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シーナの幻想体験 by MADAO 2007/11/24 (Sat) 21:40
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私はシーナ=セフライト、ノーマ学院の生徒で十六歳。結構怖かった人が多いんだけど、面白く愉快な先生たちと、
病気の事を知っても普段どおりに話してくれるエシュター君(本当は知らないんじゃ・・・)と他の楽しい人達がいるおかげで、
楽しく学院生活を送れています。病気は怖いけど、これからも、何も無く楽しく普通に過ごせます様に・・・

シーナ初日の日記より

「えっと、あれにこれに・・・あれも買わなきゃ」

中央広場でメモを持ち、独り言を言いながら歩いているのは勿論私、シーナです。お母さんが洗濯物干し忘れてたから
代わりに夕飯のお買い物に来ています。今の時間は大体五時半くらい・・・かな。うん、多分そうだよね。

「あの、これ下さい」

魚屋さんの前でサンマを指差してそう言います。おじさんが少し微笑んでいるのが見えます。

「おう!いらっしゃい!サンマね、カルシウムは大事だよお嬢ちゃん」

「そうですね、カルシウムは骨の成長を助けるとも聞きますし」

「そうそう!いっぱい食べれば車に轢かれても無傷な体になるかもよ!」

「さ、流石にそれはない・・・かな」

おじさん、車に轢かれても一本も折れてないのは凄いと思いますよ。

「はい、毎度ありー!」

サンマを手提げ籠の中に入れたら、どうやったらあそこまで元気になれるんでしょうか?明日少し聞きに行ってみようかな、
と思うのでした。次に買うのはお米だったかな、確認しとこう。確か手提げ籠の中にあったよね。

「・・・あっ!」

急に吹いた少し大きな風、そして風にさらわれたメモ、結構な量の買い物を任せられていたので、まだ全部は見ていませんし、
違う物を買ってお母さんを困らせたくないと思って、メモを拾うため走りました。幸い直ぐに地面に落ちて、直ぐに拾えました。
でも、拾いに行ったのが間違いでした。私の視界に急に空が見えました。私は首を動かしていないので、おかしいです。
そして、体に凄い衝撃が走りました。やっぱり、おかしいです。私は動いてもいないのに、地面が見えています。
まるで地面にうつ伏せ倒れている様に。今なんでこんな感じなのか、直ぐにわかりました。車と壁のぶつかる音、人の叫び声、
周りを取り囲む人達。私はメモを拾いに行って、事故に遭ったのでした。少しの間、何も言えず、動けませんでした。
でも、うっすらと意識が消えかかった時に、人と人を掻き分けて直ぐ側に来た人がいました。もう意識が朦朧として、
目もぼやけて来ていて、誰なのか、わかりません。私はその人が何かを言っている言葉を聞けず、意識は完全に闇に消えました。




  意識の海に漂う、そこのあなた・・・・・・私の声が聞こえますか・・・・・・・・・?

聞こえる女性の声に目を覚まして、目を開きました。目の前に広がるのは、無限に続くかのような闇の中に、光の球体の様な物が、
無数に浮いている神秘的な空間でした。ですが、さっきの声の人と思える方は見当たりませんでした。さっきの言葉では、多分、
私に聞かれていると思って、首を縦に振ります。

  私はリクレール・・・・・・トーテムに呼び覚まれし生命を導く者です・・・・・・

「トーテムって、あのノーザニアの原住民の一部が使う事の出来る、動物の様な能力の事ですよね」

  良くご存知ですね、その通りです・・・・・・。私はそのトーテムを統べる者と言っても過言ではないかも知れません・・・・・・

「は、はぁ・・・」

  あなたがこの世界に降り立つ前に、いくつか聞きたい事があります・・・・・・

「あの、すみません、いまいち話がわからないんですけど・・・」

ほんの少し小さく手を上げて言いました。見えているかは知りませんが・・・

  そうなんですけど、それはまた地上でお話しましょう・・・・・・。まず、あなたの性別を教えてください・・・・・・

「私は女性です」

  あなたは、女性なのですね・・・・・・次に、名前を教えてください・・・・・・

「シーナ=セフライトです」

  あなたの名前はシーナというのですね・・・・・・。ではシーナさん、次の質問です・・・・・・
  
「はい、どうぞ」

  これから始まる旅では、多くの戦いを切り抜けなければなりません・・・・・・

「私が、戦いを・・・」

  それで、これからの旅を乗り切るために、あなたを導く神獣『トーテム』の力を一つだけ授けましょう・・・・・・。
  あなたの求めるトーテムは、次の内どれに当たりますか・・・・・・?

そのリクレールさんの言葉と同時に、目の前に出てくるのは、大型の狼、鳥、そして蛇のようなトーテム達三匹でした。
それぞれに、狼は力が強い印象があり、鳥は素早い印象がありますけど、蛇のようなトーテムは頭の賢そうな印象が感じれました。
でもあまり迷わず、直ぐに狼の所に行きました。

「君が良い、かな…」

【ム、我か?他のトーテムの話、説明は聞かぬのか?】

「うん、私は君が良いな・・・」

【そうか、我の名はクロウ、力を司りしトーテム】

かなり知能が高い狼のクロウさんは犬で言う所お座りをして言っています。

  分かりました・・・・・。あなたのトーテムはクロウですね・・・・・・これで質問は終わりです・・・・・

「あ、そうなんですか」

  残りの必要な説明は、あなたが世界に降りてからにいたしましょう・・・・・・

リクレールさんがそういうと、私の周りを眩しい光が包み込んで、またリクレールさんの言葉が聞こえました。

  さあ、シルフェイドの世界へと降り立つ時が来ましたよ・・・・・

数秒の間、光が私を包み込むようになって、光が無くなる時には私は森の中に立っていました。ほんの少し見回して、
森の中である事を再確認していたら、また光に包まれました。そして、目の前に浮いている人がいました。
伝説上の動物、ユニコーンのような角を持ち、犬の様な耳がありますが、その容姿は正に”女神様”でした。

「・・・・・・シーナさん、見えますか?私です、リクレールです・・・・・・」

目の前の人はリクレールさん。さっきまで話していた人とは全然思えません。その姿に、ただ見惚れていました。

「まず最初に、シルフェイドの世界にようこそ・・・・・・。ここは私の作った名も無き天空大陸。
人々が平和に暮らせる世界・・・・・・のつもりでした」

「つもり、ですか?」

思わずリクレールさんの言葉にそう聞くように呟きました。そして、返答をしてくれます。

「ですが間もなく、この島に悪いことが起きようとしています・・・・・・。この島のすべての人々にかかわる、
とても大きな『災い』が起きようとしているのです・・・・・・」

「災いの正体はどうなんですか?」

ここまで来ちゃったから、もうやるしかないよね、と思いながら私は聞きました。

「・・・・・・『災い』の正体は分かりません。ただ、十五日後にそれが起こる、ということだけが、
私には分かるのです・・・・・・」

やっぱり女神様だから特殊な力があるんだ、と内心で呟きながらリクレールさんの話を何も言わずに聞いていました。

「・・・・・・そこであなたにお願いがあります」

「何でしょうか、リクレールさん」

「あなたに、どんな災いが起ころうとしているのかを、どうか見つけ出して欲しいのです・・・・・・。・・・・・・そのために、
あなたに三つの力を授けましょう・・・・・・」

三つの力、他に何か貰えるのかな、とほんの少し期待してしまう私でした。

「一つ目の力は、トーテムの力・・・・・・。あなたは、その身に宿るトーテムにより普通の人間とは比べものにならない
力をを身につける事ができるでしょう・・・・・・。二つ目の力は、十五個の命・・・・・・。あなたは戦いで命を落としても、
十五回まで私が新しい体を作ってさしあげる事ができます・・・・・・」

