#真説・幻影帳異聞 第四章「鮮血」 前編 !bgmサスペンス 子供の頃のアタシはそれなりに幸せだったと思う。 けして裕福ではないけれど、 生活に困るほど貧しいと言うわけでもない。 そんな家に生まれてなに不自由なく生きていた。 それが幸せであるという事も知らずに・・・ あれは、九歳の時だ。 道に迷ったというおじいさんを道案内をした。 おじいさんはお礼にと青いガラス玉を、 アタシにくれた。 アタシはそれを宝物にした。 綺麗だったということもあるけれど 人助けをしたことが誇らしかったからだからだ。 その証として アタシはガラス玉を肌身離さず持ち歩いた。 そんなある日だった。 クラスの男子達がガラス玉をアタシから奪い取った。 子供の悪ふざけのつもりだったんだろうけど、 アタシにとっては冗談では済まされないことだ。 どれだけ「返して!!」と言っても、 彼らはアタシをからかうだけだった。 ・・・アタシはそいつらを憎んだ、 生まれて初めて憎しみを覚えた。 今考えればそれは憎しみというには あまりにも幼い想いだった。 普通ならなんの事はない小さな感情。 それが始まりだったんだ。 そう想った途端、 あいつらの持っていたガラス玉が光った。 今までに見た海のような青い輝きではなく、 ドス黒い、まるで深海の闇のようなそんな光。 するといきなり強い突風が吹き荒れ、 あいつらは全員怪我をして倒れこんでしまった。 アタシはきっと神様が助けてくれたんだと思った。 アタシの宝物を奪った 悪い奴らを懲らしめてくれたんだと。 酷く幼稚な考えだと思う。 そして、アタシはガラス玉を取ると家に帰った。 ・・・次の日、 アタシの家にあいつらの親が怒鳴り込んできた。 なんでも、何もしていないあいつらを、 アタシが怪我させたと言うのだ。 そんなのは大嘘だ。 アタシの宝物を奪っておいて・・・。 アタシはその事をはっきりと言った。 けど、怒鳴り込んできた親達は聞きはしなかった。 だんだんと強い憎しみがこみ上げてきた。 悪いのはあいつらなのに、なんでアタシや お父さん達が攻められなければならない? 嘘をつく子供も、 それを見抜けず盲目に子供を信じる親も、 憎くて仕方がなかった。 そして、ガラス玉はあのドス黒い輝きを発した。 アタシはその時から・・・ \c[2]化け物\c[0]になった・・・。 !bgm !v5=1 !mv海岸公園 !bgs(環境)波の音 @430 \s・\s・\s・。 !bgs !mvコンビニ !v28=1 @200 オレとお前はダチだろ? なら気にしないで悩みがあったら 遠慮せずに話せよな。 別に今じゃなくたっていい。 話したくなってからで構わねえから。 !mv海岸公園 !bgs(環境)波の音 @430 ダチ、か・・・。 リョー・・・。 !mvnil !bgs @1 「ごめんね・・・。」 !wait40 真説・\r[幻影帳,シルエットノート]異聞 第四章「鮮血」 !wait20 !mv住宅地 !bgm緊迫状況 !v27=1 @103 よし、海岸公園に行くよッ!! @830 うむ。急ごう。 @704 ちょっと待てシシトッ!! @103 どうしたのッ!? @830 どうした、リス。 お前も納得したんじゃないか。 まさか、気が変わったのか? @704 んなことじゃねえよッ!! \sクロウ、お前も気づいてねえのかよッ!! @830 む? @100 なんのことさ? @701 うわ、本気で気づいてねえ・・・。 @102 いや、なにが? @701 お前・・・ @701 このまま、まっすぐ行っても・・・ !bgmサブコミカル 変身する場所ねえじゃん? @102 あ。 @833 あ。 @704 あ。じゃねえよ!! @701 只でさえヤバそうな相手なのに、 変身しないでいったら瞬殺されるぞ? @102 ・・・危なかった。 @701 お前らが頼りなんだから、 しっかりしてくれ。 @833 う、うむ、すまん。 !bgm夜の静けさ @102 うわー、しまったなぁ。 慌ててすっかり忘れてたよ。 紙袋も持ってきてないし、 まさか家に戻るわけにもいかないし。 @833 どこか変身できる場所はないのか? @700 中央公園でいいんじゃね? @100 でも、 そうしている間にいなくなってたら? @830 それについては心配ない。 \s先程から魔力は移動せずに 同じ場所に居る。 それにこれだけ大きな魔力なら 仮に移動しても我やリスで 探知できるだろう。 @102 ・・・リス君も? @830 我らはいわば魔法生物だからな。 魔力には敏感なのだ。 @830 それにリスは魔力の感知\c[2]だけ\c[0]は、 かなりのものだぞ。 @704 だけってなんだよ!! @833 ・・・他の成績は最下位だろうが。 @701 う・・・。 @100 わかったよ。 とりあえず中央公園で変身しよう。 @102 ちょっと遠回りだけどね。 @701 このまま行って殺されるよりいいだろ。 @102 そうだね・・・。 !se(Action)学内歩き !mvnil !wait30 !mv中央公園 @100 じゃ、いつもの茂みで。 @833 いつもここで変身してるのか? @701 しょうがねえだろ。 カメラの死角がわかんねえんだから。 @100 よっと。 @10001 スチャ @833 ・・・ん? ちょっと待てシシト。 @103 う、生まれるー!! @831 話を聞けッ!! @705 お約束だからツッコミは無視だッ! @103 がんばれ春子!ヒッヒッフーだ! ヒッヒッフー!(以下略) @831 あまつさえ略しただとッ! @705 時代はエコだぜッ! @831 エコじゃないだろッ!? !se(Action)ジュゴー @1 パアアアアア !bgmバトル01 @133 よし!変身完了!! @705 オカ魔女っ子ナナシ! 華麗に参上だぜッ! @831 なッ・・・!! @131 あ〜〜、また台詞で。 @700 定番ネタだからしゃーねえだろ。 @831 な・・・ !bgmサブコミカル @831 なぜ、女の姿になるッ!! @131 え? @701 へ? @833 ちょっとステッキを見せてみろ。 @130 え? @10001      @831 やっぱりかッ!! @131 なにが? @701 どした? @833 リス、これを持ってきたのはお前だな? @700 当たり前じゃねえかよ。 おれ以外の誰が持ってくるんだ? @833 バカ者! これは・・・\s女用のステッキだぞ!! @132 はいッ!? @704 なにッ!? @833 マジカルステッキには 男用と女用があると教わっただろう? @701 ・・・そうだっけ? @833 マニュアルの13ページを読んでみろ。 !se(Action)ページをめくる @707 え〜〜っと。   ←心を鷲掴む女神の使いマニュアル !se(Action)ページをめくる マジカルステッキには 男性用と女性用があり・・・ 女性用はヒロインタイプに変身。 男性用はヒーロータイプに変身する。 男性用は物理攻撃もできるように 棍に近い形状をしている。 @701 ・・・マジだ。 バッチリ写真も載ってる。 @833 こんな基礎中の基礎を忘れるんじゃない。 だから成績最下位なんだお前は。 @701 ・・・返す言葉もございません。 @131 ちょっと待って。 じゃあ、 僕は今まで女用のステッキで 変身してたの? @833 ・・・なんで変身できるのだ? @132 知るか!! !bgm神秘 @830 どうもろくに 説明も受けていないようだから もう少し詳しく話そう。 マジカルステッキを含めた マジカルパレスから支給される 道具類をマジックアイテムと呼ぶ。 これらは基本的に能力で劣る人間が 魔物と戦うための武具のようなものだ。 マジカルステッキは 見習いが使うアイテムで、 最初は必ずこれが支給される。 戦闘能力の向上はもちろん、 魔力の制御補助、正体を隠すなど 未熟を補うために汎用性が高いアイテムだ。 そして、成長し魔道士クラスになると 得意分野に応じた「剣」や「盾」といった 特化した能力のマジックアイテムと交換する。 身体能力強化は 他のマジックアイテムにもあるが、 変身はマジカルステッキだけの能力だ。 @833 当然、変身後の問題があるから ステッキは男女別の物が支給される・・・。 !bgmサブコミカル @131 ・・・。 @701 ・・・。 @131 クロウさん? @833 なんだ? @131 男が女用のステッキ使うとどうなるの? @833 エラーが発生して何も起こらん。 @132 そうなのッ!? @833 だから、 なんで変身できるのだ?と聞いたのだ。 @132 知らないってばッ!? @705 シシトは神に選ばれた オカ魔女っ子ってことでいいじゃん!! @833 お前はその神の使いだろうが。 @701 さいでした・・・。 @131 要するに、この格好は リス君の不勉強のせいなんだね・・・。 @704 おれだけのせいじゃねえよッ!! @130 男用のに 交換してもらう事は出来ないの? @833 前例が全くないから分からんが 恐らくは無理だ。 @132 なんでッ!? @830 ステッキで一度変身してしまうと 他の物では変身出来なくなるのだ。 他人の物で変身して悪さしないように セキュリティ機能がついていてな。 @131 また要らないところに気を使ってるね。 @833 ま、まあ、能力自体は 変わらないからいいではないか!! それに成長していけばその内 他のアイテムがもらえる!! 今だけの辛抱だ。 @131 で、剣とかもらえるようになるまで 一体どれくらいかかるのさ? @833 ・・・\s最速で3年。遅ければ8年。 @132 長いよッ!? @131 今思い出したんだけどさ。 リス君は僕の事、 女だって信じて来たって言ってたね。 @701 う、古い話を・・・。 @131 だから、女用持ってきたんじゃない? @700 ・・・。 @701 ・・・。 @720 ・・・。 @132 燃え尽きてごまかすなッ!! !bgm緊迫状況 @830 この問題のことは後にしよう。 そろそろ海岸公園に行くぞ。 @131 ・・・。 @130 しょうがないね。 @705 おう!急ごうぜッ!! @131 リス君は後で冷凍庫十時間の刑ね。 @704 死ぬって!!! @133 よし行こうッ!! @704 無視すんな!! @833 これで本当に大丈夫なのか? !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !bgm @1 シシトたちは海岸公園へと走る。 @131 ・・・ねえ。クロウさん。 @1 ふと走りながらシシトがクロウに話しかけた。 @830 どうした? @131 さっきの話で少し気になったんだけど。 マジックアイテムがないと 人間は魔物と戦えないってこと? @830 一概にそうとも言い切れんな。 マジカルパレスも全ての能力者や 才ある者を把握できているわけではない。 中には魔物以上の力を持つ者や 魔法とは異なる超常能力を持つ者もいる。 だが、そういった者たちも 何かしらの道具は使うはずだ。 @131 ・・・そうなんだ。ありがとう。 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !mvnil @1 それだけ尋ねるとシシトは黙って走りだし 夜の闇を駆け抜けていった。 !wait30 !bgm夜の静けさ !mvシシトの部屋 @1 秋から冬へと変わり行く十一月。 今夜はそれなりに冷たいが、 身震いするほどの寒さはない。 開かれた窓から入り込む風を感じながら リョウヘイは外を眺めていた。 @200 ふう、そろそろ窓閉めるか。 @1 窓に手をかけると海岸公園の方を見る。 @200 ・・・。 !bgm !mvコンビニ @430 ・・・やり直しが出来るから。 @1 は? @430 こっちがやられても 失敗しても何度でもやり直せるから。 !bgm夜の静けさ !mvシシトの部屋 @1 昼間、ミキが見せた顔を思い出す。 常に明るく、冗談めかしていた友人が 昨日突然見せ始めた暗い顔。 @202 ミキの奴、なに悩んでんだろうな。 まあ、考えてもしゃあないか。 @1 そう言って窓を閉めると リョウヘイは再び違和感を覚える。 @200 ・・・。 @202 なんか、また妙な感じがするな。 @200 ちょっと早いけど、 散歩でもしながら海岸公園まで行くか。 !se(Action)学内歩き !wait10 !se(Action)ドア開け !wait20 !mv自宅 !se(Action)ドア閉め @530 リョウヘイどこいくんだ? @1 居間で新聞を読んでいた エイジに呼び止められる。 @200 ちょっと散歩行って来るわ。 @530 お、そんじゃあお父様に ビールを買ってきてくれねえか? 買い置きが切れちまってな。 @202 自分で買って来いよ。 ダチと待ち合わせてるから すぐには帰ってこれないぜ? @530 村上のせがれか? @200 違うよ。 @530 んじゃ、包帯の兄ちゃんか? @202 違うって。 @530 なら・・・\s女か? @200 ・・・。 @530 へっ、当たりか。 @202 間違っちゃいねえけどな。 @530 そうか・・・。 @1 この親父のことだからきっと茶化してくる。 \sリョウヘイはそう思っていたがエイジは 酷く真剣な顔で語りかけた。 @530 リョウヘイ。 @200 なんだよ? !bgm黄昏 @530 その女が お前にとってどういう存在なのかは 俺には分からん。 だがな、もしその女が大事なら。 そいつを守ってやりな。 @202 いきなりなにくせえ事言ってんだよ。 @1 今まで見たこともないような真剣な顔で エイジは続ける。 @530 いいから黙って聞け。 @200 ・・・。 @530 俺はな、お前に 俺と同じ後悔をしてほしくねえんだ。 俺はアイツを守れなかった。 @1 エイジが言うアイツ。 そんな人物は一人しかいない。 @202 母さんが死んだのは親父のせいじゃねえよ。 @1 オレのせいだ。 リョウヘイはそう続けようとするが エイジの言葉に遮られた。 @530 いや、俺のせいだ。 あの時、 もっと俺が気をつけてさえいれば あんな事にはならなかった。 母さんの死は俺の責任だ。 @1 エイジの顔に後悔の色が浮かぶ。 @200 ・・・。 @530 もしそいつが苦しんでるんだったら 手を貸してやれ。 そいつの問題は そいつ自身が解決するもんだ。 だが、手助けしたり、 中傷から守ってやる事はできる。 @202 ・・・\s親父。 @530 なんだ? @200 オレ、そいつに似たようなこと言ったわ。 @530 ・・・そうか。 @1 リョウヘイの返事にエイジの顔が わずかに緩んだ。 !bgm夜の静けさ @200 親父ほどくさくはなかったけどな。 @530 うるせえなぁ。 俺も偶には真面目になるんだよ。 ほら、女をあまり待たせるな。 @202 引き止めたのは親父だろ。 @200 んじゃ、いってくるわ。 !se(Action)学内歩き !wait10 !se(Action)ドア開け !wait30 !se(Action)ドア閉め !bgm @530 ・・・。 【肉体】と【魔力】は惹かれ合う、か。 @1 エイジは海岸公園のある方向を睨む。 \sそこに今、彼の愛する者を奪ったヤツと 極めて似た魔力を感じるからだ。 @530 おい、いるんだろ。 !bgmサスペンス @1 「・・・\sやれやれかないませんね。」 いつかのように窓の外から声が聞こえる。 「さすがは【最強の剣】と謳われただけはある。  引退しても腕は錆びていないようですね。」 「いつから気が付いていました?」 @530 アホか。 \sお前の役目はアイツの監視なんだ。 ここにいねえわけがねえだろう。 @1 「一応護衛なんですがね。」 ふう、とため息をつきながら語る。 @530 頼みがある。 @1 「なんですか?」 @530 もしもあいつがヤバくなったら 助けてやってくれないか? @1 「残念ながら私は・・・」 声の主が断ろうとした時、 エイジが頭を下げながら語る。 @530 お前の密偵としての立場は分かってる。 \sけど、それでも頼む。 俺の手で助けてやれるならそれでいい。 だが、俺は \r[あの条件,・・・・]を守る時以外は剣を取れねえ。 だから、お前に頼む!! リョウヘイを助けてやってくれ!! この通りだ!! @1 恥も外聞も捨て頭を下げ続けるエイジ。 姿は見えずともどれだけ必死かは 声の主にもよく分かった。 「・・・\sわかりました。」 「戦友に頭を下げられて断れるほど  私も人でなしではありません。」 「ですが知っての通り、  私は本来の力を発揮できません」 「それでもよろしいのでしたら善処します。」 @530 ・・・\sああ、それでかまわねえ。 無理言って悪かったな。 @1 エイジは頭を上げるとホッとしたように語った。 「お気になさらず。  \s私もできれば彼女の願いを守りたい。」 @530 ・・・すまねえな。 @1 「では。」 !se(Action)跳ね そういうと声の主の気配は消えた。 !bgm @530 ・・・\sリョウヘイ。 !mvnil @1 「怒りに飲まれるんじゃねえぞ。」 !wait20 !mv海岸公園 !bgs(環境)波の音 @430 ・・・。 @1 柵に手をかけ海を眺める。ただ漫然と見続ける。 その行為に意味はない。 \s特に海が好きというわけでもない。 話をするにはここが一番都合が良かった。 \sそれだけだ。 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き @1 背後から誰かの足音が聞こえる。 約束の時間にはまだ早いがミキは 彼の名を呼びながら振り返った。 @430 ・・・リョー? @1 だが、そこにいたのは 期待した人物ではなかった。 @133 着いたッ!! @704 ぜーはーぜーはー!! @833 はっはっはっ・・・!! @131 どうしたの? @704 いくらなんでも早すぎんだよッ!! 振り落とされないように 必死だったんだぞッ!! @833 変身してるにしても ありえない足の速さだな・・・。 @131 なんだ情けない。 @704 情けなくねえよッ!! お前がおかしいだけだって!! @131 はいはい。 @133 それで、魔物は・・・? @132 うおッ!! @700 なんだよ、急にどうし・・・ @704 ッ!! @430 ・・・。 @1 一騒ぎした後にシシトたちは ようやくミキの存在に気づいた。 ミキはじっと彼らを見ている。 その瞳は冷たい。 @132 ミキッ!? @131 ど、どうしよう? @701 もうどうしようもねえだろ。 おれもクロウもバッチリ喋ってたし。 @830 ・・・。 @1 焦るシシトたちに対して クロウだけはミキを見据えたままだ。 @701 説明してみるか? @131 もうそれしかないね・・・。 @830 いや、その必要はない。 @1 クロウは冷静な口調で二人を止める。 @130 え? @830 あの娘の周りを見てみろ。 @130 え? @133 なッ!! @700 どうし・・・ @704 うえッ!! !bgs !bgmサスペンス @1 二人はクロウに促された場所を見る。 \sそこには二人の男が倒れていた。 衣服は焦げ、露出した肌には幾つか火傷がある。 @133 これは・・・。 @830 幸い気絶しているだけのようだが、 あの傷から考えると打撃などではなく 魔法で攻撃されたのだろう。 @704 じゃあ、この近くに魔物が! なら尚更ミキちゃんを ここから離さなきゃダメじゃねえか!! @830 まだ気が付かないのか? @700 へ? @830 あの娘、目の前に 倒れている人間がいるにも拘らず 平然と立ったままだ。 普通なら慌てるなり 助けを呼ぶなりするだろう? @133 まさか・・・! @704 あれをミキちゃんがやったってのか!! @830 そうとしか考えられん。 @430 ・・・。 @1 ミキは一言も喋らない。 会話の邪魔はしないし、する気もないのだろう。 @830 それにリス。 お前も言っていただろう。 @700 なにをだよ? @830 魔力の持ち主は 魔物かどうかはわからない、とな。 @704 あ!! @430 あんた達が来ちゃったか・・・。 \s思ったよりやるんだね、シシト。 @133 な!! @704 おいおい!! @830 これで間違いない。 魔力の発生源は彼女だ。 @430 あ〜〜あ、うまく隠してたんだけどな。 @1 ミキはまるでイタズラが失敗したかのように いじけた風に足元の小石を蹴る。 @430 あんたの前じゃ魔法使わなかったし、 ただのゲームが好きな女の子を 演じてたんだけどなぁ。 最後の最後で、 このゴミ人間のせいでばれちゃった。 @1 ミキが蹴った小石が 倒れている男の片割れの頭に当たる。 @133 演じてた・・・? @701 隠してたってどういうことだよ? @1 彼らの疑問に答える気はないらしい。 ミキは一度足元を見るようにうつむく。 @430 は〜ぁ、面倒だけどしょうがないか。 カメラはもう壊しちゃったから、 警察来たりもしないだろうし。 シシト。 @130 え? @430 ちょっと気が進まないんだけどさ。 !bgm @1 顔を見せニコリと笑うミキ。 \sそれは朗らかな笑みではなく 攻撃性と残虐性を秘めた笑顔だった。 !bgm緊迫状況 @430 \c[2]死んでくれないかな? !se(Action)ジュゴー @1 瞬間。ミキの全身から魔力がほとばしる。 稲光のように発光しハッキリと視認できる。 @133 ミキッ!? @704 これだ! さっき感じたものすげえ魔力!! @701 じゃあ、本当にミキちゃんが・・・。 @830 油断するな来るぞッ!! @430 ・・・\s雷光。 !se(Action)雷光 @1 ミキが手をかざすと シシトに向かって紫電が閃く。 !se(Action)跳ね @132 うわ!? @1 だが、シシトは間一髪で回避した。 @430 お、さすがにそこのゴミとは違うねー。 甘く見すぎたかなぁ? @1 ケラケラと笑いながらミキは語る。 @704 あ、あぶねえええ!! @833 油断するなといったろうッ!! @133 でも! @830 シシト、あの娘は 一般人を魔法で攻撃したのだ! 感傷的になるなッ!! @131 う・・・。 @701 けどよう・・・。 @700 ミキちゃん昼間あんなに楽しそうに・・・。 @830 魔物退治はもちろん 魔法や力を悪用する者を止める! それが我らの役目だッ! 私情に囚われていれば死ぬぞ!! @1 戸惑う二人をクロウが一喝する。 \sその言葉を聞いていたミキの顔が 酷く不愉快そうに歪んだ。 @430 アンタたちっていつもそうだね。 @830 なに? @430 正義の味方ぶって、 こっちの事情を聞きもしない。 そいつらが どんな人間だか知ってて言ってる? そいつら、アタシに絡んできたんだよ? きっと他にも同じ事したに決まってる。 無抵抗ならもっとひどいことしたかもね。 なんでそんな奴ら助けようとするの? @830 その者たちに守る価値があるかは 今は考慮しない。 ミキ、お前は魔法を使って一般人を害した。 \s躊躇なく力を使う者を放っておけば 被害が大きくなる可能性もある。 だから我らは戦ってでも お前を止めるのだ。 @430 ・・・はぁ。 シシトたちはさー、 そんなに正義ぶってないから 嫌いじゃなかったんだけど。 \c[2]アンタは嫌いだわ。 !se(Action)ジュゴー @1 怒りと嫌悪に満ちた酷薄な顔になる。 それに共鳴するように全身を包む魔力が スパークする。 @430 というわけで、シシト。 アタシ達は戦わなきゃいけないだってさ。 @133 ミキ・・・。 @430 どっちにしても アタシはあんたを殺すけどね。 あんたが攻撃しなくても容赦なく。 ここに来ちゃったのが不運だったね。 あんたって本当についてないよ。 @1 シシトに向かって手をかざす。 その手はパチパチと電気を帯びている。 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 ほどなくミキの手から雷撃が放たれる。 先ほどよりも強く、速い。 @133 うッ!! @704 シシト!! @830 いかん!! !se(Action)跳ね @1 クロウがシシトを庇い かろうじて雷から逃れた。 !se(Action)爆発音 直後、シシトがいた場所に雷が落ち 爆発音が響く。 @134 うっ・・・。 @830 大丈夫か!? @130 あ、うん、助かったよ。 @704 な、な・・・\sなんだよこれえぇ!! @1 リスが悲鳴のように絶叫する。 雷光が落ちた場所には 大きなクレーターが出来ていた。 もしあの場に留まっていれば シシトたちは一溜まりもなかっただろう。 @704 一体どれだけ魔力があれば こんな威力になるんだよッ!? @833 ろくに集中も行わずにこの威力ッ! 何者だ、あの娘ッ! @133 ミキ・・・。 @430 ありゃりゃ、今のもかわされたかー。 @1 おどけた調子で語るが目は全く笑っていない。 @430 まいったなー。 アタシここでリョーと会うんだよね。 いつまでもいられると困るんだ。 @133 ここでリョウヘイと会う? \sそれは一体どういうことなんだ!? @430 ・・・そっか。 理由も分からず殺されるのはヤダよね。 @1 ミキは一旦手を下ろし 柵に腰を預けながら語る。 @430 いいよ。 \sアタシはマリオンのおっさんと違って 親切だから教えたげる。 @833 マリオンだと!? @704 ミキちゃんがなんでマリオンのことを!! @430 あのおっさんは一応仲間だもん。 \s嫌いだったから死んでくれて 清々したけどね。 @133 ・・・。 @430 アタシはね。 \sリョーを仲間にするように 言われてきたんだ。 ゲングにね。 @833 ドッペルゲンガー【ゲング】か!! @430 あ、やっぱ有名なんだ。 @830 当たり前だ。 マリオンと同じ、ヤツの腹心の部下。 ゲングのせいで十年前に 一体どれだけの犠牲者がでたことか。 @130 ヤツ?十年前? @830 それは・・・。 @1 クロウはシシトの疑問には答えず 口をつぐむ。 @430 あー、無駄無駄。 そのバカ真面目な犬に聞いても 答えてくれるわけないよ。 ヤツに関しては 最重要機密事項らしいから。 ま、アタシも詳しくは知らないんだけどね。 ただ、リョーを仲間にすれば この世界をめちゃくちゃに出来るって 聞いたから手伝ってるだけだし。 @133 それはどういうことだッ!? @430 ・・・\sもういいでしょ? \sこれ以上時間をかけてもいられない。 そろそろ本格的に始めようよ!! !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 @1 三度雷がほとばしるが シシトはすんでの所で回避した。 !se(Action)跳ね @133 くッ!! @830 シシト、こっちにこい!! @130 え? !se(Action)ジュゴー @1 クロウが叫びシシトとぶつかると その体に溶けるように消えた。 @133 これは・・・。 @830 \c[4]シシト。 これが我の能力トーテム化だ。 @130 え? @1 クロウの声がシシトの頭の中に直接聞こえる。 @830 \c[4]我は人間に憑依する事によって その者の力を高める事が出来る。 \c[4]我が強化できるのは主に身体能力だ。 難しく考えず、今までどおり戦えばいい。 @130 ・・・。 @1 シシトは両手を握りしめる。 \s体が軽く、力が充実しているのを感じる。 @830 \c[4]多少は耐えられるだろうが、 ミキの魔法をまともに食らってはまずい。 \c[4]慎重に応戦しろ。 @133 ・・・わかった。 @704 ミキちゃんと戦うつもりかよッ!! @133 今はそうするしかない。 @701 けどよう・・・。 @133 できれば戦いたくはなかったけど、 今のミキを放って置く訳にはいかない。 リョウヘイが来る前にミキを止める!! @1 ためらいを断ち切り、 シシトは戦闘態勢を取った。 @700 ・・・仕方ねえ。 @705 今回はおれもマジでサポートするぜ。 @131 今までは本気じゃなかったの? @833 \c[4]雑談している場合か! 来るぞッ!! !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 @1 クロウの言うとおり雷の束が襲い来る。 !se(Action)ミス @133 ・・・かわせるッ!! @1 だが、シシトは 先ほどよりも余裕を持ってかわした。 クロウの肉体強化は 動体視力や反射神経にも及んでいる。 間一髪でしかかわせないのと、 ある程度の余裕をもってかわせる。 当然、この差は大きい。 @133 これならッ!! !se(Action)跳ね @1 シシトは地面を蹴ってミキに向かって走る。 @430 うわ、ずるいなぁ。 合体するなんてアリなの? !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 @1 そう言いながらもミキは雷光を放つ。 !se(Action)ミス @133 ・・・ここッ!! @1 だが、シシトはミキの手をじっと見据え 雷光が放たれると同時に回避する。 ミキの雷光は手のひらから放たれている。 クロウの力で体が強化されたシシトなら そこから目を離さなければ回避は可能なのだ。 @430 ふーん、アタシの手を見て タイミング計ってるんだ? じゃあ、こうすればどうかな? !se(Action)ミス @1 ミキは右腕を空に掲げる。 @833 \c[4]まずい! \sシシト、上だッ!! @133 えッ!? !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 @1 無数の雷が天から落ちてくる。 !se(Action)跳ね !wait5 !se(Action)跳ね @132 うわッ!! @704 どうわあああ!! @1 威力は先ほどより低いが ランダムに落ちてくる上に効果範囲が広い。 全てを回避するのは困難だ。 @430 勘違いしてたみたいだけど、 雷光は対多数用の魔法だから こっちの使い方が正しいんだよ? あんまり威力でないから アタシは好きじゃないんだけどね。 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 @1 そう言っている間にも次々と雷が落ちる。 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)跳ね @133 くうううう!! @1 今はどうにか避けれているが、 このままでは直撃するのは時間の問題だ。 @830 \c[4]シシト! ミキの言う通りこの雷光は威力で劣る! 多少のダメージは覚悟して突っ込めッ!! @133 わかったぁあああああ!! @704 うおおお、おれも覚悟決めるぜええ!! !se(Action)跳ね @1 シシトは全力で疾駆する。 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 絶え間なく降り注ぐ雷の雨。 その中を怖気づくことなく突っ切る。 雷がかする度に服の端々が焼け、 腕にも火傷ができる。 @430 へー、やっぱり結構やるね。 @1 確実にシシトは接近しているというのに 当のミキはのんきなものだ。 !se(Action)跳ね そして、ついにミキの眼前へとたどり着き シシトは右拳を引く。 @133 少し痛いけど我慢してくれッ!! @1 一気にミキに向かって正拳を繰り出す。 @430 うわ、女の子を殴るなんて信じられない。 !se(Action)ミス でも、残念でしたっと。 @1 シシトの拳は空を切る。 ミキは横にかわしたわけではない。 @133 なッ!? @704 浮いてるッ!! @430 アタシはあんたほど強くないから 殴られたらたまらないんだよねー。 だから、距離を取らせてもらったよ。 @1 シシトにひらひらと手を振りながら、 ミキは空中に浮かんでいた。 ざっと見ても10mは上空にいる。 @833 \c[4]なんの予備動作もなく 空を飛んだ・・・だと!! \c[4]異常な魔力の高さだけではない! \s先ほどの雷光の使い分けといい 魔道士以上に魔法を使いこなしている! @1 クロウはただ魔力が高いだけなら つけ入る隙もあると考えていた。 だが、実際には予想とは違い ミキは魔法に精通していた。 @430 これだけ距離を取れば 巻き込まれないですむね。 あんたもあの犬と合体して 強くなったみたいだし。 ちょっと強めの魔法で行くよ!! @704 ちょっと!? @133 今までは手を抜いていたのかッ!? @833 \c[4]雷光以上の威力の魔法だと! まさか衝撃か炎嵐かッ!? @1 タイプは違うがどちらの魔法にしても 強大な威力を持つのは間違いない。 しかし、クロウの予測はまたしても外れる。 !se(Action)爆発音 !wait10 !se(Action)雷光 @430 火炎!\s雷光!! @1 ミキの右手に炎の塊が左手に雷が迸る。 !se(Action)ジュゴー @430 くうううう!! @1 ミキはその二つを胸の前で混ぜあわせる。 @704 ななななななにやってんだぁ!? @430 くらいなよッ!! \s\r[雷火,らいか]ッ!! !se(Action)爆発音 !se(Action)雷光 !wait3 !se(Action)爆発音 !se(Action)雷光 @1 雷を帯びた炎の渦がシシトたちに襲いかかる。 @133 来るッ!? @704 二つの魔法を混ぜたッ!? @833 \c[4]ありえん!! \s構成術式の異なる二つの魔法を 強引に掛け合わせるなど!! \c[4]これではまるで・・・! !se(Action)跳ね @133 くっそおおおおお!! @1 シシトは全力で後退する。 !se(Action)爆発音 だが、雷火と呼ばれた魔法の威力は凄まじく 完全な回避は不可能だった。 @132 うわああああああ!! @704 ひいいいいいい!! @833 \c[4]くっ、強化を・・・! @1 粉塵が舞い上がり煙で視界が閉ざされる。 @430 あっちゃー、やりすぎたかな? \sこれじゃあどうなったか分からないや。 @1 じっと煙を見つめるミキ。 地上に降りるようなことはしない。 もしシシトが無事だった場合 間違いなく反撃を受けるからだ。 やがて煙が晴れる。 @132 はー!\sはー!\sはー!! @1 まるでドリルで抉られたようなクレーター。 その端にシシトたちはいた。 衣服が焼け焦げてはいるが 直撃は避けれたようだ。 @430 やっぱりしぶといね。 @131 こ、これくらいでやられてたら 今まで生きてこれなかったさ・・・! @1 強がりを言うものの 確実にダメージは蓄積されている。 体力の消耗も激しい。 対してミキは魔力も体力も十分。 @701 やべえぞ、シシト。 このままじゃジリ貧だ。 @133 わかってるよ! @430 雷火をそのまま使っても 当たらないか。 んー、となると 今までの傾向から考えて・・・\s こうするのが一番かな! !se(Action)ジュゴー @1 右手をシシトに向かってかざし 銃のような形を作り人差し指に 魔力を集約させていく。 !se(Action)雷光 !se(Shooting)レーザー @430 バンッ!! @1 ほどなくミキの指先から まるでレーザーのような一筋の雷が放たれた。 !se(Action)跳ね @133 早いッ!! @833 \c[4]速度重視の雷光かッ! ここまでアレンジを加えるとはッ! !se(Shooting)カノン @1 シシトが飛び退いた瞬間、地面に着弾する。 一点に集中された雷は穴を穿っていた。 @830 \c[4]スピードはあるが、 最初の雷光のように落ち着いて 手元を見ていれば回避は可能だッ! @133 そうでもないみたいだよッ!! @833 \c[4]なにッ!? !se(Action)雷光 !se(Shooting)レーザー !wait5 !se(Action)雷光 !se(Shooting)レーザー !wait5 !se(Action)雷光 !se(Shooting)レーザー @1 シシトの言う通り 既に五発の雷の弾丸が飛んできていた。 @833 \c[4]単発でのスピード重視ではなく 速射タイプかッ! @704 おわああああ、どんどん来るぞッ!! !se(Action)跳ね !wait5 !se(Action)跳ね !wait6 !se(Action)跳ね !wait7 !se(Action)跳ね @133 くううううう!! @1 シシトはジグザグに飛び退いて回避する。 !se(Shooting)カノン @132 うわッ!! @1 最後の一発だけは回避しきれずに 肩に受けてしまった。 !se(Action)ジュゴー @430 いつまで回避できるかな? @1 六発の弾を撃ち尽くすと再び魔力を集中させる。 @704 大丈夫かよッ!リスヒール!! !se(Event)アイテム入手A @131 くう・・・。 @1 それまでの時間でリスが シシトにヒールをかける。 だが、蓄積されたダメージもあり ほんの僅かにしか回復しない。 @701 ちっくしょう!焼け石に水だ! @830 \c[4]シシト!足に気をつけろッ!! \sミキはこの雷光でお前の足を潰し 合成魔法でトドメを刺すつもりだッ! @131 足だけ守ってれば いいわけでもないけどね・・・! @1 回避を続けていればそのうち疲弊し 動きのキレもなくなる。 そうなれば結局は同じ事だ。 @430 次、いくよ! !se(Action)雷光 !se(Shooting)レーザー !wait5 !se(Action)雷光 !se(Shooting)レーザー !wait5 !se(Action)雷光 !se(Shooting)レーザー @1 ミキがそう叫ぶと三発の弾丸が飛来する。 !se(Action)跳ね !wait5 !se(Action)跳ね !wait6 !se(Action)跳ね !wait7 !se(Action)跳ね @133 ちぃぃぃぃ!! @1 シシトは全力で回避し事なきを得る。 @833 \c[4]シシト、次が来ているぞッ!! !se(Action)雷光 !se(Shooting)レーザー !wait5 !se(Action)雷光 !se(Shooting)レーザー @1 狙いすましたように シシトが飛び退いた場所に 二発の雷弾が飛んできていた。 !se(Action)跳ね !wait5 !se(Action)跳ね @132 わわわわわッ!! @1 その二発を体をねじりギリギリで回避する。 \sその直後。 !se(Action)雷光 !se(Shooting)レーザー !wait5 !se(Shooting)カノン @133 くぅ! @1 一発の雷弾がシシトの左肩を貫いた。 @133 うう・・・。 @704 シシトッ! @1 左肩を押さえるシシト。 \s意外と出血量は少ない。 雷が傷を焼いたからだろうか? @430 うーん、これだけ思い通りになると ちょっとつまらないかな? @1 次の弾をリロードしながら ミキが退屈そうに語る。 @430 実戦って、案外面白くないんだね。 いつもやってるガンシューのが楽しいな。 @133 君はゲーム感覚でこんなことを・・・! @1 ミキの発言に食って掛かるシシト。 @430 そだよ。 あたしがゲーム好きな理由はね。 \sいくらでも人間壊していいからさ。 誰にも咎められない。怒られもしない。 それどころか凄いって褒められる。 不思議だよねー。 例え、ゾンビみたいになってても 元は人間なのに殺して得点を競うとかさ。 空想だからって、 ろくでもないこと考えるよ。 \s人間って生き物は。 @1 楽しげに語るがその瞳には影が残る。 @133 ・・・\sクロウさん。 @830 \c[4]なんだ? @133 さっきの合成魔法を回避した時、 足に力が集中されたのを感じた。 アレ、もう一度出来る? @830 \c[4]可能だ。 \sだが、アレは他の部位への強化を 一点に集中するものだ。 \c[4]結果として、 他の部位の強化ができなくなる。 @133 それでいいよ。 @830 \c[4]何か考えがあるのだな? @133 うん。 @1 シシトは強い意思を込めて返事をする。 @133 どの道、このままじゃいつかやられる。 なによりも僕は 今、ミキを殴りたくて仕方ない。 @1 それは傷つけられた痛みから来る 暴力的な感情からではない。 短いとはいえ友人であったが故の 想いによるものだった。 @830 \c[4]分かった。お前の判断に任せる。 @705 うおおおお! \s超・リスヒーーーール!! !se(Event)アイテム入手A !wait3 !se(Event)アイテム入手A !wait4 !se(Event)アイテム入手A @130 リスくん? @1 全身の痛みが完全ではないが遠のく。 @704 ハーハーハー!\sこれがおれの全開だ! @1 無理をして一度に魔力を使ったのだろう。 