#真説・幻影帳異聞 最終章「日々」 前編 !v5=1 !mv住宅地 !bgmサスペンス @1 M県S市のとある住宅地。 \s一月前にゲートが開き、多数の魔物が発生した この街に、再び闇の魔手が迫る。 @960 グルルルルル・・・。 @1 一匹のヘルハウンドが獲物を求め闊歩する。 時刻は深夜零時をすぎているため、 今のところ人通りはない。 だが、誰も出歩かないと断言できる時間でもない。 血に餓えた魔物に鉢合わせたら、あっという間に 夜食と化してしまうだろう。 !se(Action)学内歩き ・・・そこに一つの人影が現れた。 !bgm緊迫状況 @960 グルルルルッ!! !se(Action)跳ね @1 腹を空かせているのか、 爪を伸ばし一気に跳びかかる。 \s哀れ、通行人はエサと・・・ !se(Action)バリア音 なることはなかった。 @960 ギア・・・・!? @1 ヘルハウンドは人影が手にした棒状の物に その爪を阻まれていた。 ほとんどの人間の身体能力では、 魔物の力を食い止めることは出来ない。 だが、ステッキを握りしめた少女は、 それを難なく行なっていた。 何故なら彼女は・・・\s魔法使いだからだ。 \s二度もエサになりかけるほど、愚かではない。 !bgmバトル02 @441 これ以上先には絶対に行かせない! @940 ここは既に住宅地だ! 速やかに片付けろッ!! @441 分かってる! !se(Action)ジュゴー 剛力ィィィィ!! !se(Action)跳ね !wait10 !se(Action)ドゴン @1 腕力強化の魔法を使いヘルハウンドを押し返し、 一気に弾き飛ばす。 !se(Action)ドゴン @960 ギャワアアアア!! !se(Action)ミス !wait3 !se(Action)ミス !wait5 !se(Action)ミス @441 悪いけどッ! これで終わりにするよッ!! @1 ステッキをくるくると振り回し、先端の宝石を ヘルハウンドに向かってかざす。 !se(Action)ジュゴー !wait4 !se(Action)ジュゴー !wait4 !se(Action)ジュゴー !wait4 !se(Action)ジュゴー @441 ハァァァァ!! 火炎ッ!! !se(Action)爆発音 @1 集約され帯状になった炎が放たれ、 ヘルハウンドを襲う。 @960 ギ・・・!! !se(Action)爆発音 @1 体勢を崩された状態では何も出来ず、 あっという間に炎に飲まれてしまった。 @441 ・・・。 @1 通常であればヘルハウンドに火炎は効かない。 @960 グ・・・ギア・・・。 @1 だが、少女は火炎をアレンジして、 一点に炎を集中することにより威力を 致命傷を与えるまでに高めていた。 !se(Action)シュイーン やがてヘルハウンドは魔界へと送還された。 @440 やった、成功だ! @940 あれから特訓した甲斐があったじゃないか。 @441 うんッ! @440 これで最強の盾のお姉さんに 少しは近づけたかな? @940 調子に乗るなよ。 あの人はお前より遥か高みにいるんだ。 まだまだ爪先も見えちゃいないさ。 @441 むー、それはわかるけど、 もうちょっと言い方があるんじゃないかなぁ? @940 ・・・ああ、よくやったな。 @440 えへへ。 @940 それにしても隣町の取りこぼしが こんな所にまで来るとはな。 @1 つい先週のこと。 ここの隣町に次元の歪みが確認された。 今夜、開いてしまったのだ。 現地には十数人の魔道士が配備されていたが、 発生数があまりにも多く包囲網を突破する 魔物も出始めていた。 そのため、彼女を始め周辺の見習いたちも 網を抜けた魔物を退治する後方支援を 務めることとになった。 @940 現場の魔道士たちもがんばってるだろうが、 量が多すぎて捌き切れていないのか。 後方援護の任務とはいえ、 気を抜いてはいられないぞ? @441 最初から抜いてなんかいないよ! この街は私が守るんだッ! きっと他の街の魔法使いさんたちも、 一生懸命頑張ってるはずだよ! @940 そうだな。 しかし、お前も少しは成長したな。 前なら突っ走って現地に行ってたところだ。 @440 自分の力くらいは自覚したから あんな無茶はもうしないよ。 ・・・ねえ、あのお姉さんはどうしてるかな? @940 きっと今も戦ってるさ。 !bgm お前と同じように大切なモノを守るために。 @1 あの日、あの時、シイナが助けた生命が また他の生命を守っていた。 !mvnil !wait20 !mv中央公園 !bgm緊迫状況 !se(Action)爆発音 @1 アメリカ某州の公園。 日本との時差を考えれば、今は昼間のはずだが、 漆黒に染まった雲が周囲を支配していた。 厳密にはそれは雲ではない。 ゲートが同時に多発したことにより 魔物たちの魔力が大量にこの世界に溢れ、 雲状の塊となり太陽の光を遮ったのだ。 この現象は世界の至る所で確認されており、 今もすこしずつ広がりを見せている。 まるで世界中がこの時等しく 明けない闇に沈みつつあるように。 事実、ここには今、 この世ならざる死せるものが群れをなしていた。 まるでホラーアクションゲームのように 無数のゾンビが蠢き、気色の悪い声で呻く。 