次で最後だね、と内心で呟きました。お話の途中で話されるのは誰でも嫌でしょうから黙っていました。

「三つ目の力は、この世界の人々と話をするための言葉・・・・・・。この島の話や文字は、
あなたが理解できる言葉として認知できるようになるはずです・・・・・・」

確かに、情報収集できなきゃ無理だもんね、とまた一人で納得していました。

「・・・・・・これらの力を使い、この世界に起ころうとしている災いを見つけ、そしてどうかそれを防いでください・・・・・・。
・・・・・・。これが身勝手なお願いという事は、分かっています・・・・・。これまでに説明した私のお願い・・・・・・聞いていただけますか?」

「私に、どこまでできるか分からないけど・・・やれる所まで、やってみます」

私にはこれぐらいしかできないし、それに、断ったら可哀想だもん、ね。

「・・・・・・ありがとうございます。意識の海から見つけられたのがあなたで本当に良かった・・・・・・。私は、
あなたの旅の無事を祈っています・・・・・・。これから十五日間・・・・・・どうかあなたにトーテムの加護がありますように・・・・・・」

その言葉を最後に、光と共にリクレールさんは消えていきました。これからどうしようかな、と思い始めました。

【シーナ、我の声が聞こえるか?】

「あ、はい。聞こえてますよ、クロウさん」

【我の名はクロウ、主の手伝いをつかわされたトーテムだ。これから先、様々なことを指摘したりをするので、
そこを理解しておくと良いだろう】

「はい、分かりました」

本当に別世界なんだなぁとまた自覚をしながら足踏みをして、足を慣らそうとします。普通に土でした。

【何はともあれ、まずは此処から移動しよう】

「そうだね、そうしようかな」

足を森の外に向けたときでした。隣の茂みから、急に野犬が跳び出してきたのです。私はその野犬の動きが良く見えました。
野犬の牙が剥き出しになっている口から垂れている唾液、そして私の喉を掻き切ろうとしている鋭い爪。私は出来るだけ早く、
素早くしゃがんでその攻撃を交わしました。野犬は立ち止まる時に滑る様にして止まりました。簡単に言えばドリフトの様な感じですね。

【シーナ!大丈夫か!】

「わ、私は大丈夫!」

直ぐにじゃがんだ状態から体を起こし、野犬と向き合いました。野犬は静かに唸って、その赤い目で此方を見ています。
攻撃する機会を探しているか、それとも恨んでいるのどちらかです。流石に長期戦になると、此方がきつそうです。
何か、武器があれば・・・そう思っていれば手に当たる、冷たい感触がありました。剣です。それ程長くはないですが、
私の腰にささっている剣がありました。私は迷わずに引き抜いて、野犬に向き直ります。エシュター君のを見て覚えた構え。
ただ普通に剣を持っているようですけど、現在の構えは左足を一歩下げ、大股に足を開け、剣は両手で持ちます。
これはエシュター君の構え、私の構えではないのに、少し落ち着く・・・そう思ったのも束の間、野犬が跳び掛かって来ました。
自慢じゃないけど、私は記憶力が良い、剣闘大会の時の、教頭先生の竜王の舞い。竜王の舞いの十連撃は無理かも知れないけど、
三連撃なら私のスタミナでも付いていける筈!まずは教頭先生の構え。剣を頭と同じ位の高さで両手で持ち、
ゆっくりと剣を地面と平行にします。野犬が、剣の範囲内に入りました。まずは、突きで相手の動きを止めて一撃、
剣を右手で剣を持って、そのまま弧を描くように、右斜め三十度くらいで剣を振り下ろしニ撃、振り下ろした時の回転力を利用し、
そのままくるりと一回転して平行に斬り付けて三撃、動きを止めます。野犬は地面に倒れて、動きません。それもその筈です、
”殺した”のですから。野犬の頭には、大きな穴が開いていました、最初の突きで開いた穴です。野犬の半分は少し離れていました。
ニ撃目でほとんど意識はなかったでしょうけど、恐らく三撃目が止め、基野犬の体が半分離れた結果になったのでした。
野犬の体を半分にしたことで、腸や内蔵など、見たくない物が多数、見えてしまっていました。

「う!・・・・・!」

口を抑えて、堪えていましたが、無理でした。思いっきり地面に降り注がれるそれは、嘔吐でした。
何時もの病気が原因の嘔吐ではなく、気持ち悪い物を見たというものと、私が殺した事による罪悪感によって引き起こされた
嘔吐でした。

【大丈夫か!?、シーナ!】

「ゲホッ!ゲホッ!」

それから私は、クロウさんに返答も出来ず、ずっとずっと咳き込んでいました。三十分ほど経って、やっと落ち着いてきました。

「ケホッ、御免なさい、クロウさん・・・心配掛けて」

私は咳き込みながら、クロウさんを見てそう言いました。急に最初の戦闘から、この調子ではやっぱりクロウさんも、
不安になるのは分かっていました。分かっていましたけど、

【シーナ、別に無理をしなくても良い。最終的に結果が良ければ良いのだ】

クロウさんはそう言って、私の調子の回復を待ってくれました。私が完全に調子を取り戻すまで優二十分を使ってしまいました。
期間が限られている旅なのに、クロウさんは静かに地面に横になって何も言いませんでした。クロウさんの心は凄く広いとこの時、
思っていました。

「ありがとう御座います、クロウさん」

【調子はどうだ、シーナ】

「おかげさまで、凄く楽になりました。ありがとう御座います」

私は恐らく、いやきっと微笑んでいるのでしょう。嬉しいです。クロウさんの言葉に同情などはなく、必要最低限の事と+α、
情報と助言と少しの気遣いが、クロウさんの言葉でした。

【南の方向に多数の人間の臭いがする】

「うん、わかった。まずは其処に行ってみようかな」

【何処を如何行くもシーナ次第、それに我は付いていくだけだ】

私は歩き出します。クロウさんも起き上がって私の隣を歩きます。何も言わずに。
でも心の中では思っていました。ありがとう、クロウさん、と。




私達が居た森の直ぐ側にあったのは、街でした。大きくもなく、小さくもなく、何処も普通の街です。
早速街に入り、入り口の門番さんから貰える薬を全て貰っちゃいました。特に門番さんは何も言わなかったので、
そのまま薬をポケットの中に入れて、ほんの少し進んだ時のことでした。奥から凄いスピードで此方に走ってくる姿、
凄く慌てたような感じの兵士さんでした。

「うおおおおお!其処退いてくれえええぇぇぇ!」

このまま立っていたら、確実に兵士さんとぶつかってしまいます。私の能力が全般的に上がっているのは、
ついさっきの森の戦闘で明らかでした。私はある本の、ある技、そして形を思い出して、構えます。
右足を一歩前に出し、腰を少し落として中腰にして、両手を開き、前の兵士さん相手に手の平が見えるように構えます。
右手の方が少し前に出て、左手の方は右手より少し下がった位置に止めます。兵士さんは走りを止めません。目の前で、
もう直ぐぶつかるという位置で、手を動かしました。右手は、兵士さんの首元にある鎖帷子を掴み、左手は、
兵士さんの鎧と鎖帷子の間に指を滑り込ませて、兵士さんの勢いに乗るように後ろに倒れながら、兵士さんのお腹の辺りに足を当てて、
背中が地面に着いたと同時に手を放しました。

「ヤァ!」

綺麗な半月を描くかのように、兵士さんは私の後ろへと倒れます。柔道の本で見て、少し試してみたいと言う意識があった、
巴投げと言う投げ技です。流石にこの技をまともに、しかも助走が付いた状態での巴投げの威力は凄いです。そして兵士さんは、
白目を向いて、気絶。その様子を吃驚したように見ている門番さん、そして唖然としたクロウさんは、

【シーナ、お前手加減を知らないな】

手加減無し、超記憶少女シーナとして、今日この物語が始まりました。







根性の無い後書き

MADAOだよー。性懲りもなく書いてみました。
今までエシュターが主人公、アルバートがありましたが、
シーナがないです、ホワット?私にはわかりませんが書きました。
暇潰しになれば幸いです。




