#真説・幻影帳異聞 第六章「憤怒」 後編 !v28=1 !v35=1 !v36=1 !v27=1 !v37=1 !mvnil @1 あれからしばらく立ち尽くした後、 リョウヘイは力なく、俯いたまま病院へと向かった。 !mv保健室 !bgm別れ !se(Action)ドア開け !wait30 !se(Action)ドア閉め @202 わりぃ、少し遅くなった。 @250 まだ一時間程度しか経ってないぞ? @202 あれ、そうか? なんか丸一日は経った気がしてた。 ははは・・・。 @1 よほどフェザーの言葉が堪えたのか、 その笑顔はぎこちない。 @402 ・・・岸先輩。 @250 リョウヘイ。 お前に言いたいことが・・・ !bgm !se(Action)跳ね @410 むむむむ・・・! @1 アルバートが何か言おうとした時。 隣に座っていたサユキが勢いよく立ち上がった。 !se(Action)爆発音 @413 \f[42]岸くん、元気なさ過ぎッ! !bgm安らぎ @252 おおおおおッ!! @401 うわわわわッ! だから、大声ださないでくださいよッ!? ここ病院ですよッ! @202 ふ、冬村・・・? @413 まったくもう黙ってればウジウジと! ミキさんが今の岸くんを見たら どう言うと思いますか!? @410 「うわー、気持ち悪い。  あんた何へこんでんの?」 @413 とか言って笑っちゃうに決まってるよ! @202 ・・・。 @410 確かに、ミキさんがこんなことになったのは 私だってショックだよ。 \r[また事故,・・・・]で大事な人が傷ついたのは すごく悲しいと思うよ。 @413 それでも・・・それでもだよッ!? そんな風に落ち込んでてどうするの!? ミキさんは喜んだりしないよ!? そんな人じゃないのは私だって分かるもん! @402 冬村さん・・・。 @202 ・・・。 @413 一番付き合いの長いリョウヘイくんから見て ミキさんは薄情な人だったの!? @202 ・・・\sいいや。 @200 こいつは・・・バカだし、どっか抜けてるけど、 そんな風に思う奴じゃあ、ねえな。 見ず知らずの爺さんに道教えたり、 迷子を助けたり・・・口では悪ぶっても、 結構お人好しな奴だよ。 @412 ほら、見なさい。 ミキさんいい子。 サユキさんは間違っていません。 @202 ・・・わりいな、冬村。 気を使わせちまったみたいだ。 @410 いいよ、別に。 言いたかったから言っただけだもん。 @412 ちょっと言い過ぎたかな? @402 言い過ぎかどうかは分かりませんが、 とりあえず大声出し過ぎです。 見てください。 アルバートさんが半分失神してます。 @252 うお・・・う・・・うお・・・う。 @411 そこまで大きな声は出してないよ!? @202 いやー、あれはでかかったぜ? オレも耳がキンキンいってるしな。 @411 岸くんまで!? @403 大声選手権とかで 世界をとれる逸材かもしれませんね? @200 アクアフロートに埋もれさせるには惜しいな。 @411 いやいやいや、でないからね! そんな選手権でないからね!! @252 うむ・・・うむぅ・・・ @251 ハッ!? @250 むぅ・・・爆音で意識が飛んでいた。 一体なにがあったんだ? @411 爆音ッ!? !bgm @250 そうだ、リョウヘイ。 \s話があったんだ。 @200 あ、なんだよ改まって? @251 いいか、お前が落ち込んでいて、 ミキが喜ぶとでも・・・! !bgmコミカル @402 アルバートさん、その話もう終わりました。 @252 なにッ!? @412 ほんの数分前に全部ぶちまけました。 @252 な、なんだとうッ!? @251 バカなッ! こういう話はクラスメートである この俺がするべきではないのかッ!? 叱咤激励することで、 男同士の熱い友情を 再確認するのではないのか!? @402 つまり、冬村さんは漢であると? @411 その繋がりは無理があるよ、犬山さん! @202 つか、お前が男同士の熱い友情とか 言うとすげえ怪しいぞ? @252 なぜだぁぁぁぁ! @402 いい事言おうとしたのにタイミングを外すと こんなに格好わるいんですね。 @412 (先に言ってよかったー) !bgm安らぎ @200 ・・・\sなんにしてもありがとうな。 ちょっとだけ元気でたわ。 @410 ん、すぐに本調子になってとは言わないよ。 