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黒の中に潜む黒・白の中に潜む白 6 by asd 2008/12/23 (Tue) 22:04
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 六 どれだけ痛みを伴おうとも、私は決して倒れません。




「はぁ、はぁ、はぁ」

私は今息が荒い。

「っ、く……は、ぁ、はぁ、はぁ……」

拳が焼けただれるような痛みを伴っている。
血が出ている。もはや両手に感覚は無い。

「――ぐっ!」

動かない手。それを肩を動かして無理やり動かす。
振るう形だ。いわば鞭のような攻撃方法。
狙いは敵の顔面。無理やり動かした右手が敵に振るわれる。
激突の音が響く。

「――」

敵は何もしなかった。
防御も、回避も、反撃もしなかった。
ただ受けた。
苦痛の声も響かせない。

ただ

ただ敵は。
痛みを感じていないかの如く――

         リ

    タ

と笑った。

「――――馬鹿な……!」

先程から何度相手に拳を出しただろうか。
相手のこういう笑みを、三日月形の口を何度見ただろうか。
敵のあのぎらぎらと光る目を、何度攻撃しても衰えない目を何度見ただろうか。
……化け物め!

「う……」

右手を再び振り上げる。
本物の鞭のように、しならせて勢いをつける。

「うぉぉぉぉおおおおおお!!」

そして振う。
今度こそ倒れろと、今度こそ息絶えろと、
そう、願いながら。
しかし――その願いは叶わなかった。
再び敵の顔面に振るったはずの右手が、
止まる。

「――なっ!?」

相手の顔面、正確にいうなら右頬の寸前。
そこで私の右手が止まっていた。
否。
止められていたのだ。
何故?
敵が止めたからだ。
どうやって?
相手が私の右手首を掴んだからだ。
どうして?
―――――知るか。

「ぐっ!?」

トカゲは手首を掴むと勢いよく立ちあがった。
――反応が遅れた。
まずい、と思うのも遅くなる。マウントポジションを取って優位に立っていた私とトカゲの立場が――
逆転、した。

「あ……?」

声が頭の中に響いた。
声がやけに高い。
……そういえば今私は女だったな。
なんて暢気な事を考える。
しかし改めてその事を考えると――
……今押し倒されている形になるわけなのだろうか?
あんまり焦りはないけれど、そう言う事を考えてしまった。
……魔王時代は性別的には……男だよな?……まぁ、だったからこんな形になるなど想像したことが無かった。
男からの立場としてもあの時の私は――人間と見れば即殺していたのでこんなこと考えてもいなかったけれど、今は女だ。別にだからどうだというわけでもないが――
…………
……
マテ、待て待て。
そんな事はどうでもいいだろう。
今はこの状況を打開しなければ――
死ぬ、かな。
トカゲが先程人を襲っていた時剣を持っていた。
この状況でトカゲが剣を出してくれば――抵抗する間もなく殺されるかもしれない。

「――くっ!」

現在の状況から抜け出そうと身体を動かす。
何としても抜け出せなければいけない。
そう思うが、中々抜け出せない。このトカゲ意外に重い。
――ん?
見ればトカゲが腰にあるポケットの中を探っている。
――剣、か?
背中に悪寒が走った。
やばい――身体がそういう警報を発しているようだった。
ふと、その時。

トカゲの顔が眼に映った。

赤く血走った眼がこちらを見ている。

人間と同じような緑色の腕。しかし人間よりもはるかに強い力を伴っているそれが私の右手首をしっかりと掴んでいる。

振り払えない――

トカゲが空いている左手でポケットから何か出した。
それが何か、私は確認できなかったが――
ま、ずっ――!
そう、声に出す間もなくトカゲは左手に持った何かを私に向けて、

振り下ろした。

私はなすすべもなく――

ただ目を閉じただけだった。












……
……
「……ん?」
しかし何時まで経っても自分に何か突き刺さる衝撃は無い。
そればかりかトカゲの体重すら感じなくなっていた。
これは一体――そう思って目を開けてみると――

「……」

私の胸元に棘付きの……鞭がおかれていた。
あの鞭のしなる部分……なんていうんだろうか。ええと、とりあえず痛みを与える場所のしなる紐の部分が丸く収められていて、多分長さが二・三メートルくらいのものだと推察できた。
……で、トカゲはと言うと――

