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黒の中に潜む黒・白の中に潜む白 2 by asd 2007/12/11 (Tue) 20:56
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殺せ

殺 せ

殺  せ

殺   せ

殺    せ

殺     せ

殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺
殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺
殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺
………
……





考える暇すらない程の圧倒的な意識が流れ込んでくる。
最初は幻聴かと思ったその声も時間が過ぎるたびに鮮明に、そして圧倒的な質量を持って迫ってきた。
…気付いたときには既に手遅れだった。
それだけは憶えている。
正確に言うなら“そこしか覚えていない”のだが。
その前のことは憶えていない。
…人間だったときのことなど忘れてしまった。
思い出、というモノは忘れてしまったよ。
魔王のときのことはいくらか憶えているがな…
…だからこそ時々「  」になる。
私は、私は誰なのだ。
名前しか知らぬ私は何なのだ。
…ここにいる「私」は正しいのか?
「私」は…何だ?何なのだ…?
正しいのか?私は…


       二 巻き込まれて


私が天に向かって「・・・リィクレェェエエエエエーール!!!」と叫んでから数時間後、私は近くの街の宿屋に滞在していた。
どうやってここまで来たのか記憶が定かではない。ノイに連れて来られたような記憶があるような無いような…
…まぁそんなことはどうでもいいんだ…
問題は…

「………この体どうするべきか…」

この女の体をどうするかと言うことにあった。
私は前世は男だった。…ような気がする。
…うん、それは間違いない。間違いないからこそ問題が発生しているのだが。
前世が男だっただけあってか、どうにもしっくりこない。
女であっても別に戦うのに問題は無いのだが…どうにもしっくりこない。どうしてだろうか。
そもそもの原因はあのリクレールにある。あのリクレールが私の性別さえ聞いておけばこんな事態には…今更どうしようもないことだがそう考えてしまう。
私はよろよろとベッドに倒れこむと顔に右手を当てて再び考え込む。
…いっそのこと仕方の無いことだとして割り切ってしまえればよいのだが…

「シンクさん。もうどうしようもない事ですから諦めましょうよ」
「…フェザーか」

右手の隙間から天井をみると其処には鳥が一羽いた。
…この鳥は他人事だと思って言っているんだろうな。

「シンクさーん。そろそろ元気出して行きましょうよ。何が問題なんですか?別に男でも女でもいいじゃないですか」
「フェザー。貴様出発するとき女のほうが良いと言っていたのに今のはどういうことだ?」
「えっ、あ、いやその他意は…」
「…そう言えば貴様をシメていなかったな」

私は素早くフェザーの片足を掴むと近くにあったリュックからショートブレイドを取り出した。

「シ、シンクさん?それは一体…」
「安心しろ…刃の方だ」
「え?こういう場合「峰だ」っていうところじゃ…ああ!や、止めてください!ちょ、足離して!当たる!当たっちゃいますから!ぎゃあああああ!!」

抵抗するフェザーの足を離さないように注意しながら私はショートブレイドを振り回す。
なんとか当たらないようによけようとしているフェザーの姿を見て、私は自然と笑みをこぼしていた。
その笑みが魔王としてのものか、人間としてのものか私には分からなかったが。