ミキさん、元気になるといいよね? @200 ああ。 @413 絶対にガンシューで勝負するんだから! @402 結局そこですか。 @251 俺との勝負も忘れるなよッ! @412 えー、相手にならないからなぁ。 @252 ぬがああああ!! @200 ははは・・・。 !se(Action)ドア開け @1 「・・・あなたたち。  病室ではもう少し静かにしてくれないかしら?」 @412 あ、ごめんなさい。 @402 すみません。 \s主にこっちの紫の髪の人が悪いんです。 @1 「随分高い声だったけど男の子だったのね。」 @252 なっ!? @1 「とにかく、もう騒がないようにしてくださいね。  お休み中の患者さんもいるんですから。」 !se(Action)ドア閉め @251 ま、まて!俺じゃない!俺じゃないぞ!! @202 いや、半分くらいはアルバートのせいだな。 @252 濡れ衣だぁ! @403 ふふふ。 @412 してやったりって感じだね、犬山さん。 !bgm @200 ・・・。 @1 なあ、ミキ。 お前の心配してる奴はこんなにいるんだ。 全然一人ぼっちじゃなかっただろう? お前もオレも・・・一人じゃないんだ。 \sそう・・・だよな? !mvnil !wait30 リョウヘイは心のなかで呟く。 友人との触れ合いの中で僅かに心が癒える。 だが、悲しいかな、 それは何も知らないが故の言葉。 彼の闇を払拭するには至らなかった・・・。 !wait40 時は過ぎ。 !mvマジカルパレス !bgm(タクミ)戦闘訓練 @133 ハァ・・・ハァ・・・! つ、つぎッ! @813 ・・・。 @810 いえ、一旦休憩にします。 お昼もとっくに過ぎましたし、 軽く食事をとってから続きをしましょう。 @133 だいじょ・・・! @121 あんたが大丈夫でも、 私達が大丈夫じゃないのよ。 @131 姉さん、見てただけじゃないか。 @120 黙っていても人間はお腹が空くものなのよ。 生きてれば当然の生理現象よ。 @121 休める時には休むべし。 これも大事なことよ。 @131 むう・・・。 @810 ゴネても拒否権ないですけどね。 訓練中は私とシイナさんに絶対服従です。 @132 僕の意思は!? @810 ないですよ? @121 あるとでも思ってたの? @132 さっきはあんなに煽ったのに!? @813 それはそれ!これはこれです! @132 横暴だああああ!! @833 まあ、特に間違った理屈ではない。 少し休憩にしようではないか? @131 むぅ・・・、 クロウさんが言うんじゃ仕方ないか。 @121 ずいぶん信頼度が違うわね? @705 やっぱりクロウに惚れてんのか! @132 違うわッ! 今までの自分たちの言動を省みてよッ! @811 どこか問題ありましたかね? @120 さあ、どうかしらね? @131 くっそ、分かってて言ってるよ、この人達。 !bgm !se(Action)バリア音 @810 というわけで・・・ !se(System)遭遇 !mv自宅 @811 少し休みましょう。 @121 ・・・。 @131 ・・・どうかしたの姉さん? @121 スケイル、空間を戻す時に 現実の状況を確認しなかったわね? @811 え? !bgmちょっとマズい @111 あらあらあら? 娘と見知らぬ人と犬が急に現れたわー。 @132 か・・・! @121 いつ帰ったの、母さん? @110 ついさっき。 鍵開けっぱなしだったわよ? @120 あー、ごめん忘れてた。 @132 あわあわあわわわわ!! @833 (シシトは何を焦っているんだ?) @701 (前にスタンガンで追い掛け回されたんだよ) @833 (誰にだ?) @701 (母ちゃんに決まってるだろ) @831 (はぁ!?  何をやってるんだ、あの人は!) @811 あ、どうもおひさ・・・ @111 分かったわ! \sもしかしてこの子たちが一ヶ月くらい ホームステイする外国の人ね! ペットのワンちゃんまで連れてきて! 寂しがり屋さんなのね! @811 へ? @833 ・・・。 @111 んもー、シイナったら 色んな所を飛び回ってるからって、 いつのまに海外に友達作ったのよ! @121 ・・・母さん? @110 どこかで見たことあるような子もいるけど! 特に気にしないわッ!! @132 はい!? @121 ・・・その子は私のちょっとした知り合い。 