#真説・幻影帳異聞 第一章「始動」 !bgs(時間制限)早時計 これより始まるは歪んだ噂の物語。 \s真実などどこにもない馬鹿馬鹿しいお話。 \sデタラメとご都合主義で出来た舞台劇。 物語などほとんどはフィクションとはいえ、 あまりにも悪ふざけが過ぎる。 何の因果か、 このお話を目にすることになったお客様は、 コレの舞台によく似た世界をご存知なのでしょう。 ドタバタが起こり、冗談にあふれ、時に悲しく、 多くの人々から愛されるその世界の物語を。 \sそこから生まれた数多の喜劇と悲劇のSTORYを。 悪いことは申しません。 \s席を立ちこの場を去ることをオススメします。 \s留まれば不愉快極まりない思いをするでしょう。 それでもこの先を覗きたいというのならば、 お止めはしません。 ・\s・\s・\sふむ、どうやら覚悟がお有りのようだ。 \s観客が出来てしまったのなら仕方ありません。 !bgs では、幕を開くと致しましょう! \c[4]\f[30]幻影達による、いと珍しき噂の物語を!! \s\c[2]嘘と偽りにまみれた荒唐無稽な御伽話を!! \s\c[5]人と神と魔の織りなす三文芝居を!! !se(Action)重いドア開け !wait60 !bgs(環境)心拍 「母さんは、車に轢かれそうなお前を庇って  \s・・・・死んだんだ。」 病院のベッドで目覚めたオレに親父はそう言った。 なんでもオレは母さんと一緒に買い物に行って、 その帰りに車に撥ねられそうになった オレを庇って死んだ・・・\sらしい。 らしいってのはオレの記憶が、 事故どころかその日の出来事ごと ほとんど抜け落ちているせいだ。 本当に買い物に行ったのかさえ覚えていない。 ただ、一つだけ覚えていたことがある。 \sオレが最後に見たであろう、母さんの顔だ。 最初に思い出すのは横顔。 \sいつも見ている優しい顔とは違う 不思議と凛々しさと力強さを感じさせる。 ガキのオレにも分かるくらい、綺麗な横顔だった。 けど、オレの顔を見た瞬間 その凛とした雰囲気は一気に崩壊した。 母さんは\r[そこに居るはずがない,・・・・・・・・・・]ものを見たような そんな顔をしていた。 そこでオレは思い出したんだ。 オレの隣でオレの手を握り、歪んだ笑顔を浮かべた \s\c[2]\r[もう一人の母さん,・・・・・・・・]\c[0]の存在を。 それがオレが最後に見た母さんの顔だった。 次の瞬間。 \sオレの視界は\c[2]真紅\c[0]に染まった。 !v5=1 !bgs !mvシシトの部屋 !se(Action)ズシャアアー !v28=1 @1 \f[32]「うわあぁぁぁぁぁ!!」 「はぁはぁ・・・・・\sはぁ・・・。」 @202 ・・・あー、ちくしょう! \s最近見ねえと思って油断してた!! @1 掛け布団を跳ね飛ばすような勢いで、 岸リョウヘイは起き上がるとそう叫ぶ。 彼は十年前のあの日から偶に夢を見る。 死んだ母の顔、二人の母、真紅に染まる視界。 \s彼にとっては紛うことなき悪夢。 @202 はぁ・・・。 @1 少し間を置いて、呼吸を整える。 さすがに何度も見ていれば対処法も知っている。 所詮は夢。目が覚めてしまえば消えてなくなり、 時間さえ置けば冷静になることもできる。 もっとも心身に影響がないわけではないが。 @202 いつものことながら最悪な寝覚めだ・・・。 ・・・うわ、外まだ暗ぇし。 \s今、何時だよ。 @1 誰にともなく愚痴ると、 汗でベトベトになったシャツに触れながら、 枕元のデジタル時計を見る。 \c[3]11/1 AM5:02 @202 げっ、まだ5時じゃねえか。 @200 ・・・親父は河岸にでも行ってんのか? @1 かなり大きな声を出してしまったが、 幸い父親が怒鳴りこんでくる気配はない。 @202 何するにしても早すぎる時間だな。 \sけど、あの夢見ちまうと眠れねえしなぁ。 @200 とりあえずシャワーでも浴びるか。 @202 ベタベタで気持ち悪くてしかたねぇ。 !se(Action)学内歩き !wait30 !se(Action)ドア開け !wait40 !se(Action)ドア閉め !v5=0 !wait10 !mvnil @1 十年前、母さんが死んだ時の記憶・・・ \sいや、記憶というにはあまりにも出来の悪い夢。 だってそうだろう? 一人しかいない母親が 二人も目の前に居るんだから。 世の中には二、三人は 似た顔の人間が居るって言うが、 それはあくまでも似てるだけの他人だ。 けど、オレがあの時見た母さんは 全くの同一人物に思えた。 少し違いがあるとすれば、 もう一人の母さんと会ったとき、 オレの手を握っていた母さんは 恐ろしく冷たく、どこか歪になった。 死に掛けたショックで見た\r[幻影,まぼろし]だろうけどな。 \sたぶん、どっかの漫画の影響だろうよ。 そう頭で考えていても、 気持ちわりぃのだけはどうしようもない。 幸い、この夢を見た日は 遅刻しないですむって言うメリットがある。 \sこの夢見た後はぜんっぜん眠れないからな。 ・・・オレより、 シシトが見たほうがいいんじゃね、この夢? !wait40 真説・\r[幻影帳,シルエットノート]異聞 第一章「始動」 !wait20 !mv自宅 !bgm安らぎ !se(System)ジング 「七時になりました。  今日のニュースをお伝えします。」 「まず・・・」 !se(Action)学内歩き @530 おお、なんだリョウヘイ早いじゃねえか。 @202 親父がおせえんだっつの。 もう七時だぞ? !bgmサブコミカル @530 今日のパンツが中々決まらなくてな。 @201 んなもんどうでもいいだろ!! @530 いつ見せることになるかわかんねえだろ? @201 誰も見ねえよ! @530 いや、わからんぞ? パンツを見せることで、 人の命を救える状況になるかもしれん。 @201 んな状況になるか!! !bgm安らぎ @530 それにもう七時じゃなくて、まだ七時だろう? \s世間様じゃ十分早いぞ? @202 そりゃ早いだろうけどよ。 親父、寿司屋だろ。 @200 普通は三時頃には起きて、 河岸にでも行くんじゃないのかよ。 @530 ウチはどこよりも新鮮なネタが売りだからな。 \s朝に仕入れたりはしねえのさ。 @202 じゃあ、どうしてんだよ? !bgmサブコミカル @530 注文を聞いてから釣る。 @201 それじゃ遅すぎるわッ! 釣ってる間に客帰るだろッ!! @530 そんな、気の短い客はいらん。 \s追い払って塩をまく。 けっ、お客様は神様じゃねえんだぞ! 何様のつもりで生きてやがるんだッ!! @201 短くねえよ!普通だろ!! @530 けど、一応やってけてるぜ? @202 本当になんで生活できてるんだよ。 @530 かっぱ巻き頼まれた時は困ったけどな。 \s海じゃ、中々河童が釣れなくてな。 @201 川でも釣れねえよッ!! \sかっぱ巻きに入れるのはキュウリだッ! @530 ・・・・・・\sそうなのか? @202 うわ、マジだこの親父。 @530 そうだったのか。 なるほど、どうりでこの間・・・ @1 「大将、かっぱ巻きに肉が入ってるぞ?」 @530 って言われたと思ったぜ。 @202 まさか、河童食わされたとは 思ってもいねえだろうな・・・。 