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黒の中に潜む黒・白の中に潜む白 3 by asd 2008/12/01 (Mon) 23:24
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三 急げ、走れ、そして転ぶ



「シンクさぁあああん!早くぅ!あの女の人を助けないと!」
「わ、分かったから引きずるな!走る、走るから!」

と言っているのにフェザーは一向に服を引っ張ることをやめようとはしない。あせり過ぎだろうこいつ。
こいつうざったい……!後で焼き鳥にしてやる!

「あ、いました。いましたよシンクさん!あそこにみえますか!?」

鳥が叫べば、成程。確かに見える。
木々が邪魔で中々見えにくいが、確かにトカゲと人の存在を確認できる。
ここからだと、彼らのちょうど横から乱入することになるだろう。今のところ、二人ともこちらの存在には気付いていないようだ。
……今なら奇襲すれば一撃で倒せるな。
懐に手を入れる。先刻の戦いでも使ったショートソードを使うためにだ。
普通の剣より幾ばくか攻撃力に心配があるが、横から奇襲し急所――たとえば首を一撃で切り落とすことが出来れば大丈夫のはずだ。
そうでなくとも相手にダメージを少しでも与えるためにも……

「……ん?」

懐に手を入れた。が、感触が無い。
つまり、剣が無い。

「……!?」

驚愕。驚き。戸惑い。――様々な感情が心の中をのたうち回った。
今の心境を言葉として表すならば。
……………………ぬっぅ。
という言葉しか出なかった。腹の底から出てきた言葉だ。
あまりの驚きに顔面に冷や汗が出てくる。
思い出せ。
……最後にショートソードを使ったのは……
フェザーと宿屋で争ったときだ。
……あの時リュックからソードを取り出して……切りかかって……フェザーに蹴られて……それから逃げやがったから机の上に置い……!!

「シンクさん!もう着きますよ、準備はいいですか!」

全ッ然、良くないわ――!ふざけんなこの野郎!!
……そう思いはしたがもはや手遅れ。トカゲと人との距離はもう、すぐそこだ。
ど、どうすれば!?い、いや落ち着け。私は魔王だぞ!元だけど!そうだあんなトカゲ一匹素手でもなんとか……ハッ!そう言えば今の身体は人!しかも女!た、体格的にも不利な要素が多い!ええい、だが落ち着かねばッ!こういう時こそ精神を落ちつければ勝機も見えて……
と、その時腕にかかっていた負荷が消えた。
見ればフェザーが離れ、上空へと上昇して行っていた。
途中、フェザーは一度こちらの様子を窺うように顔をこちらへと向け、

「じゃ!後は頼みますシンクさん!私に戦闘能力はありませんから!」
「こんの焼き鳥……!」

言い放つ無責任な言葉に罵倒を浴びせてやろうかと思ったが、時間が無い。焼き鳥タイムは後だ。
邪魔な木々をよけ、二人の近くへと走る。トカゲは剣を振り上げ、人に迫っていた。
人――まぁ、女性だな。その女性は恐怖のために足がすくんでいるのか知らないが、動けないようだ。
まだ間に合うはずだ。しかし、判断を誤れば事態は最悪の展開を迎えるだろう。
ど、どうすればいい……
どうすればこの状況を治めることができる……?
どうすれば……
どう……

「ど……」

あの焼き鳥ぃ……!

「どっせっ――い!!」

覚えてろよコンチクショ――!!
妙な掛け声とともにトカゲの頭部に――とりあえず全力のとび蹴りをくらわせてやった。
……何だ?どっせっ――い!って?





「うぇええ〜ん……」

泣き声が洞窟に響き渡る。
泣き声と言ってもどこか嘘くさい泣き声だが。

「怖いよ〜暗いよ〜じめじめしてるよ〜」
「……ノイさん。我慢してください。暗いのもじめじめしてるのも、洞窟なんだから当たり前です」
「ええ〜ん……スケイル〜」
「はい?」
「かえろうよ〜」
「ちょ、ノイさんが来たいって言ったんじゃないですか!?」
「知らないもん!シンクさん帰っちゃうし、唯一の灯りがさっきの火炎でつけた松明だけだし、魔物いるし!もう最高!」
「途中まで言ったことと、最後に言ったこと全く違いますよ!?」
「ふふふふふ、時代は移り変わるものなんですよースケイル君」
「ノイさん大丈夫ですか?特に頭は大丈夫ですか?サーショの街に戻りますか?大丈夫、ここで戻っても誰も咎めませんよ」
「……なんか前回より酷くない?まっ、それはともかくサーショの街に戻ることにはなりそうだけどね」