7931
シーナの幻想体験2 by MADAO 2007/11/30 (Fri) 21:11
△up
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剣闘大会当日、エシュター君は予選を普通に突破しました。凄く早かったなぁ、それに加えて、
アルバート君は教頭先生と当たっちゃって負けちゃったみたい、本当に凄いね、教頭先生。
でもエシュター君はパン屋の店長さんと、剣闘部部長のナダさんも倒しちゃった。凄いね。
最終決戦はエシュター君対教頭先生、始まる前にヌベヌベール粉末教頭先生の手に掛けたけど、
大丈夫だよね…。最終決戦が始まって、既に雨が降っていました。エシュター君が教頭先生と、
凄い戦いをしました。この前始めたばかりなのにエシュター君凄いなぁ…。私指摘した、
構えも使ってくれている、少し嬉しいかな。あ、エシュター君も竜王の舞を使ってる、
教頭先生のロッカーから秘伝書見て覚えたんだよね、確か。凄いな、エシュター君。
教頭先生に勝っちゃったけど、好感度ステッカーは大丈夫なのかな?でもそれより、
エシュター君気絶しちゃったから明日お見舞いにでも行こうかな…でも迷惑じゃないかな?
迷惑じゃないよね…エシュター君、優しいし。

シーナの剣闘大会当日の日記より

前回のあらすじ
夕飯の買い物中に事故に遭ってしまった私は、不思議な世界に来ました。
それに私に世界を救って欲しいと頼まれてしまいます。
私は元の世界に帰る方法が分からないので、了承しました。
でも、戦闘になると野犬の死体を見て、嘔吐をしてしまう私。
これから先、私は無事に世界を救う事が出来るのでしょうか…。



「ど、どうしよう…大丈夫かな?クロウさん」

【元凶が何を言っている】

白目を向いて気絶してしまっている兵士さんの隣で慌てているのは私、シーナです。
突然走って来たものだから、少し試してみたいという意欲が湧いてきて、衝動に負けて、
巴投げが見事決まってしまいました。門番さんもこの光景に唖然としています。

「ヒッヒッヒ、凄いねぇあんた…」

後ろから聞こえる、おばあさんのような声。その声は後ろの狭い路地から出ていました。
奥にはかなり若く見ても、六十、七十代の老婆さんでした。老婆さんの前には少し胡散臭い、
赤い水晶玉の乗っている不思議な台が一つ。

「あ、ありがとうございます」

御礼を言っても良いのかはわかりませんが、頭を下げます。

「それより、あんたやる事がわからなくて迷ってるなんて事ないかい?」

老婆さんは正確に言い当てました。確かに世界を救ってと言われただけで、この世界の全ては知りません。
小さく頭を縦に振ると、老婆さんは小さな笑みを見せました。

「それなら占ってあげるよ、直ぐ済むからね」

老婆さんはそう言うと赤い水晶玉に手をかざすと、怪しく光り始めて三秒後には既に消えてました。

「ほう、北西の洞窟にあんたの助けとなる力が見えるね、行ってみたらどうだい?」

「分かりました、後で行って見ますね」

小さく笑みを浮かべている老婆さんを見ながら、同じ様に小さな笑みを零します。
何時もの平穏な毎日ならば放って置くのでしょうけど、この老婆さんはかなり、
いや凄く頼りになってくれる気がしました。その後、頭を下げて、目の前の建物、
ガラン堂、もとい武具屋さん、ですね。入ろうと思いましたが建物の前に立っている人が、
武器や防具が欲しいようなので腰にある剣、ショートブレードを売ったら224シルバで売れました。
私のマントも売って欲しそうな感じでしたが、流石に売ってはいけません。
そしてガラン堂に入ってチェーンメイルを買いました。多分鎖帷子と同じですよね?

「でもチェーンメイルって野犬位にしか効果無いような気もするけど…」

「え、そうなんですか?」

「正直トカゲ兵には効果が薄いかな、普通に勝てるのなら大丈夫だけど、
トカゲ兵に勝てる人なんて極少数だからね」

「はあ、そうなんですか…」

ガラン堂の店員さんの助言、これから先、そのトカゲ兵との戦いも控えている筈です。
もっと、強い防具が欲しいと思った時でした。

「なんなら、フォースでも覚えてみるかい?此処を出て右に行ったところにある。
チェーンメイルを買った値段で売るかい?」

フォースについて、クロウさんは説明してくれました。クロウはフォースの扱いが下手という事、
覚えたとしても使う機会が少ない事、私にとってチェーンメイルの方が得する事。
それを踏まえて、チェーンメイルを返却しました。そして直ぐに、フォースを売っている人の所へ行きます。

「ここ、だよね。フォースの売ってる所」

目の前の建物は変哲の無い他の物と変わりません。ですがドアノブには、
『フォース提供大サービス!期間限定!』と木の板に書かれて、ドナノブに紐で引っ掛けられています。

【違ったらこの木の板は何のためにあるのだ】

「私に聞かれても、分からないね」

兎に角、ドアの前でどう言っても中を見ないと分からないよね、うん。というわけで、
ドアを開けて中に入ると、修道服を着た、女の人。何処か知的な雰囲気が周りに漂っている様な気がします。

「どうも、おはようございます。未熟者故、大したフォースは扱ってませんが、どうしますか?」

女の人の言葉に対して、私は少し不安げに見て言います。

「あの、私でも覚えれます、よね?」

少し不安の篭った声でそう尋ねます。女の人は微笑んで小さく頷いてくれました。

「勿論です、あなたの記憶力が許す限りは覚えれますよ」

女の人はそう言い切ると、壺らしき物の中を覗き込んで、何かをしています。

「では、火炎のフォース。治癒のフォース。今回は初めてのお客さんとして、
一つ100シルバで覚えさせて差し上げようかと思います」

タダは無いみたい、少し残念だったけど、200シルバを渡して、火炎と治癒を覚えさせてもらいました。

【良いのか?フォースなどに金を費やして】

クロウさんの少し不安そうな声を聞いて、少し微笑みを浮かべます。

「大丈夫、良いから」

小さく呟きながら、女の人の建物から出ました。周りを見て、建物が複数あるのが見えます。
目の前に見える、他の建物と同じ様な家が目に入りました。

「ちょっと挨拶しよっかな」

【お、おいシーナ!何をしている!?】

「何って、お家の人に挨拶をしに行くだけだけど」

【良いかシーナ?我達は使命を果せば消える存在、有効関係など作っても…】

此処からは無視をして、全然聞いていませんでした。そんな誰とも話さないなんて、
人間じゃないと出来ない事なのにクロウさんは、その邪魔をしてしまっています。少し、
許せない気もするけど、私のトーテム。それに、クロウさんも、優しいから。
ドアの前に来てからでした、中から、子供の様な声。私の世界だと、まだ小学生位の声でした。

「じゃあ、姉さん、今日も北東の森で薬草を取ってくるよ。お姉さん、行って来ます」

足音が近付いてきます。私はノックしようとしていた手を下ろしました。そして直ぐに、
ドアが開きます。中から出てきたのは、それ程歳も行っていない、やはり小学生ほどの男の子でした。

「あの、今から出かけるので、用事なら僕が帰ってきてからにしてください」

「あ、ごめんなさい」

私は急いで其の場を退いて、男の子はもう何も言わないで街の外に出て行きました。その様子を見ていた、
クロウさんが呟きました。

【どうやら姉と弟の二人暮し、と言った様子の家だな。姉の方が寝たきりなのか、
中々辛い家庭環境のようだが】

「うん、そのようだね」

【にしても森に行く心が知れんな、見たところ武器も持っていないようだったが…】

さっきの男の子のおかしい所、丸腰ということです。普通の人で、丸腰で森に行くのははっきり言って自殺行為です。
しかも子供で、野犬にでも襲われでもしたら大変です。

「クロウさん、ごめんなさい。あの子追いかけるね」

【言うと思っていた】

私はさっきの男の子を追いかけます、でもクロウさんが言った時、少し笑っていたような気がします。
ほんの少し、嬉しいかな。それから私は、さっきの男の子を捜しに北東の森に行きました。
そこまでの道は橋が一本あっただけで、他には何もありませんでした。そして、難なく森に着きました。
ですが森は広く、十分森の中を歩いても、男の子は見つかりません。二十分歩き、少し諦め始めました。
そして、三十分。

