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プロローグ by 風柳 2008/04/13 (Sun) 23:47
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君の瞳には何が映る?
君の耳には何が聞こえる?
君の鼻には何が香る?

少しでもいいから教えてほしいんだ。
君のことを。君が住む世界のことを。
それが僕の世界を照らす光だから。

僕の感覚は未だ閉じられてしまってる。
でも恐れない。迷わない。
直に訪れる朝の明るさを僕は知っているから。

君はこれから幾度も困難に立ち向かうだろう。
時に傷つき、時には傷つけ、心が体が痛みを訴えるだろう。
そんな時は思い出して、僕がいつもそばにいるから。

だから迷わず踏み出してごらん。
方角なんて決めなくたって構わない。
どこにたどり着いたとしても、君自身がそれを誇れる旅路にすればいい。

もう一度言うよ。何度でも言うよ。
僕はいつでも君のそばにいる。
だから君は、その一歩を恐れないで。





どうにもならないって思ってた。
何度やり直してみても、敷かれたレールからは逃れられない。
私にできることは、ただただ連結部で適切な判断を下すだけ。

繰り返す日常、変わらない仲間、退屈な日々。
永遠はあるとその頃の私は思っていた。
ただしそれは自由の園ではなく、単なる牢獄として。

でも、最近こう思うようにもなってきた。
たとえレールから逃げ出したとしても『脱輪』なんて笑えない。
くだらない日常だとしても、それで乗客が満足してくれるならいいじゃないか。

運命に従って何が悪い。
どうして道を自分で切り開かなくちゃならない?
誰にでもできると思ったら大違いだ。

要はそれを自分自身が誇れるかどうか。
私は運命の放浪者ですと、胸を張ってそう言えるかどうかだ。
卑屈ではなく、本当に心からそう思えるかどうかだ。

もう一度言おう。何度でも言おう。
私は運命を生きている。
だから私は、何物にも迷わない。





かくして物語の幕は上がる。
演ずるのは僕。君はただそれを見ているだけでいい。
柔らかい客席から、どうか僕の舞を見守っていておくれ。

ただ、もしも君が僕に何かを感じたのなら――
その時は、どうか素直にそれを言葉にしてほしい。
それこそが僕に力を与えてくれるのだから。

さぁ、準備はいいかい?
それではそろそろ開演だ。
始まりの言葉は、君もよく知っている言葉だ。



――意識の海に漂う、そこのあなた・・・。
――私の声が、聞こえますか?

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