯をかけて守ると決めていた。 あいつ自身を、あいつを取り巻く全てを。 \s守ってやれる自信もあった。 だが、俺は守れなかった。 \s愛した女も、幼い息子も。 ・・・情けなくて仕方ねえ。 だから、せめて、 あいつの最後の願いを俺は叶えようと思った。 例えそれが、今まで必死になって 駆け抜けてきた人生を否定することになっても。 例えそれが・・・ \s息子を\r[化け物,・・・]にしかねない事だとしても。 !wait60 @1 アクアフロート某所 !bgmサスペンス !mv警察署コンピュータ室 @920 だからよう。 ココは畳み掛けていくべきだろ? @910 しかしだな・・・。 @920 しかしもカカシもねえよ。 @1 かつての相良リュウゾウの隠れ家の一つ。 そこでその部下だった黒服たちが会話している。 藤原と杉浦・・・ いや、本来の名をゲングとマリオンと言う。 ゲングはビジネスチェアに座り、 マリオンはデスクに腰を下ろしていた。 @920 こないだの一件は、 ちっとばかし目立ちすぎたからな。 あの目ざとい女神のことだ。 何か手を打ってきてるかもしれねえ。 コッチも早めに動かねえと 後手に回っちまうぜ? @910 ・・・。 @920 幸い、今すぐにでも使える手はある。 こないだは予定外に 死にかけたことで覚醒しちまったからな。 あの時狙ってた方法は アイツを追い詰めるのにまだ使える。 その後にお前の手札を動かせば、 たかだが16か7のガキだ。 簡単に我を失うに決まってるぜ。 @910 ・・・ふむ、分かった。 \sお前の好きにするがいい。 @920 へへへ、それでいいんだよ。 つきましては・・・だ。 @910 みなまで言うな。 @1 そう言うとゲングは胸ポケットから、 小さな宝石を取り出した。 @910 派手にやるつもりなのだろう? @920 へっ、さすがに よく分かってらっしゃる。 !se(Action)跳ね !wait5 !se(Action)学内歩き @1 ゲングから宝石を受け取ると、 マリオンは座っていたデスクから飛び降り、 扉に向かって歩いていた。 ふと振り返りさっきまでとは違い、 真剣な表情でゲングに話しかけた。 @920 お前は他の仕込みと あの方の護衛を頼むぜ。 まだ肉体に馴染むまで 時間がかかるみたいだからな。 @910 お前に言われるまでもない。 しくじるなよ。 @920 俺様が直々に動くんだ。 失敗なんかするわけねえだろ? !se(Action)カチャッ @1 軽口を叩きマリオンは ドアノブに手をかけ扉を開ける。 !se(Action)重いドア開け 「!!」 そこには一人の少女が立っていた。 彼女もちょうどドアノブを 握ろうとしていたようで、 驚いて固まってしまっている。 @920 おっと、悪いな。 @1 「・・・。」 少女は手を下げると マリオンに少し冷たい視線を向ける。 @920 俺はちょっと出かけてくるからよ。 いつもみたいに遊びほうけてねえで、 大人しく留守番してろな。 !se(Action)学内歩き @1 非難するような少女の視線を軽く受け流し、 すれ違いざまにくしゃくしゃと少女の頭を 引っ掻き回すとマリオンは姿を消した。 「・・・。」 !se(Action)学内歩き 乱された髪を整えながら、 ムスッとした表情で少女は部屋に入る。 「アタシ・・・あいつ嫌いだ。」 @910 すまんな。 あいつはああいう奴なのだ。 帰ってきたらキツく言っておく。 @1 「・・・。」 その一言で多少は気が晴れたのか、 少女はわずかに表情を緩ませる。 「ねえ、アタシの出番ってまだなの?」 @910 もうすぐだ。 それほど時間はかからん。 @1 「そう。」 !se(Action)学内歩き 少女はすぐに扉へと引き返した。 @910 どこへいく? @1 「あいつの言うこと聞くの嫌だから  外に出てくる。」 @910 いつもの場所か? @1 「うん。」 「ちょっと早いから  そこら辺ぶらぶらしてから行く。」 @910 分かった。 気をつけていけ。 @1 思いのほか優しい口調でゲングは語りかけた。 !bgm !se(Action)重いドア開け @1 「じゃあね。」 一言返事をすると少女は外へと歩き出した。 !mvnil !wait40 !bgmサスペンス @1 \c[3]「貴方は自分が何を言ってるのか  理解していますか?」 「ああ。俺だってそこまでバカじゃねえよ。  あの法を使うのがどういうことかくらい知ってる。」 \c[3]「本当に分かっているのですか?  アレを使えば貴方は今までの功績も・・・」 「そんなもんはどうでもいい!!」 「あいつの願いを叶えられるなら・・・!  こいつを救うことができるなら!  俺は誰に罵られようが構いやしねえ!!」 \c[3]「それだけじゃありません!  下手をすればこの子も・・・!」 \c[4]「・・・他に方法はありませんか。」 \c[3]「めが・・・み・・・さ・・・!」 \c[4]「これ・・・ふう・・・げ・・・うを・・・」 !wait40 !v5=0 !mvシシトの部屋 !bgm安らぎ 「・・・・・・」 @202 なんだよ今の変な夢。 @200 いつものやつとは違うよな・・・。 @1 自室のベッドの上で目覚めると、 リョウヘイは独り言を呟く。 どこかで聞いたことが あるような声が言い争っている夢。 決していい夢ではないが、 不思議とうなされるような夢ではない。 @202 疲れてんのかな? ここ数日、学校で授業が終われば すぐ警察署に行って事情聴取の いやーなコンボばかりだったからなぁ。 変な夢も見るか。 @200 けど、あの会話どっかで? ・・・・・・。 @202 夢のことで悩んでても仕方ねえか。 @200 事情聴取もようやく昨日で終わったし。 今日は学校帰りに久しぶりに ゲーセンにでも・・・ @1 グーッと背を伸ばしながら 放課後の計画を立てていたその時だ。 「お〜〜〜い、リョウヘイ〜〜。」 @200 親父? !bgm @1 「あと5分で遅刻だぞ〜〜〜。」 @201 な・・・ @201 なにいぃぃぃぃぃ!!! !mv自宅 !bgm緊急事態 !v28=2 @1 「なにいぃぃぃぃぃ!!!」 !se(Action)跳ね !wait5 !se(Action)ドゴン !wait5 !se(Action)ドア開け !wait5 !se(Action)ドア閉め !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き ガタッ!バタッ!!ドタッ!! ダンダンダンダン!! @530 おはようリョウヘイ! 