#真説・幻影帳異聞 第二章「覚醒」 後編 !v28=2 !v27=2 !mv薙島高校 !se(Action)ドア開け @133 よし!着いた!! @202 扉閉めるぞ!! !se(Action)ドア閉め @1 言うやいなや、リョウヘイは屋上の扉を閉めた。 \s追撃の気配は感じない。 @700 で、マリオンは・・・? @1 ことの元凶を見つけるために リスが屋上全体を見渡そうとする。 だが、そんなことをする必要はなかった。 ちょうど入り口正面に人影があったからだ。 @704 あいつは!? @133 な!? @1 リスの驚いた声にシシトが振り向くと そこには見知った顔の男がいた。 フェンスに背を預けシシトたちを見ながら ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべている 黒服を着た男。 !bgmサスペンス @920 ようやくたどり着いたか。 \s待ちくたびれたぜ? @133 お前は・・・! @704 相良リュウゾウの部下じゃねえか!! @920 ・・・ちッ! \s誰があんなゴミくずの部下だって? @1 心底不愉快そうに舌打ちしながら吐き捨てる。 @920 ったく、せっかく愉快だったのに 気分が悪くなっちまったぜ。 そうそう・・・。 \sあいつはもうくたばったぜ。 @130 くたばった・・・? @920 だからもう追われる心配はねえ。 \sよかったなー、村上シシト。 @133 なッ!! @920 隠さなくてもいいぜ。 とっくの昔に知ってた事だからな。 つーか、俺様は人間の裏社会なんぞより そっちの方が詳しいんだわ。 なぁ、女神の手下のリス野郎。 @1 ギロッとリスをにらみつけながらも 半分ふざけた口調で語る。 @701 なんなんだこい・・・\s! @704 あああ!こいつだ! 魔力の発生源!! @202 ってことは・・・ @133 お前がマリオンだったのか!? @920 おお、お前らみたいな下っ端が 俺様の名前を知ってんのか? へっ、俺様も有名になったもんだぜ。 @133 リュウゾウの手下になったり、 学校のみんなを操ったり!! 一体お前の目的はなんなんだ!? @920 テメエに話す義理はねえよ。 めんどくせえから質問すんな。 大体な、本来ならテメエは部外者・・・ \sって待てよ? 村上? \sどっかで聞いた覚えがあるな。 ・・・ああ、そうか。そういうことか。 \s厳密には部外者でもねえな。 @1 マリオンは一人で納得して頷いている。 もちろん、シシトたちには何のことか さっぱり分からない。 @920 まぁ、あれだな。 \s半分は目的のため。 もう半分は俺様の趣味だな。 たのしーぜー、人間を操って やりたくもないことやらせるってのは? わけも分からず親しい人間に襲われ、 追い詰められた人間の嘆きってのは、 いつも俺様の心を癒してくれる。 こんなに面白いことはねえよ!! @202 虫唾が走るぜ、この野郎。 @920 褒め言葉として受け取っとくぜ。 @200 おい、シシト。 @133 分かってる。 コイツと何を話しても無駄だ。 お前を倒して、みんなを元に戻す!! @1 そう言うと拳を構え、戦闘態勢を取るシシト。 \sだが、マリオンはその姿を嘲笑うように語る。 @920 ステッキがなけりゃなにもできねえ 見習い風情が俺様を倒すだと? \s笑わせてくれるじゃねえか。 オーケー。いいだろう。 相手になってやろうじゃねえか。 !bgm ただし! \sこいつらを倒すことが出来たらな!! @1 そう叫ぶと、マリオンはパチンと指を鳴らした。 !bgm緊迫状況 !se(Action)跳ね !wait5 !se(Action)跳ね 次の瞬間。 シシトたちの頭上から二つの人影が飛び降りる。 その姿はハッキリと見えないが、 片方は長髪、もう片方は多少小柄な影だ。 @133 伏兵ッ!? !se(Action)ミス !wait3 !se(Action)ミス @1 二つの人影はシシトに攻撃を繰り出す。 \s長髪の影は右拳、小柄な影は左足の回し蹴り。 どちらも左右から頭を狙っている。 !se(Action)ミス !wait3 !se(Action)跳ね @133 ちぃ!! @1 完全に虚を突かれたシシトだが、 かろうじて正拳を左腕で受け流し、 回し蹴りを右腕で防ぐことに成功した。 二つの影の動きが止まり、やっと姿を確認できた。 その正体に愕然とする。 @133 なッ!? !v35=2 @400 ・・・。 !v36=2 @410 ・・・。 @1 影の正体は彼のよく見知った少女たちだった。 @704 サユキちゃん!? @201 セト!? @1 冬村サユキと犬山セト。 彼らの友人と後輩が無表情にそこに立っていた。 @133 なんで二人がここに!? @920 その質問には答えてやるよ。 なに簡単な話だ。 今朝、学校に行く途中をさらって来たのさ。 そっちの白い髪の嬢ちゃんはおまけだ。 あのゴミの使いっ走りやってたお陰で、 カメラの死角はよーく知ってるぜ? ガキ二人連れ去るなんざ俺様には朝飯前よ。 \sおっと、時間的にゃ朝飯後か? 女子高生だからダイエットとか言って、 食ってないかもしれないがなぁ! ギャハハハハハッ!! @133 この・・・! @704 あんにゃろ、どこまで外道なんだッ!! @1 大声で嘲笑するマリオンに対して怒りを見せる。 @920 おっと、言ったはずだぜ? 俺様と戦いたいなら、 まずそいつらを倒せってな。 !se(Action)跳ね @410 ・・・。 !se(Action)跳ね @400 ・・・。 !se(Action)ミス !wait3 !se(Action)ミス @1 立ち尽くしていた二人が一度後方へ跳び、 一瞬溜めを作り飛ぶような勢いで シシトに突撃してきた。 @202 シシト、避けろ!! @704 早ええぇぇぇ! !se(Shooting)撃破A @132 うわあぁぁぁ!! @1 リョウヘイの叫びもむなしく、 あまりの早さに対応が遅れてしまう。 下手に二人の姿を見てしまったため、 精神的に隙ができてしまったのだろう。 まともに二人の突進を受け 弾き飛ばされてしまった。 その勢いたるや凄まじく、 まるで真綿が空を飛ぶかのように、 軽々と後方へと吹き飛ばされる。 如何に変身して軽量になったとはいえ、 人間がこのように飛ばされるなどありえない。 @133 くッ・・・! @1 このまま行けばフェンスに叩きつけられる。 こんな勢いで背を打てば意識が飛びかねない。 そう察したシシトは体をねじり、 無理やり体勢を変え四つん這いになった。 !se(Action)ズシャアアー そして、両手両足を使ってブレーキをかける。 地面との摩擦で指から出血してしまうが、 どうにかフェンスに叩きつけられる前に 止まることが出来た。 @133 くっそ・・・! @1 慌てて体勢を立て直すも、 二人は先程までシシトがいた位置に 無表情のままで立っていた。 @400 ・・・。 @410 ・・・。 @1 理由は分からないが追撃の気配はない。 @704 なんなんだよ、あの力はッ!? @202 なんであいつらにあんな力が!! @1 最初の攻撃の時といい、今の突進といい、 二人をよく知る者からしてみれば 想像もつかない動きだ。 @133 二人に何かしたな・・・? @1 戦闘態勢を解かずに 少しずつ距離を詰めながらシシトは、 マリオンを睨みつける。 @920 へへっ、どうしようかねぇ。 \s教えてやろうかなぁ? いよっし! 今は気分がいいから教えてやろう! 普通のマリオネット共は、 こうやって魔力の糸で他人を操るだけだ。 @1 するとマリオンの指先から 薄紫に光る糸のようなものが現れた。 \s十本どころではない。軽く数百本はある。 @920 こいつをこの学校中に張り巡らせて、 お前らの知り合いを操ってたわけだが・・・ 俺様にはちーっとばかし 他の連中とは違う能力があってな。 @1 そう言うとゴソゴソと懐から 針のようなものを数本取り出した。 @920 コイツは俺様が 丹精込めて作った魔力の針だ。 コレを人間に刺すとだな、 そいつを操れるだけじゃなく、 肉体のリミッターを外せるのさ。 つまりこいつらはだな。 \s常に火事場のバカ力を発揮しているわけだ。 @133 ふざけるなッ!? そんなことをしたら二人は・・・! @920 テメエが察してるとおりだよ。 要するにだ。 そいつらは自分の体をぶっ壊す勢いで お前に攻撃をしかけてんのさ。 だーかーら、迂闊に追撃はさせねえんだよ。 こんなヤワな体じゃ、 あっという間に自壊しちまうからな。 \sすぐ壊れちまったら楽しくねえだろ? なあ? @410 ・・・。 @400 ・・・。 @920 おっと、こいつらに聞いても 返事なんかかえってこねえんだったよな! ギャハハハハハッ!! @1 顔に手を当てて心底楽しそうに笑う。 それは聞くだけで不愉快になるような声だった。 @202 テメエ・・・。 @1 リョウヘイは拳を握りしめる。 全身から怒りが滲み出ていた。 その姿をマリオンは指の隙間から 一瞬鋭い目で見るが、すぐに調子を戻して 話を続ける。 @920 一応言っておくが、 針を見つけて抜こうなんて考えても 無駄だぜ。 針はもう体の奥に浸透している。 外科手術でも取り出すのは不可能だ。 こいつらを助けたかったら 他の連中みたいに気絶させるか。 もしくは・・・\s俺様を滅ぼすか。 \s二つに一つだぜ? ま、どっちも無理だろうがな! 以上! マリオンお兄さんの講義おしまい! ここテストにでるから、 ちゃんと復習しておくように! 特にそこのリス野郎はな! @704 うるせえ! ふざけるのもいい加減にしやがれ! !se(Action)跳ね @133 くそッ!! @1 マリオンの話を聞いている間に、 ジリジリと距離を詰めていたシシトは、 勢いをつけて一気に加速する。 @920 おお、いつのまにこんな近くに! 俺様に講義をさせたのは 時間をかせぐためもあったのか! @1 全く驚いていない口調で大げさに語る。 @920 小賢しいねぇ。 \sそういう奴は嫌いじゃねえが、 ちっとばかし甘いぜ? !se(Action)跳ね @400 ・・・。 !se(Action)跳ね @410 ・・・。 @1 さも当然のように シシトの前に二人が立ちふさがった。 @133 くぅ!! !se(Shooting)撃破A @1 二人はシシトの突進を軽々と受け止められ ギリギリと動きを封じられるシシト。 如何に筋力が解放されているとはいえ、 シシトも変身により強化されている。 今なら強引に振り解けるはずなのだが。 @133 くそ、下手に動いて 二人を傷つけるわけにはいかないし・・・。 @701 いや、お前、 さっきアルバートとか殴ってたじゃん。 @132 さすがに女の子には無理! \s手加減できそうにもないしッ!! @1 分からなくもない思考ではあるが、 今の状況ではその考えは甘すぎた。 @920 お優しい限りで。 よし、お前ら もっと\r[熱い抱擁,サービス]をしてやりな。 キツくキツく・・・ 全身の骨が砕けるくらいにな。 @400 ・・・。 @410 ・・・。 @1 その指示通りシシトに抱きつき、 二人は力を込めて強烈な圧迫を加える。 @132 う・・・\sぐああああああ!! @1 ギシ・・・ミシ・・・ シシトの体が悲鳴をあげ始めた。 ただでさえ強烈な圧力が、 背中と正面の二方向からかかることで、 より強くなり襲いかかる。 このままいけば全身の骨が砕ける前に、 背骨が折れてしまいかねない。 @920 可愛らしい女子高生に 抱きしめられるとはうらやましいねぇ! \sお兄さん嫉妬しちゃうぜぇ! @704 シシト振りほどけ!! そのままじゃ、お前がやべえ!! @132 あああああああ!! @1 リスは必死に叫ぶが シシト自身の悲鳴にかき消され その声は届かない。 @202 テメエ!! 今すぐ二人を止めろ!! さもねえと!! !se(Action)ミス @1 たまりかねてリョウヘイがマリオンに跳びかかる。 @920 お前は\r[まだ,・・]大人しくしてな。 @1 だが、マリオンの指からでた糸が、 リョウヘイの体に絡みつき動きを封じた。 @202 う・・・ぐッ!! @920 俺様の糸には こういう使い方もあるのさ。 大人しく大事な親友が お友達に殺される様を見てな。 なあに、安心しろ。 あいつを殺したらあの二人には用はねえ。 すぐにあいつらの自我を戻してやる。 @202 ふざけんな、テメエ!! @1 その言葉の意味を理解し、 リョウヘイは拘束を振りほどこうと 全身に力を込めるが徒労に終わる。 @920 お前も見てみたくねえか? 気がついたら自分の好きな男が、 腕の中でひしゃげて潰れて死んでる。 \s自分の腕には血がべったりだ。 それ見たあのガキどもが、 どんなリアクションをするのかよ? そりゃあもう、最高に! \sさいっこうにそそる反応をするだろうぜ!! ギャハハハッ! これだから人形繰りはやめられねえのさ! !bgm @410 ・・・。 @400 ・・・。 @132 あ、うわああああああ!! @704 シシトー!! @1 無表情な二人の少女が力を込めるたび、 シシトの絶叫が響く。 リスはただ慌てることしかできない。 @202 うう・・・。 @1 この間と同じ、自分は判断を誤った。 \s今度は誰も助けに来はしない。 かっこつけても結局無力なガキだ。 なんの役にも立ちはしない。 ・・・だが、だがだ。 @202 テメエは・・・許さねえ。 @1 その心に灯った烈火の如き怒りは 間違いなく真実だった。 !mvnil !bgm恐怖 @1 \c[2]「あいつが憎いか?」 !! 地獄の底から響くような低く、冷たく、 それでいて熱を帯びた声。 この声には聞き覚えがある。 \c[2]「ふん、忘れた振りもそこまでにしておけ。」 なんだと? \c[2]「言っただろう?  \s我はお前。お前は我。」 \c[2]「我がお前の記憶を持っているように、  お前もまたあの時のことを覚えているはずだ。」 ・・・。 そうだ。オレは覚えている。 あの時のことを。 リュウゾウを一方的に追い詰めて、 殺そうとした時のことを。 あの全能感すら覚える圧倒的な力を。 シシトがオレを止めてくれなかったら、 今頃オレは人殺しになっていたんだ。 \c[2]「その親友も今正に死ぬ直前だな。」 テメエ・・・。  \c[2]「怒りを向ける相手が違うんじゃないか?」 \c[2]「もう一度聞く。\sあいつが憎いか?」 ああ、憎い。 \c[2]「殺してやりたいか?」 ああ、あいつは絶対に許せねえ。 \sだから力をオレによこせ。 \c[2]「ほう、お前の方から言ってくるとはな。」 だが、主導権を握るのはオレだ。 こないだみたいに勝手は許さねえ。 あの野郎だけは、\sこの手でぶん殴る!! \c[2]「やれやれ、我ながらワガママなものだな。」 うるせえ、主導権はオレにだ! これだけは譲らねえぞ!! \c[2]「分かった分かった。  \sそんなに自分の半身が信じられぬか?」 オレの気持ちは分かるんだろ? \sハッキリ言って信用できねえな。 !bgm けど、今はそれしか方法がねえ。 シシトも、アルバートたちも、冬村も、セトも。 コレ以上、オレのダチを あんなクズ野郎の言い様にさせやしねえッ!! だから、オレに力を貸せ!! @1 \c[2]「良いだろう。  \sお前が望むなら・・・くれてやる。」 !se(Action)ジュゴー !wait20 !mv薙島高校 !bgm緊迫状況 @410 ・・・。 @400 ・・・。 @132 うわ、うああああ!! @920 さーてと、 そろそろおしまいにするかねぇ。 @1 シシトの悲痛な叫びを にやけながら聞いていたマリオンは もう飽きたとばかりに指示を出そうとする。 @704 ちくしょう!! @705 こうなったらしょうがねえ! \sホール・・・ @1 リスが最後の切り札を使おうとしたその時だ。 !bgm(タクミ)戦闘訓練 !se(Action)ズシャアアー @202 \f[32]う、おおおおおッ!! @920 なにッ!? @1 咆哮をあげ、リョウヘイは マリオンの糸の拘束を強引に引きちぎった。 @704 リョウヘイ!? @920 俺様の糸をちぎっただとッ!? @1 マリオンも予想外の事態に驚きを隠せない。 \sそう、コレほどとは想定していなかったのだ。 @200 すううう・・・!! !se(Action)跳ね @1 リョウヘイは全身にみなぎる力を駆使し、 一足飛びでシシトたちの元へと飛ぶ! @410 ・・・。 @400 ・・・。 @200 冬村、セト。 後で謝るから許してくれよな。 !se(Action)ビシッ !wait5 !se(Action)ビシッ @1 二人の首筋を叩き鮮やかに気絶させ 倒れこむ体を軽々と支えた。 @920 ・・・早い。 @1 あまりの早業にマリオンも対応が遅れ、 二人の手綱を離すこととなってしまった。 \sだが、不思議と悔しそうではない。 @134 う・・・く・・・。 @131 リョ、リョウヘイ? @200 へへ、またせたな親友。 @1 リョウヘイはシシトたちを 地面に寝かせると語りかけた。 @200 ちょっとだけ待っててくれよな。 あの野郎に キッチリ落とし前をつけさせてやるからよ。 リス!! @704 はい! @200 シシトたちのこと任せたぞッ! @704 イ、イエッサー! @200 良い返事だッ!! @1 それだけ言うと、マリオンに向かい直る。 @920 首筋たたいて気絶させるとはな。 \s簡単なようで難しいんだぜ、あれ? @200 こないだお前らにやられたからな。 体が覚えてたんだろうよ。 @920 なるほどね。 痛い思いをして覚えたことは、 嫌でも忘れねえって言うからな。 感謝して欲しいぜ。 @1 今までのふざけた調子とは違い、 心底嬉しいそうにマリオンは笑みを浮かべる。 @200 ああ、たっぷりお礼をしてやるぜ。 !se(Action)跳ね オレのダチたちの分もまとめてなッ!! @920 バカが! \sんな直線の動きくら・・・ !se(Shooting)撃破A ぐばはぁ!? @1 マリオンが所持していた銃を構えるが そんな動作すら上回るスピードで接近した リョウヘイの右拳が腹にめり込む。 @920 あ・・・かかあ・・・。 @1 よほどダメージを受けたのか、 口を魚のようにパクパクさせる。 だが、魔物だけあってリュウゾウのように 吹き飛ばされはしない。 @200 蹴りも食らっとけッ!! !se(Action)ドゴン @920 うがあああああ! !se(Action)ズシャアアー @1 そのまま拳を引き、 左足でえぐるように首筋を蹴り飛ばす。 さすがに今度は弾き飛ばされ、 マリオンは地面を舐めることになった。 @701 すげえ・・・。 @131 リス君、いったい何があったの? @701 おっとっと、忘れてた! !se(Event)アイテム入手A @705 リスヒール! @134 ・・・。 @131 ありがとう。 少し楽になったよ。 @701 おれの魔力じゃ完全回復は無理か。 @131 とりあえず起き上がれればいいよ・・・。 @1 そう言うと、シシトは上体を起こし リョウヘイとマリオンを見た。 @920 おおお・・・俺様にここまでするとは! \sやるじゃねえか、このガキがァ!! !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 @1 マリオンは地に伏したまま、叫び。 今度こそ銃を取り出して乱射した。 !se(Action)バリア音 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)バリア音 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)バリア音 !wait2 !se(Action)雷光 だが、そのことごくが リョウヘイに当たることなく消滅した。 @200 あいにくだが、効かねえよ。 原理はさっぱり分からねえがな。 @920 くく、教えてやるよ。 そいつは魔法ではなく 純然たる魔力による防御障壁さ。 並の攻撃なら 勝手に防御しちまう優れものだぜ? @200 ふーん。 どうでもいい情報ありがとうよ。 @1 リョウヘイは 心底興味無さそうに返事をする。 @920 へへへ・・・間違いねえな。 \sコイツはもう間違いねぇェェ!! @1 マリオンは起き上がりながら絶叫する。 その口調から感じる感情は、 怒気というより歓喜いや狂喜に近い。 @131 今のは・・・。 @701 どう見ても、あの時の結界だよな? @700 けど、今回は自我があるみたいだぜ? @131 そうみたいだね。 \s凄い力を肌で感じるけど 嫌な気配はしないよ。 @705 おっしゃあ! これならもう勝ったも同然だ! @709 リョウヘイ! \sいや、リョウヘイ大先生!! @705 そんな野郎、やっちまってください!! @131 ・・・。 @1 楽観的に喜ぶリス。 \s対してシシトは冷静に戦況を見ていた。 !bgm @131 (確かにリョウヘイが優勢に見える。  \sでも、あいつには散々踊らされてきた。) (屋上にも誘き出されたようなものだし  冬村さんたちを使うにしても  伏兵として配置していた。) (あんなにあっさりと  自分の能力をバラしたのも気になる。) @133 (あいつ・・・まだ何かある!) リス君! 僕にリスヒールを!! @700 へ?そんな必要ねえだろ? 今のリョウヘイなら勝てそうだぜ? @133 取り越し苦労ならそれで構わない!! 動ける程度でいいんだ! @701 お、おう、分かった。 !se(Event)アイテム入手A !wait5 !se(Event)アイテム入手A !wait5 !se(Event)アイテム入手A @1 シシトの剣幕に圧倒され リスはリスヒールを繰り返す。 !mvnil !wait20 !mv薙島高校 !bgm(タクミ)戦闘訓練 @920 へへへへ・・・嬉しいねぇ。 @202 あん? @1 マリオンはよろよろと起き上がる。 その動作から ダメージを受けているのは分かるが、 不思議と弱っているようには見えない。 @920 俺様は今、嬉しくて仕方ねえんだよ! 十年・・・十年待ち望んでいた 瞬間がもうじきくるんだからなぁ!! @202 分けわかんねえなぁ。 @200 けどまぁ・・・\s オレはテメエをぶっ飛ばせるのが嬉しいぜ。 散々・・・\s本当に散々やってくれたからな。 @1 その言葉と同時にリョウヘイの全身から 真っ赤なオーラが立ち上る。 特に右腕から発するそれは まるで燃え盛る業火の如く揺れ動く。 \s触れればすぐにでも\r[爆発,・・]しそうだ。 !bgm緊迫状況 @920 いやー、まだまださ。 今でも十分ちゃ十分だが、 せっかくだからよ・・・。 もう一つ死線を味わってもらうぜ? @1 そう言うとマリオンは 指の魔力の糸を実体化させる。 @200 そんなもんだしてどうすんだよ。 今のオレには効かねえぞ。 @920 もっと喜べよ。 \s今からこの学校の連中を解放してやる。 コイツは人形繰りと 同時には使えねえんでな。 @202 なに? @1 リョウヘイが訝しむと、 学校中に張り巡らされていた糸が戻る。 \sその数は数百どころか軽く千本を超えた。 @920 この糸をこうするとだ・・・。 !se(Action)ジュゴー @1 フワフワと漂っていた糸に魔力を流し込むと、 一瞬糸が直線にピン!と張ったが すぐ再びユラユラ蠢き始める。 @920 コレで準備は整ったぜ。 @1 両腕を大きく広げ、 糸を中空に漂わせると マリオンは高らかに宣言する。 @920 さて、お立会い!! \s俺様はマリオネットのマリオン!! 操り人形使いでございます!! 糸を使わせれば右に出るものはいねえ!! \sこれから見せるのは俺様の最終演目!! \s名付けて!【斬糸地獄】だッ!! @202 斬・・・!! @1 その名を聞いてリョウヘイは察する。 そう、糸には・・・! @920 死にたくなけりゃあ! もっともっと力を見せなッ!! !se(Action)ミス @1 マリオンは腕を振り下ろし 千本の魔力の糸をリョウヘイに叩きつけ 数本の糸が防御障壁に触れる。 弾かれる気配はない。 それどころか障壁を破りつつある。 @202 ちッ!! !se(Action)跳ね @1 危険を察知しリョウヘイは 全力で横に飛び退き、糸から逃れる。 \sその間わずかにほんの一秒。 キンッと何かが切れる音がすると、 コンクリートの地面とフェンスが裂かれていた。 切れて支えを失ったフェンスが幾つか 屋上から落下する。 @202 やっぱりかよ!! @1 まっすぐに張った糸、 特にピアノ線のような細い糸に 物を通せば、通した物は真っ二つになる。 力の入れ方によっては人体を 傷つけることさえ可能だ。 マリオンの糸は魔力によるもの、 硬さと柔軟性を兼ね添え、張っていなくても その切れ味はまったく変わらない。 @920 良い判断だ。 \sあのままだったら 細切れになってたところだぜ? お前程度の魔力の障壁なら、 俺様の糸で十分突破できるからなぁ。 @1 糸を漂わせながらマリオンは語る。 @202 人を操るしか能がねえのかと思えば! @920 いやいや、実際大したもんだぜ? コイツを使うのは女神と 十三剣どもとの戦争以来だからな。 俺様に奥の手を出させるとは、 予想以上の成果だぜ。 @202 テメエの言ってることは 何一つ分からねえなぁ。 @920 いいんだよ。 お前は分からなくてな。 で、どうする? 今のは小手調べに 頭上からの攻撃だけだったが・・・。 こんな風にぃ!! !se(Action)ミス @1 ヒュンと風切り音がなると リョウヘイの後ろのフェンスが十字に切断された。 @202 !! @920 こんなこともぉ!! !se(Action)ミス !wait3 !se(Action)ミス @1 マリオンが両腕を交差させて 振り上げると、落ちる直前のフェンスが ×の字にバラバラになった。 @920 ってな具合に粉々よ。 糸の間隔を広げて使えば 全方位攻撃も可能だぜ? この狭い屋上じゃあ 逃げ場はどこにもねえ。 @1 ニヤリと笑うマリオン。 \s斬る糸の地獄とはよく言ったものだ。 @202 ・・・。 @920 さあて、どうするか? なんて言っても お前には手は一つしかねえな。 かわすことも、防ぐこともできない。 \s遠距離攻撃もお前にはない。 なら、さっきみたいに突撃して 糸に当たる前に一撃で俺様を仕留める。 それしかねえな! @202 ・・・ちッ。 @1 リョウヘイの考えていた手を看破する。 \sだが、読まれていても手は他にない。 !bgm[追加]闇夜の死線 @200 ・\s・\s・\sいいぜ。 \sその誘いに乗ってやるよ。 @920 へー、潔いじゃねえか。 @200 テメエをぶちのめすのに、 小細工なんかいらねえってことだよ。 @1 そう言うと、 リョウヘイは足と右拳に力を集中させた。 @920 男だねえ!気に入ったぜッ! @1 マリオンはおどけた調子で両腕を振り上げる。 !se(Action)跳ね @200 テメエに気に入られたくなんかねぇ!! @1 リョウヘイは全力で疾駆する。 \s先程より早く、ひたすら早く!! だが、僅かに足りない。 \s銃という道具を使っていた時とは違う。 今、マリオンが使っている糸は、 肉体の一部といっても差し支えない。 工程はたったの一つ。 振り下ろすだけなのだ。 @920 この死線を乗り越えたら! テメエは正真正銘の・・・!! !se(Action)ミス @1 糸同士の間隔を広げ逃げ場をなくし、 一気に両腕を振りおろ・・・ !bgm !se(Action)跳ね @920 何っ!? !bgm(タクミ)戦闘訓練 @133 そうはさせないッ!! @1 振り下ろそうとしていた右腕を シシトに掴まれてしまった。 @920 村上シシト! テメエ、いつのまに!? @133 お前はリョウヘイにばかり 固執しすぎなのさッ! だから、これだけ 近づいても気づかなかった!! @1 シシトはすべての力を振り絞って、 マリオンの右腕を掴む。 @920 くっそ、放せ!放しやがれ!! @133 絶対に放すもんかッ! ご丁寧に技の説明をしてくれたお陰で、 弱点が分かったんだからねッ!! @1 確かにこの技は腕を振り下ろされれば 回避するのは極めて難しい。 中距離戦ならば 無類の強さを発揮するだろう。 だが、その起点はマリオンの指にしかない。 腕を掴み、動きを押さえさえすれば 簡単に破ることができる。 @920 ちっくしょ・・・! !se(Action)ミス @1 やむをえず左腕だけを振り下ろすが、 時既に遅し。 @200 よう、どこに攻撃してんだ? @1 リョウヘイはマリオンに肉迫していた。 @920 そ、そん・・・! @200 もういいぜ、シシト。 @131 うん、後は任せたよ。 @1 そう言うとシシトはマリオンの腕を離し、 力尽きるように座り込んだ。 @920 くっ、あああ!! @1 やぶれかぶれに糸を振り下ろそうとするが、 ここまで近づいてしまっては もはや意味を成さない。 @200 テメエに好き放題にされた奴らの痛み。 \sそして、オレの溜りに溜まった怒り。 まとめて受け取りやがれッ!! !se(Action)跳ね @1 リョウヘイは 右腕を最大限に振りかぶると マリオンの腹部めがけ繰り出した。 !se(Action)爆発音 爆裂。 炎のように燃え上がっていたオーラが、 マリオンにぶつかることで発火し ついに爆発を起こしたのだ。 @920 あがああああ!! !se(Action)跳ね !wait40 !se(Shooting)撃破A @1 マリオンは断末魔の悲鳴をあげながら、 爆発の勢いで空中へと吹き飛ばされ フェンスを超え屋上から落下していった。 !bgm @202 ・・・何だ今の? @131 ははは、まるで ロケットランチャーの爆発だね? @200 ああ、あん時の・・・。 \sま、オレの必殺技ってとこかな。 @202 って、お前大丈夫かよ? ボロボロのくせに無茶しやがって。 @131 リョウヘイほどじゃないさ。 @200 ま、お前があんとき 近づいてきてるのに気づかなかったら あんな中に飛び込んだりできなかったさ。 お前のことだから、なーんか 企んでるんだろうなぁと思ってな。 @131 ははは、 信用してもらえてありがたいよ。 !bgm安らぎ @200 何にしても、スカッとしたぜ。 @131 ・・・うん。 @704 ハァハァハァ・・・。 @202 あん?なんだリス。 えらく疲れてんな。 @704 シシトのリス使いが荒すぎるんだよ! @202 は? @131 結果オーライだよ。 @709 まあ、S級魔物を倒せたしな! @705 これでおれも昇給まちがいなしだぜ! いやっほー!! @131 ・・・これだけ物的被害だした上に、 一般人を巻き込んで昇給なんかするの? @701 う・・・。 @200 ま、オレらには関係ねえし。 気にすることもねえだろ。 @130 そうだね。 @704 ひでえ!! @202 ほら、手貸すぜ? @131 ああ、ありがとう。 @1 リョウヘイはシシトに肩を貸す。 @200 終わったな。 @130 うん。 @200 これで明日もいつも通り・・・だな。 @131 ・・・そうだね。 !se(Action)学内歩き !mvnil !bgm @1 シシトにはああいったものの。 \sオレは確かに何かが変わった。 この力もそうだが、あのマリオンの態度。 気になることは山ほどある。 それに、あの声のことも。 俺は・・・\s これからどうなっちまうんだろう? !wait30 !mv薙島高校 !bgm安らぎ @705 リスヒール!! !se(Event)アイテム入手A @701 うおー・・・、さすがにもう限界だ。 さっきのシシトへの連続リスヒールと、 サユキちゃんとセトちゃんの分合わせて 十回以上は使ったからな。 魔力も空っぽだ。 @130 お疲れさま、リス君。 @705 尊び敬え!! @200 ああ、お前が シシトを回復してなかったら オレもやられてたかもしれねえ。 感謝するぜ。 @700 お、おう。 @701 (普通に感謝されると  こそばゆいな。) !bgm緊急事態 @400 う、うぅぅん・・・。 @410 ん・・・。 @704 おい!やべえぞ!! 