三十分後



「ただいまー!シンクさん元気にしてまし…って、その顔の傷はどうしたんですか!?」
「気にするな」

あの後フェザーの思わぬ反撃をくらった。
完全に優勢だと思っていたんだが…あのクソ鳥め。

「それよりもどこに行ってたんだ?」
「あれ?言いませんでしたっけ?この街の事調べてくるって」

…言ってたような気がしないでもない。
私が聞き逃した可能性が大だ。

「それでですね!いろいろとこの街面白いことがあるみたいですよ!」

ノイは私の返事も待たずに話し続けてきた。
まぁ、どの道聞くつもりだったから手間は省けた。
…と思っていたら油断したよ、ああ畜生。ノイの集めてきた情報はほとんどが無駄だった。正確に言うと子供でも分かるガセばかりだ。
宝箱の中に兵士が入っているとか。
この街の中では時間が経たないとか。
鬼ごっこをしている兵士達の真ん中に立つと兵士達のスピードが極端に上がるとか。
…んな訳ないだろうが。馬鹿かこいつは。
宝箱の中に兵士だと?宝箱の中に入る意味は無いし、そもそも入ることが出来るのか自体が疑わしい。
この街の中では時間が経たない?馬鹿馬鹿しい…私はこの部屋で寝ていたら時間が経っていた。寝ていた時間は数十分だったが確実に時間は経っていた。というか常識的に考えてそんなことはまずありえないだろうが。
最後に兵士達のスピードが上がるだとかだが…意味が分からん。
ノイの話だと兵士達が四角状に走り回って追いかけっこをしているとかいっていたが…この話、信じたとして言うなら、その兵士達馬鹿か!?先回りするなり何なりすればいいだろうが!どれだけ馬鹿なんだ!
そもそも真ん中に入るとスピードが上がるとか…無理だろ。スピードを上げることは出来るかもしれんが、二人の人間達がほぼ同時にスピードの加速など無理だ。打ち合わせておいてもそんなに上手く行くはずが無い。
ということを説教がてらこの馬鹿に説明してやりたかったのだが、気になる情報が一つだけあった。
それは、

「あ、そういえば変なおばあさんに会いましてね!占ってもらったんですよ!」
何をだ、クソガキ。
「ク、クソガキって酷い!えっと、そのおばあさんに、私がこの後どんな運命を辿るかです!」
…それで、結果はどうなったんだ?
「あっ!興味が出ましたね!ふふふ、シンクさんも占いを信じるタイプなんですか?」
黙れ、ゴミガキ。続きを話せ。
「ゴ、ゴミガキってさっきより酷い…。まぁ、そのおばあさんが言うにはですね、私達は今から北にある洞窟に行ってみるといいそうです」
…それのどこが占いなんだ?
「占いですよ!占い師のおばあさんに占ってもらったんですから!」
「…お前は一体何を持って占いを占いだと…いや、もういい。それより『私達』って何だ」
「え?そりゃあ、私とシンクさんのことでしょう?」
「お前…私のことを他人に話したのか?」
「いえ、話してませんよ…あれ?じゃあ、あのおばあさんは…」

ようやくこの馬鹿も気付いたか。
この馬鹿が私のこの状態のことを喋ったのかと思ったが…この様子を見る限りどうやら違うようだな。
しかし、その老婆は一体どうやって私のことを知ったのだろうか。
宿屋に入るときに二人組みだったのを見ていたのだろうか?
…それならいいが、もし本当に占っただけで分かったのなら、その老婆は只者ではないことに――

「あのおばあさんは、占い師じゃなくて超能力者だったんですね!」

…この馬鹿は!!本当に心底馬鹿か!!

「お前、何を言って」
「と言うことは、超能力者のあのおばあさんの言ったことはさらに信憑性が増しますね…ふふふ、これは早く洞窟に言ってみなければならないようですよ!シンクさん!」

こ、こ、こいつは何を言っているんだ?
そんなことを思っていると、ノイは私の服を握ってニコニコしていた。
嫌な予感がする…!

「さぁ早く行きましょう!15日しかないんですから!善は急げ、鉄は熱いうちに打て、ですよ!」
「な、なんだその言葉は、しかも何か間違っているような気が…」

私が言葉を最後まで発する前にノイは私を強烈なスピードで引きずって宿屋の出口に向かっていた。
行き先は…言わなくても分かるだろう。



洞窟内



「ふふふふふ…目の前が全く見えません」
「ノ、ノイさん?何で笑ってるんですか?」
「なんとなくですよ。スケイルさん。こういうところは雰囲気を大事にすべきなんですよ。そう雰囲気。It’s the雰囲気!」
「ノ、ノイさん、大丈夫ですか?頭は大丈夫ですか?」
「スケイルさん。意外と毒舌ですね…しかし、本当に何も見えないですね…」

ノイは光の差し込まぬ洞窟内で壁伝いに進んでいた。
光の無い場所ではこうやって進むしかない。

「どうにかして、光を作れませんかねぇ…」
「あ、それじゃあ。火炎を使ってみませんか?」
「火炎?」

ノイが疑問の声をあげる。

「ええ。ノイさんには備わっているんですよ。フォースを使える力が」
「フォース…?」
「まぁ、それは後々に説明するとして…ええと、そうですね。炎をイメージしてみてください。」
「炎を?」
「ええ。ノイさんの想像で結構ですので」