今日もいい朝だなぁ!! !se(Action)爆発音 @201 \f[30]おはようじゃねえ!! こんな時に限って、 爽やかに挨拶してんじゃねえよ!? @530 なんだ、朝から不機嫌だな? カルシウムが足りてないんじゃないか? @201 不機嫌にもなるわ!! なんで起してくれねえんだよ!! @530 起したじゃねえか。 !bgmサブコミカル @530 今。 @201 今じゃおせえよ!! もっと早く起せッ!! @530 いや、村上のせがれは 3分前に起されてるらしいからな。 俺はちょっと余裕を持たせてみた。 お前は知らないだろうが、 村上と俺は昔はライバル同士でな。 お互い切磋琢磨したもんだ。 お前らにもそういう いい関係になって欲しいくてな。 @201 全然余裕じゃねえし!! 今、そんな話はどうでもいいわッ!? @530 2分あればできあがる カップ麺もあるじゃねえか。 @201 なんだよ、それ!! なんの関係もねえよ!!! @530 それはそれとしてだな・・・ @201 なんだよ!! 飯食ってる余裕なんざねえぞ!! @530 ハイ、チーズ!! @1 唐突にデジタルカメラを取り出すと、 エイジはリョウヘイの写真を撮った。 @530 じゃ、もう一枚。 @201 もう一枚じゃねえ!! なんでこんな時に写真撮るんだよ!!! @530 いや、ついさっきズームインアクアで 面白い投稿写真を募集してたんだ。 で、せっかくだから応募しようと思ってな。 @530 タイトルは「遅刻少年」。 @201 わかってんなら引き止めんな!! @530 待て!もう一枚だけ!! @201 付き合ってらんねえ!! @201 って、あと3分じゃねえか!!! @530 ここまでのやり取りが2分なんだから、 たいがいお前も化け物だな。 @201 うるせえ!!! !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き @1 どこまでもふざけ抜くエイジを無視して リョウヘイは玄関まで走る。 そんなリョウヘイの後ろ姿を エイジは有無を言わさず撮影した。 !se(Action)ドア開け @1 \f[16]「だから、撮ってんじゃねえ!!」 !se(Action)ドア閉め !bgm @1 リョウヘイが家を出ると、エイジは 今、デジカメで液晶画面を覗きこむ。 @530 ・・・\sやっぱりか。 一枚目は普通に写ってるが、 \s二枚目は\r[わずかに透けて,・・・・・・・]やがる。 欠損を補った 「アレ」が表に出てきたのか? こないだ巻き込まれたって言う事件、 本当に\r[巻き込まれただけ,・・・・・・・・]なのか? @530 ・・・まさか、な。 !bgmサスペンス @1 「まさか・・・ですか。」 「貴方にしては珍しく日和見な考えですね。」 @530 ・・・お前か。 @1 僅かに開かれた窓の外から 吹きこむ風と共に声が聞こえてきた。 だが、エイジは動じることなく対応する。 「彼ももう幼い子供ではありません。  \s人を憎みもすれば、殺すことも出来る。」 「現状ではどう転ぶかは分かりませんが、  あまり楽観的に考えない方がいいでしょう。」 「いざという時の覚悟が鈍りますよ?」 @530 ・・・口が軽いのは相変わらずだな。 \sいい加減うるせえぞ。 @1 エイジはとぼけた親父の空気から、 一転して怒気を孕んだ闘気を放つ。 「おっと、すいません。  他意はありませんよ。」 だが、声の主はそれを軽く受け流す。 「・・・あくまでも私情ですが、  私もできれば彼には生きて欲しい。」 「それが彼女の最後の願いでしたから。」 @530 ったく、最初からそれも言いやがれ。 だからテメエは誤解されやすいんだ。 少しは自重しとけ。 @1 「コレは性分ですが・・・善処しますよ。」 @530 にしても、よりによって お前が出張って来たってことは タダ事じゃねえようだな。 @1 「ええ、奴らが本格的に動き出したようで、  彼の護衛役として派遣されました。」 @530 監視役の間違いだろ? @1 「もちろん、それもありますけどね。」 @530 珍しいな。 あっさりバラしやがるか。 @1 「あなたに隠しても仕方ないですからね。」 @530 ふん、さっさと行けよ。 お前に限ってないだろうが、 追いつけなくなるぜ? @1 「ええ、そのつもりです。」 「では、またそのうち。」 そう言い残し、声の主の気配が消える。 @530 ・・・。 来るべき時が来た・・・か。 !bgm !mvnil @1 「俺も覚悟を決めとかねえといけねえか。」 !wait40 真説・\r[幻影帳,シルエットノート]異聞 第二章「覚醒」 !wait20 !mv住宅地 !bgm緊急事態 !v27=2 @201 うおおおおお!!!! @1 駆ける!\s駆ける!\s駆け抜ける!! \s全力で、いや、限界を超えた脚力で リョウヘイは歩道を突っ走った! 不思議と体がやけに軽い。 歩道に人がいてもぶつかることなく、 スムーズに避けて通れる。 そうこうしてるうちに、 彼と同じように絶叫しながら突っ走り、 追いついて並走する誰がか現れた。 顔を見るまでもない。 こんなアホな行動を取る奴は このアクアフロートでもそうはいない。 @101 だりゃあああああ!!! @201 やっぱりシシトかーッ!! @101 うお!リョウヘイ!! @101 なんで、こんな、時間、に!! (全力疾走中のため聞き取りづらい) @704 ぎゃああああ!!! (カバンの中で転がってる) @201 親父、が、5分前、に起こし、やがった!! @101 お互い、大変、だね!! @201 お前の、気持ちが、 今、オレにはよく、分かる!! @101 理解して、くれて、うれしい、よ!! @1 人間の出せる速度を超えて走る二人。 当然、周りの人々には何を言っているのか 分かるわけもない。 一応会話が成立しているのは、 二人の速度が極めて近いからである。 とは言え、こんな速さで話していては・・・ @201 そろそろ、舌、かむ、からだまろう・・・ アグァ!!! @101 どうした、リョウヘ・・ @105 ハガァ!! @1 当然といえば当然の結果であった。 @201 ・・・・・・・・!! (舌がいたくて喋れない) @101 ・・・・・・・・!! (同じく) @704 ほぎゃああああ!! (三途の川が見えてる) !se(System)ピロロロリン @1 以降は字幕スーパーでお楽しみください。 @103 ・・・・!! (このままじゃ間に合わない!) ・・・・!! (こうなったらWILL消費で行くぞ!!) @201 ・・・・!! (なんだよ、WILLって!?) @103 ・・・・!!! (気合みたいなものさ!!) @201 ・・・・!!! (なるほど、気合か!!) @103 ・・・・! (いくぞぉ!!) @201 ・・・・! (ってオレにはWILLなんてねえぞ!?) @103 ・・・・!! (うおおおお!!全力ダッシュ!!) @201 ・・・・!!! (すげえ!はええぞシシト!!) @540 ・・・。 (遅刻\wh遅刻\wh) @701 ・・・。 (あんたまで字幕かよ) @704 ・・・。 (っておれもかよ!!) @1 仕様です。 @701 ・・・・。 (なにがだ) @1 いいから回ってろ。 @704 ・・・・!!! (ぎゃあああああ!!) @201 ・・・。 (あ。) @104 ・・・。 (あ!) !se(Shooting)撃破A @1 バッカーーーン!! @104 ・・・・・・・!!! (ぐばああああ!!!) @201 ・・・・!!! (シシト〜〜〜!!!) @1 シシトは美しい放物線を描き、 顔からズベーッと綺麗(?)に着地した。 @105 ・・・・。 (とりあえず距離は稼げた) @201 ・・・・。 (お前すごすぎるぞ) !bgm !se(System)ピロロロリン @1 ※良い子はもちろん  悪い子も決して真似しないでください。 !mvnil !wait30 !bgm高校 !mv薙島高校 @320 あと10、9、8、7・・・\sん? !bgm緊急事態 !se(Action)爆発音 !wait5 !se(Action)爆発音 !wait5 !se(Action)爆発音 !wait5 !se(Action)爆発音 @1 ズゴゴゴゴゴゴゴゴ!!x2 @320 なんだ、この地響きは? @1 うおおおおおおおお!!x2 @101 だりゃおえええええ!! @201 うおげりょおおおおお!! !bgm !se(Action)ズシャアアー @1 \f[28]ズザザザザザッ!!x2 @104 はあはあ・・・ @201 ぜえぜえ・・・ !bgm高校 @320 む、ここから遅刻だな。 @1 目の前の異常としか言い様がない状況を 無視して、副校長は淡々と校門を閉めた。 @102 ま、まにあったね? @202 お、おうよ。 @100 ・・・リョウヘイも中々やるね。 @200 へへ、お前もな・・・。 @1 ゼヒゼヒと息を切らしながら、 二人は健闘をたたえ合った。 @200 人間やれば出来るもんだな・・・。 @102 出来れば こんなことやりたくないけどね。 @202 まったく同感だ。 @320 お前たち、校内に入ったからといって いつまでもここにいるんじゃない。 早く教室にいかないか。 @102 はい・・・。 !se(Action)学内歩き @202 どうじねえなぁ、副校長。 !se(Action)学内歩き @100 鉄の心臓ってやつだね。 !se(Action)学内歩き !mvnil !wait20 !mv301教室 !se(Action)ドア開け @102 おはよ〜・・・。 @202 お〜〜す・・・。 @250 む? なんだ、リョウヘイ。 お前にしては珍しく遅かったな。 @102 僕はスルーですか。 @250 無論だ。 @101 普通に肯定するな!! @202 親父の奴が5分前に起しやがってよ。 @250 ・・・\s5分前? @202 実質3分前だったけどな。 @102 あはは・・・。 @250 お前たち。 @100 ん? @200 なんだよ? !bgmサブコミカル @250 本当に人間か? @201 ぐあ!! @250 遅刻3分前でお前たちの家から、 学校まで走って間に合うわけがない。 なあ、物理クラブ長? @212 物理的に考えなくてもありえないよ。 @202 なんてこった、 オレもとうとうシシトと同レベルか・・・。 @103 リョウヘイ! 一緒に3分を駆け抜けた 僕らの友情はどこにいったんだ!? @200 今、消えてなくなった。 @101 おい! @250 俺の周りは変な奴ばかりだな。 @201 お前にだけは言われたくねえ!! @101 君もその一人だろ!!! @252 な、なんだとッ!? 俺のどこが変だというのだッ! @200 ・・・クラス全員ノーパン。 @250 ・・・それがどうした。 @202 あれ、反応しねえ。 @250 ふっ、二度も同じ・・・ @253 ぶほっ!! @253 ・・・手に乗るか。 @201 乗ってるじゃねえか!! @240 シャカシャカ @242 ニュル @230 ショック受けて(以下同文) @211 今度は20ミ(以下略) @201 もうそれはいい!! @253 蒸し返したのはお前だろう。 @202 あー、分かった分かった。 オレが悪かったよ、ったく。 @102 一体何のことやら・・・。 !bgm高校 !se(Action)ドア開け !wait10 !se(Action)学内歩き @300 よーし、みんな席に着け。 @102 騒いでるうちに、先生がきたね。 @200 そんじゃ、とりあえず座るか。 @253 そうだな。 @201 お前はまず鼻血をふけ!! @253 これ以上噴けというのか? @201 いや、拭けって言ってんだよ!! @253 なんだそうか。 @102 なんて会話だ。 !bgm !mvnil !wait20 @1 いつもの教室。\sいつものメンツ。 \sいつもの馬鹿騒ぎ。 妙な事件に巻き込まれたからかねぇ。 オレのガラじゃねえけど、 こんな他愛もないやり取りも大事に思えてくる。 ま、あんなことはもうないだろ。 ・・・たぶん。 !bgm高校 !mv301教室 @202 は〜、ようやく昼休みだぜ。 @250 ほとんど居眠りしてた癖に何を言う。 @202 仕方ねえだろ。 最近はゴタゴタしてて 疲れてたんだからよ。 その上、 今朝の限界を超えたダッシュだぜ? 眠たくもなるさ。 @250 それらしい言い訳を並べているが、 同じ条件のシシトは寝てなかったぞ。 @200 バーカ、シシトはもう慣れてんだろ。 @102 うわ、否定できない。 @250 慣れでどうにかなるものでもないだろう? !bgmサブコミカル @200 じゃあ、シシトは化け物でいいよ。 @101 おおおい!! @250 それなら納得だな。 @104 あれ、納得しちゃうの!? @220 そうだね。 @230 これ以上ない説得力だよ。 @240 人間じゃないね。 @101 シャカシャカ君?が喋った!! @250 それほどまでに説得力があったと。 @202 こないだも喋ってたけどな。 @200 ま、もう諦めろよ。 @104 なにを!? @200 人間を。 @101 意味が分からないよッ!? !bgm高校 @250 それはそうと昼食はどうする? @200 食堂か購買だな。 @202 朝飯食ってる暇なかったからな。 ハラへって仕方ねえ。 @250 む、朝を抜くとは感心せんな。 @202 普段は食ってるわ。 @250 それで、シシトはどうするんだ? @102 今日もいつもの・・・ @202 ああ、もうわかった。 @250 いつも通りだな。 @102 言い切るまでもありませんか。 @200 しょうがねえなぁ。 今日は特別におごってやるよ。 !se(Action)爆発音 @104 \f[42]マジで!! @201 うるせえッ!! 驚きすぎだろッ!? @202 ダチが何も食うものがねえのに、 オレたちだけ食うわけにもいかねえだろ? 雰囲気悪くなるじゃねえか。 @250 一理あるな。 @200 同意が得られたところで、 アルバートも割りカンな。 @252 なんだと!? @102 ああ、そういえば朝食どころか、 昨日の夜も\r[空気,エアー]だったなぁ。 @252 う・・・。 @250 はぁ、今回だけだぞ? @200 へっ、良かったな。 @102 ちょっと罪悪感あるけどね。 @1 まんまと昼飯にありついたシシト。 二人と共に移動しようと思った時だ。 机にかけてあるバッグがモゾモゾと動いた。 @100 ん? @200 どした? @100 ごめん。 ちょっと先行ってて。 @250 わかった。 !bgmサブコミカル @230 早く来てね。 @220 食べずに待ってるよ。 @210 物理的に 食事がなくなる前に来るんだよ。 @240 シャカシャカ @241 スチャ @201 お前らもくんのかよ!! @210 奢りと聞いては黙ってられないね。 @230 うんうん。 @220 僕は学級長だし。 @240 シャカシャカ @241 スチャ @251 お前たちにまで 奢るとは言ってないぞ!? @200 アルバート。 @251 お前からもなんとか言ってくれ! @200 太っ腹だな。 @252 な、なんだとうッ!? !se(Action)学内歩き @1 「「「さあ、いこうか。」」」 !se(Action)ドア開け 「おい、ちょっとまて!!」 !se(Action)学内歩き !bgm高校 @102 ・・・。 @100 さて、都合よく皆いなくなったし。 @102 何やってんのさ、リス君。 @1 シシトがバッグのチャックを開けると、 リスがひょっこりと顔を出した。 @701 いや、なんかよ〜。 学校に入ってから、 妙な気配感じるんだよな・・・。 @102 校長? @701 いや、あれも妙だけどよ。 @102 校長以上に妙なのは知らないなぁ。 @701 そう言う意味で妙じゃねえよ。 @700 何かやばい、って意味でだ。 @100 ・・・朝から? @701 朝は気絶してたから分からねぇ。 @700 けど、今はハッキリと感じるぜ。 コレはちょっとやばい気配だ。 @100 ・・・。 @700 なあ、ちょっと 校舎うろついてきていいか? @102 珍しく積極的だね。 @700 こないだの事もあるからな。 用心しとくにこしたことはねえよ。 @100 ・・・それもそうだね。 \s見つからないように気をつけなよ。 @700 おうよ。 シシトも気をつけとけよ。 @705 なんたって、 おれが側にいないんだからな!! @102 はいはい。 @700 ・・・\sあとな。 @100 ん? @700 リョウヘイのことなんだけどよ。 @100 わかってるよ。 @700 一応報告はしといたけど、 本部は現状維持としか言ってきてない。 @102 別に変わった様子もないけどね。 @700 おれもそう信じたいけどよ。 とりあえず目は離すなよ。 @100 ・・・うん。 @705 そんじゃな!! @1 それだけ言うと リスは窓からムササビのように飛び出した。 @101 窓から出たら見つかるよッ!? @1 「あ、リスが飛んでる。」 「よし、我ら狩猟同好会の力を見せてやれ!!」 「サー、イエッサー!!」 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 @704 ぎゃあああ!!!! @1 そして、窓から出た瞬間。 盛大に弾幕を浴びて、落下していった。 @102 ・・・。 !bgm @100 あの時のリョウヘイか・・・。 !mvnil @1 「あれは一体なんだったんだろう?」 「あれじゃ、まるで本物の・・・」 「化け物みたいじゃないか。」 !wait20 !mv薙島高校 !bgmサスペンス @920 腐ってもあの女神の手下だな。 勘だけはいいな、あのリス野郎。 @1 薙島高校の屋上から リスが落下していくのを眺めるマリオン。 @920 だが、今更気づいても遅え。 \s仕込みは上々。手駒も揃えた。 @1 そう言うと、チラリと横を見る。 \sそこには男子校である薙島高校には、 似つかわしくない二つの影があった。 @920 後はコイツを使って、 コレ以上の来客をご遠慮願えば 準備は終わりだ。 !se(Action)ジュゴー @1 マリオンがゲングに渡された玉を掲げると、 玉は鈍く輝き、薙島高校が薄い膜に包まれる。 @920 コレで舞台は整った。 くっくっくっ。 \sさあ、久しぶりの舞踏会だッ!! !bgm @1 大仰に両腕を広げ、 まるでオーケストラの指揮者のように マリオンは高らかに宣言する。 \c[2]\f[42]「踊り狂え!人形達よ!!」 !mv3F廊下 !se(Action)学内歩き @251 だから! お前たち人の話を・・・ @250 ・・・。 @1 教室を出て食堂に向かう途中も クラスメイトに抗議していたアルバート。 だが、突然その動きが止まる。 @200 ん、どうしたアルバート? 急に立ち止まって。 @1 リョウヘイはそのさまを訝しむ。 !bgmサスペンス @250 ・・・。 @200 アルバート? @1 だが、返事はない。 @220 ・・・。 @230 ・・・。 @240 ・・・。 @210 ・・・。 @1 よく見れば学級長たちまで 無表情のままで立ち止まっている。 @202 どうしたんだよ、お前らまで? @1 クラスメイトの様子を気にかけるが、 当然のように返事はかえってこない。 !bgm @250 ・・・。 @1 一言も言葉を発さずに、 無表情のままアルバートは リョウヘイの前に立つと腕を振り上げた。 @202 ッ!? @1 そのままリョウヘイに向かって振り下ろす!! !se(Action)殴打 @202 くッ! @1 動作をハッキリ見ていたお陰で、 リョウヘイはどうにかアルバートの拳を 防ぐことが出来た。 @201 いって〜!! いきなりなにすんだよ!? !bgm緊迫状況 @250 ・・・。 @1 リョウヘイの抗議を無視して、 アルバートは腰だめに右の拳を引く。 @202 ア、アルバート? @1 拳を一気に突きだした!! !se(Action)殴打 @202 うわ!! あぶねええ!!! @1 かわすことには成功したものの、 アルバートの拳は壁を思いっきり殴りつけた。 @201 バ、バカ野郎! 怪我するぞッ!? @1 リョウヘイの言う通り、 拳から血が滲んでいるが、 アルバートは表情一つ変えていない。 @250 ・・・。 @202 どうかしてるぜ、おい・・・。 @1 そのあまりにも異様な雰囲気に飲まれ、 背筋に寒気を感じる。 @220 ・・・。 @230 ・・・。 @240 ・・・。 @210 ・・・。 @202 お、おい、冗談はよせよな・・・? @1 ついにはアルバートだけでなく、 クラスメイト全員が襲いかかってきた。 @201 う、うわあぁぁ!! @1 思わず悲鳴をあがるリョウヘイ。 \sそこに・・・ @103 リョウヘイ!こっちだ!! @202 シシト!! @1 アルバートたちがいる反対方向に シシトが立っていた。 @103 早くこっちに! @202 ああ!わかった!! !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き @1 リョウヘイはシシトの誘導に従い、 アルバートたちから全力で逃げ出した。 @250 ・・・に、がさない・・・。 @220 ・・・と、らえろ・・。 @240 ・・・・。 @210 ・・・・。 @230 ・・・・。 !mv1F廊下 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き @201 なんだってんだよ一体!? @101 僕だってわからないよ!! @1 わけも分からず逃げまわり、 階段を駆け下りる二人。 @310 ・・・。 @1 その前に校長が現れた。 @201 校長!! @104 こんな時に校長に会うなんて!! @202 いや、普通は喜ぶところじゃねえのか? @102 この校長に何を期待しろと? @202 ひでえな。 @1 などと言っては見たものの・・・ @310 ・・・。 @1 いつものように陽気な叫びは聞こえない。 @200 ・・・。 @100 ・・・。 @310 ・・・。 @1 校長はただ黙って両腕を広げる。 \sいわゆるハグの態勢だ。 @202 どうやら・・・ @102 逃げた方が・・ @1 「「よさそうだね、な!!」」 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き 二人が背を向けてかけ出した瞬間。 校長は勢い良く襲いかかってきた。 @201 うわ、あぶねえぇぇ!? @101 にげるぞぉぉ!! @202 シシトコワースって 言ってこない時点で逃げりゃあ良かった!! @102 まったくだね!!! !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き @310 ・・・。 @1 校長は至って無表情に走ってくる。 相変わらず両腕を大きく広げたままだが、 そのスピードは並ではない。 @201 げっ!!校長はえええ!! @103 リョウヘイ!! @202 なんだよ?! @1 シシトの叫びを聞き、リョウヘイも前を向く。 「と、らえろ。」 「にが、すな。」 教師、生徒、はては用務員までも、 同じように無表情にコッチへ向かってくる。 まるでゾンビアクションゲームのようだ。 @201 うげッ!! @102 どうやら・・・ @202 みんな、正気じゃねえみたいだな。 @102 ・・・だね。 !se(Action)跳ね @1 シシトとリョウヘイが、 悠長に会話しているうちに、 彼らは集団で一斉に襲いかかってきた。 @201 うおわ!! あんな数どうしろってんだよ!! @103 リョウヘイ! そこの保健室に逃げ込もう!! @201 そんなとこ入っても、 すぐに破られそうだぞ!? @103 このままじゃ、 どっちみち状況はかわらないッ! 一旦態勢を整えるんだッ! @202 ・・・わかった!! !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)ドア開け @1 リョウヘイとシシトは 近くの保健室のドアを乱暴に開け !se(Action)ドア閉め !mv保健室 勢い良く閉めた。 @103 鍵を掛けて・・・ @202 そこら辺の物で扉ふさごうぜッ! @1 二人は極めて手早く行動し、 保健室にある動かせるものを総動員して、 扉の前に即席のバリケードを作る。 !se(Action)ドゴン !wait5 !se(Action)ドゴン !wait5 !se(Action)ドゴン 扉がドンドンと揺れるが、 バリケードのお陰で開くことはない。 どうにか侵入を阻むことが出来たようだ。 !bgm @102 ふう、これで少しは時間が稼げそうだね。 @100 幸い保健室にも誰もいないみたいだし。 @202 だな・・・。 @200 そういや、確認する暇なかったけど。 @100 ん? !bgmサスペンス @202 お前は正気なのか? @102 ははは、 昼食奢ってもらえなくて残念だよ。 @202 どうやら正気みたいだな。 ったく、一体どうなってんだこりゃ? あの様子じゃ、 学校中おかしくなってるぞ。 @100 ・・・リス君がさ。 @200 リスって、 あのマジカルなんとかから来たって奴か? @100 そう。 @102 なんだか妙な気配を感じるから 気をつけろって言ってたんだよね。 @202 そうなのか? @102 正直、当たると思ってなかったよ。 @202 お前、ひでえな。 @200 で、そのリスは? @100 校舎をうろついてみるって言ってたよ。 @200 ・・・。 @202 なあ・・・? @100 ん? @202 今の状況だと、 それってやばくないか。 @102 あ。 @102 さようなら、リス君。 君の犠牲は無駄にしないよ。 @201 勝手に殺すなよ!! !bgm !mvnil @1 シシトとリョウヘイが追い回されていた頃、 当のリス君はと言うと・・・ !mv薙島高校 !bgm高校 @704 は〜、は〜。 あやうく殺されるとこだった・・・。 @1 かろうじて (正気の)狩猟同好会の魔の手から逃れ、 校内の中庭に出ていた。 @701 ありゃ狩猟同好会じゃねえよ。 どう見ても軍隊じゃねえか。 @700 それにしても・・・ @701 やっぱ、いや〜〜な気配するな。 @700 これって、魔力・・・だよな? @701 どうも正確な位置が掴めねえなぁ。 そこら中から 微かに漂ってくるっていうか・・・。 @1 リスが呟いていた時だ。 !bgm !se(Action)ジュゴー @704 なんだッ!? @1 一瞬強い魔力を感じ空を見上げる。 すると空中に球状の薄い膜が現れて、 学校全体を包み込んだ。 !bgmサスペンス @701 今の広域結界じゃねえか? \sどこのどいつがこんな規模の結界を? !se(Action)跳ね @704 ってうわああああ!! @1 リスが思案していると、 突然何かに掴まれ体の自由を奪われた。 @320 ・・・。 @1 リスを掴みあげたのは 虚ろな目をした副校長だった。 @704 げげげ!副校長!? @320 ・・・。 @701 ・・・。 @320 ・・・。 @1 ジーっと見つめ合う一人と一匹。 @701 チチッ! @1 今更リスの振りをするが、当然もう遅い。 \sもっとも最初から無意味なのだが。 !bgm緊迫状況 @320 ・・・。 @1 副校長はリスを掴んでいる手に力を込める。 @704 ぎゃああああ!! な、中身が出るぅぅ!! @1 リスの叫び声を無視して、 握力はどんどん増していく。 @704 うおわあああ!!! 死ぬ、マジで死ぬ!!! @320 ・・・。 @1 副校長は無表情のまま、 一切の容赦なくリスを握りつぶそうとしていた。 !se(Action)殴打 バキッ!! @704 ぎゃああああ! 折れたああ!! @1 鈍い音が響く。 !bgm !se(Action)跳ね 直後、副校長が倒れ リスはその手から解放された。 @701 あれ? @700 おれ生きてる? !bgmサスペンス @1 「やれやれ。  余計な手間を掛けさせないでください。」 リスが何が起こったのか分からずに ボーっとしていると、倒れた副校長の背後から 呆れたような声が聞こえてきた。 @704 お前ッ!? @1 顔はハッキリと見えないが、 どうもリスにとっては旧知の人物のようだ。 @704 なんでお前がこんなとこにいんだよ!? @1 「私がその質問に答えると思いますか?」 @700 いや、思ってねえよ。 お前、女神さま直属の密偵じゃねえか。 簡単に答えるわけないだろ。 @1 「分かってて聞くんですから、  あいかわらず面白いリスですね。」 @700 うるせえ。 まあでも、これで確信したぜ。 @1 「なにがです?」 @700 お前がここにいるってことは、 この学校に異変が起こってんだろ? @1 「いきなり握りつぶされそうになれば、  嫌でも分かりますか。」 バカにしたように言いながらも、 少し感心した口調で語る。 「それで、誰の仕業か分かりますか?」 @701 ・・・。 @1 「はぁ、所詮は成績最下位ですね。」 大げさにかぶりを振りながら、 声の主はおちょくるように語る。 @704 ほっとけ! 知ってんなら教えろよッ!? @1 「・・・表情のない顔。\s虚ろな目。  \s情け容赦なく生物を殺そうとする行為。」 「これはマリオネットの仕業ですよ。」 @704 マリオネットだって!? @701 ・・・ !se(Action)ページをめくる @707 え〜〜〜っと、あ、あった。   ←ザ・魔物大全(女神著、誤字多し)  @1 「魔物の概要くらい覚えててくださいよ。」 @707 え〜〜と、特定範囲内の生物を 魔力の糸で意のままに操る魔物・・・か。 魔力への抵抗力か マジックアイテムを持たない者は、 簡単に操られてしまう。 @1 「そうです。」 @701 なんで、そんなのがここにいんだよ? こんなん町中に現れる前に、 倒さなきゃダメな魔物じゃねえか。 @700 実際この本に書いてるけど、 年間被害件数はかなり低いぞ。 魔道士クラスが被害出る前に さっさと片付けてんだろ? @1 「本来ならそうなんですがね。」 「今、この事件を引き起こしている  マリオネットは普通のではありませんから。」 @700 普通じゃない? @1 「十年前の事件を知ってますか?」 @700 十年前って・・・ @704 もしかして、あれか!? @1 「さすがにこれは知ってましたか。」 @704 当たり前だろ、あんな有名な事件!! @1 「なら話は早い。」 「今回の犯人は  あの事件の首謀者の側近の一人です。」 @704 側近って・・・ @707 え〜〜と・・・ @1 「結局調べるんですか。」 !se(Action)ページをめくる @707 ドッペルゲンガー・・・ @1 「マリオネットですよ。そいつじゃありません。」 !se(Action)ページをめくる @707 マリオネット【マリオン】 通常のマリオネットは 強力でも数人を操る程度。 だが、マリオンは数百人以上を 同時に操ることが出来る。 普段は死体を依り代にして、 人間社会に溶け込んでいるため 捜索は困難を極める。 危険度・・・ @704 ッ!? S級の魔物じゃねえか!! @1 「そうですね。」 @704 S級って言ったら、発見次第 最優先で抹殺か戦力によっては 即時撤退しなきゃいけないやつだろ!? なんでそんなヤバイ奴が こんななんにもねえ学校を襲うんだ!? @1 「奴らの目的は一つしかありません。  \s主の完全な復活です。」 @700 はぁ? \sそいつって女神さまが直々に 封印術で完全に封印したんだろ? 大体それと、この学校襲うのと 何の関係があんだよ。 @1 「残念ながらそこまでは教えられません。」 @700 いらねえことはペラペラ喋るくせに。 @1 「あなただけには言われたくないですね。」 @704 なんだと!! @1 「それよりも  早く村上シシトくんの所に行ったほうがいい。」 @704 あ!! @1 「マリオンの能力はもう分かったでしょう?」 「ステッキの効力で操られてはいないでしょうが、  今頃、酷い目にあってると思いますから。」 @701 やっべ〜〜って。 @705 こうしちゃいらんねぇ! @1 リスが駆け出そうとした時だった。 「・・・彼らと合流したら、  この事態の収拾をお願いします。」 声の主はとんでもないことを口走った。 @704 無茶言うな!! おれたちで手に負える仕事じゃねえッ! 危険度S級なんて、 本部直轄の魔道士の仕事だろ!! @1 「では、その魔道士が来るまで  どの位時間がかかると思いますか?」 