ていうか、マジで釣れるのか河童。 @530 お前の友達の 顔に包帯まいてる奴だったがな。 @201 アルバートかよッ!? 人のダチに何食わせてんだッ!! @530 これはこれで美味いとも言ってたぞ。 味が気になるなら聞いてみろよ。 @202 もういい。 頭が痛くなってきた・・・。 !bgm安らぎ @200 朝飯作っといたから、食っちまえよ。 @530 今日の朝飯担当は俺じゃなかったか? @202 こんな時間に起きといてよく言うぜ。 @200 今日は早く目が覚めたから作っただけ。 @530 ・・・そうか。 \s親孝行な息子がいてありがたいぜ。 母さん!息子は立派に育ってるぞォォッ!! @202 うるせえ。茶化すなら片付けるぞ。 @530 おっと、そいつは勘弁だな。 \sほんじゃあ、いただきます。 @200 あいよ。 !mvnil !wait30 !v28=2 !mv自宅 @530 ふー、ごちそうさん。 @200 あいよ。 @200 んじゃあ、オレは学校行くわ。 @530 おいおい、まだ七時半だぞ。 早すぎねえか? @200 そうでもねえよ。 @202 俺はシシトみたいに2キロを3分で 走るなんて変な脚力は持ってねえし。 余裕ぶっこいて遅刻して 副校長に目つけられたくねえしな。 @530 そうか。 だったら、 洗いもんはやっとくから早く行きな。 優しいお父様に感謝するんだぞ。 @202 自分の皿くらい洗って当たり前だろ。 それくらいで優しいとか言ってんなよ。 @200 そんじゃな。 !se(Action)学内歩き !wait30 !se(Action)ドア開け !wait40 !se(Action)ドア閉め !bgm @530 ・・・行ったか。 !se(Action)学内歩き @1 リョウヘイが家を出るとエイジは 妻の写真と位牌が収められた 仏壇の前に座る。 エイジは線香をつけながら まるで本当にそこに妻がいるように、 親しげに語りかける。 @530 あれからもう十年だ。 なあ母さん。 あいつは、立派・・・ とは言えねえかも知れねえが、 少なくとも他人様を傷つけるような くだらねえ奴には育ってねえぞ。 まだあの時のことを夢で見るみたいだが、 なに俺とお前の息子だ。いずれ乗り越えるさ。 手を貸してやらないのかって? \sへへへっ、俺はそこまで過保護じゃねえよ。 娘ならともかく、息子なんざ 口喧嘩しながら育てるくらいで丁度いいのさ。 \sお陰で俺に似てバカになっちまったがな。 @1 笑いながらひとしきり語りかけた後、 手を合わせて静かに黙祷を捧げる。 少しして目を開けると、 今度は誰に話しかけるでもなく呟いた。 @530 十年か・・・。 長いようで短かったな。 !wait20 !se(Action)学内歩き !mvnil @1 あの悪夢を見た日は少し早めに学校に行く。 \s家に居ると居心地が悪く感じるからだ。 たぶん親父と 長く顔を合わせて居たくないせいだろう。 別に嫌ってるとかそう言うわけじゃない。 思春期の女子じゃあるまいし。 じゃあ、なんでか?\s答えは簡単。 あの事故のことを引け目に感じてるからだ。 なにしろ親父の一番大事な\r[母さん,ひと]は、 \r[オレを守るために,・・・・・・・・]死んだんだからな。 !se(Action)学内歩き !wait40 !mv301教室 !bgm高校 !se(Action)ドア開け @200 おはよう、諸君!! @1 \f[32]シーーーーーン !se(Action)ドア閉め @202 なんて言っても誰もいるわけねえよな。 @1 話し相手がいないなら 他のことで時間つぶしをするしかない。 \sで、持ってきたXギア通信を読む。 ココで教科書でも読めば成績もあがるんだろうが、 残念ながらオレはそんな優等生じゃない。 @200 お、あのRPGの新作出るのか。 @202 んでも、前のがストーリー暗くて イマイチだったからなぁ。 ミキは絶賛してたけど、 辛気臭えのは好きじゃねえんだよなぁ。 @1 多少の時間つぶしにはなるとはいえ、 ゲーム関係の雑誌は興味が無い記事を 流してしまいがちだ。 どうしても読み進むのも早くなる。 @202 読み終わっちまった。 誰でもいいから早くこねえかな・・・。 !se(Action)ドア開け @200 おっ。 !se(Action)学内歩き !v27=2 @100 おはよー。 @200 おー、最近ずっと早いな。 @102 遅刻しそうになってたのが 最初の方だっただけだよ。 @1 こいつは村上シシト。\sオレの悪友だ。 \sって言ってもオレが遊びに誘う方が多いけどな。 ・・・いや、 こいつから誘ってきたこたなんて一度もねえな。 こいつとの付き合いは意外と結構長い。 \s一度は家庭の事情で別れたが、 その間もメールでのやり取りはしてた。 こいつを一言で言うとまあ・・・変わり者だな。 そうとしか表現できねえ。 @200 にしてもアルバートすごいよな。 (弾のよけっぷりが) @100 ああ、本当にすごいね。 @1 そんな風に変わり者のもう一人のダチのことで なんとなーくダベってたら。 !se(Action)ドア開け @250 ・・・・・・おお。 @200 ようアルバート。 @1 当の本人が登場した。 \s最近はネコミミ女とか言う妄想?を追っている。 こいつもシシトに負けず劣らずの変人だ。 @100 おはよ。 @250 やっとネコミミ女を捕まえたぞ・・・・・・。 !bgm @200 マジで!? !bgmサブコミカル @940 ニャー @200 ホントにネコミミだぜ。 (体もネコだけど) @102 なんかアルバート君が かわいそうになってきた。 @250 フフ・・・・・・どうだ・・・・・・。 @1 ドサッ @100 あ、倒れた。 @202 とりあえず保健室に連れてった方が いいんじゃないのかコレ。 @1 最初に見た時はまともな奴だと思ってたんだが、 日に日に大変なことになっている。 ま、それでも悪い奴じゃないんで 最近はよくつるんでるけどな。 親父に河童食わされたことは 黙ってた方がいいな。 今度はネコミミ河童とか言い出しかねん。 !bgm !mvnil @1 他にもオレの周りには変わった奴がたくさんいる。 \s親父もそうだが、シシトの母さん、クラスのダチに、 校長に、坊主・・・まあ、色々だな。 まともな奴のが少ないくらいだ。 それでも、オレはこの日常を気に入っている。 \sそこそこ賑やかで、それでいて平和な日々を。 今日も特に変わりなく・・・ \sいや、なんかパンツなくなったりしたけど。 アクアフロートじゃ妙な事はよくあるから、 あんま気にしてねえけどな。 誰かが死ぬわけでもねえし。 で、学校が終わって、 \s皆でパンツ買いに行くことにした。 それはもう、大人数で。 ・・・・・・何が悲しくて男6人で パンツ買いに行かなきゃなんねえんだ。 前言撤回。ちょっと泣けてきた。 !mvショッピング街 !bgmサブコミカル @220 ・・・パンツないってさ。 @202 ここもかよ。 これで五軒目だぜ。 @301 まさか、アクアフロート中の パンツが消えたとか? @251 そんなバカな! @202 パンツが急に消えるだけでも、 十分すぎるくらいバカな話だけどな。 @240 シャカシャカ @242 ニュル @230 あまりのことにショック受けてるね。 @201 なんだよその表現はッ!? 普通に口で言えよッ!! @212 甘いよ。 普段よりも鼻から出ているコードが2ミリ長い。 \sトラウマレベルのショックを受けている証さ。 @201 知るかッ!? \sなんでそんな細かいこと分かんだ! @210 物理学の力さ。 @202 すべての物理学を学ぶ人々に今すぐ謝れ。 @310 ハハハハ、ミナサン フンドシはきなさ〜〜い。 @310 ソレガ、タダシイ日本男児デ〜〜ス。 @201 履かねえよッ! @202 ていうか、なんで校長先生がいるんすか? @300 私に聞かれても困るが、 少なくともさっきまではいなかったな。 @310 チッチッチ〜。 \sレッツストーキング!! @201 校長がストーカー宣言すんなッ!! @310 ハハハハーハーハー! !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き @1 \f[42]「シシトーコワース!!」 @202 一体なんだったんだ? @250 本当はシシトを追ってたんじゃないか? それで見失って、 たまたま俺たちを見かけて見に来たとか。 @200 ああ、なるほどね。 @202 アレに付け回されるとか、 シシトもつくづく気の毒なやつだぜ。 @300 (仮にも校長なのだが、アレ扱いか) @220 それにしても、 ここまでパンツが手に入らないとなると、 他の人達も手に入れてないかもしれないね。 @212 それは十分考えられるね。 \s品物そのものが存在してないようだし。 @220 ってことはさ。 明日も学校の生徒と教師全員が ノーパンってことだよね? @301 非常に不本意だが、そういうことになるな。 @250 あたりまえだろう。 @220 想像してみてよ。 @200 なにを? @220 学校中の全員がノーパン状態で、 教室で授業する姿を・・・。 !bgm @250 想像中 !bgmちょっとマズい @254 ぶほっ!! @201 うわ、きたねぇ! なんで鼻血だすんだよ!! @253 すまん、少し興奮した。 @202 アルバートおまえ・・・。 @301 ア、アルバート君にはそんな趣味が!! @240 シャカシャカ @242 ニュル @230 ショック受けてるよ。 @211 いけない!さっきよりも10ミリも長い! これは天災レベルのショックを受けている!! @201 そんな微妙な表現はいらねえっての! 普通に喋れッ!! @251 違うぞ!俺は断じて!! @202 あ〜、もう分かったから鼻血拭け。 \s一緒にいる俺たちまで怪しまれるだろうが。 @242 ほら、僕のティッシュ使いなよ。 @253 むう、すまんな。 @202 喋れるんじゃねえかよ。 てか、お前はまずイヤホンを元に戻せ。 !bgm @1 そんな風に馬鹿騒ぎしていた時だ。 @200 ん? @1 ショッピング街の裏路地に、 どこかで見たことがある人影を見つけた。 薙島女子の制服を着た長髪の少女。 あれは確か・・・ !bgmサスペンス !v36=2 @410 ・・・・・。 @200 冬村? @1 薄紫の髪の女子なんかそうそういるわけがない。 あれは間違いなく冬村サユキだ。 以前、セトを介して会ったことがある。 なんであんな裏路地に突っ立てんだ? @910 ・・・・・・。 @920 ・・・・・・。 @202 うわ、如何にもやばそうなのがいるし。 @1 女子高生が あんな所に立ってるだけでも怪しいのに、 黒服のいかにもなおっさんが二人も付いている。 @200 こりゃ普通じゃなさそうだな。 @1 思わずジッと見ていると、 そこにもう一人顔見知りが現れた。 @100 ・・・・・・・ @200 シシト? @410 ・・・・・・・ @100 ・・・・・・・ @910 ・・・・・・・ @202 さすがに何はなしてるか聞こえねえな。 @1 やばそうだけど、ちょっと近づいてみるか。 シシトが関わるとおかしなことにはなるけど、 今回はさすがに雰囲気が違う。 なに、ココはアクアフロートだ。 いざとなったら警察がすぐに来てくれるさ。 @250 む?どこに行くんだ? @202 わりぃ。 用事思い出したから帰るわ。 @200 そんじゃな。 @251 あ!おい!! !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き @1 小走りで裏路地に入り込む。 @202 あれ?どこいった? @200 見失っちまったか。 @1 奥へと移動したのかさっきまで 冬村がいた場所には誰もいなかった。 @200 ・・・・・・。 @202 よく考えてみたら、アルバート達にも 来て貰ったほうが良かったんじゃね? @200 とりあえず、引き返すか・・・。 @1 そう思って振り返った瞬間だった。 !bgm !se(Action)ビシッ @1 首筋に衝撃が走った途端。 全身の力が抜けていく気がした。 !mvnil @1 あー、ちくしょう。 \s今日・・・は朝か・・・ら 踏んだり・・・蹴ったり・・・だ。 !se(Action)跳ね @1 自分の迂闊さに呆れながら、 オレの意識は薄れていった。 !bgmサスペンス !mvショッピング街 @910 ・・・予定外だな。 @920 へっ、見られちまったら仕方ねえな。 \s殺しちまうか? 幸い、あのガキどもは車に乗せたしよ。 今なら誰にも気づかれないぜ? @910 今は大事の前だ。 出来る限り事を荒立てたくはない。 ただでさえココは\r[眼,・]が多いのだからな。 @920 へーへー。 \sったくよー、なんだって 俺達が使いっ走りなんか・・・\sッ!! おいおいおい、何の冗談だよ? @910 どうかしたのか? ・・・まさか!! @920 ハッハー! こりゃ俺達にも運が回ってきたな? \sコイツの方からコッチに来てくれるとはよ! コイツ、あのガキどもと知り合いかなんかか? \sとなると場合によっては手間が省けるぜ? @910 ・・・・・・。 @920 おいおい、まさか このまま見逃そうとか思ってねえよな? お前が堅実なのは分かるがよ・・・ \sこれはチャンスだぜ。 計画通りじゃねえが、 お前の手札を使うまでもなくなるかもな。 !bgm @910 ・・・\sふっ、そうだな。 !mvnil @1 「これは絶好の機会だ。」 !wait40 !mv倉庫内部 !bgmサスペンス @1 「う、うぅぅん・・・。」 @202 いてててて、一体なんなんだよ。 @1 朝に続いて最低の寝覚めの悪さだ。 頭どころか全身がいてえ。 @102 おはよ〜、リョウヘイ。 @1 そんなオレにえらく気の抜けた声で、 悪友が話しかけてきた。 @200 シシト? @410 ・・・・・。 @200 それに冬村。 @202 ・・・オレ、何してたんだっけ? @1 頭がボーッとして記憶がハッキリしない。 \sオレはなんでこんな所にいるんだ? @100 リョウヘイが 何してたのかは知らないけど、 今の状況なら分かるよ。 @200 それでいい、教えてくれ。 @102 悪い人に捕まって縛られてます。 @201 なにいい!! @1 絶叫してから自分の体をよく見てみると バッチリと縛られていた。そりゃもうバッチリ。 @200 ・・・・・・。 @202 げっ、マジだ。 あ〜〜、思い出した。 