その中心に現代には似つかわしくない 中世の貴族のような豪華な装飾を 身にまとう者がいた。 一見人間に見えるが、 その実、最も異彩を放つその何か。 彼が手を挙げるとゾンビがその方角に 一斉に移動を始める。 侵攻に向かう場所には 人間・・・マジカルパレスの魔道士たちがいた。 「くっ・・・よりにもよって  死霊の王「リッチー」まで現れるとは!」 本来ゾンビのような屍は本能でのみ動くため 組織だった行動はできない。 だが、生前強力な魔力を持っていた者などは 稀に死後、理性を保ったままゾンビになる。 そうして誕生するのが死霊を従える王。 リッチーなのだ。 その危険度は通常でもA、 より強力な個体になるとSと非常に高い。 並の魔道士では 一人で対処するのは難しい相手である。 屍を自由に操られる力もさることながら、 魔力も並の魔物とは比較にならない。 こういった死霊には生に反する者を裁く 浄化の魔法をかけるのが最善策なのだが、 残念ながら、今、その使い手はいない。 「うちの隊には浄化魔法の使い手はいない。 \sとなると残る手は・・・!」 大火力による一斉殲滅。 つまり、隊員全員の魔法で一度に焼き払うのだ。 \sだが、それを実行に移すのすら難しい。 隊長らしき人物は他のメンバーの様子を見る。 ある者は傷つき倒れ、 またある者は恐怖のあまり硬直している。 戦えるのは半数以下。 明らかな格上であるリッチーの出現により、 士気も限りなく低い。 この様子ではゾンビの群れを滅するだけの 火力を出せそうにはない。 「くっ、ここまで・・・なのか!」 !se(Action)学内歩き !wait20 !se(Action)学内歩き !wait20 !se(Action)学内歩き ついに諦めの言葉を口に出すと、 ゆっくりと歩いていたゾンビたちが眼前に近づき、 理不尽に、無慈悲に彼らを飲み込もうとする。 !se(Action)跳ね !bgm \c[1]「はいはい、ちょっとごめんなさいねー!」 突如場違いなあまりにも軽い声が聞こえ 隊長とゾンビの間に女性が割って入った。 長いブロンドの髪。\sモデルを思わせるスタイル。 \sゾンビ映画の犠牲者にでもいそうなその姿。 されど、彼女は贄ではない。 !bgmバトル02 \c[1]「悪いんだけどゆっくり遊んでる暇はないの。  \sご指名のお客さんが多いのよねッ!」 !se(Action)跳ね それだけ言うと女性は前方に拳を繰り出す。 \sその腕には白銀に輝く手甲が付けられていた。 !se(Action)爆発音 間髪入れず爆発。 ゾンビたちの蹂躙はより大きな理不尽により 消し飛ばされてしまった。 「・・・。」 あまりのことに ポカーンと眺めるしかない魔道士たち。 同じく、リッチーもその様に動揺の色を見せる。 \c[1]「おやおやー、リッチーがいるじゃない。  なるほどなるほど、じゃあ話は簡単ね。」 ニヤッといたずらっぽく笑みを浮かべる。 !se(Action)ジュゴー !wait4 !se(Action)ジュゴー !wait4 !se(Action)ジュゴー !wait4 !se(Action)ジュゴー \c[1]「こおおおおお・・・!」 気合を入れ、右拳に魔力を集中させる。 !se(Action)跳ね 跳躍。 残ったゾンビの防壁を越えて、 リッチーの真上へと飛び上がった。 長い髪が黄金のように輝き、手甲が白銀に光る。 \s彼女の外見も相まって思わず見とれるほどに、 幻想的な美しさを醸し出す。 !se(Action)跳ね \c[1]「せいやぁぁぁぁぁぁ!!」 !se(Action)爆発音 が、彼女の繰り出した拳は そのイメージを一瞬で根こそぎ吹き飛ばし 巨大なクレーターを生み出した。 拳の直撃を受けたリッチーは滅殺。 半数以上のゾンビも既に破壊されていた。 \c[1]「ふー、これ疲れるから  あんまやりたくないんだけど。」 \c[1]「ま、いいか。  \sデスクワークで溜まってた分  吐き出してすっきりしたし\wh」 地面に埋まった拳を引き抜くと パンパンと埃を払い、周囲を見渡す。 \c[1]「う〜し、後は有象無象だけっと。」 \c[1]「そこのヒヨッコども〜。  残りは任せても大丈夫よね?」 決して大きくはないが通る声で 魔道士たちに語りかける。 「へ・・・?」 あまりの出来事に状況が飲み込めず 間の抜けた返事を返してしまう。 \c[1]「へ?じゃないわよ。  何よその気のない返事は?」 \c[1]「ここは戦場よ?  劇的な状況の変化なんかいくらでも起こる。」 \c[1]「貴方が隊長でしょ。  臨機応変に対応しろって指示きてないかしら?」 キビキビと指摘する女性。 \c[1]「・・・それとそこでヘタれてる奴ら。  \s抗う気もないならさっさと消えてくれない?  生きようとする者の邪魔なのよ。」 \c[1]「お家でママのおっぱいでも吸いながら  この時が過ぎるまで震えて、怯えて、  まってればいいんじゃない?」 隊長の後ろにいた他の魔道士たちを見て、 嫌味とも取れる苦言を呈する。 \c[1]「もっともその後、無事に明日を迎えても、  あんたたちの心には虚しさしか  残らないでしょうけどね。」 \c[1]「やり遂げて迎える時間と、  無力に怯えて恐怖をやりすごした後、  どっちの方が美味いお酒が飲めるかしらね?」 