ステイするのは緑の髪の子と犬だけよ。 @111 そうだったのね! シイナの知り合いだとは思わなかったのよ! 前に追い掛け回してごめんなさいね! @131 いや、え、ええ? @833 (おい、これはどういうことだ?) @121 (・・・知らないけど、  とりあえず合わせておきましょう) @120 この子、 これからちょくちょく遊びに来るけど、 気にしないでね。 @111 ええ、分かったわ! シイナの付き合いに口をだすほど 無粋じゃないわよッ!! @110 さーて、母さんは 夕飯の買い出しいってこなきゃ! \s体力の付く料理作らないとね\wh @111 シシトにも今日は ごちそうだって言っておいてねッ! !se(Action)学内歩き !wait20 !se(Action)ドア開け !wait30 !se(Action)ドア閉め !bgm安らぎ @811 ・・・なんだったんでしょう? @121 私に聞かれても困るわ。 @131 と、とりあえずなんとかなってよかった。 @701 お前の母ちゃんは本当にわけわからんな。 @833 道理ではなく 無理を通すところは変わらんな・・・。 @130 え? @121 なんでもないわよ。 @120 少なくともスケイルとクロウの滞在と シシトの変身に気を使う必要はなくなった。 それだけは確かね。 @810 ホテルの予約をしてなかったので、 それは助かりますね。 @813 なによりもシシトさんを 二十四時間観察できますし! @701 母ちゃん、トドメ刺してったんじゃね? @131 指導時間が長くなって喜んでいいのか 悲しんでいいのか僕は複雑だよ。 @811 正直、ちょっと興味あるんですよね。 女用ステッキで変身したり、 魔力の源泉が特殊だったり・・・。 うふふふふ・・・。 @132 獲物を狙う狩人の目!? @831 落ち着け・・・! @833 こ、この場合はどっちに言えばいいのだ? @701 知るか。 @120 さて、今のうちに一息ついて、 母さんが戻る前に仮想空間に戻りましょう。 @121 またこんなことになったら面倒だから、 次はシシトの部屋で開いてね。 @810 はぁ、わかりました。 !bgm !mvnil @1 ・・・\s昼食後 !wait20 !mv自宅 !bgm安らぎ @134 すー・・・すー・・・。 @121 ご飯食べたらすぐ寝ちゃったわね。 \sやっぱり無理してたわけだ。 @810 あの荒行に耐えられる人はそういませんよ。 一人前の魔道士だって一度目でリタイア。 なんてこともザラですから。 @120 で、実際どんな感じ? @811 んー、まだ初日ですから何とも言えませんが、 少なくとも意志力に関しては合格点ですね。 @810 このままいけば、経路の拡張は 案外早く終わるかもしれません。 @830 そうか。 それなら一安心だな。 @813 いいえ、あくまでも拡張だけの話です。 意識的に魔力を解放できなければ、 話になりませんよ? @810 ついでですから先に話しておきますが、 次の段階の訓練はシイナさんに やってもらおうと思っています。 @120 私に? @810 格闘術を使うシシトさんの場合、 手から魔力の解放を行うのが戦法的に 一番効率的でしょう。 @813 ですから、シイナさんには 手のひらから魔力をシシトさんに 流しこんで欲しいのです。 それも思いっきり攻撃的な魔力を。 シシトさんにも同じように手のひらから 魔力を放つイメージをするように 指示を出します。 @121 ふーん、つまり 魔力のせめぎあいをさせようってことね。 @120 私の魔力を使って 強引にシシトの魔力を引っ張りだす。 攻撃性をもたせるのは、 防衛本能をかりたてるためかしら? @811 理解が早くて助かります。 @833 今度はちゃんと説明してからにするんだぞ。 少なくとも解放のイメージの仕方までは話せ。 @830 攻撃的な魔力をぶつけあえば、 腕を潰しかねん。 @810 分かっています。 もうあんな試すようなことはしませんよ。 @121 よし、それじゃあ、 これからコイツが学校にいく前に、 少し組手でもしようかしら。 @120 私に対抗心が芽生えるくらいに・・・ね。 @701 寝てる間に色々決まっちまったぞ、おい。 \s大丈夫かよ、お前? !bgm @134 すー・・・\sすー・・・。 !wait20 !mvnil @1 リョウヘイとシシト。それぞれの戦いは続く。 !mv七影霊園 !bgmバトル02 @200 ・・・。 @903 ひ、ひいいい! \s頼む!生命だけは! @200 テメエもゲートに巻き込まれた口か? @903 え!? \sああ、もちろんだッ!! @202 ・・・行けよ。 悪さすんじゃねえぞ。 !se(Action)学内歩き @903 へへー! おありがとうございますーーー!! @902 ・・・。 !se(Action)跳ね この大馬鹿野郎がぁぁぁ!! !se(Action)ズシャアアー @202 ッ! @902 ふへへへ!いった!いった! \s俺のツメに切り裂かれたら 体は無事でも心が傷つく!! @202 ・・・。 @902 けっ、舐めくさりやがって! 俺はゲングさまの眷属だ! どこぞの泥クセエ魔物と一緒にすんな! @200 心に傷か・・・くだらねえな。 @902 へ? @903 お、お前なんでビクとも・・・ @200 テメエ、何にも聞かされてねえんだな。 \s捨て駒にされたんだよ。哀れなやつだ。 @903 な・・・に? @200 けど、見逃してなんかやらねえ。 オレがくれてやるチャンスは一度だけだ。 \sテメエはそれを棒に振った。 \c[2]死ね。 @903 ・・・え? !se(Action)爆発音 @1 「ぎゃあああああああああああ!!」 !bgm @200 ・・・\sちっ、無駄な労力使わせんじゃねえ。 !se(Action)学内歩き @1 激しい怒りが行き場を求め。 !mvnil !wait30 !mv住宅地 !bgm(タクミ)戦闘訓練 !se(Action)跳ね @103 でえええええい!! !se(Action)ミス @121 甘い。 @103 くっ、なんでかすりもしないんだ! @120 あんたの問題点を指摘してあげる。 \s根本的に経験が足りないのよ。 本や情報だけで技を覚えたのは 大したものだけど、型通りすぎて 次の手がバレバレなの。 @121 あと速さが足りない。\s腕力も足りない。 \s気合も足りない。\sなにもかもダメ。 @101 そんな欠点しかありませんか、僕!? @120 ああ、一つだけいい所があったわ。 @103 なにッ!? @121 その顔、面白いわね。 敵を笑い死にさせる気? !se(Action)跳ね @101 うがあああああああああ!! この姉、もう許さん!! !se(Action)ミス @121 はい、簡単に挑発に乗らない。 !se(Action)殴打 @104 ぐふうううう!! @833 綺麗に入ったな。 @701 ああ、ボディーにめっこりと。 @811 そんなにひどい顔ですかねぇ? @833 真に受けるな。 @121 こっちは十年近く魔道士やってんのよ。 あんたとは年季が違うわ。 @104 ・・・それだけ歳がいってると? @120 ・・・。 本格的に死にたいようね? @101 うわあああああああ!! @833 シシト、今のはお前が悪い。 @705 二十五歳、女盛り! おれは一向に構わん!! @813 シイナさん! コキャっと絞めちゃってください! @121 ・・・言われなくてもそうするけど? @101 ひいいいいい!! !se(Action)ミス !wait5 !se(Action)殴打 !wait5 !se(Action)跳ね !wait10 !se(Action)ドゴン !wait10 !se(Shooting)撃破B !bgm @1 先達による厳しい指導に喘ぎ。 !mvnil !wait30 !v5=1 !mv自宅 !bgm夜の静けさ !se(Action)ドア閉め !wait20 !se(Action)学内歩き @530 遅かったじゃねえか。 もう九時過ぎだぜ? !v28=2 @200 ・・・ミキの所に寄ってきただけだよ。 @530 そうか。 \s夕飯はどうした? @200 適当に食ってきたよ。 @530 ちっ、せっかくお父様が腕をふるって 美味い飯を作っておいたやったのによ。 @200 ・・・わりぃ。 オレ、部屋に戻るわ。 !se(Action)学内歩き @530 ・・・\s待て。 \sお前、またやってきたな? かすかに血の臭いがするぞ。 @200 最低限の警告はしてる。 それでもかかってくるなら自業自得だ。 @530 魔物退治をするのは別にいい。 \sだが、憎しみをただ吐き出すような 戦いはするんじゃねえ。 そんなこと繰り返してると、そのうち・・・ @202 ・・・\sオレは親父みたいに強くねえ。 憎しみをどうしたらいいのかなんて、 分からねえよ。 !se(Action)学内歩き @530 ・・・。 ったく、誰が強いだ。 \s俺だってな、お前がいなかったら今頃 復讐だけに取り憑かれていたさ。 いっぱいいっぱいなのは俺も同じだっつの。 \s親の心、子知らずとはこのことかよ。 !bgm @1 互いを想うが故の僅かなすれ違い。 !mvnil !wait30 !mvマジカルパレス !bgm(タクミ)魔法少女戦 !se(Action)ジュゴー @133 うおおおおおお!! !se(Action)ジュゴー @121 ・・・。 @133 おおおおおおお!! @120 ・・・あんたね。 @121 叫べばいいってもんじゃないのよ? !se(Shooting)撃破C @132 うわッ!? @134 ぐう・・・腕が熱い・・・。 @830 うーむ、また押し負けたか。 @705 これでシイナちゃんの 五十六戦五十六勝だな! @810 魔力の大きさではシシトさんが上ですが、 制御ではシイナさんに一日の長があります。 それ以前に体の外に魔力を出せないなら あってなきも同然ですね。 @121 スケイルの特訓に耐えて、一週間で 経路を拡張させたのは褒めてあげる。 @120 でも、引き出すのが下手くそじゃ お話にならないわ。 せっかくの巨大な魔力キャパシティも これじゃあ、豚に真珠。\s馬の耳に念仏。 \s猫耳にマジカルステッキね。 @131 最後の聞いたことないですけど? @120 今のあんたにはちょうどいいかと思って 作ってみただけよ。 あんた悔しくないの? \s一週間も早朝にボコボコにされて 遅刻しそうになってるじゃない。 @121 しかも、一撃も入れられなかった。 変身しても結局な〜んにもできないのね。 @133 む・・・! @120 ほらほら、憎らしかったら もう一度かかってらっしゃい。 また完膚なく押し返してやるわ。 !se(Action)跳ね @133 くう、負けてたまるかッ!! !se(Action)跳ね @121 ・・・よろしい。 その根性だけは認めてあげるわ。 !se(Action)ジュゴー @133 くぅぅぅぅぅッ!! @121 ・・・。 (手が熱い。  これなら解放までそうかからないかも) (魔力を引き出せさえすれば後は、  魔法を覚えさせるだけ・・・) @120 甘い!! \sこの程度じゃ百年たっても 魔法なんか使えるようにならないわよ!! @133 くう・・・! @121 昨日リョウヘイくんと偶々会ったわ。 \s彼、強くなってるわよ。 ひと目見ただけでハッキリと分かるくらい。 @133 ・・・!! @120 誰にも師事せずに たった一人で努力しているんでしょうね。 大したものだわ。 あんたは、 リョウヘイくんが戦わなくてもいいように 強くなるって言ってたわね? でも、そんなのは・・・ \s力がなくちゃ戯言にすぎないッ!! @134 く・・・! @120 リョウヘイくんの力の出処がなんであれ、 今のあんたには意見する資格はないわッ! !se(Action)ジュゴー !wait2 !se(Action)ジュゴー !wait2 !se(Action)ジュゴー @133 ・・・\sそんなことはわかってる!! 学校で見る度にリョウヘイは変わってる! \s心の疲れが滲み出てきてる!! 誰にも頼れず、\s助けてもらえず、 \s手探りで闇の中を歩いているんだッ!! \s軽々しく・・・強くなったとか・・・\s言うなぁぁぁ!! !se(Shooting)撃破C @121 ・・・つッ!! @833 シイナが押されてきている!? @705 おおおお!ついに一勝とれるかッ! @813 いえ、結果は見えました。 @121 ・・・\s一週間前に言わなかったかしら? !se(Action)ジュゴー @120 心は熱く。頭はクールでいろって。 \s力は大きいけど・・・隙も多いわよッ!! !se(Shooting)撃破C @132 うわっ!! !se(Action)跳ね @133 く・・・くそうッ!! @121 ・・・ふー、でも大したものだったわ。 お陰で手が少ししびれちゃった。 @133 姉さん、さっきの・・・! @120 リョウヘイくんのことを 引き合いに出したのは謝るわ。 @121 付き合いの長いあんたの方が 私よりも彼の気持ちを察してて当たり前ね。 \sごめんなさい。 @131 え、あ・・・分かればいいけど。 @120 でも、今の感覚は忘れちゃダメよ。 まだ手に残ってるでしょ、熱い何かが。 @130 ・・・うん。 \sこれが僕の魔力・・・なのかな? @121 さあ? \s魔力は人の魂の質によって、 感じ方が違うらしいからね。 それが分かるのはあんただけよ。 @130 ・・・ふーん。 @120 もう一度言うけど、頭は冷静にね。 魔力を感情任せに爆発させると、 魔法そのものが暴発しちゃうわ。 @121 あんたの魔力の大きさだと 自爆も考えられる。 @132 自爆ッ!? @121 そうならないためにも、がんばりなさい。 @120 さ、もう一度行くわよ。 @133 ・・・うんッ! !bgm @1 力を得るために歩を進めていく。 !mvnil !wait30 @1 ・・・\s十二月八日 木曜日 \s\r[運命の夜,タイムリミット]まであと十六日。 !v28=2 !v5=0 !mv301教室 !bgm高校 @300 今日で期末試験も終わりだが、 受験生じゃないからといって、 終業式まで気を抜くんじゃないぞ。 それと何もないとは思うが、 先月、屋上が壊された原因については まだ分かっていない。 修繕もまだ済んでいないから、 屋上には近づかないように。 以上、気をつけて帰れよ。 !se(Action)学内歩き @1 担任が教室を出ると同時に、 生徒たちはガヤガヤと騒ぎ始めた。 @230 学級長、物理のテストできたー? @220 そこそこはできたと思うよ。 @240 とか何とか言って、 90点とか取るんだろ、このゲスが。 @220 シャカシャカくん、 最近喋り過ぎじゃないかい? @230 物理クラブ長はどうだった? @212 その質問を僕に振る意図を知りたいよ。 @230 ええ、できたというのかい! 物理クラブ長なのに!? @211 むしろ、できなかったらおかしいよ! 僕のアイデンティティがなくなるじゃないか! @240 そこはキャラ的にね。 @212 君にだけは言われたくないよ。 @1 試験期間の圧迫感から解放されたせいか、 クラスメートたちの声は明るい。 だが、その輪に入れない者たちもいた。 @202 ・・・。 !v27=2 @105 ・・・。 @250 どうした、二人共。 辛気臭い顔をしているな。 @202 なんでもねえよ。 @250 俺はてっきりテストが 壊滅的にできなかったのかと。 @202 ・・・ああ、そうだな。 それはあるな。 今までにないくらいひどい点だろうよ。 @105 テストッテナンデスカ・・・? @250 どうやら、冗談ではないようだな。 @200 一応赤点はないと思うけどな。 今は・・・他にやらなきゃいけないことがある。 @250 学生が 学業以上にやらねばならないことなど それほど多くはあるまい。 @202 オレもそうありたいものなんだけどな。 @101 カエッタラマタトックンダ・・・シヌシヌ・・・。 @250 何をしているのかは知らんが、 無理はせんようにな。 さて、俺は用事があるから先に帰るぞ。 @200 おう、またな。 @105 マタネー・・・。 @250 リョウヘイはともかく、 シシトは明日には死んでそうだな。 ではな。 !se(Action)学内歩き @1 そう言うとアルバートは教室から去る。 よく見ればクラスメートの半数が既にいない。 @202 こないだシイナさんに聞いたけど、 お前、よほど絞られてるんだな? @101 余程なんてレベルじゃないよ! \sあれは地獄だ!\sあの人達は鬼そのものだ! @200 シイナさんってそんなにキツイか? 結構優しいと思うけどな。 @101 外面はいいんだよ、あの姉は! @200 ま、いいや。 \sんじゃ、オレも帰るわ。 ミキの所に・・・ @100 あ、ちょっと待ってリョウヘイ。 \s少し話があるんだ。 @200 なんだよ、改まって? @100 ここじゃなんだし 屋上にでもいかないかい? @202 今さっき行くなって言われたばかりだろ。 ま、いいけどよ。 @102 ははは、お互い不良生徒だね。 @200 別に最初から優等生じゃないさ。 !se(Action)学内歩き !mvnil @1 二人は席を立ち、カバンを持つと 教室を出て屋上へと向かった。 !wait30 !se(Action)重いドア開け !mv薙島高校 @202 入るなとか言っておいて、 鍵開いてたら世話ねえな。 @102 ははは、いい加減なものだね。 !se(Action)学内歩き @1 先生の言ったとおり、 屋上はまだ完全に直ってはいない。 マリオンとの戦いでできた傷が、 そこら中に残っていた。 @100 ・・・早いものだね。 あれからもうひと月近く経つ。 @200 ああ、早いもんだな。 あの時、オレは初めて意識して 自分の中の力を引き出した。 @202 ま、お前がいなかったら どうなってたかわからねえけどな。 @102 それは僕の台詞だよ。 \s僕一人だったら間違いなく負けてた。 @200 そもそもオレがいなけりゃ、 誰も傷つくことはなかったんだけどな。 @100 ・・・\s変な気を起こしてないよね? @200 お前こそおかしな心配してんじゃねえよ。 少なくとも自殺なんてバカはしねえ。 してたまるかよ。 あいつらをこの手でぶっ殺すまではな。 @100 ・・・\sねえ、リョウヘイ。 覚えてるかな? 僕達が初めて会った時のことを。 @200 忘れるわけないだろ? 学校の帰り道で五人くらいに囲まれて いじめられてたお前を助けたんだったな。 @202 なんでこいつなにもしないんだ? って思ったぜ。 あの時のお前は死人みたいな面してたな。 @100 父さんの死を引きずってたからね。 色々なことがどうでもよかったんだよ。 @200 そうだったな・・・。 オレも母さんが死んでヤケになってた頃だ。 @202 ってことは、いじめの原因もあの野郎かよ。 つくづく腹立つな。 @102 世界規模だけじゃなくて、 個人レベルでも嫌がらせしてくれるね。 @200 まったくだ。 @100 でも、あの時リョウヘイと出会わなかったら、 僕はきっとダメになっていたと思う。 一人で抵抗する気力はなかった。 嫌なことを嫌とも言えないじゃ 誰も味方なってくれないだろうしね。 @202 おい、なんだよいきなり。 !bgm黄昏 @100 リョウヘイ、君はいつもそうだったよ。 僕と冬村さんが攫われた時も、 \sマリオンが学校を襲った時も、\sミキの時も。 君はいつも 仲間や友達のために全力で怒ってくれた。 \s何もかもかなぐり捨てて立ち向かっていた。 @202 ・・・。 @100 そんな君が親友で僕は誇らしいよ。 @202 なあ、急になんだよ? 褒めてもなんもでねえぜ? @100 僕が特訓してるのは 姉さんから聞いたんだよね? @200 ああ、こないだ会った時にな。 @100 正直、僕は 君をこれ以上戦わせないために 強くなろうとしていた。 @102 でまあ、騙されたり、怒られたり、 バカにされたりして、死ぬ思いして 鍛えてきたわけなんですが。 @202 ・・・散々だったんだな。 @102 学べることも大きいからいいんだけどね。 @100 人に教えてもらえばもらうほど思うんだよ。 \s結局、一人じゃできることには限界がある。 姉さんやスケイルさんが教えてくれるから 自分では考えもつかなかったことを知れる。 リスくんがいるから魔物の位置がわかるし、 クロウさんがいるからいつもより強くなれる。 リョウヘイがいたからイジメに立ち向かえた。 ドラマとか漫画で よく聞くから分かった気でいたけど、 実際に体験してみてようやく理解したよ。 @202 ・・・。 @100 今、魔法を教わってるんだけど、 \r[一つ,・・]覚えるので精一杯みたいなんだ。 どうにも君の分までカバーはできそうにない。 @202 ・・・何が言いたいんだ? !bgm @100 決まってるさ。\r[リョウヘイ,親友]。 !bgm[追加]闇夜の死線 \r[僕と一緒,・・・・]に戦ってくれないか? @202 ・・・。 @100 僕はあんな奴に二度も大事なものを 奪われたくはない。 @103 こっちはただでさえ、 父さんと幼馴染をなくしてるんだ! これ以上大切な人を失うのはまっぴらだ! だから、お願いだリョウヘイ! 僕達と共に戦って欲しいんだッ! 勝手なことを言ってるのは分かってる! でも、頼む! @202 ・・・。 @200 ・・・\s今更、何を言ってんだよ。 当たり前だろうが、悪友。 @102 こっちが親友って言ってるのに、 悪友とはひどいね。 @200 どっちも似たようなもんだろ? @100 約束したよ、リョウヘイ。 