#Silhouette Extra Tale 改訂版 第7章「救われた心」後編 !v29=3 !wait60 @130 ……。 !wait30 また暗くなった……。 今、動いたりとかしてなかったのに……。 !wait60 @1 \f[20]\c[2]「おじいちゃん……」 @131 んっ……? @1 闇の中から聞こえる少女の声……。 すると、僕のすぐ目の前に…… まだ幼稚園くらいの小さな女の子が どこからともなく現れた……。 @130 ……。 !wait60 もしかして……セト? @1 間違いない……たぶん、小さい頃の記憶だ。 だとしたら、今、呼んでいたのは……。 !wait40 !se(Action)学内歩き @1 \c[3]「おお、おかえり、セト……」 \c[3]「今日も、いい子にできたかの?」 \c[2]「……うん」 @130 ……やっぱり、バルトさんか。 ……。 @131 あんまり変わってないんだな……。 !wait20 @1 \c[3]「……しかし、どうしたんじゃ?」 \c[3]「そんな難しそうな顔しおって……  \s何か、困ったことでもあったのか?」 \c[2]「……」 !wait40 \c[2]「あのね……」 !wait80 !bgm別れ @130 ……えっ? @1 \c[3]「パパとママに会いたい……じゃと?」 \c[2]「……」 \c[3]「……どうしたんじゃ、急に?」 \c[3]「セトのパパとママは、お仕事で  遠くに行ってると言ったはずじゃが……」 \c[2]「……今日、幼稚園のみんなで  お父さんとお母さんの話をしたの」 \c[2]「みんなのお父さんやお母さんは、  とっても優しかったり、時々怖かったり、  色んな人がいてね……」 \c[2]「お休みになると、遊園地や動物園に  連れてってくれたり、一緒に遊んでくれたり、  なんでもしてくれるんだって……」 \c[2]「みんな、すっごく楽しそうに話してた……」 \c[3]「……ふむ」 !wait40 \c[2]「でもね……」 \c[2]「私……何も話せなかった……  お父さんとお母さん、いないから……」 \c[2]「おじいちゃんの話はできたけど……  やっぱり、みんなと違うし……」 \c[2]「それで……それで、ね……」 \c[3]「……なるほどのう」 \c[3]「それは辛かったじゃろうに……」 \c[2]「……\sおじいちゃん」 \c[2]「私……いつになったら、お父さんと  お母さんに会えるのかな?」 \c[2]「ほんのちょっとだけでいいの……  \sお出かけとか、遊べなくてもいいの……」 \c[2]「私、会いたい……\sお話したい……」 \c[2]「みんなと、違うなんて……\sひっく……  \s仲間はずれなんてイヤだよ……」 \c[3]「……」 !wait60 \c[3]「今は……我慢じゃよ……」 \c[3]「セトがいい子にしていれば……  いつか、必ず会える……」 \c[3]「もう少しの辛抱じゃから……なっ?」 \f[20]\c[2]「ひっく……ひっく……」 \c[3]「おお、そうじゃ」 \c[3]「せっかくじゃから……次の休みになったら  近くの遊園地まで行ってみるかの?」 \c[2]「……えっ?」 \c[3]「ワシが一緒について回れば、  セトだって乗り物に乗れるじゃろう」 \c[3]「遊園地はとても楽しい場所じゃ……  \s思いっきり遊べば、イヤな気持ちも全部  吹き飛んでしまうはずじゃよ……」 \c[2]「……ホントに?」 \c[3]「もちろんじゃとも」 \c[3]「ほれ、だから元気を出しなさい」 \c[2]「……」 !wait40 \c[2]「うん……」 \c[2]「ありがと……おじいちゃん……」 \c[3]「ほっほっほ、礼なんていらんよ」 !wait60 @130 ……。 !wait30 そっか……。 セト、こんな小さい頃から ずっと両親がいなかったんだ……。 !wait40 @1 \c[5]「あーあ、今日は授業参観日か……」 @131 んっ……また、場所が……。 @1 \c[5]「イヤだなぁ……」 \c[5]「僕のお父さん厳しいから、ちゃんと  先生の話聞いてないと怒られちゃうよ……」 \c[5]「そうなの?」 \c[5]「ウチのお母さん、ちゃんとしてれば  プレゼント買ってくれるって言ってたよ」 \c[5]「うわー、いいなー」 \c[5]「私も、お父さんにお願いしてみよっかな……」 \c[5]「じゃあ、僕も」 \c[5]「私もー」 \c[2]「……」 \c[5]「……あれっ?」 \c[5]「犬山さん……どうしたの?」 \c[2]「あっ、ううん……」 \c[2]「なんでも、ない……」 \c[5]「ふーん……」 \c[5]「……そういえばさ」 \c[5]「セトちゃん、お父さんが来るの?  お母さんが来るの?」 \c[2]「……えっ?」 \c[2]「あっ、その……」 \c[2]「お……おじいちゃん、が……」 \c[5]「えー、おじいちゃんが来るのー?」 \c[5]「変なのー」 \c[2]「え、えっと……」 \c[5]「げっ、もう外にお父さんが……!」 \c[5]「あっ、ウチの母さんもいる」 \c[5]「えっ、どこどこー?」 \c[5]「じゃあ、そろそろ席についとこうか」 \c[5]「そうだね、お父さんも怖いけど  先生も怖いから……」 \c[5]「よしっ、今日は頑張るぞー!」 \c[2]「……」 !wait40 @130 ……。 セト……。 !wait30 @1 \r[賑,にぎ]やかな教室の片隅で、ずっと \r[俯,うつ]いたまま席に座るセト……。 小さな背中が、もっと小さく見えて…… なんか、すごく痛々しかった……。 ……さらに。 !wait60 \c[5]「犬山さんってさ、やっぱり変わってるよね」 \c[5]「そうだね、めっちゃ頭いいけど  なんか素っ気ないし……」 \c[5]「半分日本人じゃないもんな……」 \c[5]「俺たちなんかとは違うんだって  思ってるんじゃねーの?」 \c[5]「住んでる世界が違うって感じ?」 \c[5]「あー、そんな感じかも……」 \c[5]「私、実は魔法の国からやってきました!  とかだったりして……」 \c[5]「あははっ、それサイコー!」 \f[18]\c[5]「ちょっと、あんまり大きな声出すと聞こえちゃうわよ……」 \f[18]\c[5]「あ、やばっ……」 \c[5]「大丈夫じゃないの?」 \c[5]「休み時間もガリガリ勉強しまくってるし、  気付いてないって……」 \c[5]「そ、そうよね……」 \c[5]「俺には理解できねぇな……」 \c[5]「どうしてあそこまで勉強するんだか……」 \c[5]「家庭の事情じゃないの?」 \c[5]「なんでも、彼女、両親いないみたいだし……」 \c[5]「えっ、マジ?」 \c[5]「そんな情報知ってるなんて……  アンタ、まさか……」 \c[5]「確かに、見た目はカワイイもんな……」 \c[5]「違うって、たまたまだよ」 \c[5]「どうせなら、やっぱ普通の子がいいや……  僕まで変な目で見られそうだし……」 \c[5]「言えてる、言えてる……」 \c[2]「……」 !wait80 \c[2]「あ、あの……」 \c[5]「あら、犬山さん……何か用?」 \c[2]「実は……私の代わりに、この仕事  お願いしたいんですけど……」 \c[5]「えー、私がー?」 \c[2]「あっ、でも……今日だけでいいんです」 \c[2]「私、ちょっと忙しくて……」 \c[5]「大丈夫大丈夫」 \c[5]「犬山さん頭いいんだから……  それくらい、なんとかなるんでしょ?」 \c[2]「で、でも……」 !se(Action)学内歩き \c[5]「ま、そういう事だから……  頼むなら他当たってよね……」 \c[2]「あっ……」 \f[16]\c[5]「ねえねえ、いきなり話しかけられてなんだったの?」 \f[16]\c[5]「別になんでも無いわよ。ところで、今日の帰りなんだけど……」 \c[2]「……」 !wait20 \c[2]「ど、どうしよう……」 \c[2]「一人で……頑張るしかないかな……」 !wait80 \c[5]「えっ、ウチのクラブに入りたいだって?」 \c[2]「ダメ……ですか?」 \c[5]「うーん、そういうワケにもいかないが……」 \c[5]「君……入っても大丈夫?」 \c[2]「わ、私は大丈夫ですっ!」 \c[2]「精一杯がんばります!」 \c[5]「まあ、意気込むのは結構だが……」 \c[5]「君が良くても、他の生徒がね……」 \c[2]「あっ……」 \c[5]「私は君だけを担当するワケじゃないんだ」 \c[5]「何か問題が起きれば対処するが、  いちいち面倒は見てあげられないよ」 \c[5]「それでも……入りたいのかい?」 \c[2]「……」 \c[5]「……クラブ活動は義務じゃない」 \c[5]「本気でやろうと思うんなら……  他にも、できる場所はたくさんある」 \c[5]「もう一度……ゆっくり考えてみなさい」 \c[5]「その方が、君のためにもなる……」 \c[2]「……」 !wait60 \c[2]「……はい」 \c[2]「分かり……ました……」 !wait40 @0 !mv !se(Action)学内歩き !wait35 !se(Action)学内歩き !wait90 @131 ……。 !wait30 ひどい……。 これ……実際にあったっていうのか? !wait20 @1 次々と明らかになっていく過去の記憶……。 みんなと違うっていう孤独…… \s周囲から浴びせられる偏見や差別…… \sいわれのない、不当な扱い……。 辛いとか、苦しいとか…… そんな言葉じゃ片付けられない 出来事ばっかりだ……。 ……\sセトが何やったっていうんだよ? 人間、色んな人がいて当然じゃん…… 見た目や家庭事情が少し違うだけじゃん……。 なのに……なんで、こんな……! !wait60 \f[20]\c[2]「……なんで?」 @130 ……えっ? !wait20 @1 \f[20]\c[2]「なんで……私、みんなと仲良くなれないの?」 \f[20]\c[2]「勉強、一生懸命やってるはずなのに……  \sクラス活動とかも頑張ってるはずなのに……」 \f[20]\c[2]「なんで……みんな、そんな態度とるの?」 @131 あっ……。 @1 \f[20]\c[2]「……」 !wait30 \f[20]\c[2]「私の努力が足りないのかな……」 \f[20]\c[2]「それとも……やっぱり、みんなと違うから?」 \f[20]\c[2]「……\sなんで?」 \f[20]\c[2]「なんで……私だけ、みんなと違うの?」 \f[20]\c[2]「ねえ……なんでなの?」 \f[18]\c[2]「なんで……なんで……」 \f[16]\c[2]「なん……で……」 !wait60 @131 ……。 セト……。 !wait40 @1 うす暗い、一人きりの部屋の中…… 弱々しい声が辺りに響く……。 