きつい言い分ではあるが、 その言葉は心を射抜くような力強さを持っていた。 「・・・いえ、私達も戦います。」 「なあ、お前たち!まだいけるな!!」 隊長の言葉に応え、他のメンバーが立ち上がる。 その顔には絶望の色はもうなかった。 \c[1]「よろしい。」 \c[1]「幸いというか、この闇のお陰で、  一般人はほとんど外出していないわ。」 \c[1]「多少派手にやってもいいそうだから  思いっきりやりなさいな。」 「はい!!」 \c[1]「じゃ、ここは任せたわよ。」 !se(Action)跳ね そう言うと障害となるゾンビを薙払いながら 女性は疾風のように駆け抜けていった。 「死霊を物理攻撃で消し飛ばすとは・・・」 「あれが【\r[壊す拳,ブロークンフィスト]】のブリューナク。  【最強の盾】と並び称される戦乙女か。」 圧倒的な暴力を振りまいた女性に 畏敬の念を込めながらそう呟いた。 !bgm !wait30 !se(Action)跳ね 地を蹴り全速力で駆け抜ける。 \s心なしか顔に疲労の色が見える。 \c[1]「・・・\sハァ、リッチークラスがこれで四体。  \s年に一回出るか出ないかの魔物なのに、  随分大盤振る舞いだこと。」 \c[1]「私の魔力、今夜いっぱい持つかしら?」 そう独りごちると右手を握りしめ手甲を見つめる。 \s【銀の腕】と呼ばれる神器に近い性能を持つ マジックアイテムだ。 \c[1]「ハッ、弱音吐いたらシイナになじられるわね。  あいつ、ああ見えて陰険な所あるから。」 \c[1]「負けんじゃないわよ・・・シイナッ!!」 遥か極東の親友に届かんばかりに吠え、 目の前の敵を滅するべく拳を唸らせる。 親友との約束を胸に闇を疾駆した。 !mvnil !wait20 !mvショッピング街 !bgmサスペンス @1 アクアフロートの病院前。 \s停電で灯りが消え、闇に染まるそこに 怪しい影が蠢いていた。 @900 ゲングさまの気配が消えた・・・。 計画通り、 病院に突入するべきなんだろうな。 @903 けど、こんな結界があったんじゃ どうしようもねえだろう! 触れた途端に消滅しちまうぞ! @900 ここ以外も今や街中、結界だらけだ。 一体どういうことなんだ、これは? @903 知らねえよ! @1 ゲングの放った眷属である魔物たち。 彼らはミキの入院している病院の人間を 皆殺しにするという任務を帯びていた。 だが、その役目はフェザーの敷いた結界により 果たせなくなっていた。 指示を出すゲングが死んだため、 どうしていいのか分からず、ここに留まっている。 @902 ちくしょう! まさかあのゲングさまが 魔道士風情に負けるとは思わなかった! 憂さ晴らしに人間でもバラさねえと 気がすまねえ!! @1 しかし、この停電により 人々は余計に家の中に閉じこもり 誰も外に出てはいない。 家屋には結界が張られている、 それでは人を襲うことなど出来るわけもない。 !se(Action)学内歩き ・・・そのはずだが。 どこにでも例外はいるものだ。 @902 おお、人間だ!! 人間の足音だぞッ? @1 「・・・あー、もしもし。  つかぬ事をお伺いしますが・・・?」 杖を付いて歩きながら病院の前に立つと うんうん唸って首を傾げる。 白髪とアゴに白いヒゲをたくわえた老人が 近くにいた魔物たちに話しかけてきた。 「ここはー、病院でよろしいんでしょうか?」 @901 は? @1 「実はのー、わしの可愛い孫娘が  友達の付き添いをすると言って  今、ここにいるはずなんじゃがー。」 「突然明かりが消えての〜。  怖がってはいないかと心配になっての〜。」 「わしゃー、徘徊は得意なんじゃが、  病院の場所はハッキリ覚えてなくてのう。」 ボケた空気を醸し出しながら老人は語る。 @903 なんだこの爺。 俺達を人間だと勘違いしてるのか? ボケてるんじゃねえか。 @900 おそらくそうだろうな。 @1 半ば呆れる魔物たちだが、 老人は構わずにしゃべり続ける。 「いやー、わしの孫娘は美人での〜。 \s気立てもいいし、\s優しいし、\s正義感も強い。」 「ただの〜。最近はわしが徘徊しても  追いかけて来なくなったんで寂しいのじゃ。」 しょんぼりと顔をしかめた。 @902 まあ、憂さ晴らしには丁度いい! この爺をぶち殺してやるッ!! !se(Action)跳ね @1 そう叫び、体の一部と爪のように変えて 老人に襲いかかった。 !bgm 「ほんにわしの宝物なんじゃわい。」 「だからじゃな・・・」 「お前たちのような  魑魅魍魎に食わせなどせん。」 !se(Action)ジュゴー 老人の口調が突如凛々しく変貌する。 !bgmバトル02 !se(Action)ズシャアアー @1 刹那。 老人の杖が赤くギラついた輝きを放つと 何かが斬れるような音がした。 @903 へ・・・? @1 斬られたのは魔物の一体。 \s霊体に近いその体が真っ二つに裂けていた。 @901 なっ!? @1 「とは言え、わしは千年の中で最弱。  大したことはできん。」 「お前たちが霊魂で助かったぞ。  \r[一法,・・]のみで片が付けられる。」 !se(Action)ジュゴー @903 ひ・・・ひ・・・ぎゃああああああ!! !se(Action)爆発音 @1 老人が語り終えると魔物が消滅した。 @901 な、なんだ・・・お前は!? @1 「ただの孫バカのボケ老人じゃよ。」 「ちーっとばかし、魔を狩る力を持った、な。」 とぼけた口調なれど、 今の雰囲気は老練な戦士にしか見えない。 @901 くっ・・・こ、こいつうう!! @1 残った魔物たちが一斉に襲いかかる。 \sだが、老人は少しも慌てずに赤い杖を構えた。 「出すのは数十年ぶり。使ったのもほんの数回。  \sこの老体がどこまで耐えられるかは分からんが、  これからを生きる子供たちを守ろうではないか。」 「それが我が一族の千年の宿星なれば。」 !bgm !se(Action)ミス !wait5 !se(Action)ズシャアアー @1 謎の老兵は戦う。 \s魔法使いたちと目指すべき場所は違えど、 己の守るべきもののために。 !mvnil !wait20 人々の知らぬ影に隠れた戦いは激化する。 \sそれぞれが変わらぬ明日を迎えるために。 そして・・・決戦の中心にて。 !mv中央公園 @620 ・・・くくっ。 @1 さも人の足掻きが可笑しそうに、 全ての元凶が・・・\s\s闇が\r[嗤,わら]う。 !mvnil !wait40 真説・\r[幻影帳,シルエットノート]異聞 最終章「日々」 !mv中央公園 !bgm恐怖 !se(Action)ジュゴー @1 中央公園の奥、人工林の僅か手前に 一つの次元の歪みができていた。 紫がかった暗黒の塊が中空に留まり、 そこからあふれ出る瘴気は周囲の草花から 生気を奪い、枯れさせてしまっている。 @620 ・・・ふふっ、久しぶりの 死の世界の空気は実に美味いな。 @1 ゲートの前でタナトスが大きく深呼吸をする。 生命を奪う瘴気を一気に吸い込むが その体に影響はない。 @620 三百年前は開く前に勇者に邪魔されたが、 前回は丁度これくらいの頃だったか。 !se(Action)跳ね @1 そう呟くと背後に人の気配を感じた。 @133 見つけたぞッ!タナトス!! @121 うっ、酷い瘴気ね。 !v37=1 @813 これくらいなら影響は少ないですが、 直接吸わないように気をつけなさい。 @702 モゴモゴモゴ! (分かったぜ!) @570 あなたは呼吸をしないつもりですか。 @1 ゲングを倒し、シシトたちが到着したのだ。 @620 いつもそうだが、 貴様たちは出待ちでもしているのか? @131 は? @620 常にタイミングが良い。 \s物語が盛り上がりを見せようとする時、 貴様らは必ず駆けつける。 さすがに正義の味方と言ったところか。 @1 シシトたちの方へと向き直り、 嘲笑めいた表情を浮かべ楽しそうに語る。 @570 よく言いますね。 そう仕向けているのは貴方でしょう。 私に気づいていながらゲングに伏せて 不確定要素を増やした。 十年前もそうでしたが、 事前に潰せたにもかかわらず、コチラを弄ぶ。 貴方はいつでも・・・他者を嘲る。 @620 おお、そう言えばあの時いたな。 十年ぶりではないか、鳥よ。 確か、フェザーだったか? @570 ・・・ええ、そうですよ。 @620 その様子では、ゲングも倒されたか。 @133 そうだッ! もうお前の部下は一人もいない! 後はタナトス・・・お前だけだ!! @620 ふふふ、これは面白いな。 @121 面白いですって? @620 ああ、実に面白い。 ゲングとマリオンは既存種を元に 我が作り出した突然変異に近い魔物、 規格外の存在と言っていい。 器の覚醒に終始したマリオンはともかく、 あのゲングを倒して、しかも一人も欠けずに ほぼ無傷で、ここまで辿り着いた。 素晴らしいぞ、貴様ら。 \s特に一月前までは虫けらでしかなかった 村上シシトよ。 称賛に値する。 我は貴様らの努力と信念を讃えよう。 @1 海岸公園の時のように、 パチパチと手を叩き、心の底から賛美する。 @121 ・・・こいつ。 @133 あの時の姉さんの気持ちがよく分かる。 \s不愉快にしか感じない。 @830 \c[4]当然だ。 \sヤツが努力を讃えるなど、 叩き潰して楽しむと言っているようなものだ。 @813 三百年前、十年前。 散々遊ばれましたが、これで終わりです。 今度こそ決着を付けさせてもらいますよ。 @620 女神の映し身か。 十年前に分断された借りがあったな。 村上の息子と娘に三神獣。 いささか戦力的には物足りぬ気がするが、 それだけ大口を叩くということは 切り札でもあるようだな。 まだここにいない・・・我の【器】が鍵か。 @570 黙れ。彼を器呼ばわりするな。 @133 リョウヘイはリョウヘイだ!! お前の入れ物なんかじゃない!! @620 まあ、いい。 早々とネタバレしては面白くもなかろう。 \sおっとコチラはバラしておいてやろう。 既に儀式は終了している。 後は扉が開くのを待つばかりだ。 @704 なにいい!! @620 扉を開く力は我の魔力。 我を倒せば儀式は失敗だ。 \s開くまでに我を倒せば世界は救われる。 何も難しく考える必要はない。 全身全霊でかかってくるがいい。 @120 言われなくてもそのつもりよ。 あんたを倒す。 私たちの予定は最初からそれだけ。 !se(Action)ジュゴー @1 シイナは左腕に大気の盾を具現化させる。 \s相手はタナトス、気流操作程度では どうにもならないからだ。 @620 その意気だ。 