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煉獄の聖戦 はじめに <桜崎紗綾> 01/14 (22:17) 7749
  煉獄の聖戦 序章 <桜崎紗綾> 08/25 (21:22) 7750
  煉獄の聖戦 第一章 part1 <桜崎紗綾> 08/25 (21:23) 7766
  煉獄の聖戦 第一章 part2 <桜崎紗綾> 08/25 (21:23) 7777
  煉獄の聖戦 第一章 part3 <桜崎紗綾> 08/25 (21:23) 7809
  煉獄の聖戦 第二章 <桜崎紗綾> 08/25 (22:32) 7847
  煉獄の聖戦 第三章 part.1 <桜崎紗綾> 08/29 (17:16) 7851
  煉獄の聖戦 第三章 part.2 <桜崎紗綾> 09/21 (22:13) 7871
  煉獄の聖戦 第三章 part.3 <桜崎紗綾> 10/02 (22:14) 7878
  煉獄の聖戦 第三章 part.4 <桜崎紗綾> 10/26 (22:27) 7906
  煉獄の聖戦 第四章 <桜崎紗綾> 10/28 (22:24) 7910
  煉獄の聖戦 第五章part1. <桜崎紗綾> 11/09 (22:37) 7915
  煉獄の聖戦 第五章part2. <桜崎紗綾> 11/09 (22:39) 7916
  煉獄の聖戦 第五章part3. <桜崎紗綾> 11/09 (22:40) 7917
  煉獄の聖戦 第五章part4. <桜崎紗綾> 11/09 (22:42) 7918
  煉獄の聖戦 第五章part5. <桜崎紗綾> 11/09 (22:49) 7919
  煉獄の聖戦 第六章part1 <桜崎紗綾> 11/18 (21:50) 7924
  煉獄の聖戦 第六章part2 <桜崎紗綾> 11/18 (21:51) 7925
  煉獄の聖戦 第六章part3 <桜崎紗綾> 11/18 (22:07) 7926
  煉獄の聖戦 第七章前編 <桜崎紗綾> 12/13 (11:35) 7934
  煉獄の聖戦 第七章後編 <桜崎紗綾> 12/13 (11:42) 7935
  William Bruce <Armand Mendez> 05/01 (08:11) 8099
  煉獄の聖戦 第八章前編 <桜崎紗綾> 01/14 (21:57) 7939
  煉獄の聖戦 第八章後編 <桜崎紗綾> 01/14 (22:13) 7940
  煉獄の聖戦 第九章part1 <桜崎紗綾> 01/18 (22:16) 7943
  煉獄の聖戦 第九章part2 <桜崎紗綾> 01/18 (22:19) 7944
  煉獄の聖戦 第九章part3 <桜崎紗綾> 01/18 (22:21) 7945
  煉獄の聖戦 第九章part4 <桜崎紗綾> 01/18 (22:34) 7946
  煉獄の聖戦 第十章part1 <桜崎紗綾> 01/26 (22:28) 7949
  煉獄の聖戦 第十章part2 <桜崎紗綾> 01/26 (22:30) 7950
  煉獄の聖戦 第十章part3 <桜崎紗綾> 01/26 (22:46) 7951
  煉獄の聖戦 第十一章part1 <桜崎紗綾> 02/16 (22:25) 7960
  煉獄の聖戦 第十一章part2 <桜崎紗綾> 02/16 (22:32) 7961
  煉獄の聖戦 第十一章part3 <桜崎紗綾> 02/16 (23:04) 7962
  煉獄の聖戦 第十二章part1 <桜崎紗綾> 03/11 (22:31) 7972
  煉獄の聖戦 第十二章part2 <桜崎紗綾> 03/11 (22:37) 7973
  煉獄の聖戦 第十二章part3 <桜崎紗綾> 03/11 (23:12) 7974
  煉獄の聖戦 最終章part1 <桜崎紗綾> 03/17 (19:59) 7976
  煉獄の聖戦 最終章part2 <桜崎紗綾> 03/17 (20:00) 7977
  煉獄の聖戦 最終章part3 <桜崎紗綾> 03/17 (20:06) 7978
  煉獄の聖戦 最終章part4 <桜崎紗綾> 03/17 (20:12) 7979
  煉獄の聖戦 エピローグ前編 <桜崎紗綾> 03/17 (20:14) 7980
  煉獄の聖戦 エピローグ後編 <桜崎紗綾> 03/17 (20:21) 7981
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  感謝っ <桜崎紗綾> 05/27 (20:33) 7754
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  感想 <LADEN> 09/22 (21:14) 7872
  感謝 <桜崎紗綾> 09/22 (21:57) 7873
  感想ですー <風柳> 10/04 (00:36) 7879
  感謝ですー <桜崎紗綾> 10/05 (21:37) 7880
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  感謝です <桜崎紗綾> 11/11 (20:44) 7923
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  感謝です <桜崎紗綾> 04/04 (21:29) 7983
  お疲れ様でした! <風柳> 04/07 (14:08) 7984
  ありがとうございます! <桜崎紗綾> 04/08 (17:13) 7986

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煉獄の聖戦 第十一章part1 by 桜崎紗綾 2008/02/16 (Sat) 22:25
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「ふん。『神』には、妙に縁が在るな。