答える人なんて、誰もいない…… \sセトの悲痛な訴えだった……。 !wait40 @131 ……\s何が困ってる友達を助けるだよ。 僕……今まで何やってきたんだ? !wait10 @1 すぐ近くで見ていたはずだった…… でも、全く気付いてあげられなかった……。 自分で当たり前だと思ってたことさえ…… 結局、何もできてなかったんだ……。 ……\sくそっ。 やっぱり、僕、誰も助けられてないじゃん……。 頭の中で勝手に思い込んでただけ…… \s実際は、あの時からずっと……。 @131 ……。 !wait60 @134 ……\sもういいよ。 やめようよ、こんなの……。 @1 セトがずっと辛い思いしてきたの…… もう、十分に分かったから……。 だから……もう、こんな記憶……。 !wait80 !bgm \c[5]「ちゃんと来やがったな……」 @130 ……っ! @1 だけど、記憶の連鎖は止まらない……。 乱暴な口調で話す、誰かの声…… \s事態が、さらに悪化する予感がした……。 !wait80 !se(Action)学内歩き !wait40 !se(Action)学内歩き !wait70 !bgmサスペンス \c[2]「……」 \c[5]「犬山セト……で、いいんだな?」 \c[2]「……はい」 \c[5]「ふ〜ん、意外ね……」 \c[5]「あんな呼び出しの紙切れ一枚で  ちゃんと来るなんて……」 \c[2]「先輩からの呼び出しですから、当然です」 \c[5]「ふんっ、いかにも優等生らしい発言だな」 \c[5]「ご立派、ご立派……」 \c[2]「……\sそれで、何のご用ですか?」 \c[2]「こんな所に呼び出したりして……」 \c[5]「何の用ですかって?」 \c[5]「人に聞く前に、まずは自分の胸に  聞いてみたらどうなの?」 \c[2]「私、先輩方に呼び出されるようなことを  した覚え、何もないんですけど……」 \c[5]「はっ、言ってくれるぜ!」 \c[5]「新入生のくせに、ちょっと優秀だからって  先生にちやほやされやがって……」 \c[5]「お前が色々と目立ちすぎるせいで、  こっちはいい迷惑なんだよ」 \c[2]「な、なんで、そんな……」 \c[5]「先生ね、すぐにアンタの話を  引き合いに出して注意しまくるのよ」 \c[5]「もっと犬山を見習え……だって」 \c[5]「全く、ワケ分かんねぇぜ……」 \c[5]「なんで上級生の俺たちが、新入生を  手本にしなきゃなんねぇんだよ」 \c[5]「すっげー腹立つ……」 \c[5]「アンタ、少し調子に乗りすぎてない?」 \c[2]「わ……私は、ただ頑張ってるだけですっ!」 \c[5]「頑張ってるだけで、自分は悪くないってか?」 \c[5]「年上に口答えするなんて、生意気ね……」 \c[2]「口答えじゃありません! 自分の意見を  言っただけじゃないですかっ!」 \c[5]「カリカリすんなよ、優等生」 \c[5]「だから白髪になっちまったんだろ?」 \c[2]「こ、この髪は生まれつきで……!」 \c[5]「生まれた時からばあさんか?」 \c[5]「……\sぷっ」 \c[5]「あーはっはっは!!」 @131 なっ……! !wait10 @133 こ、こいつら……何言ってるんだ!? 悪いのはそっちの方だろっ!! @1 上級生から散々に悪口を言われるセト……。 思わず大声出したけど、それも無意味…… \s過去の記憶は、勝手に先へと進んでいった……。 !wait60 \c[2]「……もう、いいですか?」 \c[2]「私、これからやる事があるので  帰りたいんですけど……」 \c[5]「そう焦んなよ」 \c[5]「なんでお前を呼び出したと思ってるんだ?」 \c[5]「私たち、何も文句を言いにきた  ワケじゃないのよ」 \c[5]「可愛い後輩のために、プレゼントを  用意してあげたんだから……」 \c[2]「プ、プレゼント……?」 \c[5]「聞いた話だと……お前、じいさんと  二人暮しをしてんだってな」 \c[5]「さぞかし貧乏な生活送ってんだろ?」 \c[2]「そんな事ありませんっ!!」 \c[5]「おー、こわっ」 \c[5]「ま、そんな意地になんなよ……」 \c[5]「毎日、家の手伝いが忙しいから、  クラブとかやんないで真っ直ぐウチに  帰ってんだろ、違うか?」 \c[2]「……えっ?」 \c[2]「そ、それは……その……」 \c[5]「ははっ、図星っぽいな」 \c[5]「だからこそ、優しい優しい先輩たちが、  貧しい後輩のために一肌脱いでやろうって  思ったワケだ……」 \c[5]「こんないい事、滅多にないでしょ?」 \c[5]「アンタみたいな変わり者は特に……」 \c[2]「……」 !wait60 \c[2]「なんなんですか……」 \c[2]「その、プレゼントって……」 \c[5]「……ふふっ」 \c[5]「こいつさ……」 !wait60 !bgm !se(Action)カチャッ @0 @130 ……っ! @1 上着のポケットから取り出された、 鈍い光を放つ、ある物……。 それは、いかにも切れ味の良さそうな……。 !wait60 \c[2]「ハ……\sハサミ……?」 \c[5]「ただのハサミじゃねぇぜ……」 \c[5]「これはな……\s"ヘアカット専用"のハサミだ」 !wait40 !bgmなんだこれは @132 なっ!? @1 \c[2]「ま……まさかっ!?」 \c[5]「ああ、そうだ」 \c[5]「貧乏暮らしだと、床屋代だって  バカにならねぇだろ?」 \c[5]「だから……俺たちが無料でカットしてやるぜ」 \c[2]「そ……そんな……」 \c[5]「それだけじゃないわよ」 \c[5]「私からは、こんな物も用意してあるの……」 !se(Action)カチャッ \c[2]「……っ!」 \c[5]「ふふっ、いい反応ね……」 \c[5]「これ……何か分かる?」 \c[2]「そ、それは……」 \c[5]「白髪染め用の染毛剤……」 \c[5]「優等生がそんな髪じゃ示しつかないから……  これ使って黒く染め直してあげるわ……」 @131 ――――ッ!! @1 \c[2]「ウ、ウソ……」 \c[5]「ははっ! 信じられねぇくらいの  特別大サービスだよな」 \c[5]「でも……誰にも言ったりすんなよ?」 \c[5]「人の親切を無にするような事したら……  \sそん時は、なぁ……?」 \c[2]「あ……あぁ……」 @132 こっ、こいつらぁぁぁ……!! !wait20 !se(Action)学内歩き @1 \c[5]「んじゃ、パパッと終わらせちまうか」 \c[5]「そうね、誰かに見られたらヤバいし……」 !se(Action)跳ね \c[2]「ち……ちょっと待ってくださいっ!」 \c[2]「そんな事して……許されると  思ってるんですか!?」 \c[5]「はぁ? 今更何言ってんだ?」 \c[5]「俺たちは学校の先輩として  後輩を正しく指導してやってんだ、  許されて当然だろ?」 \c[2]「そ、そんなの……!」 \c[5]「ちっ、うるさいわね……」 \c[5]「じゃあ聞くけど……アンタが正しいって  言ってくれる人、この学校にいるのかしら?」 \c[2]「……あっ」 \c[5]「おいおい、聞かなくても分かるだろ?」 \c[5]「いるワケねぇよ……なぁ?」 \c[2]「……」 \c[5]「ははっ! 何も言えねぇでやんの」 \c[5]「でも安心しな、これでお前も  マトモになっからよ……」 !se(Action)学内歩き \c[2]「……っ!」 \c[2]「イ、イヤッ……!」 !wait15 !se(Action)跳ね @132 \f[36]やめろおおおぉぉぉー!! !se(Action)ミス @1 連中に対して、本気で殴りかかる……。 でも、それは記憶が生み出した幻…… \s僕の拳は、\r[虚,むな]しく空を切った……。 @132 くそっ! くそっ!! 当たれ! 当たれよっ!! \s\f[34]当たれえええぇぇぇーっ!! !se(Action)ミス !wait10 !se(Action)ミス !wait15 !se(Action)ミス @1 力任せに何度も何度も殴りかかって…… それでも、攻撃は届かない……。 無駄だっていうのは分かってる…… \s分かってるよ、分かってるんだけど……! !wait15 !se(Action)跳ね @132 セト、早くここから逃げるんだっ!! こんな奴ら、僕一人でどうにでも……! !wait15 !se(Action)ミス @1 そう言って間に割り込んでみても、 連中は何事もなく僕をすり抜けていく……。 そして……。 !wait40 !se(Action)学内歩き \c[5]「さあ……もう逃げ場はないぜ?」 \c[5]「観念するんだな……」 \c[2]「うっ……」 \c[5]「往生際が悪いわよ」 \c[5]「優等生なら……先輩の言うことには  ちゃんと従うもんじゃないの?」 \c[5]「すぐ終わるんだから、大人しくしたら?」 \c[2]「……」 \c[5]「はっ! 急に静かになってやんの」 \c[5]「さすがは優等生だな……」 \c[5]「ま、どうせ髪なんてすぐ元通りだ……  \sイヤなら学校来なきゃいいんじゃねぇ?」 \c[5]「そうね、ずっと手伝いしてれば  おじいさんも大喜びよ」 \c[5]「おっ、そりゃ名案だ」 \c[5]「それで元に戻ったら、また学校来て  俺たちが切ったり染めたりしてやるか?」 \c[5]「ははっ! いい先輩だな、俺たち」 \c[5]「全くだ……せいぜい感謝しろよ?」 !wait40 \c[5]「……ぷっ」 \c[5]「ふっ……ふふっ……」 !wait40 \f[40]\c[5]「あーはっはっは!!!」 @131 ……くっ! !wait40 !se(Action)跳ね @132 \f[36]くっそおおおぉぉぉーっ!! !se(Shooting)撃破A @1 何もない地面に拳を叩きつける……。 痛みや怒りが、頭の先まで駆け抜けて…… それでも気持ちが抑えられない……。 助けなくちゃいけない子がいる…… \sなのに、何もしてあげられないなんて……! !wait20 @131 ……\sまただ。 また……僕は見てるだけ……。 同じこと、ずっと繰り返してばっかり……。 !wait10 @1 助けたくても助けられない…… いつも、いつでも、いつだって同じ……。 ……\sなんでだよ? なんで……僕、こんなに無力なんだよ? なんで……誰も助けることできないんだよ? なんで……\sなんで、なんでっ……!! !wait30 !se(Action)跳ね @132 \f[40]なんで僕はいつも こうなんだぁああぁぁっ!! !wait60 @0 !bgm                               \c[4]\f[12]「ドゥオオオオオリャアアァァァァー!!」 @131 ……\sへっ? @1 \c[5]「んっ……なんだ?」 \c[5]「さあ……」 \c[5]「……あっ」 !wait30 !se(Action)学内歩き !wait4 !se !se(Action)学内歩き !wait4 !se !se(Action)学内歩き !wait4 !se !se(Action)学内歩き !wait4 !se !se(Action)学内歩き !wait4 !se !se(Action)学内歩き !wait4 !se !se(Action)学内歩き !wait4 !se !se(Action)学内歩き !wait4 !se !se(Action)学内歩き !wait3 !se !se(Action)学内歩き !wait3 !se !se(Action)学内歩き !wait3 !se !se(Action)学内歩き !wait3 !se !se(Action)学内歩き !wait3 !se !se(Action)学内歩き !wait2 !se !se(Action)学内歩き !wait2 !se !se(Action)学内歩き !wait2 !se !se(Action)ジュゴー !wait2 !se(Shooting)撃破B !se(Shooting)撃破C !se(Action)爆発音 @1 \f[40]\c[5]「う\f[38]わ\f[36]あ\f[34]あ\f[32]あ\f[30]あ\f[28]あ\f[26]あ\f[24]あ\f[22]あ\f[20]あ\f[19]あ\f[18]あ\f[17]あ\f[16]あ\f[15]あ\f[14]あ……!!」 @132 なっ……!? @1 突然、爆音と共に巻き起こった ものすごい突風……。 まるで新幹線が通り過ぎたような衝撃で、 いじめをしていた連中は一瞬にして 吹き飛ばされてしまった……。 !wait60 \f[20]\c[4]「はあっ……はあっ……はあっ……!」 @130 ……っ! @1 吹き抜けてった風の向こう…… そこから聞こえる、別の誰かの声……。 見ると、両手を\r[膝,ひざ]について息を整える…… \s一人の男子生徒が、そこにいた……。 @130 ……。 !wait60 そんな……。 まさか……あれは……。 !wait10 @1 そう……僕は"彼"を知ってる。 灰色に近い黒髪に、丸いメガネ…… \s息\r[遣,づか]いから声に至るまで……。 数年経った今も、全然変わってない……。 !wait60 彼の名前は……\s村上シシト。 中学時代の……僕だった……。 !wait80 !se(Action)ジュゴー @0 !mv薙島高校 !wait5 @130 あっ……。 !wait10 @1 直後、種明かしをするかのように 再び明るくなった世界……。 目の前に現れた、その場所は…… \s僕たちの……中学校の屋上だった……。 !wait60 \c[4]「あ……あれっ?」 \c[4]「なんか……誰もいなくなってる?」 \c[4]「勢い任せで突っ込んできたのに……  \sってか、今の衝撃音はなんだったんだ?」 !wait40 @130 ……\sあの時だ。 セトと初めて会った…… あの時の、いじめの現場だ……。 !wait40 @131 ……道理で何があったのか よく覚えてないワケだよ。 突っ走った時の衝撃で、 みんな勝手に吹っ飛んでった だけだもんな……。 これも、魔力のシンクロのおかげか……。 @1 \c[4]「うーん……」 \c[2]「……\sあの」 \c[4]「おっと、そうだった……」 !se(Action)学内歩き \c[2]「……っ!」 \c[4]「あ、いや……そんな身構えなくていいよ」 \c[4]「僕、ただ君を助けようって思って  乱入してきたワケだし……」 \c[4]「それより……ケガとか無い?」 \c[2]「あっ……」 \c[2]「……」 !wait40 \c[2]「わ……\sわた、し……」 \c[4]「んっ……?」 \c[2]「私……助かったん、ですか?」 \c[4]「……\sうん」 \c[4]「いじめてた奴らもいなくなっちゃったし……  ひとまず、大丈夫だと思うよ……」 \c[2]「……」 !wait60 !bgm黄昏 \c[2]「……\sうっ」 \c[2]「ぐすっ……ひっく……」 \c[4]「えっ……」 !se(Action)跳ね \c[4]「ええーっ!?」 \c[4]「ち、ちょっと……急にどうしたの!?」 \c[4]「僕、何か変なこと言っちゃった!?」 \c[2]「ひっく……ひっく……」 \c[2]「あ、ありが……\sぐすっ……」 \c[4]「えっ?」 \c[2]「ありがと……ござい、ます……」 \c[2]「私のこと……助けて、くれて……」 \c[4]「あ、いや……その……」 \c[4]「助けたっていうか、なんていうか……」 \c[4]「……\sまあ」 \c[4]「この場合、そういう事になるのかな……」 !wait20 !se(Action)跳ね \c[4]「のわあっ!?」 @132 はいーっ!? @1 \c[4]「ちょ、ちょっと、君!?」 \c[2]「ホ、ホントに……ひっく……  \sホントにありがとうございます……」 \c[2]「私……もう、どうしていいか分からなくて……  \sどうなっちゃうのか、怖くて、怖くて……」 \c[2]「だから……\sぐすっ……\sだから……!」 @131 あっ……。 @1 \c[4]「……」 !wait60 \c[4]「うん……大丈夫」 \c[4]「君は、ちゃんと助かったんだ……」 \c[4]「だから……安心して……」 \f[20]\c[2]「ひっく……ひっく……」 \c[4]「……\sよかった」 \c[4]「助かってくれて……ホントによかった……」 !wait60 @130 ……。 !wait40 助かって……くれた……。 !wait60 @131 ……\sははっ。 なんだ……そうだったんだ。 !wait40 @134 ……\s無理なんかじゃ、なかった。 僕、とっくの昔に助けること できてたんだ……。 !wait20 @1 何度くじけそうになっても…… 助けられないって諦めかけても……。 それでも、いつか助けられるって信じて、 立ち止まらずに進んでこれた……。 全ての理由は、これだったんだ……。 !wait40 @130 ……\s思い出したよ。 サエちゃんの事件以来…… 初めて誰かを助けようって思って、 その時に助けた女の子……。 それが……セトだったんだ……。 !wait40 !mvnil @1 事件後、今までの生活には戻ったけど、 ずっと空っぽだった、僕の心……。 サエちゃんの分まで生きるって…… その責任を果たすためだけに生きてて、 他に目的なんて無かった……。 ちょうど、そんな時だったっけ…… \s気分転換にフラッと立ち寄った屋上で、 いじめの現場を見たのは……。 @134 状況は全く違うけど、あの事件と ダブって見えたんだろうな……。 同じこと繰り返したくないって…… \s後先考えずに突っ走って、それで……。 @1 思いがけず、僕は自分一人の力で 人を助けることができた……。 だから……自信が持てたんだ。 また、人を助けることができるんだって…… \s気付けば、それが僕自身の生きる目標になり、 進むべき道も見つけられた……。 全部、セトのおかげだったんだね……。 !wait40 @0 !mv !mv薙島高校 !wait30 @131 ……僕、全然ダメだな。 あの事件のことばかり頭にあって、 ずっと忘れてたよ……。 きっかけ、こんな近くにあったのにさ……。 !wait40 @134 ……\sそうなんだ。 ただ助けただけじゃない…… \s僕も、セトに助けられてたんだ……。 !wait60 !se(Action)学内歩き @1 \c[4]「おーい、セトー」 \c[2]「あっ、シシト先輩」 @131 ……あれっ? まだ……何かあるの? !wait10 @1 \c[2]「ちゃんと来てくれたんですね……」 \c[4]「そりゃあ、呼び出されたからには  来るのは当然でしょ?」 \c[4]「セト、なんか困ってたっぽいし……」 \c[2]「……\sありがとうございます」 \c[4]「いや、お礼なんていいから……」 \c[4]「それで……何があったの?」 \c[4]「まさか……また、上級生が……」 \c[2]「あ、いえ……そうじゃないんです」 \c[2]「ただ……先輩に聞きたかったことが……」 \c[4]「聞きたかったこと……?」 \c[2]「……」 !wait60 \c[2]「先輩……\s私がイヤじゃないんですか?」 @130 ……っ! @1 \c[4]「へっ……なんで?」 \c[2]「だって……私、周りの人と  違うじゃないですか?」 \c[2]「ハーフだし……銀髪だし……  \s両親もいなくて、おじいちゃんと  ずっと二人暮しだし……」 \c[2]「それに、他にも色々……」 \c[4]「……うーん」 \c[4]「だからって、特にイヤがるような  理由もないと思うけど……」 \c[4]「人に迷惑かけてるワケじゃないし……  \s何も、迷惑かけようとか思ってないでしょ?」 \c[2]「そ、それは……そうですけど……」 \c[4]「ねっ、なら問題ないじゃん」 \c[4]「セトのことは嫌いじゃないよ……  \s友達の一人だって、そう思ってる……」 \c[4]「だから……心配しないで」 \c[2]「……」 !wait60 \c[2]「先輩だけですよ……」 \c[4]「えっ……?」 \c[2]「……\s私、小さい時からずっと  人付き合いに苦労してたんです」 \c[2]「家族や髪のことがイヤでも目立っちゃって、  みんなから、変な目で見られて……」 \c[2]「何をやっても、誰と話をしても……  \s私には、ちょっと違う態度をとる人が  ほとんどでした……」 \c[2]「だから、時々身近にいる人のことまで  信じられなくなっちゃって……」 \c[4]「それで、さっきみたいな事を……」 \c[2]「……はい」 \c[2]「けど……先輩はそうじゃなかった」 \c[2]「学年こそ一つ違いますけど……  今みたく、普通の後輩や友達として  私を見てくれてた……」 \c[2]「家族以外でそうしてくれるの……  \s今は、シシト先輩くらいなんです……」 \c[4]「えっ、でも……リョウヘイとかだって  普通に話してたような……」 \c[2]「シシト先輩は特にそうなんですよ」 \c[4]「そうかな……」 @131 (やっぱり、そういう態度とかには  すごく敏感なんだろうな……) (僕は全然気にしないんだけど……) !wait40 @1 \c[2]「なんで……」 @130 えっ?\> \c[4]「えっ?」 !wait10 @1 \c[2]「なんで……私、こうなっちゃんだろ……」 \c[2]「普通の女の子に生まれて……  \s普通に話したり、普通に遊んだり……  \s時々、泣いたり笑ったり……」 \c[2]「そういう普通の生活がしたかった……  \s普通に、なりたかったのに……」 \c[2]「私、一体どうしたら……」 @131 あっ……。 @1 \c[4]「……」 !wait60 \c[4]「そのままでいいんじゃない?」 \c[2]「……えっ?」 \c[4]「だってさ、普通かどうかなんて  人によって基準が全然違うでしょ?」 \c[4]「全ての人が同じ意見になるワケないし、  無理する必要なんてないよ……」 \c[2]「で、でも……それじゃ、何も……」 \c[4]「うん、それで大丈夫」 \c[4]「今のセトだって、僕から見れば  もう十分に普通だよ?」 \c[2]「……っ!」 \c[4]「まあ……あんまり、アテにならない  意見かもしれないけどね……」 \c[4]「僕自身、普段の生活が色々と  普通じゃないから……」 \c[2]「ふ……普通じゃない?」 \c[4]「セトはまだ分からないだろうけど、  僕、毎日のように厄介ごとに  巻き込まれててね……」 \c[4]「もう少し経ったら、すぐ気付くはずだよ」 \c[4]「こういう変な人もいるんだな、ってさ……」 \c[2]「え、えっと……」 \c[2]「先輩も……色々、大変なんですね……」 !wait40 \c[4]「だから、なのかな……」 \c[4]「セトの気持ちや言いたいこと……  なんとなく、分かる気がするんだ……」 \c[2]「分かる……?」 \c[4]「うん……」 \c[4]「今のセトと状況は違うけど……  僕も、昔は普通の生活したいなって  いつも考えてた……」 \c[4]「だけど、そういうちょっと変わった生活が、  僕にとってはホント当たり前で……」 \c[4]「普通じゃないのも普通だって……  \sいつからか、そう思うようになってさ……」 \c[4]「そしたら、普通の生活がどうとか……  今は、そんな気にならなくなっちゃった……」 \c[2]「普通じゃないのが……普通……」 \c[4]「そういう事」 \c[4]「みんなの普通に何もかも合わせていたら、  いつか、自分がなくなっちゃうから……」 \c[4]「これが自分の普通なんだって……  開き直って、堂々としてればいいんだ」 \c[2]「……\sでも」 \c[2]「そのままだと……やっぱり、誰も  いなくなっちゃうんじゃ……」 \c[4]「まあ、変わり者すぎる人の普通だと、  確かに困りそうだけどね……」 \c[4]「でも……セトなら大丈夫」 \c[4]「僕に自分の家族がいるように……  セトには、セトのおじいさんがいる……」 \c[4]「普通を認めてくれる人がいる限り、  一人になんてならないよ……」 \c[4]「僕だって、セトは普通の子だと  思ってるんだから……」 \c[2]「あっ……」 \c[4]「ま、そんな深く考えないで……」 \c[4]「今の状況を辛いと感じてるなら……  \s思い切って、考え方を変えちゃえば?」 \c[4]「普通じゃないなんて事は無い……」 \c[4]「セトはセト……それが、普通でしょ?」 \c[2]「……」 \c[2]「先輩……」 !wait60 !se(環境)キンコンカンコン !wait30 \c[4]「げっ!?」 \c[2]「あっ、チャイムが……」 \c[4]「ヤバい……僕、これから授業なのに……」 \c[4]「ごめんセト、そろそろ……」 \c[2]「あっ、いえっ!」 \c[2]「その……いきなり呼び出したりして、  ホントにすみませんでした!」 \c[4]「これくらい気にしないよ」 \c[4]「また何かあったら、遠慮なく言ってね」 \c[4]「じゃ、そういう事で……」 \c[2]「は……はいっ!」 \c[2]「授業、頑張ってください!」 (ビシッ) @0 \c[6]タッタッタ…… !wait80 @130 ……。 行っちゃった……。 !wait60 @131 ……\sセトの気持ちが分かる、か。 よく言ったもんだよ、さっきまで 何も知らなかったクセに……。 そんなの……セトにとっては 単なる気休めにさえ……。 !wait30 @1 \c[2]「ありがとうございます、先輩……」 @130 えっ……? !wait20 @1 \c[2]「……そうだったんですね」 \c[2]「私、普通とか、違うとかって言葉に  ずっと振り回されてたんだ……」 \c[2]「自分にとって、どれが普通なのかも  全然分かってなかったのに……」 \c[2]「ホント……バカみたい……」 @130 セト……。 @1 \c[2]「……」 !wait60 \c[2]「うん……そうだよ……」 \c[2]「みんなとは違うかもしれないけど……  私にとっては、これが普通なんだから……」 \c[2]「先輩だってそう言ってくれた……  \sこんな事で、くじけちゃダメだよね……」 \c[2]「もっと……前向きに頑張らなくちゃ!」 !wait60 @130 ……。 !wait40 声が……変わった……。 !wait20 @1 何か吹っ切れたような、そんな\r[表情,かお]……。 過去の記憶で見せてた弱々しさは、 もう、どこからも感じない……。 今まで、僕が何度も見てきた…… \s一番よく知ってる、セトの姿だった……。 !wait20 @130 ……\sそういえば。 セト、ウチへ泊まりに来た日に 言ってたよね……。 セトはセトって……\s昔、誰かにも 似たようなこと言われた気がするって……。 もしかして……それも……。 @1 全部見てきた今だから……分かる。 