扉が開ききるまで・・・ 我の遊び相手をしてもらうぞ。 そうそう、言い忘れていたがな。 扉に魔力を供給しているとはいえ、 我が弱体化しているなどと甘い考えは・・・ 持たぬ事だな!! !se(Action)ジュゴー @1 そう叫ぶと、タナトスの体から 強大かつ圧倒的なドス黒い魔力が放たれた。 @813 くっ・・・魔力だけなら十年前以上ですね。 油断しないでください! @1 魔力の起こした風にさらされながらも、 スケイルは母なる海を杖を握りしめ タナトスを睨み続ける。 @570 皆さん、出来る限り時間稼ぎを。 生き残ることを優先してください。 私達だけでは、\r[まだ,・・]勝てない。 @121 【剣】の到着を待てってことでしょ? @120 でも、逃げまわってるだけで やり過ごせる相手じゃないわ。 隙があれば、攻撃に移るわよ。 @813 もちろんです。 @133 行くよ、クロウさん!リスくん!! @830 \c[4]うむ、任せろ! @704 に、二度もビビったりしねえぜぇぇぇ!! @1 全員が戦闘態勢を取る。 復讐、信念、友情、それぞれの意思で タナトスを見据える。 怯えて自害に走る者など、一人もいない。 !bgm @620 くく、\r[我,死]の恐怖も知れたものよ。 \sだが、そうでなくてはつまらぬ。 さあ、夜は長い。 \s舞踏会を楽しもうではないかッ! !bgm(タクミ)ボス戦 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait4 !se(Action)雷光 !wait3 !se(Action)雷光 !wait3 !se(Action)雷光 !wait2 !se(Action)雷光 @1 闇が吠えた。 \sその瞬間、タナトスの体から雷がほとばしり 六本の雷の束が真っ直ぐに襲いかかってくる。 !se(Action)跳ね @120 小手調べのつもり!? ただの雷光くらいなら私が・・・! @1 シイナが大気の盾をかざし、防御しようとする。 @813 いけません、シイナさん! @1 だが、スケイルがそれを制止した。 @570 皆さん、散ってくださいッ!! @121 ッ!! !se(Action)跳ね !wait10 !se(Action)跳ね !wait10 !se(Action)跳ね @1 訝しむこともなくシイナは 即座にスケイルの忠告を聞き入れ、 フェザーの指示通り、その場から飛んだ。 @704 シシト、横に飛べ! @133 え!? @833 \c[4]リスの言うとおりだ!かわせ! !se(Action)跳ね @1 シシトもまた思いっきり横へと飛ぶ。 !se(Action)ジュゴー !wait5 !se(Action)ジュゴー !wait4 !se(Action)ジュゴー !wait3 !se(Action)ジュゴー !wait3 !se(Action)爆発音 退避してまもなく、直線だった雷光が 鞭のようにしなって折れ曲がり シシトたちがいた場所を焼き払った。 @121 雷光を・・・曲げた!? @813 ヤツなら、あれくらいは朝飯前です。 @570 私たちの魔法の常識は通用しません。 @120 前だけを防御してたら食らってたわね。 二人とも助かったわ。 @1 知識を司るスケイルはもちろん、 フェザーも元は魔法生物である。 人間よりも魔力の動きに敏感だ。 それを知っているからこそシイナは 黙って二人の指示に従ったのだ。 @132 うう・・・。 @704 しっかりしろよ、おい! @1 ちなみにシシトも横っ飛びでかわしたものの、 シイナたちほど綺麗に回避はできず、 無様に倒れこんでしまっていた。 @620 安心するのはまだ早くはないか? !se(Action)ジュゴー !wait5 !se(Action)ジュゴー !wait4 !se(Action)ジュゴー !wait3 !se(Action)ジュゴー @1 タナトスが腕を組みながら語ると、 雷光が着弾した粉塵の中から 再び雷の束が伸びた。 !se(Action)跳ね @121 追尾までできるってこと? !se(Action)バリア音 @813 あの様子を見ると オートホーミングと言った所でしょうか! !se(Action)跳ね @570 近代兵器も真っ青ですね!! @1 シイナとフェザーは飛び跳ねて回避。 スケイルは全方位に反射を張り防御する。 !se(Action)跳ね !wait5 !se(Action)跳ね !wait5 !se(Action)跳ね @132 うわわわわわ!! @704 右だ、右!! @1 シシトもすぐに起き上がると慌てて飛び退く。 @833 \c[4]次は左だ! !se(Action)跳ね @132 くっううううう!! @1 魔力探知ができないため苦戦するが、 リスとクロウのお陰でかろうじて回避している。 @620 文字通りの舞踏会だな。 マリオンが喜びそうな光景だ。 @1 ニヤニヤと笑みを浮かべる。 @620 もっとも我とマリオンには一つ違いがある。 あいつは操作と攻撃の二動作を 一度には出来なかったが、 我には造作も無いことだ。 !se(Action)ジュゴー @1 ピッと右手の人差し指を立てると空中に 巨大な炎の塊が発生する。 @704 だああああ!! 