#寂しい気持ちbyりんご !bgm静かな時 @0      私は、シシト先輩が好き______ @0     私が、私自身の想いに気づいたのは、      一体、何時からなのでしょうか。 @0      シシト先輩は、優しい人です。 @0    確かに、何を考えているのかが      掴みにくいですし、自分一人で       抱え込んでしまう所はあります。 @0     客観的に見れば、人からは、      あまり好かれなさそうな、       そんな変わった人ですが、 @0    「あの事件」が起きた時、     心が張り裂けそうなくらいに      心配したのも…      @0        間違いなく、私で…… !wait40 !se(system)キー1 !wait5 !se(system)キー1 !wait5 !se(system)キー1 !wait5 !se(system)キー1 !wait5 !se(system)キー1 !wait5 !se(system)キー1 !wait5 !se(system)キー1 !wait20 !se(system)キー2              SideStory \f[40]    寂しい気持ち                      !se(system)キー3 !bgm !wait80 !bgmけだるい午後 !mv警察署コンピュータ室 !v27=2 !v35=2 @1 午前11時。 アクアフロート警察署にて。 @600 じゃあ、また後日、 詳しく事情聴取をするから 今日はもう、帰っていいわよ。 @102 まだ、やるんですか? @600 仕方ないでしょ。 あなたは、犯人である「相良リュウゾウ」と 密接な関係にあったんだから。 @100 確かに4年前の銃撃事件の犯人と、 その直接の被害者ですけどね。 @100 僕自身は、当時の事は あまり記憶にはありませんが。 @600 …そうね。まさか警察内部で 事件が\r[改竄,かいざん]されていたとはね。 @600 ごめんなさい。シシト君。 これは警察側の不始末だったわ。 @100 弧狩さん、やめて下さい。 頭を下げて頂く事なんて…。 \s僕は、助けていただいて感謝しています。 @100 僕よりも、冬村さんの事を 気にしてあげて下さい。 @100 冬村さん、まだ心の整理が ついていないでしょうから。 @600 シシト君。あなた…。 \s露出狂の割に、優しいじゃない。 @101 露出狂は余計です! @600 ふふ。 \sでも、事情聴取はきっちりやるわよ。 @600 それと、冬村さんの精神的なケアもね。 \sこの件は、優秀なカウンセラーを本州から 呼んでおくわ。 @100 ありがとうございます。 @600 とりあえず今日の聴取は 終わりだから、早く帰りなさい。 @600 待っていてくれる子も いるみたいだしね。 @100 え……? @600 ほら、あの子 さっき警察に連絡があったのだけど、 \s君の知り合いじゃないのかしら? @402 …先輩。 @100 セト? どうして警察に。 @600 …早く行ってあげなさい。 \s女の子を、あまり待たせる ものではないわ。 @100 はい。 今日はこれで失礼します。 !mvnil !mv塾 @102 やあ、セト。 @402 やあ、じゃないですよ。 \s…先輩。 @100 どうしたの? こんな所で。 @402 あの、家に帰ってテレビを見てたら 報道特集でこの事件の事をやってまして。 @402 そうしたら、被害者名に先輩と、 冬村さんの名前があったので、 私、居ても立ってもいられなくなって。 @100 もう話題になってるんだ。 @402 はい。 \s\r[この街,アクアフロート]で事件なんて 珍しいですから。 @100 …ああ、そうだね。 @402 ………………………。 @100 ………………………。 @402 ………………………。 @100 (ダメだ。なんて言葉をかけてあげたら  いいのか、わからないや。)  @102 (それにしても、どうしよう。  セトが、ここまで落ち込むなんて) @100  (大分、心配をかけたみたいだな… \sよし。) @100 えっと。 \sねえ、セト。 @402 はい…。 @102 弧狩さんの事情聴取も終わったし、 \sこれから、何処か行かない? @402 二人で、\sですか? @102 嫌なら、別にいいんだけど。 @403 いえ、そんなことありません。 \s行きたい……\sです。 @100 うん。 \sじゃあ、とりあえず ショッピング街に行こうか。 @402 はい…。 \s !bgmショッピング街 !v5=0 !mvショッピング街 @100 セトは何処か、寄りたいお店とかある? @402 先輩の行きたい所でいいですよ。 \s私は、先輩に付いていきますから。 @102 そう。 @100 でもセト、それでいいの。 僕の見たい所だけ周ったら、 \sつまらなくないかな。 @402 そんな事、ありません。 @402 \f[15]だって、 \s先輩が、\s生きて…。 \s生きているんですから…。 @102 え? 何か言った? @403 な、何でもありませんっ! @100 本当に何でもない? @402 そ、そうですっ! \sきっと先輩の空耳です! @102 そっか。 @100 ……………。 @100 この先に、良い本屋があるんだけどさ、 \sまずはそこに行こうか。 @402 はい。わかりました。 @100 …………………… \s !bgmショッピング街 !mv本屋 @100 じゃあ、本屋の中を 暫く見て回るから、 \s気になる本があれば言ってね。 @402 あ、はい。 そうですね。 @100 ……………………。 \s @100 (ごめん。セト。  心配かけて。) @102 (こんな時、なんて言葉をかけたら  良いんだろう?  \sねえ、リス君。) @102 (…………) \s @100 (あ、そうか。  もう、リス君はいないんだった。) @100 (…リス君。) !mvnil !mv本屋 @100 セトは、普段どんな本を読むの? @402 そうですね、普段読むのは…。 えーと。小説ですかね。 漫画もたまに読みますけど。 @100 そうなんだ。 差し支えなければ、ジャンルは? \s推理物?それとも…。 @402 最近ですと、 \s恋愛小説を、特に読みますね。 @102 恋愛小説…?\sセトが? @402 あ、今先輩。 \s「意外だ」って、思いましたね。 @100 うん。 \s申し訳ないけど。 @102 何となく、セトは恋愛には興味が 無さそうに見えたからさ。 @400 あ、酷いです先輩。 @402 私だって、一応女の子なんですよ。 \s恋愛に興味が無いわけじゃないですし、 …好きな人だっていますから。 @402 (ですから、その人が危ない時は、  \s心配も…泣きもするんです。) @102 ああ、うん。 \sその、余計な事を聞いてごめん。 @100 セトにも、好きな人が出来たんだね。 \s…良かった。 @402 あ!いえっ!そんなっ! \sその、私の方こそすみません。 急に変な事を言って…。 @102 ……………………… @402 ……………………… @1 ぐぅー…… @102 あ、\sごめんごめん。 \sお昼ご飯、まだ食べてないからお腹が。 @1 ぐぅぅー……… @101 ああもう! @403 (ふふ、先輩可愛い。) @404 \sそうですね。もう1時も過ぎてますし、 お昼を食べに行きましょう! @102 そうだね。 気を遣ってくれて、ありがとう。 @100 (良かった。セトが今日、  初めて明るい顔をしてくれた。) @400 はい! …ところで、先輩。 @400 最近、いいレストランを 見つけたのですが、折角ですから 今日はそこに行きましょう! @100 そうだね。 \sそれじゃあ、そこに行こうか。 @102 (アクアフロートにレストラン?  \s一体、どんな店なんだろう…?) !mvnil !mv駅のトイレ !bgmコミカル @101 (なんだこの店!?) @102 ね、ねえセト。 ここさ、本当にレストランなの? @404 はい! レストラン「トイレ」です! @101 (ええー…おかしいだろ。) @404 ちなみに名物料理はカレーです! @101 (やっぱりそっち系なのかよ!) @102 ア、アクアフロートにも、 こんな奇抜な内装のお店が あったんだね。知らなかったよ。 @400 ここのお店は、冬村さん達と 前に来た事があるんです! @402 値段は少し高いですけど… 味は保証しますよ。 @101 (冬村さんも来た事あるのかよ!) @102 (まあいいか、セトがおすすめする  店なんだから…変な物はでないか。) !bgm安らぎ @102 そ、そうなんだ。 ありがとう。セト。 @102 はは、僕普段外食とかしないからなぁ。 \sこういうお店は\s…新鮮だよ。 @404 じゃあ今日は、色々頼んじゃいましょうか。 \s私、おじいちゃんからお小遣い貰った ばかりですし。お金はあるんですよー! @100 いいよ、セト。 そんなに気を使わないで。 @102 女の子と食事に行って、 支払いまでさせたなんて知れたら、 流石に姉さんにシメられる… @401 シメられちゃうんですか!? @100 それに、セトは僕を心配して 警察まで来てくれたんだもん。 \sだから今日は僕が支払うよ。 @402 先輩。そんな、別にいいんです。 私の好きで来ただけですから。 @100 ううん。いいよセト。 @102 気になるのなら、次の事情聴取の時か 夕飯がエアーの時にお願いします…! @402 ……。 @404 わかりました! では今日は、先輩に甘えて御馳走に なりますっ!(ピシッ) @100 うん。そうだね。 \sそれじゃ…何か頼もうか。 @403 はいっ! !bgm !mvnil @1 それから数十分後…。 @1 食事を無事に終えた 僕らは、一休みする為に、公園までやってきた。 !bgm公園 !mv中央公園 @102 ふぅー…。 お腹一杯だよ。 @100 あそこのレストラン。 中々良かったね。 (財布は軽くなったけど…) @403 はい。料理もデザートも、 とっても美味しかったです。 @404 先輩!御馳走様でした(ピシっ) @102 ははは。 喜んでくれて、何よりさ。 @400 あ。 @100 ん?セト、どうし…。 @402 ………………先輩。 @102 セト? @100 あ… @1 僕がセトの視線の先を追うと… @1 \sそこには、 ここ中央公園でフォックスと戦った時の 生々しい傷跡(言いすぎか)がまだ残っていた。 @400 ………………。 @402 先輩は……、 確か、この公園で、 事件に巻き込まれたんですよね。 @100 …知ってたんだ。 @102 (巻き込まれたって言うのとは また少し違うけど) @402 冬村さんに…。 詳しくは聞いてませんけど。 @102 そうなんだ…でもね。 \s聞いて面白い所はあまり無いから、 セトは知らなくていいよ。 @402 そんな…。 私、面白がってなんか…。 \sいえ、そう…ですね…。 @402 先輩。 @100 どうしたの。セト。 @402 やっぱり、今日は 先輩の事を連れ回していいですか? @102 えっ…。 @100 いいけど……。 急にどうしたの? @402 何となく…そんな気になっただけです。 @0 !bgm別れ !mvnil \s それから、    僕は、セトと一緒に色々な場所を周った。 !v5=1 !se(Action)学内歩き !mvマンション街 @100 \s @400 \s !mvnil !se(Action)学内歩き !mv薙島高校 @100 \s !se(Action)学内歩き @402 \s @101 \s !se(Action)学内歩き !mvnil !mvショッピング街 @102 \s @403 \s @104 \s !se(Action)学内歩き !mvnil !mvnil @0 \f[20] …暗く、思いつめた表情のまま、     僕達は、事件に関係する場所に訪れ、      また次の場所に向かう。という事を、       何回も何回も繰り返した。 !mvnil @0    このセトの行動に、どういった意図が   あるのかは、僕には良く分からない。      \s…ただ、今はセトに付き添っててあげたい。    @402 …先輩。 @0       次で最後です。とセトが言う頃には、      辺りはもう暗く、すっかり夜になっていた。 !bgm夜の静けさ !mv海岸公園 @102 ふう。 すっかり暗くなっちゃったね。 @402 すみません。 こんな時間まで付き合せてしまって。 @100 いや、気にしてないよ。 今日一日、セトと過ごせて楽しかった。 @102 警察の(主に弧狩さんの)事情聴取は \s精神を擦り減らすからね。 いい気晴らしが出来たさ。 @402 そうですか…。 @403 先輩の気を紛らわせる事が出来て、 \s…その、良かったです。 @100 ……………… \s @100 ねえ、セト。 @402 …はい。 @100 この間の事件の事で、 心配かけたんだよね…\sごめんね。 @100 僕、人から鈍いって良く言われるからさ。 知らない内に、セトに心配かけさせてたなら、 \s…謝るよ。 @402 あ…。 @402 そんな、謝らないでください。 \s先輩は、冬村さんを助けたんですから。 \s先輩が謝る事なんてないんです。 @402 私が、子供なだけですから。 \s先輩、凄く疲れてるのに、 \s私が先輩を振りまわして…。 @100 セト。 @102。 \s別にさ、いいんだよ。セト。 @100 君は昔から、真面目だし、 \s飛び級出来るほど頭もいいし、 \s人の事も心配できる、優しい子だと思う。 @100 だけど、不安な時や気持ちが落ち込んだ時、 \s一人で悩まないで、人に頼ってもいいんだ。 …冬村さんや、僕とか。 @102 その他にもリョウヘイだろ。 アルバート…\s君は少しわからないけど。 @100 きっと、みんなセトの力になってくれる。 @102 …他人に心配をかけ過ぎている 僕が言う事じゃないけどさ。 @402 先輩。 少し、いいですか? @100 ん。何?セト。 !bgm黄昏 !wait10 @402 私、先輩の事が、 その…\s「好き」です。 @102 え…? @100 \s急に、何を言ってるの。セト? @102 冗談なら止めてよ。 …セトらしくない。 @400 冗談なんかじゃ…ありません。 私、本気です。 @402 本屋で、言いましたよね。 \s「好きな人がいる」って、 \s…先輩の事なんです。私の好きな人。 @100 ………………。 @402 いつ頃から好きだったのかは、 \s私にもよくわかりません。 @402 でも、自分の気持ちに 気付いたのは、4年前の事です。 @100 4年前って、もしかして。 @402 そうです。 @400 あの銃撃事件の時に 私は、自分の気持ちに気付けました。 @402 先輩が死んじゃうかも知れない。 \sもう会えないかも知れない。 \sそう思った時。 @402 自分でもどうしたんだって思うほどに、 涙が止まりませんでした。 \s @102 …あれ? @100 でもセト、あの事件の事は 知らなかったんじゃ。 @402 岸先輩から聞いたんです。 @402 岸先輩、シシト先輩の事を とても心配していました…。 @402 普段は温厚な岸先輩が、 \s犯人を殺してやりたいとも…。 \sそう、言っていました。 @402 岸先輩が本気で怒っていたのは、 後にも先にも、あの時だけです。 @100 (…リョウヘイ) @400 あの事件の後、 岸先輩とシシト先輩の事で 一つだけ約束したんです。 @400 「銃撃事件には触れないでおこう」と。 @400 いつも通り、普段通りに、 \sシシト先輩と付き合おう。 \sそう約束したんです。 @402 先輩は私達よりも、 \sもっと辛かったでしょうから…。 @402 私たちが暗い顔をして、シシト先輩に 心配をかけたく無かったんです…。 @100 そう、なんだ。 @402 先輩。 \sあれから、もう4年が経ったんです。 @402 先輩が奇跡的に助かって \sもう二度とあんな思いはしないで済む って思ってから、4年が経ったんです。 @402 それなのに \s…なのに。 @402 先輩が\r[アクアフロート,ここ]に来てから 今日まで、いくつ事件に 巻き込まれましたか? @402 どれだけ危ない事をすれば 先輩は気が済むんですか? @100 ‥セト。 @402 すみません。 \s先輩に怒っても仕方ないですよね…。 @402 でも、心配させられる方の気持ちも、 少しは解ってくださいよ…。 @402 先輩が、いなくなったらどうしようって 私、凄く怖かったんですから。 @402 自分を、もっと大事にしてあげて下さい。 @102 ごめん。 @402 先輩を責めている訳では無いんです。 \sですから、先輩が謝る必要なんて。 @100 でもセト、泣きそうだから。 @402 そんなこと。 \sそんなこと、ありません。 \s私、泣きそうになってなんか…。 @102 …わかるさ。 @100 今セトが、泣きそうだってことが。 \s寂しいっていう気持ちが…\s痛いほど伝わる。 @402 ……………………。 @402 じゃあ…\sじゃあ、先輩。 @402 もしも、私が今泣いたら、 \s先輩の胸を貸してくれませんか? @102 えっ? \sああ、うん。その。 @100 …いいよ。大丈夫。 @102 その…\s僕がセトに心配かけた分は、 僕が、同じくらい慰めてあげたいから。 @100 だから、いいよ。 @102 …やっぱり、ちょっと照れるけど。 \sいや、その、かなり…\s照れる…かな。 @403 …先輩。 @402 ありがとうございます。 \sでは、失礼します。 \s !mvnil @402 (冬村さん、すみません。 \sでも今だけは…許してください。) @1 私だって先輩の事が、 \s好き、なんですから。 \s !mvnil @0       それから、私は子供の様に、           長い間、先輩の胸で泣き続けました。          @0       色々と、はた迷惑な事を       言ってしまったかも知れません。 @0        あまりに恥ずかしくて、          今は思い出したくも無いですが、 @0      それでも先輩は、照れ臭そうに笑いながら、          泣き続ける私を、何も言わずに、        ただ見守って下さいました。 @0      先輩の暖かい胸の中で泣いている間、       自分でも驚くほどに、落ち着きました。 @0 …私は、   @0       私はやっぱり、この人の事が        苦しくなるほどに「好き」なんだと         改めて、そう思いました。 @0       先輩が生きていて\s…良かったです。 !wait120       @0 \s「寂しい気持ち」   END