二人が眼覚ましそうだ!! @132 なにいぃぃ! いくらなんでも回復早すぎるよッ! @704 シシト変身解除しろ! @132 でも、魔物殴ってないよ!? @704 力一杯握りしめただろ! アレもカウントされてるはずだから きっと大丈夫だ! @132 わかった!! @202 ん? まてよ、慌てて解除しなくても・・・ @132 変身解除!! @1 パアアアアア !v27=0 !bgmサブコミカル @100     @104 しまったあああ!! @201 アホ!! \s人の居ないとこに行って 解除すればよかっただろうが!! @104 その手があったかぁぁぁ!? @201 こないだの騒動忘れたのかよッ! @705 説明しよう! \sこの間とは相良リュウゾウに拉致され、 その事件を解決した時の話である。 フォックスが去り、 リョウヘイに正体を明かすために 変身を解除した直後。 計ったようなタイミングで 警察が踏み込んできたのだ。 当然さまざまな誤解をされたのだ! @202 お前は なにを他人事みたいに言ってんだ!? @400 あれ?先輩? @410 シシト君? @102 や、やあ、おはよう二人共・・・。 @400 おはようございます・・・って @401 なんで裸なんですか!! @412 シシト君・・・キャ!! (とかなんとか言ってしっかり見る) @104 リョウヘイ! @202 どうフォローしろってんだよ。 @101 さっきまでの 信頼関係はどこにいったんだ! @200 今、全部消えた。 @104 あっさり消えすぎだろ 僕らの友情と信頼!! @701 チチッ! (リスのフリ) @400 ・・・えっと・・・? \sなんで私たち先輩の学校に居るんですか? @410 え? ここ薙島高校? @400 薙島高校の屋上みたいです。 \sなんだかボロボロですけど。 @102 これには深いわけが・・・ !se(環境)サイレン @1 ファンファンファン @602 シシト君!また裸になって!! ちょっと署まできてもらいましょうか!? @104 うぼおおお!! @202 (幻視結界ってのもう解けたのか?) @701 (みたいだな・・・。) @701 (タイミング的にはシシトが  変身解除したあたりか?) @200 (マリオンの野郎を倒してから  少し間が開いてるな。) @700 (まあ、誤差みたいなもんだろ。) @202 (最後の最後まで嫌な野郎だ。) @701 (ていうか、  この人確実にワープしてるよな。) @202 (そうだな・・・) @601 あら? あなたたちは・・ @400 ・・・? @410 ・・・? @602 シシト君!! @102 は、はい? @602 彼女たちは薙島女子の生徒じゃない!! あなたとうとう誘拐まで!? その上、 屋上をこんなに破壊するなんて! 学級崩壊どころか学校崩壊ねッ! @104 誤解だああああ!! @602 この間は被害者だったから、 大目に見て服まで貸してあげたけど、 今回は厳重な取調べが必要ね!! @404 まってください!! @403 私は先輩なら・・・。 @412 そうね、シシト君なら・・・。 @104 君らそれフォローになってない!! @101 リョウヘイ!! @202 もう一度だけ言うぞ? @200 無理だ。 @701 チチッ @104 うぼああああ!!! @602 いいから来なさい!! !se(環境)サイレン @1 ファンファンファン @202 つくづく報われん奴だな。 @701 チチッ(全くだ) !bgm @202 ・・・あ、あれ? @1 突然リョウヘイは体から 力が抜けていくのを感じる。 同時に猛烈な睡魔が襲ってくる。 @400 岸先輩? @410 岸くん? @202 なんだ・・・眠い・・・? @1 抗いきれずリョウヘイの意識は遠のき その場に倒れてしまった。 !mvnil @704 チチッ!! (おい、しっかりしろ!!) @1 「岸くん!?」 「保健室に・・・!」 !wait40 !se(環境)サイレン @601 そういえば、こないだの・・・ \s岸リョウヘイくんだっけ? @102 どうかしましたか? @600 彼、いつからあそこにいたの? @102 最初からいましたよ? @601 そう? おかしいわね・・・。 @600 裸の貴方を見つけた時には・・・ @1 「カメラに映ってなかったわよ?」 !bgm !mv住宅地 !wait20 !se(Action)学内歩き !wait10 !se(Action)学内歩き !wait10 !se(Action)学内歩き !wait10 !se(Action)学内歩き @1 「ハァハァ・・・。」 !bgmサスペンス @920 へへ・・・へへへ。 @1 住宅地の路地裏。 そこにマリオンはいた。 リョウヘイに敗れ、 屋上から落ち重症を負ったものの まだかろうじて生きていたのだ。 出来る限りひと目に付かないように ズルズルと足を引き釣りながら歩く。 向かう先は相棒のいる隠れ家・・・ \sではなく病院だ。 マリオンは実体を持たない寄生生命体だ。 \s今の体が壊れても、新しい死体に乗り換えれば 命をつなぐことが出来る。 だから新鮮な死体がある可能性が高い 病院に向かっているのだ。 裏を返せば今の体が壊れれば、 マリオンも道連れになってしまう。 @920 見事だ・・・実に見事だったぜ。 岸リョウヘイ、ありゃあ想像以上だ。 へへへ、次は別の顔で揺さぶってやる。 そして、必ず・・・必ずあの方を・・・ !bgm @1 「残念ですが、あなたに次はありません。」 @920 なにッ!? !se(Action)ミス @1 刹那。一陣の風が通りすぎた。 @920 あ・・・あが・・・? @1 風が止んだ直後、マリオンの首が 鋭利な刃物で切られたように パックリと裂けた。 不思議と血は流れない。 当然だ、この肉体は当の昔に死体なのだ。 