雷だけでもイッパイイッパイだってのに! @620 さあ、どうするかな? @1 指を下ろすと炎がゆっくりと落ちてきた。 その大きさを考えれば、どこにいようが ダメージは避けられないだろう。 @813 シイナさん!! @120 シシト、こっちに来なさい!! !se(Action)跳ね @1 反射を展開しているスケイルの元に、 シイナ、フェザーが再び集まる。 @133 分かったよッ!! !se(Action)跳ね @1 シシトもシイナの指示に従って駆け出す。 !se(Action)ズシャアアー @133 くっ・・・!! @1 滑りこむようにスケイルの元にたどり着く。 @133 で、どうするの!? @1 未だ追尾してくる雷光。眼前には巨大な火球。 一箇所に集まってはかえって危険なはずだ。 それでも指示に従ったのは、 この一月の特訓で姉とスケイルの実力を まざまざと見せつけられたからだ。 自分より優れた者の判断を優先する。 生き残る上では当然の考えだ。 @120 あんたは自分の役割だけ考えてなさい!! スケイル! @813 お任せです!! !se(Action)ミス 反射ッ!! !se(Action)ジュゴー !wait5 !se(Action)ジュゴー !wait5 !se(Action)バリア音 !wait5 !se(Action)バリア音 !wait5 !se(Action)バリア音 @1 母なる海の杖を地面に突き刺し、 そこを起点に先ほど同様、全方位に反射を張る。 @705 おおお、すげええ!! @830 \c[4]さすがに最古の神獣。 一度に複数の反射を張るなど、 たやすく出来る事ではない。 \c[4]だが、それだけでは! !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 !wait4 !se(Action)雷光 !wait3 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)バリア音 @813 くううう!! @1 ゲングの炎嵐さえもあっさりと弾き返した スケイルの反射だったが、タナトスの雷光は 凌ぐので精一杯。 前方からは火炎も迫っている。 このままでは防ぎきれないだろう。 !se(Action)跳ね 火炎が反射に触れる間際、シイナが 大気の盾をかざして前に出た。 @120 どんな威力であっても、直線の魔法なら 私の盾で防いでみせるわッ!! !se(Action)ジュゴー @1 シイナの意気に応えるように 大気の盾から、気流が発生し、 本体を中心に見えない盾を形成した。 大気の盾は具現化すると全方位防御や 気流操作と言った応用力は減る。 だが、代わりに一方向への防御力は 比較にならないほどに高くなる。 !se(Action)爆発音 @121 ぐ・・・! @1 ほどなく火炎が着弾。 \sスケイルの反射とシイナの大気の盾が その蹂躙を阻む。 シイナは左足で踏ん張るも、ジリジリと後退する。 !se(Action)ジュゴー @813 くうううううう!! @1 スケイルも額から脂汗を流しながら反射を維持。 @133 二人とも・・・! @570 シシトくん。 貴方には貴方の役割があります。 \s二人が凌ぎ切った後のことを考えなさい。 @130 ・・・。 @620 どうした? これで終わってしまってはつまらぬぞ。 @1 いつのまにか、また腕を組み にやけながら語りかけた。 !se(Action)爆発音 @121 ・・・\s舐めるんじゃ・・・ないわよ。 こんな魔法じゃ・・・! @813 私たちの・・・! @120 盾は貫けない!! !se(Action)ジュゴー @1 二人が渾身の力を込めタナトスの魔法を打ち払う。 雷光はついに威力を失い消え去った。 !se(Action)爆発音 大気の盾に上乗せされた反射の性質を受け、 火炎はタナトスの元へと弾き返された。 @620 なんと! !se(Action)爆発音 @1 油断していたせいかタナトスは 自身の放った炎の塊に飲まれてしまった。 @570 シシトくん、今です!! @133 分かったぁぁぁ!! @1 右手をタナトスに向けてかざし、 溜め込んでいた魔力を解き放とうとする。 @813 う・・・援護します・・・! \s増幅!! !se(Event)アイテム入手A @133 おおおおッ!\s衝撃ィィィィ!! !se(Shooting)レーザー @1 強化された破壊エネルギーが もうもうと燃え盛る炎の中へと突き刺さる。 !se(Action)爆発音 !wait5 !se(Action)爆発音 !wait5 !se(Action)爆発音 轟音。 !se(Action)爆発音 炎が巻き起こり、繰り返し爆裂する。 まともな生物ならば、骨まで焼滅してしまうだろう。 @121 ぐっ・・・。 @813 う・・・。 @1 二人は膝をつき、ハァハァと肩で息をする。 @570 まだ第一ラウンドも終わってませんよ。 !se(Event)アイテム入手A !wait5 !se(Event)アイテム入手A @1 二人の背に触れて治癒の魔法をかける。 @121 ほんっと、人付き合い荒いわね・・・。 @811 まったくですね・・・。 @133 スケイルさん、もう一度増幅を! コッチが少しでも有利なうちに 畳み掛けるんだ! @813 ・・・分かりました! @1 杖を支えにぐぐっと立ち上がり、 シシトに増幅をかけようとする。 