【既にあの子供は帰ったのではないか?これだけ探していないのなら、そっちの方が可能性が高い】

クロウさんの帰ったのでは説、確かにこれだけ探していないのならワザと避けているか、私達の運が悪いのか、
または帰ったになります。私もその可能性を信じて、帰ろうと踵を返しました。ですが木々の間から見える光景は、
『緑色の何か』に剣で切り付けられて、木を背に倒れるさっきの男の子。私はその光景を見て、急いで走り出しました。

『さぁて…俺の手柄の為にも死んでくれや、人間…!』

振り上げられる、緑色の何かの剣。私は走った勢いをそのままに、体当たりをしました。

「させない!」

『ガッ!?』

体当たりが緑色の何かの脇腹に当たった様で、倒れて脇を押さえていた、その姿は、トカゲの様な人でした。
私の世界では正にコスプレと言っても良いですが、このトカゲ兵さんは鱗もあり、顔を横から見れば、
人間より遥かに長い顔でした。人間ではない事は一目瞭然です。トカゲ兵さんは、立ち上がって、
脇を押さえながら剣を片手で構えて私を見ます。

『人間の分際で………俺の手柄が無くなったじゃねぇかぁ!!』

怒り狂った様に剣を振り下ろす、トカゲ兵さんの剣。しかし剣は力任せに振っているので、腹部ががら空きでした。
私は左にサイドステップで避け、トカゲ兵さんには悪いですが思いっきりボディブローを入れさせていただきます。

『ゴフッ!』

流石に強化された私の体のパンチはかなり強力になっているようで、鎧の上からでも押さえる場所を、
脇から腹部へと移動させます。そして、完全に隙だらけなトカゲ兵さんの背後から抱き着くようにして、
狙うのは、首です。スルリと右腕を顎の下に通して、左腕で右手首を持って思いっきり引けば、
チョークスリーパーの完成です。

『ウ……グ……!』

必死に私の腕から抜けようとするトカゲ兵さんは、私の腕を掴んで引っぺがそうと努力をしています。
ですが長い顔のせいで確り首に極まってしまっていて取ろうにも取れないのです。
少しずつ、トカゲ兵さんの抵抗が弱くなってきます。息も苦しくなっているのが良く分かりました。

『ヒュー……ヒュー……』

次第にトカゲ人さんには意識が遠のいていってるようで、少し体に力が入っていません。
そして、トカゲ兵さんの首がガクンと、首が下に向いています。私がチョークスリーパーを掛けてから、
三十秒ほどで落ちました。そして、トカゲ兵さんを直ぐ近くの木に凭れさせてから、
トカゲ兵さんの鎧、剣などの武装を解除します。そして、直ぐにトカゲ兵さんは恐らく、
トカゲ人の私服であろう姿で目を瞑って気絶しています。

「ごめんなさい」

私はそう一言、謝罪を口にしました。出来ればこんな手荒な事はしたくなかったからです。
そして、トカゲ兵さんの武装を手に持って男の子の方へと向き直ります。

「君、大丈夫?怪我、したんだよね」

男の子の腕からは、小さいですけど服が斬れていて、少し血が流れていました。

「それより…あなたの、名前は?」

男の子は怪我の事よりも、私の名前を尋ねて来ました。尋ね事に、微笑んで答えます。

「私はシーナ=セフライト、これから宜しくね」

私は名前を言って、手を伸ばして握手を求めましたがその求めには答えない、男の子。
男の子は森の外に向かって少し歩き、立ち止まって私の方に振り返りました。

「私の怪我は大丈夫ですから…お元気で」

そう言ってまた森の外に向かって歩いていく男の子。その様子を私は姿が見えなくなるまで見ていました。

【あの者、いつもこんな危険を冒して薬草を取りに来ているのか?うーむ……】

「それは、後で聞けば良いんじゃないかな」

【そうだな、では先を急ごう】

私とクロウさんは森の外へ向かいました。時折トカゲ兵さんの方を見て、思いました。
人の言葉がわかるのなら、和平が出来るんじゃないかと思いました。勿論、
人とトカゲ人さんの間で何があったかは私は全く知りません。ですが、こうして言葉が同じなら、
話し合いで解決できるのではないかと思い始めました。そして、また思います。
戦いを無くそう、と。この決意が、後に私の戦いになることなんて、全く予想もしていませんでした。




MADAOの全く駄目な男説明


MADAOです、今回は色々と説明させていただきます。

まず、シーナさんについて。
シーナさんは病弱設定故、こんな戦い方おかしくないか?とお思いの方。
外見は全てシーナさんですが、中身は女主人公です、つまり体は超強いのです。
次、何故格闘技が使えるか。
実はこの物語、フォーゼル指名手配中なので、護身用に覚えようと片っ端から読んでました、
写真記憶で本屋です(エシュター家)しかもその中にはドラゴンクローやら真空波にさらに気功法まで、
角から角まで読んでしまいました。まあ超体質なのでWill使用しなくても出来ます。超強いです、
エシュターじゃ勝てません。教頭(剣闘大会当日)でも勝てません。
教頭がトーテム覚醒してからは確実に負けます。(トラさん)
それと、フォースの値段です。
本当は治癒100シルバ、火炎150シルバのところを無理矢理どちらも100シルバにして買ってしまった、
という理解不能な感じです。
次に、トカゲ兵を殺さなかった理由です。簡単にいっちゃったらトラウマですね、
野犬の。何でも死体なんて見たくないんでしょう、シーナさん。
という訳で魔王と神以外は生かそうと言う考えです。
最後に、説明の部分ですね。
現在の状況を説明するのはシーナさんです。読んだら気付いている人が多いと思います。それだけです。
進行方向も決まってきました。さて、これからもMADAOのテキスト、[シーナ幻想体験]をお願いします(ペコペコ)
ちなみにこのテキストジャンル、当初はシリアスだったのに少しずつギャグに行っている様な…まあ良いか^^
7990
シーナの幻想体験3 by MADAO 2008/04/19 (Sat) 18:07
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シーナの幻想体験3

一日中寝たきりだったエシュター君。今日は授業に出れずに保健室で休んでいました。
出来ればずっと側に居たいなぁ・・・なんちゃって、そんな事を少し思ったりしてみます。
授業が終わって、エシュター君の様子を見ようと保健室まで行ったのですが、
何故かその前で口喧嘩が起こっていたのです。流石に私は悩んで悩んで、窓から保健室へ。
中へ入ればエシュター君はぐっすり眠ってました。ですけど保健室のドアが激しく叩かれるのを聞けば、
そのドアは開いていないということを遅く気付きました。そして取る行動は、ベットの下へ隠れようと、
そうしたら既にベットの下には、教頭先生が。それを見た瞬間教頭先生が、
「出来ればこの事は黙っていてくれると嬉しいんだが」私は無言で隠れる場所を探しましたが、
場所は無く取る行動は入った窓から外へ出ることにしました。ギリギリで見つからずに出て、
鍵が開いていて喧嘩も終わっている様なので、普通にドアから入ればエシュター君の顔には大量の落書き。
思わず噴出して笑ってしまいました。入った時には無かったので、何故かと聞けば明らかに、
エシュター君が書いたと思えない紙の内容を信じたアルバート君の行いでした。
私は様子を見て、安心してから家に帰りました。あ、教頭先生外に出れるのかな・・・?