お前らがやばそうなのと一緒にいたから 気になって後つけたんだっけ。 @1 場合によっては助けを呼ぶつもりだったんだが、 自分もとっ捕まってちゃ、かっこわるくて そんなこととても言えねえ。 コレはアレか。 ミイラ取りがミイラになるってやつか。 @102 なんだって、自分から 危険に巻き込まれるかなぁ。 @200 いやぁ、もしかしたらシシトが 危ない遊びしてるんじゃねえかな〜って。 ほら、ダチとしては気になるじゃねえか。 @102 危ない遊び? @200 え〜〜〜っと、縛りごっことか。 @102 今まさにそれじゃん。 @202 だな・・・。 @100 ・・・・・・ @200 ・・・・・・ @410 ・・・・・・ @1 軽口を叩いては見たが、空気は重い。 特に冬村は一言も話そうとしない。 @200 もしかしてよう・・・ @100 ん? @202 マジでやばい状況か? @102 うん、かなりね。 @200 そうか。 @1 という割には随分冷静なんだよな。 @100 まあ、でもきっとチャンスはくるよ。 @200 そうなのか? @100 まあね。 @200 そうか、なら信じる。 @102 えらくあっさり信じるね。 @202 こんな状況で お前が気休め言うとは思ってねえよ。 @1 本当にどうしようもないなら、 とっくに別の手を考えてるだろ。 これだけ平静を保ってるとなると、 もうやることはやった後ってことだ。 @200 オレら、結構付き合い長いだろ? なあ、親友。 @102 親友というか腐れ縁? @201 うわ!ひっでえ! !bgm黄昏 @1 「ふふふっ」 @200 ん? @100 冬村さん? @412 あっ、ごめんなさい。 @410 2人とも仲良いんだなって思って。 @200 おう、こいつと俺は 前世の頃から親友だぜ。 @102 うわあ、ものすごい腐れ縁だね。 @100 ていうか、悪友の間違いじゃない? @202 否定できねえこと言うなよ。 @412 ふふふふ。 @200 深刻になっててもしょうがねえしな。 @100 そうだね。 @410 2人ともすごいんだね。 私は・・・・ \s怖くて震えが止まらないのに。 @100 そりゃあね。 @200 いやいや、オレらだって怖えよ。 ただ、俺らの場合・・・なぁ? @102 なぁと言われましてもねぇ。 @200 ほら、一度死に掛けたことあるだろ? @102 ああ、そういうことね。 @200 それのせいで、普通の奴よりは 危ない状況に対応できるんじゃねえの? @202 二度と経験したくはねえけどな。 @1 正直、こんなに冷静でいられるのは 自分でも不思議なんだが。 @102 全くだねぇ。 @410 シシトくんのことは知ってるけど 岸くんも・・・? @201 シシト君!? @201 おまえら、いつから 名前で呼ぶようになったんだよ!! @412 あっ、それは・・・。 @102 今さっき。 @102 あと僕は呼んでないよ。 @202 お前もつくづく淡白なやつだな。 @102 は? @200 にしても、こりゃセトが黙ってないな。 @100 なんでそこでセトがでてくるのさ? @202 それが淡白だってんだ。 @200 まあ、いいか。 @102 ? @200 んで、オレが死に掛けた話だったか? @410 あ、うん。 @412 も、もちろん無理にとは言わないけど・・・。 @202 ああ、いいって、 どうせたいしたことじゃねえし。 @102 たいしたことあると思うけどなぁ・・・。 @200 オレがいいからいいの。 \sそんな隠すようなことでもねえだろ。 @102 はいはい。 @202 つっても、ほとんど覚えてないんだけどな。 @200 小学生になったばかりの頃に、 大型のトラックに跳ねられたらしい。 @410 トラックに? @200 ああ。 @410 よ、よく無事だったね。 @200 母さんがオレを庇ってくれたおかげで、 かろうじて生きてたんだよ。 @410 お母さんが・・・? @200 ま、代わりに母さんが死んじまったけどな。 @410 嘘・・・。 @202 いやー、いくらなんでも こんな事で嘘は言わねえよ。 @412 ・・・あ、ごめんなさい。 @202 いいって、もう十年も前の話なんだからよ。 @412 岸くんは強いだね。 @410 私は・・・そんな風には割り切れないかな。 @1 一瞬冬村が暗い顔をした気がした。 @202 どうかしたか? @410 ううん、なんでもないの。 @1 少し気になるけど、まあ詮索はしない方がいいか。 @410 嫌なこと思い出させてごめんね。 @200 だからいいって、喋ったのはこっちだしな。 @410 ・・・ありがとう。 @200 気にすんな。 !bgm !mvnil @1 気にしてない、か。 \s我ながらカッコつけすぎだな。 未だにあの夢を見たら怯えて 眠ることもできねえくせに。 けど、当然だろうな。 自分のせいで誰かが死んじまったら、 やっぱり後味がわりい。 それが肉親やダチなら尚更だ。 知ってる奴が突然、 しかも永遠にいなくなるってのは それこそ、死ぬほど辛い。 ・・・\sああ、そうか。 だから、オレはシシト達をつけたのか。 どう見てもやばいと分かってたはずなのに、 見て見ぬ振りはできなかったのか。 んでも、その結果がコレじゃあ世話ねえよな。 ま、シシトがチャンス来るって言ってるし、 どうにかなるだろうさ。 !mv倉庫内部 @100 ・・・・・・何時間くらい経ったんだろ。 @410 時計も外されちゃったから 分からないね。 @202 そろそろ、腹減ってきたな。 @102 こんな状況でもお腹すくんだね。 @200 しょうがねえだろ、生きてんだからよ。 @100 そうだね。 !bgmサスペンス @1 ・・・・・・村上シシト・・・・・聞こえるか・・・・・・? @100 ! @200 お? @800 監視している連中は・・・・ !mvnil @1 チャンスがようやく来たみたいだ。 なんかよくわかんねえけど、 フォックスってのが助けに来てくれたらしい。 そのとき冬村が顔を強張らせたけど、 今は助けが来たことを喜ぶべきだろう。 !mv倉庫内部 @800 助けに来た。 @1 やってきたのはひと目見ただけで分かるような いかにも裏社会で頑張ってます!という感じの おっさんだった。 ただ、あの黒服の奴らと違って 悪党って感じはしない。 ・・・? どうも誰かに似てる気がするけど、 気のせいだろう。 @800 ん?一人多いな、こいつは誰だ? @102 僕の腐れ縁の悪友です。 @202 もっと他に言い様ねえのかよ。 @102 じゃあ、悪友の腐れ縁です。 @201 意味わかんねえよ!! @800 ふむ・・・ 巻き込まれた友人と言ったところか? @200 まあ、そんなとこ。 @102 (自分から巻き込まれたくせに) @202 (うるせえ) @100 ところで、なんでここがわかったの? @800 冬村サユキの携帯の情報は だいぶ前から掴んでいたからな。 @800 通話内容も位置も知っている。 @410 ・・・・・・え。 @411 じゃあ恥ずかしい話とか 全部聞かれてたの!? @102 どんな恥ずかしい話なんだ。 @202 いや、心配するとこ、 そこじゃねえと思うぞ。 @200 ストーカーじゃあるまいし プライベートまで聞いてるわけないだろ? @1 こんな硬派で武骨そうなおっさんが 女子高生の電話盗聴してるわけないだろうさ。 @800 とりあえず電話で 下着の話などしない方がいいぞ。 @201 聞いてんのかよッ!! @202 校長と同類か、このおっさん。 @102 いや、さすがに そこまでではないと思うよ。 @800 ・・・・・・ @800 チッ、鎖か・・・・・・ 外すのは難しそうだ。 @102 大丈夫、もう外れてますよ。 @410 あれ、いつの間に・・・・・・。 @200 昔とった杵柄だな。 @102 ははははは・・・。 @800 分かった、それじゃあ・・・ !bgm緊迫状況 @1 助けが来て、鎖もなくなった。 後はもう逃げるだけだ。 その一瞬の油断が命取りだった。 !se(Action)跳ね @1 何かが開いた音がした。 その方向を向くとソコには・・・ @620   @1 銃を構えた男がいた。 \sその眼光は正確にフォックスを狙っている。 @200 !! @202 おい!!後ろに・・・! @620 遅い! !se(Action)ハンドガン @1 フォックスめがけて弾丸が放たれた。 @800 ッ!! !bgm !mvnil !bgs(環境)心拍 @1 殺される。 \sフォックスは間違いなく殺される。 反応するのが遅すぎた。 弾丸はすでに放たれ回避は不可能だ。 このおっさんの事なんか何もしらない。 家族でも、ダチでもない。 だが、これだけは間違いない。 フォックスはオレ達を・・・ \s\r[オレ,・・]を助けに来たせいで死ぬ。 オレの目の前で。 そう考えたら体が勝手に動き出していた。 いや、後からそう考えたんだろうなきっと。 何かを考えている余裕なんてなかったし。 !mv倉庫内部 !bgs @1 \f[52]ドンッ!! @800 なっ!! @202 ・・・・・・・。 @1 胸が熱い。 ああ、こりゃあもう・・・。 !se(Action)跳ね さすがに・・・やば・・・ @103 リョ・・・・・ !mvnil @1 「リョウヘイーーーーー!!!」 シシトの叫ぶ声が聞こえる。 「ちっ!!ガキが邪魔をしおって!!」 「リュウゾウ、貴様!!」 「いやあああ!!」 「そのガキが勝手にしたことだろう。」 「どこまでも腐った男め!!」 あー・・・話がどんどん進んでくな。 \sけど、オレにはもう・・・関係ねえか。 にしても、いてえなぁ。 まるで、あの時と同じだ・・・。 いや、あの時のが痛かったか? よく覚えてねえけど、 力が抜けていく感覚は同じだな。 あ〜〜〜あ。正義の味方じゃあるまいし、 なんでこんなことしちまったんだか。 ・・・自己犠牲なんて、 俺のキャラじゃねえよなー。 ・・・・・・\s嫌だ。 \c[2]イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ!! イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ!! イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ!! 死にたくねえ!! \sオレは死にたくねえッ!! まだ、やりたいこといっぱいあんだよ! \sこんな所で・・・\s死にたくねえ!! そう思った瞬間。\s\r[ソレ,・・]は現れた。 !bgm恐怖 @1 \c[2]「死に抗うか。」 寒気がした。 \s体温が下がっているからじゃない。 正確には怖気が走ったというんだろう。 本能的な恐怖を感じさせる、そんな声が・・・ \sいや、そんな存在がオレの中に現れた。 \c[2]「怯えているようだな。  \s心配することはない。我はお前だ。  お前を害したりはせん。」 コイツは一体何を言ってるんだ? \c[2]「いや、それも正確な表現ではないな。」 \c[2]「正しくは\r[お前にされたものだ,・・・・・・・・・]。」 ますます意味がわからない。 コイツは間違いなく漫画の読み過ぎだ。 \c[2]「くくっ。」 いきなり笑い出しやがった。 \c[2]「言葉にせずともお前の考えは全てわかる。」 \c[2]「漫画の読み過ぎなのも認めよう。  \sなにせ我はお前だからな。」 つまりオレも夢見がちってことかよ。 バカにしているのが丸わかりだ。 なんか腹立ってきたぞ。 \c[2]「だから、今のお前の気持ちもよく分かるぞ。  \s死にたくないのだろう?」 ・・・!! そうだ。 コイツのせいで忘れかけてたけど オレは死にかけていたんだ。 \c[2]「答えろ。お前は死にたくないのか?」 当たり前だ。 \s死ぬのは・・・嫌だ。 \c[2]「ならば、\r[我の力を解放しろ,・・・・・・・・]。」 解放・・・だと? \c[2]「信じる信じないはお前の勝手だが、  お前に他の選択肢などもはや存在しない。」 \c[2]「このまま死ぬか、我を解放するか。」 ・・・・・・。 \c[2]「迷っている時間などないはずだぞ?」 ・・・本当に死ななくてすむんだな? \c[2]「ああ、少なくとも今はな。」 !bgm ・・・・・・・・・・\sわかった。 お前を解放する。 !mv倉庫内部 !bgmバトル02 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 @1 リョウヘイが倒れたあと。 シシトとフォックスはサユキを逃し、 リュウゾウと交戦していた。 だが、リュウゾウの銃さばきの前に 反撃の糸口を見いだせずにいる。 正確無比な射撃のみならず、 倉庫に隠した多数の銃火器を巧みに使い分け リュウゾウはシシトたちを追い詰める。 @620 ふん、まだあがくのか? @1 弾丸の補充でもしているのか銃撃をやめ リュウゾウはシシトたちを挑発する。 @620 いい加減、諦めたらどうだ? @800 だまれ!!貴様の悪行は必ず暴く!! @620 ふん、正義の味方気取りか? くだらんな。\s実にくだらん。 \sそんなもの一銭の価値にもならん。 糞の様な正義感など犬に食わせてしまえ。 そこのガキのようになりたくなければな。 @133 ッ!! お前ッ!! @1 コンテナの影から飛び出そうとしたシシトを リスとフォックスが止める。 @704 落ち着けシシト!! @800 落ち着け村上!あれは挑発だ! @133 わかってる・・・\sわかってるけどッ!! @701 (やべえな、普段冷静な分 取り乱すと押さえがきかねえ。) (これじゃあ、実力の半分も出せねえぞ。) @800 村上、気持ちは分かるが・・・ @620 くはははっ!いいぞ! 半端な正義感よりは復讐心の方が 好感が持てる!! ジェーーーイクッ! \sお前ももっと素直になって、 親友の仇を討つとでも言えばいい! あの実の娘を守ることも出来なかった 正義感しかない無能な男のなッ!! @800 ・・・ぐッ!! @1 フォックスは血が滲むほどに唇を噛み締める。 \sだが、シシトの様に飛び出そうとはしない。 @704 ちくしょう、なんて野郎だ! @133 くそッ!! 僕があの時、 奴らの誘いに乗らなければ! @704 バカ野郎ッ! それじゃ、サユキちゃんが殺されてただろ! @131 う・・・。 @800 ・・・そうだ。 少なくとも 冬村サユキを逃がすことは出来たんだ。 あとは奴に高い代償を支払わせてやる。 何の罪もない人間を三人も殺し、 多くの人間を不幸にした分を必ずな。 @1 フォックスは鋭い眼光で リュウゾウが隠れているコンテナを睨みつける。 @133 わかった・・・。 @800 とはいえ、 奴の射撃の隙を突くのは至難の業だ。 その上、どこにどんな武器を 隠しているかも分からん。 奴の直属の部下がいないのが せめてもの救いだが・・・ @701 時間かけてたら来ちまうよな。 @133 一体どうすれば・・・。 @130 ん? @1 シシトの視線が、 リュウゾウのいる方向とは違う場所を向く。 そこは丁度、さっきまで彼が縛られていた場所。 @700 どした? !bgm @133 リョウヘイッ!? @704 へ!? !bgmサスペンス @200 ・・・・・・・・・。 @1 胸からおびただしい量の血を流し、 倒れていたはずのリョウヘイが立っていた。 だが、その姿はどこか不自然だ。 まるで幽霊のようにゆらりと立ち、 無表情に宙を見ている。 @800 なっ!! @620 なんだと? @1 さすがのリュウゾウもコレには驚く。 撃った彼だからこそ分かるのだ。 リョウヘイは致命傷を受け、ほぼ即死したことが。 @130 リョ、リョウヘイ? @1 シシトが声をかけるが、 リョウヘイは何の反応も示さない。 @200 ・・・・・・・・・。 @620 ふん、死にぞこなっていたか。 @1 リュウゾウは頭を切り替える。 生きているならばまた殺せばいいだけだと。 @620 邪魔をしてくれた礼だ、 今度は苦しまぬようにあの世に送ってやろう。 @133 リョウヘイッ!! @1 シシトの叫びはやはりリョウヘイには届かない。 @620 死ね!! !se(Action)ハンドガン @1 無慈悲な弾丸が 再びリョウヘイを貫こうと飛来する。 @200 ・・・。 !se(Action)バリア音 !wait2 !se(Action)雷光 @1 だが、その弾丸はリョウヘイに当たる直前に 空中ではじけ消滅した。 @620 な、なんだと!? @800 なんだ今のは!? @1 あまりの出来事に絶句する。 \s下手に裏社会の水を知っている二人だからこそ、 目の前で起きたありえない現象を信じられない。 この現象の答えを持っているのは、 人間の世界だけを知っているものではない。 @704 ありゃ結界じゃねえか!! @130 結界? @701 よほどの威力の物理攻撃か 魔法攻撃以外は無効化しちまう 最高位クラスの防御魔法だ。 あんなもん使ってるの 女神さまくらいしか見たことねえぞ。 @133 なんで、リョウヘイがそんなものを!? @704 しらねえよ!! @701 けど、あれ普通の結界と なんか違う気がするんだけどな・・。 @620 くっ、この!! !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 @1 目の前の不可解な存在を消し去りたいのか、 怯えるように銃を乱射する。 !se(Action)バリア音 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)バリア音 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)バリア音 !wait2 !se(Action)雷光 @1 だが、その尽くが無力に消滅した。 @800 ばかな・・・。 @620 お、おのれ・・・。 @1 今まで多くの命を奪ってきた必殺の銃撃が、 なんの意味も成さない。 裏の世界に生きてから、 一度も起こったことがない状況に リュウゾウはただただ絶句していた。 その時、リョウヘイの口が動いた。 @200 \c[2]貴様だったな。 @620 な、なんだと? @1 底冷えのする、背筋に寒気が走るようなそんな声。 およそ十代の高校生が出せるものではない。 @200 \c[2]貴様が我を殺そうとしたはずだ。 そうではないか? @620 だ、だったらどうだと言うのだ!! @1 その声に怯えながらリュウゾウは答える。 @200 \c[2]そうか・・・。 @1 リョウヘイは納得した表情で頷く。 @200 \c[2]礼を言う。 @1 その言葉に嘘偽りはない。 恐ろしさを感じる声のままだが、 確かに感謝の念が感じられる。 @620 なに? @200 \c[2]お陰でようやく表に出ることが出来た。 \c[2]是非礼をしたい。 @1 ゆらりとした立ち姿から一変。 全身から凄まじい殺気を解き放つ。 !bgm緊迫状況 @200 \f[42]\c[2]殺してやろう。 !se(Action)跳ね @1 両腕を広げ前傾姿勢でリョウヘイは疾駆し、 リュウゾウとの距離を一瞬で詰めた。 @620 な、なんだと!? @200 \c[2]ガァァァァァァ!! !se(Shooting)撃破C @1 獣の様な咆哮とともにリュウゾウのみぞおちに 右拳をめり込ませ一気に吹き飛ばした。 !se(Action)ズシャアアー @620 ギ、ギヤアアアアアア!! @1 そのままリュウゾウは壁に叩きつけられた。 いや、めり込んだという方が正しいだろう。 リュウゾウが叩きつけられた壁には クレーターができていた。 @800 なんだと!! @704 なんだよ!今のスピード!! @133 ・・・。 @1 リュウゾウはずるずると壁からずり落ちる。 @620 う、ぐっ。 @200 \c[2]ふふふ、なかなかに丈夫な体だな。 だが、それ故に苦しみは増す。 @620 ひっ!! @200 \c[2]そうだ!怯えろ!恐怖しろ! \s死を感じ、さけられぬ運命を呪え!! \c[2]それこそが我からの礼だ! @620 ひ、ひぃぃぃ!! く、来るな化け物おおおお!! @1 相良リュウゾウは血の気の引いた顔をして 怯えながら地面に手を這わせる。 無様に地を這い、逃げようとするが、 先ほどの一撃で受けたダメージのせいで、 体がうまく動かない。 どうにか近くのコンテナまで這いずった時だ。 !se(Action)カチャッ その手が何かに触れた。 @620 こ、これは!! @1 それが何か理解した瞬間、 みるみる生気を取り戻すリュウゾウ。 @620 ふっ、ふふふふふ・・・ @200 \c[2]・・・? @620 はははははッ!! この私を殺すだと!? 笑わせるなぁぁぁぁぁ!! !se(Action)跳ね @1 全身の激痛を無視してリュウゾウは 一気に円筒状のそれを肩まで持ち上げる。 @800 なっ!? @704 おいおいおい、嘘だろ!? @132 ロ、ロケットランチャーァァァ!? @1 フォックスを待ち構えていたとはいえ、 明らかに過剰戦力と言わざるを得ない兵器。 その破壊力は凄まじい。 こんな倉庫など間違いなく あっという間に焼き払ってしまう。 @704 バ、バカかアイツ!? 何考えてあんなもん仕込んでやがったんだ!? @800 今更だが、どうかしている・・・ッ!! @200 \c[2]ふふふっ、そのような玩具を持って 大喜びするとはまるで幼子のようだな。 @620 ほざけ! 跡形もなく吹き飛ばしてやるわッ!! @800 止せッ!! こんな密閉空間でそんなものを撃てば、 貴様もただでは済まんぞ!! @620 ふははははは!死ねェェェェ!! @1 生気を取り戻しはしても、 正常な判断は全くできていない。 リュウゾウは明らかに正気を失っている。 @133 リョウヘイ! 駄目だ、逃げるんだッ!! @1 だが、リョウヘイは何の反応も示さない。 ただまっすぐにリュウゾウの方を見ていた。 @704 うわああああ!! もう駄目だァァァァ!! @134 くッ・・・! !bgm !se(Action)爆発音 !mvnil @1 ・・・・・・ !mv倉庫内部 @134 ・・・ @130 あ、あれ? @720 へへへ、燃え尽きたぜ・・・。 @704 って、生きてる? @1 確かに爆発音は聞こえた。 だが、シシトたちも倉庫も無事だ。 @800 ・・・。 @1 思わず目をつぶったシシトたちとは違い、 フォックスは一部始終を見ていた。 その表情は変わっていないが、 よく見ると額に冷や汗をかいている。 その瞳はまっすぐ一点だけを見ていた。 @800 ・・・\s村上。 @130 え? @800 お前の友人は何者だ。 いや・・・一体\r[アレ,・・]はなんだ!? @130 ア・・・レ? @1 シシトはフォックスの視線を追う。 その先にあったものは・・・ !bgm恐怖 @200 \c[2]ほう、これは面白い。 確か、花火というやつだったか? \c[2]お前たちは祭りになると コレを打ち上げて楽しむのだったな。 \c[2]くくっ、その割には 随分と荒々しいエネルギーだ。 @1 リュウゾウが放ったロケットは確かに爆発した。 だが、全てを焼き払うはずだった 凶暴な力はリョウヘイの左手の平に留まり、 まるで綿菓子のように弄ばれていた。 @620 う、うそだ・・・。 @1 最後の望みが絶たれ、 リュウゾウは再び怯え始めた。 もはや、彼に待っているのは確実な死のみ。 @200 \c[2]ふぅむ、このエネルギー。 暴力的かつ破壊的でなかなか悪くない。 \s相手を害しようとする悪意に満ちている。 \c[2]目覚めたばかりで腹も減っているからな。 ちょうどいい。 @1 そう一言つぶやくと、 爆発エネルギーの塊に右手をかざす。 !se(Action)ジュゴー その瞬間、エネルギーは何の抵抗もできず あっけなく右腕に吸収されてしまった。 @704 な、なんだよ・・・なんだよアレ? @133 リョウヘイ・・・。 @200 \c[2]くくっ、我を目覚めさせてくれた上に、 ごちそうまでしてくれるとはな。 \c[2]これはより一層 深く深く礼をせねばならんな。 @1 ニイっと悪意に満ちた 笑みを浮かべるとリュウゾウに近づく。 @620 ひ、ひいいい!! く、くるなああああ!! !se(Action)跳ね @1 当然、聞く耳もたずリョウヘイは リュウゾウの頭を熱の残る右腕で掴むと、 そのまま体ごと持ち上げる。 @620 ひ、ひぎゃあぁぁぁぁぁ!! @1 熱と圧倒的な握力による苦痛に リュウゾウは断末魔のような声をあげる。 @200 \c[2]このまま頭を握りつぶしてやろう。 \s柘榴のようにはじけて美しいぞ? @1 少しずつ、だが確実に リュウゾウの頭蓋に指をめり込んでいく。 このままいけば、リョウヘイの言うとおり リュウゾウの頭は微塵に砕け散るだろう。 @800 ・・・俺は夢でも見ているのか? 弾丸が効かないどころか、 ロケットランチャーを物ともしない。 そんな人間が・・・いるわけがない!! @701 夢じゃねえよ・・・。 @700 おれが言っても説得力ねえけど 間違いなく現実だ・・・。 @1 リスはもちろん、歴戦の戦士であるはずの フォックスも身動き一つ取ることが出来ない。 その光景は、 非日常を生きているはずの彼らから見ても あまりにも現実からかけ離れていた。 @620 た、たのむぅぅぅ!! 助けて・・・くれぇぇぇ!! @200 \c[2]それはできん相談だ。 我はお前に最上級の礼がしたい。 \c[2]そう、死という名の礼をな。 @1 あっさりと断ると、より一層力を込める。 @704 ひいいい!! @800 くっ! @1 まもなくリュウゾウの頭蓋が砕け散る。 そう感じ、二人が目を背けた時だ。 !bgm @133 \f[42]リョウヘイ!! @1 シシトが一人飛び出していた。 @200 \c[2]な・・・に? @1 今までよりも強く強く。 大きな声でシシトは叫ぶ。 @133 もうやめるんだリョウヘイ!! @200 \c[2]くっ・・・。 @133 それ以上やったら本当に死んでしまう!! 正直、そんな酷い奴、 どうなろうと知ったことじゃない! けど、リョウヘイが 人殺しになるなんて絶対にダメだ! そんな奴のために 罪を犯すことなんてないッ!! @200 \c[2]・・・黙れ! お前も・・・死にたいか!? @133 \f[42]リョウヘイ!! @1 目の前の\r[何か,・・]を完全に無視して、 シシトは親友の名を叫ぶ。 やがて・・・ @202 \c[2]うぅ・・・。 ・・・。 @1 リョウヘイの体から異様な気配が消え、 同時に力も抜ける。 @620 ぐあ・・・。 @1 リュウゾウは圧迫から解放され地面に落ちる。 @800 ・・・動きが止まった? @130 リョウヘイ。 @1 シシトが安堵したその時だった。 !bgm緊迫状況 !se(Action)重いドア開け @910 相良様!!   @920 ご無事ですか!! @1 リュウゾウ直属の部下たちが 倉庫内に飛び込んできた。 @620 お、お前たち・・・ @704 げッ!!あいつらがきちまった!! @800 ちッ!! まずい、村上たちが!! @133 くっ・・・! @200 ・・・。 @1 呆然と佇んでているリョウヘイを守るように 黒服の間に立つシシト。 @1 だが、黒服たちはシシトを襲おうとはしなかった。 @910 ッ!! @920 おい、これ・・・! @910 今は相良様の安全が最優先だ。 @920 ・・・わかったよ。 @1 一人の黒服が不服そうに 倒れているリュウゾウを抱えて扉に走る。 @800 逃がさんッ!! !se(Action)銃声 @910 そうはいかん。 !se(Action)銃声 @1 フォックスがさせじと飛び出すも、 もう一人の黒服に銃で牽制される。 @701 うわ!!あぶねえ!! @133 待てッ!! @920 待てと言われて待つバカはいねえよ。 @910 では、さらばだ。 @1 黒服がスプレー缶のような物を取り出すと、 ピンを外し、倉庫内に投擲した。 @700 なんだあれ? @800 いかん、スタン・グレネードだッ!! 耳をふさいで、目を潰れ!! !se(Shooting)撃破C !mvnil @1 強烈な爆発音と閃光。 ほんの一瞬倉庫内は白い光に染まる。 @133 うわッ!! @800 くっ! @704 ぎゃああああ!!(もろに見た) !mv倉庫内部 !bgm @800 くそ、逃がしたか。 @134 う・・・。 @800 大丈夫か、村上? @130 あ、うん。 @131 ちょっと頭がキンキンしてるけど、 特に問題はないと思う。 @704 (悶絶) @131 リス君は駄目そう。 @800 そうか。 まあ、そのうち回復するだろう。 それにしても・・・ @200 ・・・・・・。 @800 一体あの少年は何者だ? \s本当に・・・人間なのか? @130 ・・・普通のどこにでもいる高校生です。 @800 だが・・・ @131 僕にはそうとしか言えません。 @800 ・・・そうか。 @1 フォックスもそれ以上の追求はしなかった。 追求した所で、 答えられるものはもうここにはいない。 !bgm安らぎ @200 あれ? @130 あ。 @202 俺、なにしてたんだ? @130 ・・・リョウヘイ? @200 おう、そうだって・・・ @201 って誰だ、お前!! @131 あ。 @201 うわ!!ネコミミだし!! @202 あ、もしかして、 アルバートが言ってたのお前か? @131 あ〜〜。 @800 話してしまった方が良くないか? 信頼している友人なんだろう。 @131 ・・・そうですね。 @130 実は・・・・・ @200 ・・・・・ @202 ・・・・・・ @201 ・・・・・・・・。 !bgm !mvnil @1 ・・・信じられねえ。 アルバートの言ってたネコミミ女ってのが、 シシトだったなんて・・・。 それ以前に存在することも信じてなかったけど、 とはいえ、変身解除されたら信じるしかねえよな。 なんかリスが失神しながら、 寝言言ってたのも気になるけど。 オレたちを拉致した連中は結局見つからなかった。 込み入った事情があるらしい フォックスのおっさんは警察来る前に姿を消して、 オレらだけが事情聴取を受ける羽目になった。 まあ、しょうがねえか・・・。 アクアフロートで事件が起こるなんて、 滅多にないんだしな。 誰も死ななかっただけよしとしよう。 ・・・大事なこと忘れてる気がするけど。 まあ、いいか。 忘れてるってことは大したことじゃないんだろ。 そうそう・・・ !mv塾 !bgm夜の静けさ @410 シシトくん!! !v27=1 @100 ああ、冬村さん。 @412 よかった・・・無事だったんだ。 @410 でも、岸くんは・・・。 @200 オレがどうかしたのか? !bgm @410 \s・\s・\s・。 @200 ん? !bgm緊急事態 @411 \f[30]きゃああああ!! お、おばけぇぇぇ! @201 誰がおばけだ!誰が!! @411 ごめんなさい、ごめんなさい! 迷わず成仏してください!! @201 なんのことだよッ!? @411 もう危ないことはしません! 岸くんの分も長生きしますから!! @420 え、なに? 例の殺された友達ってこの人? @421 うわー、幽霊なんか初めて見たわー。 まるで生きてるみたいだねー。 @201 話を聞けェェェェ!! ってか誰だお前!? @420 あたし? \sサユキの友だちよ。 たまたま港の辺りを散歩してたら 血相変えたサユキと会ったのよ。 @421 取り乱してたサユキをなだめて、 警察まで呼んであげたんだから 感謝してほしいわね、幽霊さん。 @201 誰がするかッ!! @411 いやあああ!! @421 きゃー、こわーい。 @102 ・・・。 @701 ・・・。 !bgm !mvnil @1 ったく、誰が幽霊だってんだよ。 ・・・・・・なにはともあれ。 \s明日からはまた日常が帰ってくる。 退屈だけど。 なによりも大切な日常が。 !wait90 !bgs(環境)雨 @1 アクアフロート某所 @620 くそ!! @620 なんなんだ、あいつらは!! @910 相良様、落ち着いてください。 @620 これが落ち着いていられるか!! 奴らのせいで、 今まで積みかさねてきた物が 全て崩れ去ったんだぞ!! その上、私にあんな醜態を・・・! それもこれも、藤原、杉浦! 貴様らがおそいからだ!! 貴様らがすぐ来ていれば、 こんなことにはならなかったのだ!! @910 申し訳ありません。 @920 ・・・・・・。 @620 くそっ! ジェイクに村上シシト! 冬村サユキにあのコスプレ娘!! そして、なによりも・・・あのガキ!! 必ず殺してやる!! \s家族も、友人も皆殺しにしてやる! @910 ですが・・・ @620 藤原!なにか文句でもあるのか!! @910 ・・・・・・。 !bgmサスペンス @920 ちっ・・・! @620 なんだ杉浦! @920 おい、もうやめようぜ。 \r[ゲング,・・・]。 @620 ゲング・・・? 何を言ってる杉浦? @920 るっせーな。 そんなヤツは最初からいねえんだよ。 @620 な、なに? @910 しかし、まだ時期が早い。 @920 んなことねえだろうよ。 お前もあの倉庫内の惨状は見ただろ? 【\r[器,・]】は不完全とは言え覚醒した。 それに、すでに 【\r[魔力,・・]】は飼いならしてあんだ。 計画を繰り上げて次の段階に進もうぜ。 コイツの【\r[仮の器,・・・]】としての 完成度はもう十分だろう? @910 ・・・。 @920 あのリスを見ただろ? \s女神の手下どもが動き始めてる。 あいつらは見るからに雑魚だが、 悠長に構えて、本格的に計画が動く前に、 \r[十三剣,・・・]の連中に出張られたら厄介だ。 まかり間違って \r[魂の旅人,エトランゼ]でも喚ばれたら たまったもんじゃねえだろ? @910 それはないだろう。 例の勇者は十年前にも現れなかった。 数多の世界を駆け巡る救世主を そう簡単に喚び出せるとも思えん。 @920 万が一、億が一のたとえ話だ。 奴らが本気になったら 面倒なのに違いはねえだろ? 事を起すなら、今しかないぜ。 @620 杉浦、なにを言っているのだ!? @920 うるせえ!! 杉浦なんてヤツは もうとっくにくたばってんだよ!! @620 な、なに!! @920 ゴミくずみたいな人間の分際で 俺様に指図しやがって・・・! テメエが、 【\r[仮の器,・・・]】の適格者じゃなかったら 八つ裂きにしてるとこだぜ。 散々俺様を使いっ走りにしやがってよぅ!! @620 な、な・・・。 @910 ・・・\sそうだな。 お前の言うとおりだ、 \r[マリオン,・・・・]。 @920 へっ、そうだろ? お前は頭が硬すぎんだよ。 @910 相良様。 @620 な、なんだ! @910 あなたに仕えて五年になりますが、 どうやら来るべき時が来たようです。 @620 なにを・・・。 @910 あなたは私たちの目論見どおり、 人類の中でも、極めて醜い人間になった。 他者を平気でなじり、貶め、見下し、 我欲のためには容赦なく殺す。 自らの力のなさを認められず ただ何かのせいする卑屈さ。 どこをとっても 素晴らしい負の塊のような人間に。 @620 な、なんだと!? @910 それでいて、 人間の中でも屈指の強固さを持つ。 そして、予定外にも【\r[器,・]】を 不完全とはいえ覚醒させて絶望を知った。 想像以上の完成度です。 @620 な、なにが言いたい。 @910 あなたには・・・ 我々の真なる主のために、 生贄になって頂きます。 @620 な!! @1 そう言うと藤原と呼ばれていた男・・・ いや、ゲングは真紅に輝く宝石を取り出した。 炎のような輝きと美しさ。 だが、見るもの全てに不安を与える。 そんな薄気味悪い玉を。 @620 な、なんだそれは!! @920 はっ、それじゃあさようなら。 さ・が・ら・さ・ま。 @620 う・・・! !bgm !se(Action)ジュゴー @1 \f[32]「うわあああああああああああ!!」 !wait60      !bgs @1 真説・\r[幻影帳,シルエットノート]異聞 第一章「始動」了 次回 真説・\r[幻影帳,シルエットノート]異聞 第二章「覚醒」