君は一人じゃない。 \s\r[一人で戦う必要なんかない,・・・・・・・・・・・・]。 昔みたいに、君の背中は僕が守る。 \s一緒に戦って、必ず勝とう。 @200 ・・・ああ。 !bgm高校 @102 さて、話がついた所で。 僕も姉たちにこき下ろされるために 帰るとするよ。 一分でも遅れたら本当に殺される。 @202 おいおい、 ちゃんと当日までに万全になっておけよ? @100 うん。 じゃあ、また。 !se(Action)学内歩き !wait30 !se(Action)重いドア開け @1 そう言うと振り返らずにシシトは屋上から去った。 その歩みには何一つ躊躇いはない。 !bgm @202 ・・・\sったく、お節介な親友だぜ。 @200 感謝してんのはコッチだ。 あの時、もしもお前と出会わなかったら、 オレは周りに当たり散らすだけの 手に負えないガキだったさ。 二人だったからどうにかなったんだ。 一人じゃ、きっと爪弾きもののままだった。 @1 シシトが出て行った扉を見ながら独りごちた。 \s失いかけていたモノを掴みかけたその時だった。 !se(Action)ジュゴー !bgm緊迫状況 @202 ッ!! でやがったかッ!! @1 リョウヘイの思考の大半を憎悪が支配した。 @200 ・・・ここから真北だな。 細い位置は走りながら探るか。 \c[2]待ってろ。 オレは必ずお前の所に辿り着いてやる。 \sそして・・・必ず殺す。 !se(Action)跳ね @1 吐き捨てるように言うと、屋上から飛び降りる。 !se(Action)ドゴン 当然のように着地し、疾風のように駆け出した。 !se(Action)跳ね !mvnil !wait30 !mvマジカルパレス !bgm神秘 @1 ここは現世と幽玄の境にあるマジカルパレス。 世界の秩序を保つ魔道士たちの砦である。 世界の神秘が詰め込まれた場所の更に最奥。 限られた者だけが入室を許される女神の間。 そこで今、 女神リクレールが一振りの剣を錬成していた。 !se(Action)ジュゴー 彼女の体が発光すると、 その輝きが剣の柄の中央に嵌めこまれた 蒼く光る宝石に力を注ぎこまれていく。 @710 ・・・ふぅ。 @1 ため息を付いて額の汗を拭う。 彼女の力を分け与え、創りだすこの【剣】は、 ある一点にだけ徹底的に特化させたものだ。 それはつまり、対タナトスの切り札。 !se(Action)重いドア開け !wait20 !se(Action)学内歩き ふと後方で扉が開く音がした。 誰かがこの部屋に入ってきたのだ。 @710 ・・・誰ですか? @1 集中を途切れさせられ、 多少不機嫌な声で振り返る。 @570 失礼します。 【剣】の錬成の調子はいかがですか? @710 フェザー・・・ 勝手にココに入ってはいけないと あれほど言っておいたでしょう? それにリョウヘイくんの護衛は どうしたんですか? @570 それも含めてお話しがあります。 【剣】の錬成は間に合いそうですか? @710 ええ、順調に行けば日本時刻の 二十四日の夕方ごろにはできるでしょう。 \r[月の石,・・・]の仕上げに 多少不安がありますがたぶん大丈夫です。 ただ、いくら【剣】が完成したとしても、 肝心の使い手のほうが・・・ @570 残念ながら今は八割方、 向こう側になってしまっています。 @710 ・・・そうですか。 @1 まるで肉親に不幸があったように悲しげに呟く。 @570 ただ、チャンスがないわけではありません。 \s彼の心根は間違いなく真っ直ぐな少年です。 そうでなければアレほどの怒りは持たない。 今はその方向が歪んでしまっているだけ。 @710 何か考えがあるのですか? @570 考えと言うよりは賭けです。 \sそれもこれまで以上に大きな賭け。 その為に必要な剣が二つあります。 @710 二つ? 太陽の剣だったら、 修復は全く進んでいませんよ。 この十年、 私がコッチに付きっきりだったのは 貴方も知っているでしょう? @570 太陽の剣ではありませんよ。 一つはもちろんその【剣】です。 !bgm そして、もう一つは・・・ !mvnil @1 「今もなお衰えぬ、かつての【最強の剣】です。」 !wait40 真説・\r[幻影帳,シルエットノート]異聞 第六章「憤怒」了 次回 真説・\r[幻影帳,シルエットノート]異聞 第七章「決着」