剣闘大会後の日記より




「たぁぁ!」

【右だ!】

「やぁぁ!」

掛け声と共に、2匹のコウモリが岩の壁に勢いよくぶつかり絶命。息絶えました。
周りは薄暗く、自分の周り2メートル位やっと見える程度でした。其処は暗く、ジメジメとした洞窟。
おばあさんの言う→↑の洞窟でした。ですが、洞窟を進むなり野良犬やコウモリがうじゃうじゃといます。
出来るだけ最短距離を進みたいのですが、初めての洞窟なので道は知りません。勘で進むしかありません。

「ねぇ、どっちか分からないかな?」

【我には分からないと言っておこう】

ある程度行けば、恐らく旅人のものである人骨を発見しました。その近くに、なにやら小さな袋が落ちていたので、
拾って開けてみれば中には、200シルバ程の小銭でした。
死人に口無しとはよく言ったものです。物を取ったとしても何も言わないのですから。
小銭を貰って、その白骨化した死体を見て、穴を掘り始める様子をクロウが見れば、何か言おうとした所で
大きく溜息を付いて止めました。言っても無駄と言うのが分かったのでしょう。ある程度穴を掘り、穴の中へ
折れない様に骨を詰めていきます。最後に頭蓋骨を一番上に置き上から砂を骨が見えなくなるまで掛けます。
砂を掛ける作業が終わり、最後に手を合わせて御冥福を祈ります。
立ち上がって、最初に聞いたのはクロウのちょっとした文句でした。

【シーナ、行く先々でそんな事ばかりしていては15日まで間に合わない。しても無駄であろう】

「ダメだよ、クロウ。死人は労わらなくちゃ」

【しかし、死人が感謝するわけでもあるまい、何かお礼を貰えるのであれば別であるが違うであろう】

「だからって差別はダメだよ、死人でも人だよ?」

【死人は死人、人は人だ。それ以外なんでもない】

「・・・・・・そうだけど」

【無駄話をするなら進んだらどうだ、シーナ】

クロウの言葉に、喉まで出かけた言葉は奥へと引っ込みました。そこまで言われれば、そっぽを向いて歩き始めます。
それから一言も話さず、奥へと歩いて行き見つけたのは、地下へと続く古ぼけた岩作りの階段。
それを見たクロウが少し鼻をヒク付かせて、一言だけ呟きます。

【下からリクレール様の臭いがする】

「それは本当なの?」

【嘘を付くわけがないであろう】

目が線に見えるほど細めて溜息を漏らす声。実際閉じているのかも知れません。私はクロウの言葉を信じて、
岩作りの階段を下りていきました。地下には、奥に少し広い空間が広がり、その中央には光る球体が浮いていました。

「何か分かる?クロウ」

【・・・我には精神集合体としか分からぬ】

クロウの申し訳なさそうに言う言葉に、そっかとだけ呟く様に返す。興味本位で光の玉に近づいていき、
指先で触れてみた。暖かいかと感じれば、急に周りに光が満ちました。これには流石に驚きを隠せない様子のクロウ。
そして、その中で現れた人影・・・リクレールさんでした。

『・・・どなたかは存じませんが、此処まで来るということはある程度腕が立つようですね・・・』

【む?我等は既に一回会って面識がある筈なのだが・・・】

その通り、私達、無論クロウさんはずっと前から会っている。だから私とクロウの名前を呼んだとしても不思議ではないのだ。

【どうやら、これはリクレール様が残した意思の様ですね】

「意思?」

【リクレール様の思考、考えていたことや僅かな力などが残っています】

クロウの言葉に、へぇと小さく言葉を零し、リクレールの話へ耳を傾けました。

『そんな腕の立つあなたに、私の力を分け与えます。どうかその力を、正しい方向へ使ってください・・・』

そのリクレールさんの言葉を最後に、姿が消えて光の粒子の様な物が体の中へと入っていきますが、
全くその感じはないです。全ての粒子が体の内へ入る頃には周りは既に普通の洞窟へと戻っていました。

【にしても・・・今まで此処には誰も来なかったのか?街が近ければ来る者もいると思うのだが・・・此処は危険なのかも知れぬな】

確かに、クロウさんの言うとおりでした。街は直ぐ下の川に掛かった橋を渡り川に沿って歩いていけば付く、そんな近くの街。
その街の、ほんの一人しか知らないというのが不思議で仕方がない。少し不気味に思っては早々と洞窟を立ち去る。
元からある写真記憶の情報の元、迷わずに出口へ真っ直ぐと外へ行けました。此処からもう行く先がなくなった為、
一回街へ戻ります。太陽の位置は、結構傾き夕方頃でしょうか。

「お嬢さん、あんたがシーナさんかい?」

「はい、そうですが、何か?」

サーショの街に入ると、急に門番に話しかけられました。門番さんは目を点にしつつ私を下から上へ、
少しずつ見て行きます。そして信じられないと言う様子で、呟く様に話し始めました。

「いやぁ、この街の住人なんだがな。少し怪我をして戻ってきたから理由を聞けば、
マントを着けたポニーテールのシーナって言う人に襲われた所を助けられたって聞いたものでね。
まさか一対一で勝つとは・・・・・・君は一体」

そこまで言って門番さんは少しだけ疑いの目を向けますが、直ぐに愛想の良さそうな笑顔になり、敬礼をして、

「旅人に危険は付き物、お気をつけてください」

はい、と短く返事をして、街の奥の方へと行きました。勿論、あの男の子の所です。街に着いてるのなら無事でしょうけど、
一応目で確認しておきたいのです。あの男の子が出てきた家のドアを軽く三回、ノックをして数秒でドアが開き、
あの男の子が出てきたのが分かります。私を見て、直ぐにドアを大きく開けば頭を大きく下げて、感謝の言葉を述べていました。
ドアの前で少しだけ話をして、中に入れて貰います。お茶も用意してくれるらしいので、中の椅子に座っていてとの事。
中は結構質素な作りで、丸テーブル一つに挟んで椅子が二つ。そしてベットが二つ。奥にはキッチンなどもあるでしょう。
一つのベットには、人が寝ている様な膨らみがあり、椅子に座って、ベットを見ながら

「誰か、風邪にでもなっているんですか?」

私は一応医学部、其れなりに役に立つんじゃないかと思い、そう言って、男の子、
シン君に笑顔で尋ねたのですが、何故かとても悲しそうな表情でお茶を運んできました。
ゆっくりとした動作で私の目の前に一つ、向かいにもう一つコップを置いて、向かい側の椅子に座ったシン君は、
上目使いで此方を見ながら、重そうな口を開いて出る言葉は、ベットに寝ているのは彼のお姉さんのシズナさんで、
そのシズナさんはとても重い病気を抱えているとのこと。そして、それを治す為には高価なエルークス薬というのが
必要だという、助けられない現実。それをお茶を飲みながら、私はじっと聞いていました。

「こんなこと、あなたに言っても、仕方ないですよね・・・」

あはは、なんて笑い声を出していますが、心の底から笑っていないと言うのが痛いほど分かります。
ですが、流石にお金が問題になると私も手助けがしにくくなります。私の所持金はたったの2、300シルバ程度。
私達もお金は少ない。少しでも分けてあげる様なことは少し難しいです。
私は無言で立ち上がり、家の外に出ようと足を向けて、歩き出す時に後ろから、シン君の声。

「旅、頑張ってくださいね」

小さく頷いて、家から出ました。私の直ぐ後ろで、クロウが一人呟く様に言う言葉が聞こえました。

【金か・・・・・・そう言えば、何処かで此処から南に行けば街の隣に位置するトカゲ人達の砦があるという話を聞いたな。
なんでもトカゲ人達は人間と変わらぬ装備をしているらしいから、装備を取って売れば金になるやも知れん】

「クロウ・・・?」

明らかに、今の状況では救いの手かも知れない。でも、行き成りクロウがそんな事を話すのか、よく分からない。
それが、意外とクロウの優しい所なのかも。

私は聞き込みを始めた。最近の変化のことなどを中心的に。
そして、話によれば、一人の老兵が城から出発し、此処に来る予定が来ていないという話。
この話をしている兵士さんは何故か今起きた、と言う話だ。恐らく私の投げた兵士さんでしょうが記憶が飛んでるようです、
安心ですね。聞き込みを始めて数分、行く先は決まりました。
理力の街リーリル、そして隣の森の中にあるトカゲ兵の砦。
私の理力は治癒に火炎、この二つ。他にも覚えれる物があれば、と言うことで、リーリルに行くことになりました。
太陽は完全に沈み、そろそろ月が出る頃。私は明日の朝に着く事を考え、ゆっくりと、普通の歩きより遅く、
サーショの街を出ました。お金を、トカゲ兵から稼ぐために。