ノイは目を閉じて炎をイメージしようとしてみた。
そこでノイは不思議な光景を見る。
イメージした炎は暖炉の火だった。
そこには自分が暖炉の前で温まっているのが見える。
とても、とても暖かい暖炉だった。

「…ノイさん?どうかしましたか?」
「え?」
「涙が出ていますよ?」
「え?え?」

スケイルに言われて自分の頬に涙が垂れているのが分かった。
急いで服の袖でふき取るが、ノイは何故自分が泣いたのか分からなかった。

「…ノイさん。どうしたんですか?大丈夫ですか?」
「…ええ、大丈夫です。すみません」

ノイは先ほどまでとは打って変わって真面目な表情になった。
スケイルはその表情のギャップに僅かに不安を抱いたがその不安は無理矢理かき消されることとなる。

「えい!」

そのノイの掛け声と共に炎が生み出されたのだ。
発生した炎はノイの前方。あまり強い炎とは言えなかったが、辺りを照らすには十分な炎だった。
ノイはたまたま近くに木の棒が落ちているのを見つけると、もう一度炎を出し松明代わりに使った。

「スケイルさん、見てください!上手く出来ましたよ!」

スケイルは子供のように無邪気にはしゃぐノイの姿を見ると不安は打ち消された。
しかし、ノイの表情が困惑しているように見える。ノイが周りをキョロキョロと見始めたからだ。

「どうしたんですか?ノイさん」
「いや…シンクさんがいないなぁと思って?どこ行ったんでしょう?」
「あれ?気がつかなかったんですか?」

スケイルが今気付いたの?という表情を見せる。
そして、一呼吸置いてノイに告げる。

「シンクさん、洞窟に入らずにどこかに行っちゃいましたよ?」
「えっ?」

この2秒後、洞窟内で大絶叫が起こるのだが…そのとき別の場所にいたシンクは知りようはずが無かった。




「…全く馬鹿馬鹿しいな、あんな馬鹿に付き合う暇は無い」

シンクはノイが自分の服を一瞬はなした隙を突いて逃げ出した。
その後ノイに気付かれなかったのは幸運だからだろうか、それともノイが馬鹿だからだろうか。…おそらく後者であろうが。
シンクは逃げ出した後、西の森に来ていた。
街に帰ろうかと思っていたのだが、ふと大きな森が目に入ったので入ってみたのだった。

「しかし、予想以上に大きな森だな…」

かれこれ数十分は歩き続けているが、一向に出口が見えない。
…だからといって迷ったわけではない。うむ、迷っているわけではないはずだ。
そう、シンクは自分に暗示をかける様に思うと目の前を向いた。
すると、

「シシシシシ、シンクさぁああああん!!」
「うおぉおおお!?…む?焼き鳥か?」
「や、焼き鳥ってなんですか!今はスルーしますけどシンクさん!大変なんですよ!あっちの方で女の人がトカゲに襲われているんです!」
「…は?」

焼き鳥、もといフェザーが訳のわからないことを口走り始めた。
私が理解しようと思考を回転させていると、フェザーは私の服の袖を足で掴んだ。
…また嫌な予感が――!

「ああ、もう!事情は後で説明しますから早く来てください!」
「お、おい!止めろ!引っ張るな!もう、巻き込まれるのはこりごり…」

気付いたときには既に遅く、フェザーは私を全力で引っ張っていた。
この鳥のどこにこんな力があるのか不思議だったが、私は考える暇も無く再び引きずられていった。







あとがき
………どうも。半年振りです。
更新早くするとか言って置きながら申し訳ありません。

一番最初のシンクの語り部の部分ですが、あれは今後に関わらせていこうと思っている伏線です。
それと、次の話ではシズナを助けます。シンにするかシズナにするか迷いましたがシンクは一応男なので…。

明日から修学旅行でまた書けなくなりそうです…。ですが今度は半年も間は空けませんので。
ではでは〜
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