リスはゼエゼエと息を切らせて地面に落ちた。 @701 後は任せたぞ、相棒ッ! \sミキちゃんの 目を覚まさせてやってくれッ! @1 倒れたままグッと指を立てる。 @133 ・・・ありがとう!! @430 相談の時間は終わったかな? @1 既に装填を完了させていたのか、 ミキは語りかける。 @133 ミキ、次で終わりにするよッ! @430 それはコッチの台詞だよッ!! @1 ミキはシシトに人差し指を向ける。 !se(Action)雷光 !se(Shooting)レーザー !wait5 !se(Action)雷光 !se(Shooting)レーザー @1 まずは二発ッ!! !se(Action)跳ね !wait5 !se(Action)跳ね @133 おおおおおおお!! @1 回避しながらミキの浮かんでいる場所 めがけて疾駆する。 途中足場の悪いクレーターを通る。 尖った瓦礫を踏みつけ痛みを感じるも そのまま踏み砕いて突っ走る。 @430 何考えてるのやら。 !se(Action)雷光 !se(Shooting)レーザー !wait5 !se(Action)雷光 !se(Shooting)レーザー !wait5 !se(Action)雷光 !se(Shooting)レーザー @1 ミキが三発の雷弾を放つッ! !se(Action)跳ね !wait5 !se(Action)跳ね @133 くうううッ!! !se(Shooting)カノン \r[痛,つ]ッ! @1 二発を回避することには成功したが 最後の一発が右足の太ももをかする。 @132 こなくそおおおおおおッ!! @1 だが、その痛みも気にせず突っ走り ミキが腰を預けていた柵の前にたどり着く。 @133 クロウさんッ!! @830 \c[4]よしッ!脚部に強化を集中ッ!! !se(Action)ジュゴー @133 うおおおおお!! !se(Action)跳ね @1 脚力の充実を感じた瞬間、 シシトは全力を持ってミキへ向けて跳躍した。 @430 なッ!? @1 想定外のジャンプ力にミキは戸惑いを見せる。 !se(Action)雷光 !se(Shooting)レーザー すぐに雷弾を撃つが 焦りからか照準が定まらず 左腕をかするにとどまった。 @430 しまったッ!! @1 このタイプの雷光は速射性は高い。 だが、一度のリロードで充填できるのは 六発分までだ。 二度の攻撃でシシトはそれを見抜いていた。 もちろんミキも弱点は承知していたが、 空中にいるという有利性が油断を招いたのだ。 @133 これで・・・\s目を覚ませッ!! !se(Action)殴打 @430 うあッ!! @1 シシトの正拳がミキに当たり、 下降しながら吹き飛ばされた。 だが、地面に落下まではせず 空中で静止した。 @430 ・・・。 @1 顔は背けたままだ。その表情は見えない。 !se(Action)跳ね @133 ・・・くッ! @1 シシトもほどなく着地する。 疲労とダメージのせいか肩で息をしている。 @704 ゼーゼー・・・や、やったか? @1 同じく喘ぎながらも トテトテとリスはシシトに向かって歩く。 @830 \c[4]落ちてこない所を見ると 浅かったようだな。 @130 それでいいさ。 \s話す時間さえ作れれば。 @133 ミキッ!! @1 シシトは立ち上がるとミキに向かって叫ぶ。 @430 ・・・。 @1 ミキは振り返らない。 @133 君は一体何を 自暴自棄になってるんだッ!? 僕は世界がどうとかは興味ない! けど、君が正しいとも思わない!! 世界をめちゃくちゃにするってことは 君の大事な人の幸せも奪うことでも あるんだぞ!? @430 ・・・大事な・・・人・・・。 @1 顔を背けたままボソリとミキが呟く。 \sその言葉が僅かに心に触れる。 !bgm @133 君にだって家族は居るだろう!? @430 ・・・ッ!! @1 ここでシシトは過ちを犯した。 有利な状況を打破され、 軽いショックを受けていたミキの心の隙を突き シシトは彼女を揺さぶった。 だが、ここで出すべきだったのは 【家族】という言葉ではない。 何故ミキが 「シシトを殺すのは気が進まない」 と言ったかを考慮するべきだったのだ。 シシトのミキとの付き合いの短さ。 今日、彼女と接触する機会が少なかったこと。 それらが災いしてしまった。 @430 ・・・そうだね。\s居るよ家族。 @130 ミキ・・・。 @1 一瞬安堵しかけるシシト。 @430 あんたは家族が好きなんだね。 \sうらやましいよ。 きっと良い家族なんだろうね。 \s少しくらい変でも温かい、優しい、 帰る場所になってくれる人たちなんだね。 アタシは・・・!\sアタシは・・・!! !bgm緊迫状況 !se(Action)ジュゴー @430 \c[2]家族が憎くて仕方ないのにッ! @1 ミキの悲鳴のような叫びとともに ドス黒い魔力が湧き上がる。 @133 なッ!? @833 \c[4](魔法を強引に合成する力! 憎しみで上がる魔力・・・! \sまさかとは思っていたが間違いない!) @430 あんたに・・・なにがわかるってのさ・・・。 @1 ユラユラと幽鬼のように揺れ動くミキ。 その右手の平に魔力が球状に集約される。 @830 \c[4]いかんシシト!! この娘、我らでどうにかなる相手ではない! 撤退するぞッ!! @1 クロウがシシトに警告した刹那。 !se(Action)跳ね @430 あんたなんかに!! @1 ミキが猛烈なスピードで飛翔する。 \sその早さは疲弊しているシシトでは とても対応できなかった。 @133 うッ!! @1 ミキはあっという間にふところに入り、 右手を腹部に密着させた。 @430 衝撃・・・ッ!! @130 え・・・ !bgm !mvnil !se(Action)爆発音 @1 瞬間。 \sシシトの全身に爆発音が響いた。 !wait10 後編に続く.....