だが・・・ !bgm緊迫状況 !se(Shooting)レーザー !se(Action)雷光 一条の閃光が スケイルの右足の大腿部を貫いた。 @811 え・・・? !se(Action)跳ね @1 杖のお陰で倒れるまでは行かないものの、 再び膝を付いてしまう。 @133 なッ!? @120 スケイルッ!? !se(Shooting)レーザー !se(Action)雷光 @1 シイナが気を取られ、僅かに後ろを向いた瞬間、 左肩を閃光が貫いた。 @121 ぐっ・・・!! @133 姉さん!? @833 \c[4]シイナッ!? @704 い、今のはミキちゃんが使った! !bgm恐怖 @620 くくく、適当に撃ったのだが 中々面白い場所に当たったようだな。 @1 指を銃のようにかざし 炎の中から悠々とタナトスが現れた。 @570 くっ・・・! @1 二人に駆け寄り再度治癒をかけようとする。 !se(Shooting)レーザー !se(Action)雷光 だが、雷弾がそれを阻んだ。 @570 ちぃ・・・! @620 ふふふ、まあ待て。 \s今は我の話を聞いてもらおうか? @121 話・・・ですって? @1 左腕をぶらりと垂れ下げ、 右手で肩を押さえつつシイナは立ち上がる。 @813 貴方と話すことなど、ない・・・! @1 スケイルも杖を右足の代わりに軸として 立ち上がった。 @620 貴様らではない。 \s健闘したのは褒めてやるが、 あの程度、十年前の十三剣にもできたこと。 村上シシト。 話があるのは貴様にだ。 @133 生憎と僕もお前と話すことなんかない! @620 我にはあるのだよ。 見よ、この手を。 @1 タナトスが右手を開いてかざす。 @131 ・・・無傷だって自慢したいのかい? @620 違う。よく見るのだ。 @1 ジッと見ているとほんの僅かに火傷ができていた。 @620 これは貴様の衝撃を防いだ時に出来た傷だ。 如何に仮の器として優秀でも、 所詮は人間の体だ。実に脆い。 ゆえに、我自身の魔力によって 物理も、魔法も防げるタイプの 防御結界を張っておいた。 だが、貴様の衝撃はそれを貫いた。 @131 ああ、そうかい。 恨み事の一つでも言いたいの? @620 いや、素晴らしいぞ。 魔法が一つも使えなかったにも関わらず、 短期間で衝撃という高等魔法を習得し 挙句、適切なタイミングで撃ちこむ。 貴様の成長は想像以上だ、村上シシト。 @133 お前に褒められても嬉しくはない! さっきそう言ったはずだ!! @620 まあ聞け。貴様にチャンスをくれてやろう。 @830 \c[4]シシト、ヤツの戯言に耳を貸すな! @620 黙れ、犬風情が。 未熟な貴様の言葉など我にも筒抜けだぞ。 @833 \c[4]なッ!? @620 さて、村上シシトよ。 @1 ニィと口を開き、タナトスは語りかける。 @620 我の部下にならぬか? @132 はぁ!? @121 何を言って・・・! @813 シシトさん! !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)雷光 @1 シシトに声をかけようとする シイナとスケイルの足元に雷が落ちた。 @133 姉さん、スケイルさん! @620 村上シシトは今、我と話している。 邪魔をせんでもらおうか? 貴様のその魔力に更に興味が沸いたのだ。 ここで楽しみとして殺してしまうのは惜しい。 そう感じる程度にはな。 @133 別に僕が初めてってわけじゃないだろ!? \s\r[魂の旅人,エトランゼ]って人や、父さんたちだっている! @620 いいや、初めてに等しい。 かつての勇者は我と同じ超越者。 世界の規格を超えた者だ。 我と対等で当たり前。 村上たちは歴戦の勇士。 女神の強力な加護と神器を用いたのだ、 これも当然のこと。 神の加護も薄く、経験も少ない、 超常の存在でもない。 才能があるだけのただの人間が、 我に傷を付けたのは一度も例がない。 いやはや、驚いたぞ。 @1 その口調には先ほどの嘲りはない。 本当にシシトの力に感嘆している。 @131 ・・・。 @620 そこでだ。 \sその力、我の元で育ててはみぬか? 成長した暁には、 世界の支配権くらいくれてやろう。 \s我はそのようなものに興味はないからな。 二度は言わぬ。\s今すぐ決めよ。 ここで殺されるか、 \s生き延びて支配者となるか。 \s二つに一つだ。 @1 闇からの誘惑。 \s思わず肯定してしまいそうな甘言。 !bgm[追加]闇夜の死線 @133 断るッ!! @1 だが、シシトは一切の迷いなく答えた。 @133 僕が欲しいのは、 守りたいのは、生きて行きたいのは 今ここにある僕の世界だ!! お前が手に入れた世界なんかいらない! @705 うおっしゃああ!よく言ったシシトォォォ! でも世界はちょっとだけ欲しかったぜぇぇ! @131 ダメだよ、リスくん。 昔、古いRPGを遊んだ時に 魔王が同じようなこと言ってきたけど、 「はい」選んだらバッドエンドだったから。 きっとこいつも同じだよ。たぶん。 @701 そんな有名過ぎる選択肢に引っかかるなよ。 @831 \c[4]なにを馬鹿な事を話してる!? @811 シシトさん・・・。 @121 ふっ、いっちょ前に啖呵切ったじゃない。 @570 さすがあの二人の息子で シイナさんの弟・・・ いえ、さすがシシトくんですね。 @134 ま、RPGの話は冗談だとしてもさ。 @131 お前の言葉に乗って サエちゃんがこれからも 力を貸してくれるとは思えないね。 @620 ふむ、そうか残念だ。 \s貴様がどこまで伸びるか見たかったのだが。 !bgm ならば、貴様の 大事な仲間や姉共々死ぬがよい。 !bgm緊迫状況 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)爆発音 @1 瞬間、タナトスの左腕に雷が迸り、 右腕に炎が生じた。 @704 あ、あれは!? @813 合成魔法・・・! @833 \c[4]遂に来たか・・・! @121 フェザー、私の肩に治癒を! 私の治癒魔法だけじゃ間に合わない! !se(Action)跳ね @570 分かりました! @133 スケイルさん、もう一度増幅を! \s二人の回復まで僕が時間を稼ぐ!! @1 全員が体勢を整えるために動く。 @620 ・・・\s無駄だな。 !se(Action)ジュゴー @1 更にタナトスの頭上に 白いエネルギーの塊が発生した。 @813 あの力・・・! @132 あれは!? @1 シシトにはすぐに分かった。 \sあの白い塊は衝撃の力を具現化したもの。 つまりタナトスは 三種の魔法を一つに束ねようとしている。 @620 我は魔法に名をつけるのは好まぬ。 \s自然に出来る事を仰々しく名付けるなど 滑稽でしかないからな。 だが、今宵は主義を曲げ、 貴様らにも分かりやすいように 名を付けてやろう。 @1 頭上に留まっていた白いエネルギーが タナトスの胸にまで降りる。 !se(Action)ジュゴー !wait4 !se(Action)ジュゴー !wait4 !se(Action)ジュゴー !wait4 !se(Action)ジュゴー 両腕の雷と炎と交わりドス黒く変色した。 @620 人は古来より雷に怯え、炎を畏れ敬い、 破壊の力に憧れ、嫌悪した。 どう足掻こうが 自分たちの及ばぬ力だったからだ。 ならば、この魔法の名には これがふさわしかろう。 行け・・・\s『厄災』よ。 !se(Action)ジュゴー !wait4 !se(Action)雷光 !wait4 !se(Action)爆発音 !wait4 !se(Action)ジュゴー @1 絶対的な暴虐の力がシシトたちに襲いかかる。 \s余波だけで地面が抉られ、削り取られていく。 先程の火炎など話にならない威力なのは 一目みて分かる。 @133 くそ・・・!衝撃!! !se(Shooting)レーザー @1 スケイルの増幅を待たずに衝撃を撃つが、 黒い渦のように襲い来る厄災に あっさりと食われてしまった。 @133 くそっ!\sくそっ!\sくそっ!! !se(Shooting)レーザー !wait5 !se(Shooting)レーザー !wait5 !se(Shooting)レーザー @1 余力を無視して連発するが、 虚しく吸収されて消えるだけ。 @813 ダメです!みなさん避けてください! @133 でも、スケイルさんを置いてはいけない! @1 シシトが必死に衝撃を撃っていたのは、 足をやられたスケイルが逃げられないからだ。 !se(Action)跳ね @121 もういいわ、フェザー!! @570 シイナさん!? @1 治癒をかけていたフェザーを押しのけ、 無理やり左腕を上げて前にかざす。 @121 あんたはシシトたちをお願い! @120 ここは私が防いでみせる・・・! @813 やめてください、シイナさん!! @121 この状況で少しでもアレを防げそうな人が 他にいるかしら? @120 大丈夫。 \s父さんだって皆を守りぬいた。 私にだってできないはずがない。 @620 不可能だ。 貴様の父親が我の魔法を防げたのは 大地の鎧があったからだ。 大気の盾だけでは防ぎきれまい。 @1 タナトスがそう冷たく言い放つ。 @121 こう見えて、盾の使い方だけなら 父さんを超えたつもりよ!! !se(Action)ジュゴー @1 大気の盾に魔力を集中させ、 巨大な気流の盾を形成する。 @120 一か八か・・・逸らすことだってできる! @133 姉さん、ダメだ! @121 ・・・\sいいから、 あんたは自分の役目を果たしなさい。 @120 アレは、\r[お姉ちゃん,・・・・・]が なんとかしてあげるから。 @1 シイナは優しい笑顔でそう答える。 \sまるで幼い弟をあやす姉のように。 !se(Action)ジュゴー !wait4 !se(Action)雷光 !wait4 !se(Action)爆発音 !wait4 !se(Action)ジュゴー 無慈悲に暗黒の厄災は近づいていた。 @120 来い・・・この盾は貫かせない! \s私の後ろの仲間を、弟を これ以上傷つけさせはしないッ! @133 姉さぁぁぁん!! !bgm !se(Action)ジュゴー !wait5 !se(Action)ジュゴー !wait4 !se(Action)ジュゴー !wait3 !se(Action)爆発音 !mvnil @1 シシトの絶叫と同時に爆音が響いた。 !wait10 中編に続く.....