「彼らが到着するまで逃げ続けられます?」 @701 う・・・。 @1 「\r[彼女,・・]がいれば  私もこんな無茶は言いませんが、  今は他の事件で他所に出張ってますからね。」 @700 彼女? @1 「おっと口が滑りました。  あなたの言うように余計なことを言うのは  私の悪い癖ですね。」 「それに魔道士が到着するまで持ったとして、  今、この学校には広域結界が張られています。」 「外部からの干渉は難しい。」 @701 さっきのアレか・・・。 @700 でもよ。この街には 尋常じゃない量の監視カメラがある。 結界ったって そんなもんまで誤魔化せねえだろ? 今頃学校で暴動が起こってるって 大騒ぎになってんじゃねえか? @1 「通常の結界ならそうかもしれませんが、  コレは・・・幻視結界です。」 @700 幻視結界って確か・・・? !se(Action)ページをめくる @707 ああ、あったあった。   ←良い子の魔法大全(女神著、脱字多し) @707 侵入者に幻を見せて、 内部への侵入を妨害及び 異常を察知させないための結界。 また内部にも限定的ではあるが、 幻を見せることが出来る。 @701 まさかカメラに幻を見せてんのか? @1 「その通りです。」 「警察署に伝わっている情報は恐らく  何の異常もない平穏な学校の映像でしょう。」 「脱出はもちろんできず、外部への情報を改竄し、  内部への進入も防止できる。」 「秘密裏に事を運ぶなら  これほど都合のいい結界はありません。」 「・・・元は人々を不安にさせないために  彼女が作った結界をこんな風に悪用されると  さすがの私も腹がたちますね。」 @700 また彼女かよ。 相変わらず女好きだな、お前。 @1 「私は美しいものが好きなだけです。  あなたと一緒にしないでください。」 「では、私はこれで。」 @704 ちょっと待て! お前も手伝えよ!! @1 「申し訳ありませんが、まだ私の存在を  気取られる訳にはいかないんですよ。」 「ですので私の事と十年前の事件の事は  \r[彼,・]には黙っていてくださいね。」 @700 話したらどうすんだよ? @1 「私は今、女神様の勅命で動いています。  \sそういえば分かりますよね?」 @701 わかった・・・。 @1 「そうそう言い忘れてました。  シシトくんは今、保健室に居ます。」 「岸リョウヘイくんと一緒にね。」 @704 なんでリョウヘイまで!? @1 「かなりまずい状況でしょうから、  はやく行ってあげた方がいいですよ。」 「それと、マリオンは屋上に居ますよ。」 「では、頼みましたよ。」 !se(Action)跳ね !bgm 言うだけ言うと、 今度こそ声の主は姿を消した。 @701 あの野郎、 無茶振りしやがって・・・。 @700 とりあえず・・・ @704 シシト〜〜〜〜!! @1 リスもまた保健室に向かい駆け出した。 !mv保健室 !bgmサスペンス @201 勝手に殺すなよ!! @102 ははは・・・ !se(Action)ビシッ !wait5 !se(Action)ビシッ !wait5 !se(Action)ビシッ !wait5 !se(Action)ビシッ @1 シシトのあんまりな発言に、 リョウヘイがツッコミを入れていると、 窓を叩く音が聞こえてきた。 @102 まさか校長たちが、 外から回りこんで来たんじゃ・・・。 @202 おいおい、冗談じゃねえぞ? @1 そう言いながら二人は窓を見る。 シシトが窓を見ている。 !se(Action)ビシッ !wait5 !se(Action)ビシッ !wait5 !se(Action)ビシッ !wait5 !se(Action)ビシッ @704 \f[18]開けてくれ〜〜〜!! @1 そこにいたのはリスだった。 @103 リス君、無事だったんだね! 心配したんだよッ! @202 大嘘言ってないで早く開けてやれ。 @1 念のため外を警戒しつつ 窓をあけるとリスが勢い良く飛び込んできた。 @701 ふう・・・ !bgmバトル01 @705 \f[30]救世主リスさま参上!! @709 おれが来たからにはもう安心だぜッ! @102 はいはい。 @200 おー、マジで喋ってんな。 こりゃすげえ。 @704 あッ!! @701 チチッ! @102 リョウヘイはもう知ってるから ごまかす必要ないよ。 @700 ああ、そうだっけな。 !bgmサスペンス @100 そっちは大丈夫だった? @102 こっちは校長とかに襲われたよ。 @701 校長に襲われんのは 日常茶飯事じゃねえかよ。 @100 そういえばそうだね。 @202 いやな日常茶飯事だな。 @701 まあ、おれも副校長に 危うく握りつぶされそうになったぜ。 @100 それはさすがにおかしいね。 厳しい先生だけど、小動物を いきなり殺そうとするような人じゃない。 @709 こんなにプリティーなのにな! @102 今、ものすごく握りつぶしたくなった。 @704 ジョーク!イッツアメリカンジョーク! @202 どこがだ。 @100 でも、リス君も襲われたとなると、 特に何か分かった訳じゃなさそうだね。 @700 いいや、分かったぜ。 @102 へ? @705 この事件の首謀者がな。 @200 なんだよ、聞いてたよりも 結構やるじゃねえか。 @102 この短時間で調べあげるなんて 随分手際がいいなぁ。 @701 お、おれが本気出せば こんなの夕飯前だぜ。 @202 それを言うなら朝飯前だ。 @100 それで一体誰の仕業なのさ? @700 ああ、実はな・・・ !bgm !mvnil !wait40 !mv保健室 !bgmサスペンス @100 マリオン? @701 ああ、こいつはかなりやばい相手だ。 @102 ドッペルさんとどっちがやばい? @701 比較にならねえよ。 @102 だよね。 ・・・で、勝ち目はあるの? !bgmサブコミカル @700 ・・・。 @701 ・・・。 @720 ・・・。 @101 いや、答えろよ!! @704 ああ、ねえよ! あるわけあるか、ド畜生! @104 開き直るなッ! !bgm @704 S級魔物ってのはおれら見習いより 格上の魔道士が十数人のチームで 対応するのが普通なんだよ! MP0のお前とおれだけじゃ どう逆立ちしたって勝ち目なんかねえ! !bgm[追加]闇夜の死線 @200 けどやるしかねえんだろ? @100 リョウヘイ? @200 そのマリオンってのが どんだけ強いのかは知らねえけど、 助けだって期待できないんだろ? ならまともなオレらで どうにかするしかない。 