はい、かなり久しぶりな更新です。MADAOです。
既にこの作品、お忘れになった方がいるんじゃないでしょうか?まあいいですが。
まぁ、今回はかなり短めですね、ちょっとわけあって・・・
べ、別に面倒臭いとかそんなんじゃないです!本当です信じてください!
今回は別に、説明することもないでしょう、
また今日から頑張って書いていくので、よろしく御願いしますorz
7994
シーナの幻想体験4 by MADAO 2008/05/03 (Sat) 19:13
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シーナの幻想体験4

思い切って、エシュター君に告白をしてみました。エシュター君はとても驚いた様にして、
暫く考えさせてと、言いました。オーソドックスに呼び出して直接伝えるドラマ風ですが、
なんか在り来たりだなぁ私って。今日の夜はちょっと眠れそうにないなぁ・・・
エシュター君、困ってるよね・・・

シーナ、告白した日の日記より



「私、フォースを作りたい」

【きゅ、急になんだシーナ!?】

何もいない、若草ぐらいしか生えていない、真上の月が明るく照らす草原で立ち止まって私が言った言葉に、
クロウが驚きの言葉を口にしています。それを見ては、少々苦笑を零して、頭を掻きながらクロウを見て言いました。

「やっぱり、私には無理、かな?」

【・・・いや、可能性的にはそんなことはない】

クロウの言う言葉に、驚いて顔を上げました。クロウが少しだけ口元で笑っている気がします。

【フォースは火、雷、気など、それぞれ特有の属性がある。属性によってそのフォースの出来方も違う。
一つのフォースでも威力を分散させ全体に傷を負わせる。それだけでも別のフォースになるが、
その分散をさせるだけでもかなりの理力が必要になる。作るとなればそれ相応の力も必要になるだろう】

クロウは意外とも言えるほどフォースの知識を持っていました。その様子を見ながら、少々呆然としている私に対して、
クロウの鼻で笑う声を聞いて、少々はっとして、クロウを驚きの表情で見ながら、言いました。

「クロウって、フォースが苦手じゃなかったの?てっきり我に言われても、なんていうと思ったのに」

【一緒にいた龍の精霊、スケイルのせいだ。全く何回話を聞いたことか・・・・・・ブツブツ】

龍の精霊とは、恐らく一緒にいた緑の蛇の様な精霊のことでしょう。クロウは呆れた様な表情で何かを一人で呟いています。
それを小さく笑ってから、クロウの話を思い出します。作るとなればそれ相応の力も必要になるだろう、か。
私は試しに手の上で、小さな火を出して、それを指先で操ってみました。ちょっと体の周りを回らせたり、ちょっと破裂させたり。
ただ、出している間にも理力は消費しますが、そんなの関係ないように小さな火の玉を周りに浮遊させます。
ポン、と小さな音を鳴らして破裂させて、息を着く様に皮で作られた水筒で水を飲みます。
ふぅ、と小さく息を吐いて、水筒を眺めました。特に意味はないです。ですが、クロウの話を思い出せば、
火、雷、気とあったが、水や地などはなかった。魔法などファンタジーなどでは魔法の属性は4種類で、一般的に
火、水、雷、地が上げられます。ですが、理力で水を操る発想は恐らくないのしょう。火は熱く、雷は感電、気は衝撃、
そう言う感じなのでしょうが、水は冷たい。それだけなんでしょう。ですが水には水圧と言う恐ろしい物がある。
此処の人達は科学が発展してないのでそのことには気付いていないのでしょう。
地には、石や岩、その他砂などの武器もある。相手を石などをぶつけて四肢を一時的に動かなくするなども考えれなくもない。
私は、手の平に理力を集めて、暫く集中。手の上に、少しずつ水を垂らして、ピチャピチャと水の撥ねる音と、
手には冷たい感覚。少しの間、手の上の水を見つめ、集中・・・



一体何分したのでしょう、手に残るのはほんの微量の水。
ふぅ、と小さく息を吐き、振り向けば既に独り言を止めた、クロウが私を見ていました。

【言ったであろう、フォースを作るなら相応の力が必要だと】

クロウは呆れたような口調で言うのですが、表情は何故か嬉しい様に見えるのは何故でしょう。
不思議そうな表情でクロウを見ていれば、フッと鼻で笑われて、クロウが面白そうに言いました。

【シーナは不思議だ。何事も我には従わず、全て主がやる行動は、人間でも特異な行動であるといえる。
だが、悪い気もしない。不思議だ】

ずっと説教口調だったクロウの楽しそうな面白そうな声。いや、面白い時の声でしょう。

【我はフォースを得意としないが、最初に武器を売ってまで火炎と治癒を覚えた。勧めはしないが、否定もしない。
我はお前のトーテム、シーナのしたい事に逆らいはしない】

この言葉は、どんなことをしても止めないということなのでしょうか。クロウに尋ねる気はありませんが、
もし尋ねたとしても、さぁどうだろうな、なんて言われて曖昧にはぐらかされるだけでした。
私が歩いていた道の直ぐ先に、建物が見えました。理力の都リーリルに着いたのでした。


既に月は少々見え辛くなり、太陽が昇り始めて空が明るくなって行きました。空の雲がまばらにあるのも分かります。
そろそろ街の皆さんが起きはじめた所なのでしょう、家の扉が開いたり水撒きをしていたり、
近所で朝の挨拶をする人達の姿が見えました。脇の方では、店の様な物が立て札を裏返していました。
リーリルにある薬屋、この場所で良いと思います。

「あのー、すみません」

「はいはい、このクラート医院に何か御用ですか?」

薄い笑みを浮かべた男の人が、店の奥から歩いて出てきました。単刀直入に、質問をしました。エルークス薬を置いてるか、
返答の代わりに目の前に一つのビンが置かれました。宝石のエメラルドの様に綺麗に透き通った緑をした液体が入った、
小さなビンでした。

「これがエルークス薬。一つ1200シルバですが、如何いたしますか?」

一つ1200シルバ。今のお金は歩いて来る途中野犬と戦って解体して売れる物を売った、全財産で約400シルバ程度。
少なくともあと三倍の金額が必要になってきます。私は、なんでもないです、と答えて店を離れて行きました。

【1200シルバ、か。厄介な大金だ】

「うん、これは流石に、ね・・・」

はぁ、と大きな溜息を着きますが、まだ終わった訳ではありません。私はよし、と一声上げて、フォースを扱う店、
理力館で幻夢と言う、自身の姿を隠せるフォースを買いました。

【シーナ?今は金を集める事に集中しなくては・・・】

「そう、だから今から行くの」

私はクロウに、とても明るい微笑みを浮かべて言いました。あの時の驚きの顔は忘れられませんでした。

「トカゲ人の砦に殴りこみよ」





後書き
短くてごめんなさい。
これは現在進行形でゲームもやってます。無論時間経過も同じで。
一応シーナのステータス↓(チートあり)
体力150/150
理力240/240

生命Lv13
筋力Lv14
敏捷Lv11
知力Lv48
意思Lv49

フォース
治癒
火炎
幻夢

4回行動可能

装備
旅人のマント(ゲームはある事情でなし)

色々可笑しくないかなんて思うのは自分だけで良い筈。特に最初の日記、完全にオリジナルです。
本当にすみません、エシュ×シーナが大好きなんです。どうしても入れたかったんです。ごめんなさい。
兎に角、これからも頑張って書いていくので、存在を忘れないでくださいよ〜ノシノシ
あ、ネトゲもやらにゃー・・・\(=ω=)/<人生こなた!
7995
シーナの幻想体験5 by MADAO 2008/05/05 (Mon) 00:53
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シーナの幻想体験5
の前に一言MADAOからあります。これからシーナの日記の様な物はありません。
ネタが無い?いえいえ別にそんな事は・・・
一応この日記の翌日に事故の予定なのです。それでは本編をどうぞ。
P.S:可能性的に別キャラの日記が入るかも知れませんが御了承を。(アルバートは入れません、皆知ってるから)
これから本編↓



