#真説・幻影帳異聞 第五章「真相」前編 !v28=1 !bgm別れ あの子はあまり体の強い子ではなかった。 幼い頃は入退院を繰り返し 日がな一日本を読んで過ごしていたそうです。 あの子と私が初めて出会ったのも病院の一室。 \s窓から飛び込み、語りかけてきた私を見て 驚くどころか喜んでいました。 「神様って本当にいたんだね!」 「魔法使いになれるなんて嘘みたい!!」 夢見がちな十代前半にはよくあることです。 \s友人も少なく読書だけしていた彼女なら 尚更でしょう。 正直な話を言えば、彼女は優秀ではなかった。 それどころか非常に手間がかかりました。 体も弱く、夢見がち。 \sしかし、それでいて誰よりも人々を案じていた。 それ故に彼女はゆっくりですが、確実に強くなり、 独自の魔法を生み出せるようにすらなった。 私はそんな彼女が愛おしかった。 本当の妹のように大事に思っていました。 その彼女が結婚すると聞いた時は絶句しました。 \s相手が信頼のおける人物でしたので どうにか許せましたけどね。 家庭を築いた後の 彼女の幸せそうな顔は今でも覚えています。 多くの人々を守ってきた彼女に幸多き人生を。 私はそう願っていました。 けれど、彼女の幸せは たったの六年しか続かなかった。 意識を取り戻した直後、 本来の体を失っていたことよりも 彼女がこの世を去ったことのほうが・・・ はるかに苦しかった。 !bgm !wait60 !v5=1 !mv海岸公園 !bgmサスペンス @430 あ・・・\sけほっ、えほっ!! @1 \c[2]びしゃり。 うつ伏せに倒れたミキが血を吐く。 \s赤黒い塊が飛び散り、胸からの出血と合わさり 大きな血だまりとなる。 白と紺の衣服がどんどん紅に染まる。 広がりは止まることはない。 @202 おい!!ミキ!! !se(Action)跳ね @1 リョウヘイがミキを抱き起こす。 @704 うおおお!リスヒールッ! \sリスヒールッ!! @701 ち、ちくしょう!! こんな時に限って魔力がねえ!! @1 ミキの脇にいたリスがヒールを施そうとするが 先ほどの戦いで魔力を全て使いきってしまった。 @430 う・・・あ・・・ @1 震える手が自分を撃った男の方へと 向けられる。 @430 ゲ、ング・・・な、んで・・・? @1 消え入りそうな声で名を呼ぶ。 瞳には涙が浮かんでいた。 @910 お前の役目は終わった。 @1 ゲングは拳銃を懐にしまいながら 冷たく言い放つ。 @430 ・・・え? @910 ミキ、お前の役目は 【魔力】を成長させる事にあった。 まだ幼かったお前に 【魔力】を封印された玉を渡し、 宿主とし、その上で孤立させる。 お前の役目は【魔力】を より強力にするための贄だ。 @1 自らの計画を淡々と無感情の述べる。 @430 ・・な、にを? @202 ミキ、喋るな!! @1 リョウヘイが震える手を握り締めながら ミキを止めるが、 @430 ・・・じゃあ、親に、捨てられた アタシを・・・助けてくれた・・のは? @1 それでもミキは話すのをやめない。 \s例え魔物ではあっても、彼女にとっては 八年間共に過ごした恩人なのだ。 だが、返答は残酷なものだった。 @910 初めから計画通りだ。 \sお前の周囲の人間や家族を煽り、 一人にしたのは私だからな。 人間は孤独に極めて弱い。 \s群れの中で育った者は群れから 弾き出されれば負の感情を抱きやすい。 それが年端もいかぬ子供なら尚更だ。 自制が効かず、簡単に憎悪に染まる。 いささか幼稚な感情ではあるが、 お前に魔法の才があったお陰で 質も十分補填できた。 @1 感情の欠片もない口調。冷酷さすら感じない。 @430 ・・・そ、んな。 @910 ついでにもう一つ教えておこう。 お前が家を追い出され、私と出会う前、 マジカルパレスに追い回されていたな。 あの時、追いかけていた魔道士はな お前を保護して助けようとしていたのだ。 @430 ・・・!! @910 大した実力もない奴だったが、 これは使えると思ってな。 \s姿を模倣した後に殺してやった。 最後の言葉は確か、 「あの子をコレ以上傷つけるな。」 だったか。 実にあの女神の部下らしい台詞だった。 その後の十日間、子供のお前に 魔法を撃ちながら追い詰めたのは私だよ。 衣服は擦り切れ、食べる物もなく、渇き、 寒さに震え、悲しみ、絶望しただろう。 そして、精神が摩耗しきった頃に、 この姿で助けてやった。 随分とあっさり懐いてくれたものだ。 @430 あ・・・ああ・・・。 @1 ガクガクと震えるミキ。 出血のせいだけではない。 精神的なものもあるだろう。 @910 わかったか? 玉を渡した老人も私。 \s家族から孤立させたのも私。 \s追い回していたのも私。 お前の幸せを壊したのは私だ。 その私に助けてもらったと思い、 信頼していたのだから実に滑稽だな。 学のないお前らしいよ。 @1 ゲングは当然の作業工程を語るかのように ミキの八年を最悪の形で覆してしまった。 @430 あ・・・ああ・・・!! @1 絶叫したくても血が足りない。 そんな体力ももう残ってはいない。 @202 テメエ・・・!! @1 ミキを抱きかかえながら リョウヘイは怒りに満ちた目で ゲングを睨みつける。 @833 いかん!リョウヘイ、落ち着けッ!! @701 クロウ、そりゃ無理だぜ。 @700 おれだって 腹わたが煮えくり返ってんだ。 マリオンも相当外道だったけどよ。 あの野郎はそれ以上だ。 @1 リスさえも遥か格上のゲングを睨んでいる。 普段なら怯えそうなものだが、 それだけ怒っているということだ。 @833 (くっ・・・!  確かにゲングの所業、  許せるはずがない・・・!!) (だが、まずいのだ!  リョウヘイはヤツの断片を宿している!) (怒りに飲まれれば  取り返しの付かないことになる!) @1 クロウの心配を他所に事態は進行していく。 !bgm @910 さて、ミキ。 お前に貸していた あの方の【魔力】を返してもらうぞ。 !bgm緊迫状況 @1 ゲングが右手を上げると ミキの体が青い光を放ち始める。 !se(Action)ジュゴー @430 ああああああ−−−ッ!! @1 同時に断末魔の叫びにも似た悲鳴をあげた。 @202 ミキッ!! @833 いかん!! 【魔力】を奪い取るつもりだッ!! 魔力は生命エネルギーの一種だ! \s肉体に馴染んでしまった【魔力】を 強引に引き剥がせば死に繋がるぞッ!! @704 なんだってッ!! @200 ふざけるなッ!! \sミキをこれだけ苦しめて、 挙句に命まで取ろうってのかッ!! そんなこと絶対にやらせるかよッ!! !se(Action)跳ね @1 ミキを寝かせるとリョウヘイは 全力でゲングの元へと駆ける。 @910 ・・・早いッ!! @200 このクソ野郎がぁぁぁ!! @1 怒りを表すように赤黒い炎のようオーラを纏った 右の拳で殴りかかる。 ゲングもリョウヘイのスピードに 対応できてはいなかった。 !se(Action)跳ね だが、その背後から突然現れた影が、 リョウヘイの前に立ちふさがる。 !se(Shooting)撃破A @202 がっ!? !se(Action)ズシャアアー @1 リョウヘイの拳は繰り出されること無く、 何者かに蹴り飛ばされ、地に伏した。 @704 リョウヘイッ!! @833 な、なんだと!! @910 これは・・・。 直々においでくださるとは。 @1 ゲングが慇懃な態度を見せる。 @620 お前だけに働かせているのも 気が引けて来てな。 体の慣らし運転にもちょうどよかろう。 @910 お心遣い感謝いたします。 @1 リョウヘイを蹴り飛ばした人物は あまりにも意外な男だった。 @704 相良リュウゾウ!! @1 相良リュウゾウ。この男は確かに強い。 \sだが、それはあくまでも人間の範疇の話だ。 今のリョウヘイに対抗できるわけがない。 @701 な、なんであいつが? @833 ・・・まさかッ!? @133 う・・・。 @1 混乱するリスたちの前で シシトが意識を取り戻した。 @704 シシトッ!? @833 目が覚めたのか!? @131 う、うん、まだ頭がくらくらするけどね・・・。 一体何が・・・\sッ!! @133 リュウゾウッ!? @1 唐突に現れたかつての宿敵。 青く発光し血まみれのミキ。 倒れているリョウヘイ。 @133 これは一体・・・? @1 事態をすぐ理解するのは不可能だった。 @620 さがらりゅうぞう? \sほう、この体はそういう名だったか。 初耳だな。 @910 申し訳ありません。 瑣末なことでしたので、 ご説明いたしませんでした。 @620 なに、どうでもよいことだ。 我に名などそもそも意味がない。 !se(Action)跳ね @200 おおおお!! @1 会話の隙にリョウヘイが跳びかかる。 !se(Action)跳ね @620 ほほう、悪くない憤怒と憎悪だ。 だが、他人の会話中に割って入るなど 育ちが知れるぞ? !se(Action)ミス @1 リョウヘイの右拳を悠々とかわすと 腕を絡めとり動きを封じる。 @620 それと攻撃が大振りすぎる。 \sこれではかわしてくれと 言っているようなものだぞ? !se(Shooting)撃破A @1 そう言うと顎めがけて 右手の掌打を食らわせた。 @202 がはッ・・・!? @1 防御壁を貫通しまともに当たってしまう。 @202 く・・・そっ、こんなもので・・・! @1 ぐぐっと立ち上がろうとするが 体が全くついて来ずに倒れてしまった。 @704 うそだろ!? なんであんなあっさりと! @133 顎に強打を加えて脳を揺さぶったんだ。 アレじゃ、しばらくは 神経が麻痺してまともに動けない。 @704 今のリョウヘイ相手に あんな簡単にそんなことできるのかよ!? @133 ・・・まるでリョウヘイの力を 知り尽くしているみたいだ。 @1 シシトは立ち上がり 今の状況を見ながらそう語る。 \s当然ながら戦える余力は残っていない。 @202 くそ・・・立てよ、オレの足ッ! !se(Action)跳ね @620 人間とは実に不便な生き物だな。 !se(Shooting)撃破A @1 あがくリョウヘイを蹴り飛ばした。 !se(Action)ズシャアアー @202 がはぁ! @620 如何に強大な力を持っていても、 基礎部分が脆すぎる。 防御壁にしても、 この程度の魔力量では 本来の効果は期待できまい。 大した魔力を持たぬこの体でも 貫通できてしまったからな。 @1 リュウゾウらしき人物は右手をかざす。 その手は黒い光を纏っていた。 @910 その体の魔力量は多くありません。 あまりご無理はなさらないでください。 @620 ふっ、気にすることはなかろう。 直に我が【魔力】が戻るのだからな。 @830 ・・・間違いない!ヤツだッ!! @1 クロウは確信した。 もはや疑う余地などどこにもない。 @130 ヤツ・・・? @1 その先を言おうとした矢先。 !se(Action)ジュゴー @430 ああああああーーーッ!! @1 まるで体が引き裂かれるような絶叫が響く。 @202 くっ、・・・やめろぉぉぉ!! @1 体の回復が遅い。 起き上がることもできずにただ手を伸ばす。 @910 断る。 @430 あ・・・ああ\s・・・あ。 !se(Action)ジュゴー @1 リョウヘイの叫びもむなしく、 ミキから青いオーラが解き放たれた。 @133 なんだ、あの光は・・・? @704 魔力だ!! 魔力の塊だッ!! @620 ほう、かなり成長したようだな。 @910 やはり人の憎悪を 直接吸収させるのは効果的なようです。 @620 ふふふ、さあ、我が元に戻れ!! 我が【魔力】よ!! !se(Action)ジュゴー @1 青い【魔力】の塊は リュウゾウらしき人物の意思に応え その体に吸収されていった。 @620 素晴らしい・・・ 以前よりも強い力を感じる・・・。 くくく、女神め。 封印するつもりがかえって 我に力を与える羽目になったな。 @910 まったく愚かな話です。 @620 ・・・\sん? よく見ればそこの貴様、 女神に仕えていた犬によく似ているな。 @830 ・・・。 @620 あの犬の血縁か何かか? !bgm @830 ・・・\s貴様と戦ったのは我の叔父だ。 勇敢で、強く、優しい方だった。 いや、叔父だけではないッ!! 貴様と戦った者たちは全員そうだった! 貴様から愛する者を守るために、 生命をとして戦ったのだッ! @130 クロウさん・・・? @1 クロウから発せられる怒気。 その言葉は、感情は止まらない。 @830 動物、\s人間、\s魔物、\s 生きとし生ける物の敵・・・ッ!! いや、冥府の掟さえも 平気で破壊する邪悪ッ!! 【タナトス】よッ!! !bgm恐怖 @620 ふむ、悪くない怒りだな。 \sだが、未だに我をそう呼ぶか。 まあ、良い。 その通り、我はタナトスだ。 貴様らの女神の対局に位置する 負の極大にして、死の化身。 \s生命を蝕む滅びの呪い。 そう、貴様の言うとおり我は、 あらゆる命の・・・敵だ。 人も、魔も、果ては神すらも。 \s全ての魂魄の怨敵よッ!! @1 一瞬リュウゾウの体に漆黒の影が重なり 口が裂けるように亀裂が走った。 \sそれはまるで闇そのもの。 @704 タ、タタタタ・・・タナトスッ!? @1 先ほどまでの怒りはどこへやら、 急に震え出すリス。 @130 リスくん? @704 う、うわ、うわあああああ!! @1 トトトトと海に向かって走りだした。 !se(Action)跳ね @133 リスくん、どこにいくのッ!? @1 シシトが慌ててリスを掴む。 @704 は、はなせえええええ!! おれは海に、海に飛び込むんだぁぁぁ!! @1 シシトの手の中でジタバタともがく。 @133 何言ってるんだ!? そんなことしたら死ぬよ!? @704 そうだ!死ぬんだ、おれは! そうした方がいいんだぁぁぁぁ!! @133 いつもおかしいけど、 本気でおかしいよ!? @833 シシト、リスを離すな! 本当に自殺するぞッ! @131 わ、分かったよ。 @620 くく、我と対峙するには 矮小すぎる者がいるようだな。 @1 愉快そうにシシトたちを見ながら語る。 @132 ッ! @1 ゾクリ・・・。 \sほんの一瞬視線が来ただけで シシトの背筋に寒気が走った。 まるで心臓を直接鷲掴みされたような。 そんな体の芯からくる感覚だ。 @133 クロウさん、タナトスって? @830 説明してる余裕はない。 だが、今ので大体分かったはずだ。 我らでは絶対に勝てん。 どうにかして逃げることを考えるぞ。 @133 ・・・分かった。 @1 そう返事すると同時。 @430 ・・・\sかふっ!! @1 ミキが再び吐血した。顔面は既に蒼白。 目の焦点も全く合っていない。 @202 ミ、ミキ・・・! @1 リョウヘイがふらふらと手を伸ばすが あまりにも距離がありすぎる。 @620 ふむ、我が魔力を ここまで成長させてくれた礼だ。 \s苦しまぬよう、一思いに葬ってやろう。 @133 なッ!? @910 良かったな。 お前はようやく地獄から解放される。 @620 では、さらばだ。 !se(Action)ジュゴー @1 タナトスが手を僅かに振ると ミキに向かって巨大な火球が放たれる。 @202 ミキィィィ!! @430 ・・・あ・・・りょ・・・。 @1 ミキの手が僅かに動く。 !se(Action)爆発音 直後、火球が 何にも阻まれることなく着弾した。 @133 そんな・・・! @833 腕を振っただけで火炎を発動だとッ!? あれではもうミキは・・・!! @1 シシトたちも、リョウヘイも 身動き一つ取れず静観しているしかなかった。 爆煙が消え火球が着弾した後に残ったのは クレーターのみ。 @910 跡形もなく消えたようですね。 お見事です。 @620 ・・・。 @1 ゲングが賛美するが、タナトスは反応しない。 @910 如何なさいました? @620 ・・・\sふん、まあよい。 !bgm !bgs(環境)心拍 @202 あ・・・あ・・・ !mvゲームセンター @430 ・・・ふ〜〜ん、 アンタ中々やるじゃん。 !mv保健室 @430 ・・・でさ、 そろそろ離してくれないかな? ちょっと痛いよ。 !mvコンビニ @430 ・・・ん、そだね。 それもいいかもしれないね。 リョーって案外ロマンチストだよね? !mv海岸公園 @430 アタシ・・・ まだ皆と友達でいいのかな? !bgs !mvnil @1 うわああああああああああああッ!! !wait40 真説・\r[幻影帳,シルエットノート]異聞 第五章「真相」 !wait20 !mv海岸公園 !bgmなんだこれは 体が引き裂かれるかのような絶叫が 夜闇に響き渡る。 @202 テメエら・・・テメエらだけは!! \s絶対に許さねえぇぇぇッ!! !se(Action)ジュゴー @1 立ち上がりながら唸るように吠える。 悲痛な叫びは獣のような咆哮に変わり 体から赤いオーラが噴き出した。 @620 ほう、これは素晴らしい。 短時間で回復した上に、この怒り。 @910 ミキは最後の最後まで 我らの役にたってくれたようですね。 無知で愚鈍な娘でしたが、 多少は生きていた価値もあったというもの。 @202 うおおおおおおおおッ!! @833 くっ、怒るなというのが無理な話かッ! @133 リョウヘイッ!! @1 もはやシシトの声も聞こえない。 ここまでされて怒りを覚えない人間など どこにもいはしない。 リョウヘイの全身が真紅に染まる。 噴き上がる力は炎の如く周囲を飲み込み始める。 @910 実に激しい怒りです。 これならばもう十分では? @620 くくっ、確かにな。 @202 おおおおおおおおッ!! @1 理性を失った怒りの雄叫び。 それはまるで泣き喚く子供のようでもあった。 !mvnil おい、力を貸せ!! あの外道どもをぶっ殺すッ!! \c[2]「・・・・・・。」 なに黙ってやがるんだッ!? \c[2]「・・・・・・。」 おいッ!! \sオレが望めば力をよこすって言っただろ!? \c[2]「・・・ああ、言った。」 なら今すぐよこせッ! オレはあのクズどもをブチ殺すッ!! ミキを虫けらにみたいに・・・! 許さねぇ、\s\c[2]許せるものかよッ!! !bgm \c[2]「確かに言ったが・・・\s断る。」 なッ!? !mv海岸公園 !bgm緊迫状況 唐突にオーラは消え リョウヘイから力が失せてしまう。 @202 な、なんでだ・・・? @1 力が抜けたせいか、 まともに立つことも出来なくなり片膝をつく。 @133 リョウヘイ!? @833 なんだ、何があったのだ!? @620 む、これはどういうことだ? @910 おかしいですね。 あれほどの怒り、力が増しこそすれ 消えることなどありえません。 @1 シシトたちどころかタナトスとゲングまでも その光景を疑問視する。 @620 ふーむ、ならば・・・ @1 リョウヘイを見ながら、 無造作にシシトたちへと手をかざす。 @133 まずい! クロウさん、トーテム化を・・・! @620 もう一人くらい死ねばどうだ? !se(Action)ジュゴー @1 シシトが意図に気づくが、 時既に遅く、再び火球が放たれた。 @202 やめろおおおお!! @1 リョウヘイは絶叫するが力は発現しない。 !se(Action)爆発音 ほどなく火球がシシトたちを焼き払った。 @202 シシト・・・!! うわああああッ!! !se(Action)殴打 @1 両拳を地面に叩きつける。 手が傷つくばかりで何も起こらない。 @620 実に心地良い絶望と憎悪なのだがな。 これでも力が出ないか。 @910 ・・・。 @620 どうした、ゲング? @910 いえ、少し時間をかけ過ぎたようです。 @620 む? @1 ようやくシシトたちがいた場所を タナトスが見る。 !se(Action)ジュゴー すると炎が気流に巻きこまれて消滅していた。 @121 ギリッギリ・・・だったわね。 @1 そこには大気の盾をかざしたシイナがいた。 @132 姉さん!? @833 遅いぞ、シイナ! @120 コッチも全力で来たんだけどね。 あそこのクソ親父に邪魔されたのよ。 @132 一体どういうこと!? @1 めまぐるしく変化する状況に さすがのシシトも理解が及ばない。 @120 聞きたいことは山ほどあるでしょうけど、 今は生き延びることだけを考えなさい。 @131 う、うん・・・。 @1 有無を言わさぬ強い口調で語る。 @620 ほう、大気の盾か。 かつて我の前に立ちはだかった あの男の使っていた神器だな。 人間にしては強かったな。 \s確か、村上とか言ったか? @910 村上シイナ。あの男の娘です。 @620 ほほう、娘か。 父は息災か? @120 あんたが殺したも同然の癖に よく言うわね・・・。 @133 なッ!? @620 勇者でもない、ただの人間が 本来の我と戦ってその場で死なず 生きながらえただけでも大したものだ。 お前の父親は称賛に値する。 @1 パチパチと手を叩く。 嘲っているわけではないが・・・ その存在自体が不快感を醸し出す。 @121 ・・・父さんを褒められて ここまで腹が立ったのは初めてよ。 @830 シイナッ! @120 分かってるわ・・・。 @1 シイナは血が滲むほどに強く下唇を噛む。 痛みで憎悪を抑えようとしているのだろう。 @620 そこの小娘・・・いや、小僧か? そいつも村上の子か? @910 村上シシトです。 彼は少々込み入った事情があるようです。 @620 ほう・・・\sん? @1 タナトスは シシトを値踏みするかのように見る。 @133 な、なんだ・・・。 @620 よく見てみれば貴様、 内側に\r[別の誰か,・・・・]がいるな? @130 ・・・え? @620 蓋がされているようだが 魔力の源泉が二つある。 一つはささやかなものだが、 もう一つは人間にしては大きく、深い。 このような者は初めて見る。 なかなか興味深い素材だ。 @910 彼は幼馴染の少女の心臓を移植し 生き延びた経験があります。 恐らくはそのせいで 他者の魔力が混じったのでしょう。 @620 なるほど。 だから奇妙な姿をしているわけか。 @131 ・・・とんだ所で原因が判明したね。 @833 今はどうでもいいだろうッ! @1 タナトスはシシトから目を離し、 全体を見回した。 リョウヘイ、シイナ、シシト、クロウ、 そして影に潜んでいる\r[もう一人,・・・・]。 それらを確認するとニヤリと笑みを浮かべる。 !bgm恐怖 @620 気が変わったぞゲング。 @910 と申されますと? @620 ここでこやつらを皆殺しにして 【肉体】を吸収しようと思ったが、 それでは簡単すぎてつまらぬ。 折角面白い人材も揃っているのだ。 座興代わりにチャンスをくれてやろう。 @910 寛大な御心に感服いたします。 @1 ゲングは膝をつきかしずいた。 @620 聞けッ!! 我らはこれより一月後の 十二月二十四日の深夜・・・ \sこの世界を終わらせるッ!! それまでに力をつけ 我に抗ってみせるが良いッ!! @1 大上段に振りかぶり演説する。 @202 ふざけんなッ! \sオレは今すぐテメエらを・・・ !se(Action)跳ね がっ! @1 リョウヘイが言葉を言い切る直前。 タナトスが頭を鷲掴み、地面に押し付けた。 @620 今の塵芥の如き貴様に何ができる? その日までより強く我を憎み、 力を再び引き出せるようになるのだな。 @202 ぐ・・・。 @620 ふっ、期待しているぞ。 @1 顔に亀裂が走ったような笑みを浮かべて、 リョウヘイから手を離す。 @120 ただで逃すと思う? @1 シイナが左腕を振り上げ、 大気の盾を大気に溶かそうとした時。 !se(Action)雷光 @121 くッ!! @1 一条の雷がシイナの足元に落ち、 動きを牽制する。 @620 一矢報いたいのは分かるがな。 やめておけ。 貴様が気流を操るより 黒焦げになる方が早いぞ? 第一、大気の盾の 本領ではない気流操作如きで 我を止められると思うか? @121 ・・・。 @1 シイナがギリっと歯軋りする。 悔しいがタナトスの言っていることは 間違ってはいない。 @620 くくっ、それでいい。 今、貴様を殺しては 折角の余興がつまらなくなるからな。 せいぜい未熟な弟を鍛えてやるといい。 案外化けるかもしれんぞ? では、さらばだ。 また会える日を楽しみにしているぞ。 !se(Action)シュイーン !bgm @1 何の動作もなくタナトスとゲングは 一瞬で何処かへと姿を消した。 !bgs(環境)波の音 @121 ・・・。 @131 ・・・。 @830 ・・・\sとりあえず 命拾いはしたようだな。 @121 ・・・完全に遊ばれてるわ。 舐められたものね。 !se(Action)ミス @1 不愉快そうに呟きながら 忌々しげに腕を振り、大気の盾を消す。 @830 仕方あるまい。 お前はともかく、 シシトやリスには荷が重すぎる相手だ。 いや、我もか。 \s結局何も出来なかった。 @1 無力感に苛まれ顔を伏せるクロウ。 @131 色々ありすぎてまだ訳がわからないよ。 @704 はっ!? @701 あ、あれ? おれなんでシシトに握られてんだ? @131 やっと正気に戻ったみたいだね。 @701 なんのことだよ? @1 リスがシシトにそう尋ねた時だ。 @202 うわあぁぁぁぁぁぁッ!! @1 リョウヘイが喉が割れんばかりの声で叫ぶ。 !se(Action)殴打 !wait10 !se(Action)殴打 !wait10 !se(Action)殴打 !wait10 !se(Action)殴打 拳を地面に幾度も叩きつける。 その度傷つき、流れ出た血が飛び散る。 @133 リョウヘイッ!! @704 うわぁぁ! !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き @1 慌ててリョウヘイの元に駆け寄るシシト。 ちなみにリスはその場に投げ捨てられた。 @701 いてて、ひでえなぁもう。 @830 自殺するよりはマシだろう。 @701 へ? @120 クロウ、私が来る前に何があったの? @830 彼の友人の少女が・・・殺されたのだ。 @704 ミキちゃんがッ!? @121 ・・・\s私は間に合ってなかったのね。 ごめんなさい。 @830 いや、お前のせいではない。 どうしようもなかったのだ。 @1 シイナとクロウは沈痛な面持ちでそう語る。 @202 オレは・・・! \sオレは・・・\s何も出来なかった!! \sあいつを・・・ミキを・・・!! !se(Action)殴打 !wait10 !se(Action)殴打 !wait10 !se(Action)殴打 !wait10 !se(Action)殴打 く・・・うぐ・・・ああああ!! !se(Action)跳ね @133 やめるんだリョウヘイ! そんなことしてもしょうがないだろう!? @1 シシトは腕を掴んで、 リョウヘイの自傷行為を止めた。 @202 分かってるよ・・・!! けど、ちくしょう!! 何が【力をくれてやる】だ・・・! 肝心な時に何の役にも立たねえ! 貸さねえって言うなら、 無理矢理にでも力を奪ってやる!! \sそして、あいつらを\c[2]必ず殺すッ!! @130 リョウヘイ・・・。 !bgs !bgmサスペンス !se(Action)跳ね @1 「・・・やれやれ。」 「随分物騒な台詞が聞こえましたが、  何かありましたか?」 場違いなほどに飄々とした声が聞こえた。 @830 お前は・・・! @121 随分遅いお出ましね。 @830 フェザーッ!! !se(Action)学内歩き @570 どうしました、クロウ。 顔が怖いですよ? @830 お前は一体何のつもりで これほど重要なことを黙っていた!! 十年前の事件、タナトスの封印、 リョウヘイのこと、いや、お前なら ミキの事も知っていたのではないか!? @570 買いかぶり過ぎですよ。 【魔力】の宿主がこの街の どこかにいるとまでは掴んでましたが、 彼女の素性までは知りませんでした。 @830 それでも知っていたのなら・・・! @701 おい、待てよ。 今来たお前がなんでその話知ってんだよ? @833 ッ!! @121 そうね。 @120 私なんてリョウヘイくんが どうしてココにいるのかも 分からないのに不思議な話ね。 あなた、いつからここにいたの? @570 リョウヘイくんが ミキさんと戦い始めた頃ですかね。 @830 お前という奴は・・・! 一部始終を黙って見ていたというのかッ!! @570 私は密偵ですからね。 敵もそうですが、味方にも 簡単に感づかれるわけにはいきません。 @830 その行動がどういう結果を招いたか 分かっているのか!? @570 ええ、正直誤算でした。 まさかタナトス本人が出てくるとは。 お陰でタイミングを外してしまい、 救出が遅れてしまいました。 @830 救出・・・だと? @570 とりあえずシイナさん。 @120 なに? @570 あちらの木陰にいる\r[彼女,・・]に 完治をかけてあげてください。 一応治癒はかけましたが、 私の魔力では気休めにしかなりません。 @120 彼女? @570 一刻を争います。 お願いしますよ。 !se(Action)学内歩き @1 シイナの疑問に答えずにフェザーは リョウヘイの元へと歩み寄る。 @570 岸リョウヘイくん。 いつまでいじけているつもりですか? @202 誰だ、テメエは・・・! @1 八つ当たり気味に睨みつけるが、 フェザーは軽く受け流してしまう。 @570 無意味なことをしている暇があったら 彼女に声をかけてあげてください。 まだ意識があるうちに。 @202 な・・・。 @570 動かすのは危険ですので、 あそこで休ませています。 付いてきてください。 !se(Action)学内歩き @1 そう言うと一人でさっさと行ってしまった。 @202 なんだってんだ、あいつ! @130 リョウヘイ、行ってみよう。 @202 オレは・・・! @134 あの人が誰かはわからないけど、 たぶん、彼女っていうのは・・・。 @202 ・・・まさかッ!? !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se(Action)学内歩き @1 疲労しているはずだが、 リョウヘイは立ち上がるとすぐに フェザーを追って走りだした。 その後をシシトも付いて行く。 ほどなく辿り着いた木の下には 既にシイナたちが集まっていた。 @121 ・・・完治。 !se(Event)アイテム入手A @120 ダメね。 見た感じ傷はふさがったけど 失った血が多すぎる。 @830 それに加えて 魔力を奪われたせいで衰弱が激しい。 意識を保っているのが奇跡だ。 @121 もう少しやってみるわ。 @1 シイナが膝をつき手をかざしながら 誰かに治癒魔法をかけ続ける。 !se(Action)跳ね @202 ・・・。 !bgm @1 その様子を上から覗き込む。 \sそこに横たわっていた人物は・・・ !bgm別れ @430 はぁ・・・はぁ・・・。 @202 ミ・・・キ? @134 無事だったんだ・・・。 @570 タナトスの火炎が着弾する寸前に 割って入り、転移を使って助けたんですよ。 とはいえ、私も後手に回ったのは事実。 今回ばかりは罵られても仕方ありません。 @830 ・・・いや、我もさっきは言い過ぎた。 すまん。 だが、この一連の事件に関しての 説明はしてもらうぞ? @570 ええ、そのつもりです。 さ、リョウヘイくん、 彼女に話しかけてあげてください。 @202 あ・・・ああ。 @1 そう言うとフェザーは少し距離をおいて、 携帯電話を取り出し、どこかにかけ始めた。 @202 ミキ・・・。 @1 リョウヘイは座り込んで ミキの腕を取り、語りかける。 @430 あ・・・リョー? @1 焦点の合わない目で リョウヘイを見ながら呟く。 @202 ミキ・・・すまねえ。 オレはお前を守って・・・!! @430 あ・・・はは・・・いいんだよ。 リョーは何にも悪くないよ・・・。 たぶん、バチが、当たったんだと思う・・・。 @202 バチ・・・? @430 やんなるなぁ、もう・・・。 \sアタシを助けようとしてた人を憎んで、 何もかも敵だって思い込んでさ・・・。 あげく、友達を傷つけて・・・。 \s・・・シシトもそこにいるの? @130 う、うん、いるよ。 @430 そっか・・・\sごめんね。 \s全部アタシが悪かったんだよ・・・。 本当にごめんね・・・。 @1 瞳から大粒の涙が流れ落ちる。 @133 気にしてないッ! 僕はもう気にしてないからッ!! @704 悪くねえよッ! ミキちゃんは何にも悪くねえッ!! @121 ・・・くっ。 @1 ミキの胸に手をかざし治癒魔法をかけながら シイナは悔しそうな表情を浮かべる。 @430 アタシさ、バカだから・・・。 \sバカだったから・・・。 @202 違うッ!悪いのはあいつらだッ!! お前が気にすることなんか何もないッ!! @430 あはは・・・ありがと、リョー。 あー・・・、でもさー。 みんなで遊んだの楽しかったなぁ・・・。 ねえ、また・・・みんなで・・・ @1 リョウヘイが握る手から力が抜けていく。 @202 ああ、い、いこうぜッ!! また、必ず・・・だから・・・!! @430 うん・・・いこう・・・\sね。 !bgm @1 その言葉を最後にミキは目を閉じた。 !bgs(環境)波の音 @202 ミキ・・・! @133 まさかッ!! @121 ・・・\s大丈夫。 意識を失っただけよ。 @120 出来る限り 体の損傷は治したと思うけど ここから先は魔法での治療は無理ね。 !se(System)ピッ @570 病院への連絡も終わりました。 私が転移で直接連れて行きましょう。 @700 手際いいな。 @570 これくらい当然のことでしょう。 では・・・ !se(Action)跳ね @1 そう言うとフェザーはミキに触れる。 @202 なあ、オレも・・・! @570 急を要します。 転移を使うにしても身軽な方がいい。 @202 けど・・・! @120 フェザーは存在自体が 胡散臭いから信用しづらいでしょうけど、 とりあえず敵じゃないから安心して。 @570 手厳しいですね。 @121 日頃の行いのせいよ。 @130 リョウヘイ、 ここは姉さんの言う通りにしよう? @202 ・・・\s分かった。 @200 ミキを・・・よろしく頼む。 @1 リョウヘイは握っていたミキの手を離す。 @570 お任せを。 転移! !se(Action)シュイーン @1 そう唱えるとフェザーとミキの姿が消えた。 @131 瞬間移動の魔法・・・? @700 転移っつって 街とか、目立つ建物とかを目印にして 一度行った場所に飛ぶ魔法だぜ。 @130 便利そうな魔法だね。 @121 記憶力とセンスがいる魔法だから あんたにはたぶん無理よ。 @131 どうせ、僕は なんにも魔法使えませんけどね。 @130 それより、姉さん。 @120 端的に説明するけど、 私はマジカルパレスの魔道士で クロウは元パートナー。 ちょうどあんたとリスの関係よ。 で、今はあんたのサポートが任務だった。 以上。 @131 聞く前に全部言われた。 @121 私のことは さして重要でもないからね。 @701 シイナちゃんが魔道士ってことは、 おれはとっくに気づかれてたのか? @120 事前に連絡が入ってたから、 気づく気づかない以前の問題よ。 @131 ねえ、父さんは・・・ @120 父さんのことは後にしましょう。 @121 十年前の・・・ @120 いえ、今回の事件に絡んでくるから フェザーに話を聞く時に まとめてした方が手っ取り早いわ。 @830 それにいつまでも ここにいるわけにもいかん。 いくらなんでも派手にやりすぎた。 @131 ・・・そうだね。 @120 リョウヘイくんも ひとまず家にいらっしゃい。 @202 ・・・。 @1 シイナの言葉に反応せず、 リョウヘイはミキがいた場所を見ながら、 両拳を握り締めている。 @121 ・・・。 @1 背中から僅かに不吉な気配を感じる。 @120 リョウヘイくん。 心配なのは分かるけど 今は自分の体も休めなきゃダメよ? @1 リョウヘイの肩に触れて優しく語りかける。 ミキを心配している。 リョウヘイの心を支配している感情が それだけではないことは分かる。 だが、彼の力も事情も知らないシイナには そう言うしかなかった。 @202 ・・・\s分かりました。 @120 よし、じゃあ戻りましょう? @131 姉さん、リョウヘイには優しいね。 @121 実の弟とその友だちの 扱いが同じになるわけないでしょう? !se(Action)ミス @120 くだらないこと言ってないで ちゃっちゃっと歩く。 !se(Action)ドゴン @132 痛ッ!分かったから いきなり蹴らないでよッ! @833 怪我人なんだからやめておいてやれ。 @701 てか、シシト回復はえーな。 !se(Action)学内歩き !wait2 !se(Action)学内歩き !wait3 !se(Action)学内歩き @1 少し話しながらシシトたちは 海岸公園を後にする。 @202 ・・・。 @1 最後尾にいた リョウヘイは一度だけ振り返る。 視線の先はタナトスたちが消えた場所。 @200 ・・・。 !se(Action)学内歩き @1 一瞬その瞳に黒い炎が映ったが すぐに向き直りシシトたちを追った。 ・・・ !se(環境)サイレン 程なく、サイレンの音が鳴り響く。 @610 おいおい、これは一体何の冗談だ? @601 随分大きな穴ですね。 新しいアスレチックか何かですか? @610 そんなわけあるか。 @602 分かってますよ。 @610 ゴリ、カメラの確認を頼む。 !se(Action)学内歩き @630 了解。 @610 カメラの映像が途絶えたことといい、 最近は訳の分からん事件が起きるな。 @600 昔から不思議な事件は有りましたけどね。 @610 そりゃ、心霊現象みたいなもんだろ? そんなものの目撃情報が警察に来るくらい この街は平和だったんだがな。 @600 水面下で副しょ・・・相良たちが、 暗躍してはいましたけど。 @610 また誰かがよからぬことを企んでると? @601 この状況が自然現象だとでも? @602 手段も、意図も全く分かりませんが、 何者かの仕業なのは間違いないでしょう。 @610 ・・・そうだろうな。 ま、この手の不可解な事件は 捜査した所で、無駄になるだろうが。 @1 御大は頭を掻きながらボソリと呟いた。 @600 は? @610 いや、コッチの話だ。 おい、ゴリー!カメラはどうだー!? @630 ダメっすねー! 雷にうたれたみたいに あらかたオシャカになってますッ!! @601 この季節に雷ですか? @610 やれやれ、 一層胡散臭いことになってきたな。 ん? あそこに人が倒れてるぞ。 @602 シシトくんですか!? @610 いや、遠目だが違うな。 二人いるようだし。 @601 あら、珍しい。 @602 とりあえず重要参考人として確保ですね! @610 まともな情報が出ればいいが・・・。 @1 駆け出す狐狩の後をゆっくりと追う御大。 この事件が自分の手に負えない何かであると 感じながら。 !mvnil !wait10 後編に続く.....