生きている証など一つも残ってはいない。 風が通り過ぎた先。 冷酷な視線でマリオンを見る者がいた。 その手には柄に五芒星が描かれた ナイフが握られていた。 @920 きしゃ・・・きしゃまはぁぁぁ!! @1 自分の喉笛を切り裂いた主を見ると、 声にならない叫びをあげる。 @920 たひゃ・・・ひょひゅしゃまぁぁ!! @1 誰かの名前を叫びながら天を仰ぐと、 ついにマリオンは絶命し、灰になり消滅した。 その灰の山に一個の小さな宝石が残っている。 \sマリオンにトドメを刺した者はそれを拾い上げた。 「・・・あの子の力をこんなくだらないことに。」 !se(Action)ミス ギリッと歯ぎしりをし、宝石を宙に放り投げる。 !se(Action)バリア音 一閃。 宝石はナイフで真っ二つにされると 地面に落ちて輝きを失った。 「・・・\sふう。」 ややあって大きくため息をつく。 「やれやれ我ながら感情的になりすぎですね。」 いつもの軽口に戻ると薙島高校の方角を見る。 「マリオンを瀕死に追い込むほどの力。」 「怒りに任せた覚醒とはいえ、  その根源は絆によるもの・・・。」 「現状ではどちらに転ぶかは五分五分ですかね。」 そう独り言を呟いた。 「さて、コチラも次の仕事に移りましょう。」 !se(Action)学内歩き それだけ言い残して、 声の主はその場を去っていった。 !mvnil !wait20 !mv警察署コンピュータ室 @1 同時刻、アクアフロート某所 !bgmサスペンス @910 ・・・マリオンの気配が消えたか。 少々遊びすぎたようだな。 あいつの悪い癖が出たのだろう。 @1 苦々しげにゲングは呟く。 !se(Action)重いドア開け !wait5 !se(Action)学内歩き 「マリオンを片付けるほどに  器の覚醒が進んだということだろう。」 扉が開き、一人の男が部屋に入ってきた。 その態度は極めて尊大である。 ゲングは立ち上がり、男にかしづいた。 @910 お加減はよろしいのですか? @1 「ああ、この体はなかなか悪くない。  魂が馴染むのも時間の問題だろう。」 「いい体を見つけ、育ててくれたな。  \s礼を言うぞ。」 @910 そのお言葉、できれば私ではなく マリオンにお伝え下さい。 あやつは貴方様の目覚めを 私以上に望んでいましたゆえ。 @1 「うむ。無論、奴にも感謝している。」 @910 差し出がましいことを申しました。 @1 「構わん。」 @910 しかし、本来の器の方は 我々が見つけた適格者ではないため。 完成まで少々時間がかかりそうです。 @1 「ふっ、その下準備もできているのだろう?」 @910 もちろんです。 @1 「ふふふ、やはりお前は頼りになるな。」 @910 勿体無きお言葉。 @1 「この体が馴染みきるまで、全てお前に任す。」 「期待しているぞ?」 @910 はッ!! !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)重いドア開け @1 それだけ告げると男は部屋から出て行った。 @910 さて・・・ @1 礼をしながらその後ろ姿を見送った後、 ゲングは懐から携帯電話を取り出す。 !mvゲームセンター !bgmゲームセンター !se(Action)ハンドガン !wait5 !se(Action)ハンドガン !wait5 !se(Action)ハンドガン !wait5 !se(Action)ハンドガン @1 「・・・。」 少女がガンシューティングで遊んでいる。 その内容はゾンビになった町の人々を倒して、 ボスを倒すというありふれたものだ。 !se(Action)ハンドガン !wait5 !se(Action)ハンドガン !wait5 !se(Action)ハンドガン !wait5 !se(Action)ハンドガン 「・・・。」 少女は無感情に 襲い来るゾンビの眉間を正確に撃つ。 \s極めて的確に\s撃つ。\s撃つ。\s撃つ。 「・・・ん?」 ふとズボンのポケットから振動を感じる。 \s携帯に誰かから電話が入ったのだ。 !se(Action)カチャッ 器用に左手だけで携帯を操作し電話にでる。 \s名前を確認する必要はない。 「もしもし?」 !se(Action)ハンドガン !wait5 !se(Action)ハンドガン !wait5 !se(Action)ハンドガン !wait5 !se(Action)ハンドガン 「うん・・・うん。」 会話しながらも右手でガンコンを操作し ゾンビを撃ち続け、ついにはボスに辿り着いた。 「へえ、あいつやられたんだ。」 「で、次はアタシの出番なんだね?」 自身の残りライフを顧みず、ボスを撃ち続ける。 「うん、わかった。\sじゃ切るね。」 !se(Action)カチャッ 電話を切ると少女は改めて 両手でガンコンを握って構え直す。 !bgm 「楽しみだよ・・・。」 自身の残りライフは1。 だが、ボスも同じく1だった。 そして・・・ 「こんな世界・・・\s\c[2]壊れればいい。\c[0]」 !se(Action)ハンドガン 少女がトリガーを引いた瞬間、 絶妙なタイミングで互いにダメージを受け \sゲームオーバーの画面に切り替わる。 !mvnil .\s.\s.\scontinue? !wait60 @1 真説・\r[幻影帳,シルエットノート]異聞 第二章「覚醒」了 次回 真説・\r[幻影帳,シルエットノート]異聞 第三章「憎悪」