シーナ幻想体験5


我はクロウ、狼のトーテムだ。白い毛並みを持ち素早く走り数十メートル先の臭いも感じることが可能である。
狼は頭が良いが、普通の犬などより少し上と言うことだけだ、ずば抜けてなどではない。
故に人間誰しも驚く様な発言には勿論驚く様な反応はあるが、今回だけは流石に反応が遅れてしまった。

【・・・・スマン、よく聞こえなかった。もう一度言ってくれ】

嘘であって欲しい、嘘でないといけない、嘘でないと・・・そう内心呟きつつ、シーナに尋ねたが、
非情とも言える様な返答が帰ってきたのだった。

「トカゲ人の砦に、殴りこみよ」

間違いではなかった。シーナの表情は嬉しそうな笑みを浮かべているが我には理由が分からず、
混乱しながらボーっとしてシーナに着いていくことしか出来なかった・・・・・・





【・・・シーナよ】

「何?クロウ。手短にね」

名前を呼ばれて振り返って、クロウにそういいます。そして、クロウの言葉。

【策はあるんだろうな?】

私はクロウへ、コクリと頷きました。私とクロウが今いるのは森の奥、トカゲ人の砦一歩手前です。
入り口の門は大きく開いており、いつでも入れる様な状態でしたが、敵の本拠地を態々正面突破なんてしません。
私は、腰にある小さなナイフを右手で逆手に持ちました。そのナイフは、木々と木の葉の間から入ってくる日光を反射し、
キラリと怪しく光ります。そのナイフは、今は慣れた野犬の解体に使っていたナイフです。

「ノーマ学院生徒番号、4443番シーナ=セフライト。策無しで行く分けないじゃない」

ニコリとクロウに微笑んで言いました。それを見たクロウは口の端を少し吊り上げて笑いました。

【フフッ、それ位我は分かっているつもりだ】

「うん。じゃ・・・そろそろ行くよ」

私は一言そう言って、森の中を歩き始めました。森は砦に近いため、来る途中でも何人かトカゲ兵を見ました。
私は見回りをしている兵士を利用することにしました。

【・・・シーナ左斜め65度の方向からトカゲ兵の臭いが一番強い。つまり一番近い】

「分かった。左斜め65度だね」

私は踵を返してクロウの言った方向へ身体を向けて、直ぐ近くの木の陰に隠れました。それ程間も開くことなく歩いてきたのは、
一人のトカゲ人でした。外見は皆同じ様なので歳などは分かりませんけど。

『あー、疲れた・・・別に他の新米兵士にも任せたほうが良い経験になると思うのだが・・・』

どうやら見回りが少し嫌な様で、少々愚痴を呟いています。私が直ぐ後ろに立ち、話しかけました。

「見回りサボリたいですか?」

そう尋ねて、決まっているの如く即答で

『当たり前だ』

そう言いましたが、直ぐに別のことは何も言わなくなりました。それもその筈です、私は後ろからトカゲ人の左腕を取り
警察が取り押さえる時の様な感じに腕を曲げてやれば梃子の原理でそれ程力も必要なく極めることが出来ています。
それに加え、トカゲ人の首、ちょうど人間に例えると大動脈が通ってる辺りに冷たい鉄のナイフを当てているのですから。
トカゲ人の顔から血の気が引くのがなんとなく分かりました。私はトカゲ人の耳元で呟く様に、小さな声で

「出来れば殺したくはありません。貴方が協力さえしてくだされば、貴方の種族は今は一人も死なずに済みます」

ただ、言い方を変えれば協力をしなければ同族が死ぬと思っていたほうが良いということです。
トカゲ人は少し驚きながらも首を少しだけ回し、此方を見て言いました。

『何でこんな事をするんだ。竜人族と人間は敵対していると言う事を知らんのか』

どうやら喋り方からして少し歳を食った男の兵士だと思います。声も少し前の兵士に比べれば低いと思います。
その竜人の言葉は最もで、頷いて微笑んで言いました。

「敵対してないとこんな事出来ませんよ。兎に角、協力して頂けますね?」






『おい・・・あれ、人間だよな?』

『ああ・・・間違いない。だが・・・・・・なんだって俺らの仲間と歩いてるんだ?!』

砦の中にいる竜人達、見える限りでは普通の兵士が6人と、リーダー格と思われる赤い兵士が1人。
恐らく、見えない所でもう増えてきているのでしょう、砦の方から人間が来たぞと言う叫び声が聞こえます。
砦の入り口に着く頃には、竜人達は戦闘体制でした。兵士は剣を持って構え陣形を組み、
非戦闘員は傷ついた者を治療しようと医療道具を手に持っていたりフォースで援護しようと兵士の少し後ろにいます。
ですが、攻撃は仕掛けてきません。恐らく、仲間が直ぐ側にいるから、それが大きな理由でしょう。
私は、砦で一番会いたい人の階級を言いました。

「この砦の隊長の所まで案内してください」

その言葉に竜人達はどよめきが起きる。私は10秒と経たぬ間に手に火炎を作り、森の方へと向けました。
今此処で森を燃やせば、私諸共此処にいる竜人達は全員焼け死ぬでしょう。
それを察したであろう赤い鱗の兵士が慌てて一歩前に出てきました。

『こ、こっちだ。付いて来い』

少しだけ声が震えてるのが分かりました赤い鱗の兵士を先頭に歩いて、脅した一人の兵士にもまだ付いて来て貰います。
竜人達が二つに割れて、道が出来たかと思うと明らかに他の兵士とは違う兵装をした竜人の兵士がいました。
その兵士だけ微動だにせず、此方を見ていました。不意に開かれる口からの言葉。

『私がこの砦の隊長、セタだ。人間がこんな所に何のようだ』

隊長とだけあって、やはり心構えと言う物が違うのでしょうか。誰に対しても絶対引かないという気持ちが伝わってきました。

「私は貴方と一人で話したいです。貴方の部屋へ案内していただきたいのですが」

私は何時にも無く真剣な表情でセタへそう話しかけました。するとセタは扉を開け、扉の向こうへと行きました。
平然とした様子で歩いて行き、特に問題も無くそのセタの部屋に付きました。広く、長テーブルがありその向こう側に椅子、
壁の方には棚や剣が掛けてありました。セタは椅子に座って此方を静かに見ていました。
呟くようセタが言います。

『貴様、何と言う名だ』

片方は名前を知っていて片方は知らない。それでは確かにおかしいと納得しながら私は呟くように言いました。

「シーナ=セフライトです」

『ふむ、シーナ。一体何の要求だ』

最初から本題に入るつもりらしい。それを聞けば私はセタのいる目の前へと歩いて移動し、言いました。

「この砦に置いてある武具、防具、金品など。金品が無理なら武具や防具。それらを分けて頂きたいのです。
竜人達の装備も全て。形見やとても大切な物は持っていて構いません。そして、この砦から立ち去っていただきたいです」

『そんなこと出来る訳がないだろう!!』

セタは声を荒げながら長テーブルを力の限り一回殴っていました。ですが、私も此処で引くわけにはいきません。

「身勝手なのは承知です。ですが、それ以上の見返りをしようと思います。それが何かはまだ分かりませんが・・・
それに、あなた達が此処にいたら何時隣の街を襲うのかも分かりません。」

『私達はこの砦を魔王様復活まで守り通さなければならない、なのにお前の様な小娘に・・・!』

「御願いします!」

勢いよく頭を下げました。それを見たさっきまで激怒していたセタが、怒った顔から驚いた顔へと変わりました。
私は頭を下げた状態で、もう一言言いました。

「では、武具や防具を譲って下さい。今の私はどうしても、何をしてでもお金を得ないといけないんです」

ポカンとした表情で見ているセタを頭を上げて、また直ぐに下ろして叫ぶように頼みました。

「御願いします!どうか、武具と防具を譲ってください!」

『・・・全く。人間とは不思議だ。一つの事になると驚くほど熱くなる』

セタは、呆れた様な感じで長テーブルに肘を置いて頬杖を着いていました。フッ、と小さく鼻でセタが笑いました。
口元に少しだけ笑みを浮かべたセタは不思議そうに言いました。