セトの普通を認めてあげること…… \sセトにとって、何より必要だったこと……。 僕が完全に忘れちゃってたことを…… セトは……ずっと忘れずに覚えてたんだ。 自分の記憶をほとんど失っても…… かすかに思い出せるくらい、ハッキリと……。 @134 ……それだけ、大きかったんだね。 こんな、ホントに\r[些細,ささい]な一言が…… 生き方そのものを変えちゃうくらいに……。 @1 やっぱり……僕は何も分かってなかった。 自分でも全く気付かないうちに…… 僕は、こんなにもセトのこと助けてた……。 セトの今があること、それ自体が…… \s助けたっていう、何よりの\r[証,あかし]だったんだ……。 ……\s今までは、ね。 !wait40 @130 ……\s確かに、助けたはずだった。 自分の普通で生きてけばいいって、 セト、やっと気付けて……。 待ち望んでいた普通の生活…… ようやく、始められるはずだった……。 !wait60 @134 ……。 それなのに……。 !wait10 @1 待っていたのは、魔法に記憶喪失…… 果ては、女神様の妹、仮初の存在意義……。 セトの気持ちとは裏腹に、何もかもが 普通から遠ざかっていく……。 暴走する事態に巻き込まれて…… \s止まることも、抜け出すこともできずに、 ずっと走り続けてるんだ……。 !wait60 僕たちの前から…… \s完全にいなくなってしまいそうな…… \sそんな、すごい勢いで……。 !wait40 @131 ……\sなんでだよ。 たった一人の女の子に、なんで こんな重たいモノ背負わせるんだよ……。 このままじゃ、いつか重さに 耐え切れなくなって潰れちゃう……。 分かりきってるじゃん、そんなの……。 !wait60 @130 ……。 !wait20 でも……もしかして……。 だから……僕、ここにいるのかな? !wait30 @1 みんなとは少し違う生活…… 思い描いた普通を求める日々……。 全く違うようにも見えるけど…… \s僕たち、意外と共通点が多かった……。 似た者同士……だったのかもね。 だから、僕が選ばれたのかもしれない…… \sセトの重荷を、少しでも軽くしてあげるために。 なんとなく……そう思った……。 !wait80 !bgm !se(Action)学内歩き !wait5 !se @0 @130 ……えっ? @1 突然、セトがこっちの方を振り向いて、 思いがけず、目が合った……。 ……\sまさか。 @131 でも……これ、過去の記憶だよね? こっち側、別に何もないのに……。 !wait40 !mvnil !v5=0 @0 !se(Action)ジュゴー !mv薙島高校 @130 ……っ! !wait10 @133 な……なんだ、あれ!? !wait10 @1 空間を切り裂いて現れた、真っ黒な穴……。 セトの背後に浮かんだそれは…… まるで、ブラックホールみたいだった……。 !wait40 !se(Action)学内歩き スタスタ…… @130 あっ……。 @1 すると……セトはこっちに背を向けて、 今度は穴に向かって歩き出し……。 !se(Action)シュイーン やがて……吸い込まれるように 中へと消えていった……。 !wait60 @130 ……。 !wait40 もう……偶然なんかじゃないよね。 !wait20 @1 ここまで、僕が何かするたびに 変化を繰り返してきた意識の世界……。 その中で、僕はセトの過去を知って…… \s忘れていたことを思い出して…… \s今、全てが分かった……。 !wait60 僕にとって……意識の世界は 迷路なんかじゃない……。 悩んだこと、考えたことも含めて…… \sずっと、一本の道を進んできたんだ……。 !wait40 @130 ……\sセトの記憶だ。 セトの記憶が……僕を、ここまで 連れてきてくれたんだ……。 @1 "私の役目は、ここまで……  後は、向こうで待ってますから……" ……\s最後の最後で、僕の方を振り返ったセト。 きっと……そう言いたかったんだよね。 !wait60 @130 ……\sそこにいるんだね。 あの時と同じように…… 助けを求めてるんだよね……。 @1 ……だとしたら。 僕が、これからしなくちゃいけない事は……。 @130 ……。 !wait80 @134 ……\s決まってる。 だから……ここまで来たんだ。 !wait50 !se(Action)学内歩き !wait40 !se(Action)学内歩き !wait60 !se(Action)シュイーン @260 !mvnil @0 !mv !wait100 @1 セト……ごめん……。 僕……やっと、分かったよ……。 僕が今まで助けようとしてきたモノ…… \sそれは、過去に\r[囚,とら]われた自分だったんだ……。 助けよう、助けようって…… その事ばかりに必死になってて、 相手のこと、ちゃんと見ていなかった……。 こんなんじゃ、誰も助けられなくて 当然だったよね……。 でも……僕、もう大丈夫……。 二度も君に教えられたんだ……。 これからは……絶対に見失ったりしない。 僕が本当にやりたかった事…… \s本当の意味で、人を助けるって事……。 それが……ようやく、できる気がするよ……。 !wait60 だから……\sもう少し……。 もう少しだけ……待っててね……。 やるべき事は……見つかった……。 今度も……必ず、助けてあげるから……。 !wait100 @0 !mv \>   \   \ \