えっ、というスケイルの疑問の声が響いた。
次いで、スケイルは若干諦め顔になって、

「……そうですか、やっぱり頭がおかしくなったんですね……安心して下さい。私が責任もってお医者様をお探しいたしま――」
「ストップ、ストップ!頭は大丈夫だから!ほら、前見て前!」
「前……ですか?前には壁しかないじゃないですか……ノイさんの望んでいた宝はどこにもありませんよ……眼科行きますか?」
「別に宝さがしに来たわけでもないから大丈夫だよ。それよりも壁が目の前にあるってことは――」

一息。

「ここが終着点、ってことだよね」

ぐるりと、ノイは辺りを見渡す。
自分が入ってきた道を除けば他に道は無い。
ここに来る前にいくつか枝分かれしていた道は全て探索し終えた。そしてその最後の道を通ってきた結果がこの場所だとすれば、この地点が最深部となるだろう。

「そーですね……確かにここが最深部のようですね。でも最深部までちゃんと到達できるなんてノイさん意外にしっかりしているんですね」
「意外、ってどういうことかな?意外って」
「えっ!あ、いや、その、そ、それにしても最深部だけど何もありませんね――ち、ちょっと拍子抜けです!」

あはは、と笑ってごまかすスケイルを半眼でノイは見据え、

「うん、そうだねー……あの超能力おばさん嘘ついたなー!!」

唐突に、怒りだした。
怒りはこの洞窟に来る元となった“超能力”おばあさんに向いているようだ。

「……別にあのおばあさんは超能力者ではないかと……」
「いーや、あのおばあさんは超能力者だよ!だって不思議パワーで占ってくれたんだよ!それだけで超能力者じゃん!」
「不思議パワー云々はともかくそれだけだと占い師のように聞こえるんですが……」
「でも超能力者なの――!」

子供が駄々をこねる時のようなテンションでノイは怒って(?)いる。
しかし言いたいこと言ったら満足したのか急におとなしくなって、

「――ま、帰ろっか」
「ず、随分あっさりしてますね」
「だって何もなかったんだし。うじうじしてても仕方ないよ。ぶっちゃけ暇だっただけだし」
「あれ?最後何か変な単語が……」
「さっ、帰ろ!シンクさん帰ってきてるかも知れないし!」

半ば押し切る形でノイは洞窟の外へと歩いていく。
スケイルもしぶしぶついていく形でノイを追う。――と。

「ふぎゃ!」

転んだ。
スケイルではない。ノイがだ。
何かに躓いたのか思いっきり前の方向へとノイは転んだ。

「ふぎゅ〜……」
「……ノ、ノイさん大丈夫ですか!?」

気の抜けたうめき声に一瞬反応が遅れたスケイルだったが、あわててノイの元へと駆け寄った。
するとノイは顔をゆっくりとあげた。鼻先が赤くなっており、いたそうだ。若干涙目にもなっている。

「な、何事だー!この私を罠にはめるなんてどこのどいつだー!!」
「いやノイさんはふつうに転んだだけじゃぁ……」
「うるさーい!姿を見せろ化け物め!たたっ切ってくれるわー!」
「フォース!さっき教えたからフォース使って下さい!せめて!」

聞かず、ぶんぶんとソードを振りまわす。
うがぁー、という妙に気合の入った声も聞こえる。敵いないから無意味だけど。
そんなことをしていると、

「むっ、後ろかぁ!?」

何かの気配を感じ、後ろを振り向く。
そこには洞窟の暗闇が広がっている――はずだった。
が、

『……』

そこには光があった。
ただの光ではない。
何かの形をしている光だ。

「私は……」

人だ。
その形は人の形をしていた。
否、一点だけ違う個所がある。
額だ。額に角のようなものがついている。
時間がかかるにつれてその光はある人物の形を正確に象っていく。
それは――

『私はリクレール……』

リクレール、だった。



あとがき
……お久っす。一年ぶりっす。
半年間も空けないとか言っておきながら何だこのざまは。
マジで俺一回痛い目見るべきだと思う。うん、ぶっちゃけ、ホントすみません。
大学受験やテスト、それに対する課外の量がめっちゃ多かったんす。
夏休みも返上して学校っすよ……でも時間が全然なかったわけじゃないからやっぱり自分が悪い。
ただ大学には合格したのでこれからは暇が出てきます。現在期末テスト真っ最中だけど……
とりあえず、この物語は必ず完結させます。
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