『まさか仲間を脅して人質にしてまで此処まで来て、頼み事とはな。驚き過ぎて言葉も出ない。
だが、それ以上の見返りに期待してみるのも悪くはないのかも知れないな。半分交渉成立だ。
あと、勘違いはするな、武具や防具は余っているので別に良いが、此処を出て行くのとでは別だ。
私達はここを出ない、それは変わらない』

「分かりました。では、宜しく御願いします」

私は握手を求める様に手を伸ばしました。ですが、相手は竜人の隊長、握手などはしないのかも知れないと思ったのですが、
思わなくて良かったようです。殆ど同じタイミングで手を伸ばしたのですから。互いに握手を交わし、
部屋から出ました。部屋の外には野次馬の様にたくさんの竜人がいました。恐らく話をずっと聞いていたのでしょう。全員で。
兵士の一人がセタへと歩み寄り、話を始めていました。

『セ、セタ隊長!良かったのですか!?この人間に防武具を分け与えて!』

『構わない。元より人数分より遥かに多くあるのだ、減ってもなんの支障もないだろう』

『し、しかしセタ隊長・・・』

弱気になっている兵士に、鋭い目つきで睨む様にして、セタが言いました。

『既に決定したことだ』





流石隊長権限、兵士を全員黙らせました。そして、防武具を持ってくるといって2、3人連れて上の階へと行きました。
一方私は、大半の兵士に睨まれる様に監視されながら待つのでした。セタ曰く、何かしたら暴れても良いということになっています。
暫くは老兵のこと等の話を聞いて見たらこの砦の牢にいるとの事。鍵を借りて、牢屋まで行って鍵を開けて鎧、
チェインメイルを手に入れてからその人を見つけました。冷たい床の上で倒れている老兵の姿を。
私はそれを見て、直ぐにリーリルへ連れてってくれと言う言葉を聞いてから直ぐに砦の入り口まで引き摺って行き、
ほぼ同時にセタとその他の兵士が結構な量の鎧や剣などを持ってきてくれました。
私はリーリルの前まで一緒に来てくれると言う人はいないか聞きましたが、来てくれると言ってくれたのはセタのたった一人でした。

私は老兵を背負って武具の入っている袋を持ち、セタは両手に鎧の入った袋を持って、歩いてリーリルまで行きました。

「ありがとうございます、荷物運びなんて貴方にして貰って・・・」

『いや、構わない。第一女が一人で運ぶのは無理だろうと言うのを予想してこの量を持ってきたのだからな』

「それは出来れば止めて欲しいんですけど・・・」

『それより、何故シーナが牢にいた人間を運んでいるんだ?』

「以外と簡単に鍵貸してくれましたよ?竜人さん」

『後で探すことにしよう』

そんな他愛も無い会話をしてるうちに、リーリルに着きました。セタとは街に入る少し前に分かれて、森へ帰って行きました。
私は荷物を持ったままクラート医院へと行きました。そして老人を見せて、適当に預けておきました。
そして武器などは殆どが刃こぼれしていて、そのままではちゃんとした値段では売れないので全部修理してから、
リーリルのワープ屋で一時間を適当すぎると言っても良いかも知れないぐらい適当に過ごし、サーショの街へ着きました。
そこで竜人達の装備を全て売り払えば、なんと10000シルバにもなりました。こんな大金見たことありません。
そしてリーリルへ再度街へ戻り、エルークス薬を購入。一日一つしか売れない様なので、今日は仕方ありません。
またワープ屋に行き、一時間をクロウとしりとりをして時間を潰しました。そして、一時間が経つ頃。


「れ・・・・・・れ〜・・・鈴仙優曇華院因幡(レイセンウドンゲインイナバ)」

【ば・・・・・・・・・・バラライカ】

『そろそろ時間ですよー』

「あ、はい」

内容は気にしたら負けと言う奴ですね、はい。ネタが分からない場合は検索ワード[東方]と[月島きらり]です。


まだ時間は恐らく9時から10時程。まだまだ余裕がありますね。シン君の家のドアをコンコン、と二回ノック。
ですが、既に中には人の気配は無く、恐らくあの森にいるのでしょう、走って←↑の森に行ってしまいます。
今回は直ぐに見つかり、30分も経っていません。一応渡せる時に渡そうとシン君に声を掛けました。

「シン君、こんにちは」

「あ・・・シーナさん、こんにちは」

控え気味な挨拶、やっぱりシン君でした。私が黙ってエルークス薬を差し出すとシン君は驚いた様にエルークス薬の瓶を見ながら、

「あの・・・これはどうしたんですか?」

「買ったんです。どうか、お姉さんに役立ててください」

正直に答えました。シン君は驚いた様に目が点になっていました。それを見ながらクスクスと少し笑ってしまいますが、
シン君は微笑んで大事そうにエルークス薬を持つと

「シーナさん、ありがとうございます」

「どういたしまして」

素直なのは良いことです。そう思いながら、森から出ました。そして、私は思い出します。
今から出来る事がないという事実に。仕方ないから、サーショの街のおばあさんに聞く事にしましょう・・・





はい、テキストスピードうp。最近少しずつ疲れてきました;;そろそろ精神的にやばそうです。
と言うわけで、この辺で切りましょうか。一応体調の方が大切ですし。
ごめんなさい、ステータスの方忘れててゲーム進めてないんです。同じ当たりまで進ませておきますので、ご了承を;;
え、何?あの交渉は何?ごめんなさい、私はシーナに中々血生臭いことは出来ません。一話か二話でやってしまいましたからね。
当分戦闘は無いんじゃないでしょうか?では、さよなライバル(月間少年ライバル!)
7928
感想です by 風柳 2007/11/26 (Mon) 17:51
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どうも初めまして。
死んでる振りをしながらもちまちまこっそりと当テキスト板で連載をさせていただいている風柳といいます、以後お見知りおきを。

さてさて、MADAOさんの『シーナの幻想体験』読ませていただきました。
シーナ主人公の幻想譚ですか。確かに初めて見ますねー。
教頭先生や医学部の先生なども旅立ったことがあるのにと思うとちょっと意外な感じです。
きっとシーナのキャラクターが戦闘シーンと親和性を持たせるのが難しいからじゃないかなとか勝手に推測してみたり。
そのあたりをMADAOさんがどう克服してゆくのか、今から楽しみにさせていただきますね。

それにしても、このシーナはどこか格好いいですね。
さっぱりとした潔さがほのかにある気がします。
でも、さすがにいきなり巴投げはやりすぎだろうシーナさんっ(笑)
身体能力高いんだから避ければいいじゃないかー。

・・・ちなみに、『ホワット?』じゃなくて『ホワイ?』じゃないかと思ってしまう私はいけませんかそうですか(何)

ではでは、この辺りで。
7930
感想返しです by MADAO 2007/11/28 (Wed) 21:31
△up
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どうも、多分初めまして。
駄作しか書いてないのにまた駄作を投降してしかも感想貰って超有頂天になってるMADAOです。

出して直ぐに読んで頂いて光栄です。
教頭先生に医学部の先生の話は知りませんが置いといて、かなり最初はシリアスに仕上げる、つもりだったのですが若干、いや、かなりギャグのほうへと進んでしまっています。因みにこれを書いている途中もネタを振り絞っています。楽しみにされて裏切るのがこの私d(ry

このシーナは寝てより立ってよしのように、近距離よし遠距離よしなキャラなのです。しかも超が付く位今回クールに仕上がっています、しかも巴投げはただシーナが試したかったという理由に過ぎません、兵士、やはりやられキャラ。(因みにクロウは完全ツッコミキャラ)でも四日、運命の日が訪れます。さてさてこれから先どうなるのか、シリアスかそれともほのぼのかまたはギャグか…書いている自分もドキドキです。これからもご愛読されたらと思います、ではではー
p.ink