 どれも、面白くも何とも無い腐れ縁だが、
 リクレール、あんたとの縁が、一番善かったよ。

 …さあ、言ってみろよ。
 ただし、下らない依頼内容だったら、赦さねえぞ」

     三年後、再び女神に呼ばれた時に英雄が言った言葉



     煉獄の聖戦  第十一章 Divide part1



いつかの時代、どこかの世界のある国の王女だった。


彼女がさらわれたのは11だったので、記憶がよく残っていた。


国内ではどうなっていたかは知らない。

だが、60人中54番目の王の子だったので、
結構どうでもいい存在であったのは事実だ。


『アーク』での待遇は、決して悪いものではなかった。

それはたぶん、彼女が『天才』だったからで、
彼女を妬む愚か者どもも、少なからずいただろう。


受け入れ、友と言った【雪嶺】も内心はそうだったかもしれない。


組織が人をさらうのは素質を基準にしているのであって、
王女というのは偶然でしかない。

大富豪が溺愛する子でも、
身売り女の誰の子とも知れぬ父なし子でも、
関係のない要素である。




「【銀龍】」


12の時に、組織のトップ【破獄】サイクロイドに話しかけられた。
この男の会話内容といえば、ほぼ業務連絡だ。

エミルにいつも持ちかけられてきた仕事は、余り明るいものではなかった。


「んん? 仕事か。何だ? 暗殺か? 脱獄か?
 詰まんねぇ仕事だったら承知しねえぞ」


組織にいる人間ならどんな形であれ暗殺のスキルは持っている。

エミルにとってもそれは事実だったが、
彼女の暗殺の手並みは余りに鮮やかで斬新で、
それでいていつも同じ手段は使わなかったのだ。


サイクロイドが彼女に他のとは違う感情を持っているのは、そのため。


それが、組織内で知られる理由だった。


本当は、この二人は異母兄妹である。
年齢が14も離れた二人で、知っている人間は少なかった。

サイクロイドは第18王子、王の30番目の子である。

彼はエミルと違い、祖国を出奔し、組織の立役者となった。

面白い奴がいる――そう言って、
彼は話し方から立ち振る舞いまで王女とはいえないエミルを選んだのだ。


「面白い仕事が飛び込んできた。
 アルスリッジ王国、我らの祖国が対象だ。

 あの国の国家体制を『潰せ』とな。

 面白いと想わないか?
 『一夜にして一国を滅ぼした狂王女エミリューレ』――」


なんとも酔狂な兄もいたものだ、とエミルは思った。
この男のほうが狂王子と呼ばれるべきだろう。


「悪いな。先約がある」

「何だと? お前に仕事を頼むのは、後にも先にも俺だけだ」

「残念。――あたし自身の存在を忘れてるな」

エミルは鼻でせせら笑うと組織の腕章をサイクロイドに投げつけた。

それから、彼女は小さな紙袋の口を彼に押し付ける。

「悪いね。あたしはこの組織を抜けさせてもらうよ。
 前から思ってたんだ。

 『あたしは人間として死にたい』ってね。

 兵器として死ぬ気なんて、ハナッから毛頭ないね。

 あんたとまともに殺り合うにしても、ここには敵が多すぎる。
 言い訳じゃあないがな」


エミルがそこまで言ったとき、サイクロイドは地に伏せられた。

死んだわけではない。気絶のほうが正しい。
どこから用意したのやら、「クロロホルム」と言うものだ。


「次に会うときは、敵だな」






「本当に行ってしまうの? エミリューレ」

荷物を纏め、肩に担ぎ上げた所をシャルドンネが話しかけた。

「逆に聞くが、何故あんたは行かない? 『奴』か?」

「そうよ。サイクロイドよ」

「いいこと教えてやるよ。

 貴様は、馬鹿だ」

エミルはニヤリと笑うと、振り返ることなく歩き出した。

「エミリューレ! 死にたくないなら戻ってきなさい!

 『アーク』とその追っ手は、あなたを見逃しはしないわ!

 エミリューレ! ここに! ここに今すぐ戻ってきて!」


シャルドンネのエミルに対する感情は、本当に友だったのかも知れない。

このときエミルは初めてそう思った。嫉妬の塊だと思っていたのだ。

「善い夢を! シャルドンネ!」

彼女は振り返ることなく歩き出し、片手をあげて見せた。


追っ手に追われるなら、それでもいい。

そいつらを倒すのが『天才』エミルのプライドであって、
そいつらに倒されたとしても、『人間』エミルのプライドだ。

シャルドンネがエミルを殺す方法の模索を始めたのは、そのときだった。






それから、長い間彼女は祖国を守り続けていた。


エミルがいなくなっても、組織はアルスリッジ王国を滅ぼす必要があったのだ。
それが何故か、エミルは考えたことが無かった。

結局分からなかったが、どう考えてもサイクロイドの趣味だろう。


そのとき、彼女はただエミルと、名乗った。

ただの傭兵ではあるが、アルスリッジを長い間守った英雄だ。
サイクロイドが諦めるまでは、エミルは追っ手と敵、組織を相手にしてきた。

どこかで危機が迫ればエミルは必ず現れた。
たまに、違う世界から神が助けを求めてきた。
その中の最後の一人に、リクレールがいた。


英雄エミル。

この伝説は、このときに始まった。
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