違うか? @100 ・・・\sそうだね。 @701 まあ、そうなんだけどよ・・・。 @102 ていうか、オレら? @200 もちろん俺も行くぜ。 @704 バ、バカ言うなよ!? 一般人のお前を連れてけるかよッ! @200 他人様の畑を 好き放題荒らしてくれたんだ。 一発ぶん殴ってやらねえと気がすまねえ。 @704 ケンカじゃねえだぞ!? @100 ・・・\sわかったよ。 @704 シシト!? @102 こうなったら何言っても無駄さ。 ダメって言っても黙ってついてくるよ。 @200 さすがにわかってんじゃん。 @102 腐れ縁だからね。 @200 全くだな。 @701 けどよ〜・・・。 @100 それに安全な場所なんかどこにもない。 下手に別れるよりは 一緒に行動した方がいい。 @701 はぁ、しょうがねえなぁ。 @700 でもこれだけは約束しろ。 \sあぶなくなったら逃げろよ。 @200 わかった。 @102 とか言ってる リス君が逃げそうだけどね。 @704 おい!! @100 でも、本当に逃げてよ? @202 わかったって。 !bgm @100 よし、そうと決まったら 変身しないとね。 @700 結界の影響でカメラは幻見てるし そこのカーテンの中なら、 変身できると思うぞ。 @100 よし。 !se(Action)学内歩き @1 シシトはベッドに近づきカーテンを閉めた。 @200 変身ってことは何か台詞あんのか? @701 ・・・聞いてりゃ分かる。 !bgmコミカル @1 「う、生まれるー!!」 @201 はぁ!? @1 「がんばれ春子!ヒッヒッフーだ!  ヒッヒッフー!」 @201 誰だよッ!? @1 「大変、奥さんが白目むいて  アワ吹いてるわーっ!」 「ヒッヒッフーヒッヒッアボベッ!!」 「春子ー!!大丈夫か春子ぉぉぉー!!」 @201 これで本当に変身できんのか!? @1 「せっ、先生!」 「まちがってうん●出てませんか!? 大丈夫ですかー!?」 「はいはい大丈夫だよ、赤ちゃん出てるよ」 「あああー!!いってぇぇぇええ!!  んぎゃあぁぁぁぁ!!」 「春子ー!!春子ぉぉぉー!!」 @202 ・・・。 @1 声が止むとカーテンが開き、 中から変身したシシトこと オカ魔女っ子ナナシが姿を現した。 @133 よし!変身完了!! @202 シシトお前・・・ @130 ん、なに? @202 今時の変身は ダサいヴォイスが付くのが常だけど、 いくらなんでもこれはないぞ? 耳障りもよくないし、 長すぎて真似もできねえ。 @131 即売効果とか考えてませんから。 @202 世知辛い話しすんなよ。 @701 一体何の話してんだ? !bgm !se(Action)ドゴン !wait5 !se(Action)ドゴン !wait5 !se(Action)ドゴン !wait5 !se(Action)跳ね @1 彼らの会話を遮るように 扉の前に作った即席のバリケードが 徐々に崩れ始めた。 !bgm緊迫状況 @133 どうやら限界みたいだね。 @200 ぐだぐだと議論しちまったけど、 どのみち出るしかなかったってことか。 @701 そうみたいだな。 !se(Action)ドゴン !wait5 !se(Action)ドゴン !wait5 !se(Action)ドゴン !wait5 !se(Action)跳ね @1 そうこうしている間にも バリケードはガタガタと崩れていく。 @134 というわけで・・・ @200 強行突破だな。 @705 おっしゃー、がんばれよ!! @131 リス君もね。 @701 はい。 @133 それじゃあ! @200 行くぜッ!! !mv1F廊下 !se(Shooting)撃破A @1 バリケードが破られるとほぼ同時。 シシトとリョウヘイ(あとリス)は 操られた人々の間を強引に突破し 一気に廊下に飛び出した。 @310 ・・・。 @300 ・・・。 @1 「・・・・・・・。」  @202 うわ、うようよいるな。 @133 屋上まで駆け抜けるよッ! @200 おうッ!! @704 うおりゃああ!! !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !mv3F廊下 @250 ・・・。 @1 脇目もふらず3階まで駆け上がると、 踊り場でアルバートたちに遭遇した。 @201 アルバート!? @1 さすがに友人であるせいか リョウヘイは強引な突破は躊躇する。 @133 ごめん、アルバート!! !se(Action)殴打 @1 だが、相棒の方は容赦なく殴りつける。 !se(Action)ズシャアアー !wait10 !se(Shooting)撃破A @252 ・・・。 @1 アルバートは派手に吹っ飛び、 壁に叩きつけられた。 \sこれは痛い。 @201 少しはためらえよッ! @701 ひでえ・・・。 @131 仕方ないじゃないか。 @252 ・・・ピクピク @1 気絶しているのか アルバートは全く動かなくなった。 @130 動きださない所を見ると、 気絶すると操れないみたいだね。 @707 そうみたいだぜ。   ←ザ・魔物大全(実は初版) @133 そういうことなら話は早いッ! !se(Action)殴打 @220 ・・・。 !se(Action)ズシャアアー @1 吹っ飛ぶ。 !se(Action)殴打 @240 ・・・・。 !se(Action)ズシャアアー @1 また吹っ飛ぶ。    !se(Action)殴打 @230 ・・・。 !se(Action)ズシャアアー @1 もちろん吹っ飛ぶ。    !se(Action)殴打 @210 ・・・。 !se(Action)ズシャアアー @211 ・・・。 @1 物理的に吹っ飛ぶ。   @133 よし!片付いた! @1 シシトはクラスメイトを全滅させた。 \sなんという非道さだろうか。 一応とはいえ正義の味方の所業ではない。 @201 鬼かお前は! @133 大事の前の小事!! それに気絶しててくれた方が きっと安全だよ! @202 ・・・そういうことにしとくか。 @133 行こう!! @705 うっしゃ〜〜、行くぜええ!! !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !bgm @1 なんだかんだで障害がなくなり、 二人と一匹は屋上まで駆け上っていった。 !wait10 !mvnil                                  後編に続く.....