「……まだですか女王様!」

少し離れた場所で、背中をこちらに向けてうずくまっていた。

「ああ!さきほど私が鞭を持っていたことに思い出していきなり立ち上がってしまったことに怒ってなさるのですね……申し訳ありません!罰として私めの背中にその鞭で思いっきり死の烙印を刻んでください!」

死、死の烙印って何だ?
というか状況がよく呑み込めな……

「ハッ!……そうか、これは一種の放置プレイなのですね!今から始めるぞ、始めるぞという雰囲気を出しておきながらしない……お、おお!これは新感覚!」

……

「なんという……このやり方はまさに革命……素晴らしい!こんなやり方を考えつくなんてまさしく貴方は本物の女王様……うう、しかし少し長引かせ過ぎだと思いますぞ!この、い・け・ずぅ!ゴバッ!!ちょ、いきなりボハァ!」

とりあえず初めて鞭を使ったが上手くトカゲの顎元にクリーンヒットしてくれた。うん、結構使えるなこれ。
あーはっはっはっはっは、そーら三発目。四発目。五発目。六発目。七発目。八発目……
……なんだろう。どこか病みつきになりそうだ。





『私はリクレール……』

洞窟――そこに声が響く。
暗闇に包まれていたそこはいつの間にか白い光に包まれていた。
そしてその白い光の中央にはリクレールがいた。

「リ、リクレール様?……いや、これは……」
『私は……トーテムに呼び覚まされしすべての生命を導くものです」
「過去の映像……みたいなものでしょうか……」

言葉を発するのはスケイルで、リクレールの姿を呆然と見ている。

『トーテムの力を持つものよ、よくぞここまでたどり着きましたね……。あなたが何者かは存じませんが、きっとあなたは勇気ある方なのでしょう……』
「やっぱり……ノイさんの事を知らない、というよりも私たちに向けて話しているわけではないようですね。いずれ訪れるであろう誰かに向けてこれをリクレール様は残して……」
『私には今、この世界に干渉する力がありません。あらゆる魔物や脅威に対応することができないのです。』

スケイルの推察通りか、リクレールは、いや、リクレールの映像は二人を気にせずに喋っている。
言葉は続き、

『ですが、あなたのようにトーテムの力を得たものならば、それらに立ち向かえるはずです。この闇を越えてきたあなたに、ささやかながら力を与えましょう……。さあ、目を閉じて……』
「ノイさん。どうやらここは目を閉じた方がよさそうですよ……ん、ノイさん?」
「……」

ノイは眼を開けたままだった。その眼はリクレールをしっかりと捉えていて目を閉じる気が無いようだ。

「ノ、ノイさん?」

スケイルが言葉を投げかけるが、反応が無い。
ぼんやりと呆けているかのようだ。
そうしていると、リクレールの所から白い光の粒子がノイに向かって近づいて行き――静かに、接触した。
光の粒子はノイの身体の中に入っていく。自然に、それが当然だというかのように粒子は抵抗もなくノイへと吸収されていくかのようだ。
そして全ての粒子がノイの元へと入った時。

『次に目を開いた時、あなたは以前より少しだけ強くなっているはずです……。その力が、力無き人々を守るために使われる事を、私は祈っています……。そしてまた、あなたにトーテムの加護があらん事を……』

それだけを言うとリクレールの幻影は姿を消した。
辺りに広がっていた白い光も徐々に引いていき、元の暗闇が戻ってきた。
しかし――それでもノイは一向に反応を示さなかった。

「ノイさーん……?どうしましたー?ていうか目を開けたままだったけど大丈夫でしたかー?」
「……」

それでもノイは反応が無かった。
やがて暗闇が完全に元の状態を取り戻し――洞窟の中にはノイの持っている松明の火が唯一の光となっていた。

「ノイさーん……?」
「……」

何度目の呼びかけか。ようやくノイがゆっくりとスケイルの方へと視線を合わせた。
呼び掛けに反応の無かった事に心配になっていたスケイルはほっと一息――だったが。

「す、すけいる〜」

なんだかノイが目を涙で一杯にしていた。
今にもあふれんばかりの勢いだ。

「ちょ、どうしたんですか!?そんな目を潤ませて……」
「ゆ……」

突然ノイは松明を投げ捨てて、スケイルに向かって抱きついた。
そして、息を吸い思いっきり――

「ゆーれいが出た―――!!」

泣き叫んだ。思わず漢字で書くところをひらがなで書くくらいの驚きようだった。(?)

「怖かった―――!スケイル――!怖かったよ――――!!!びえええええ!!」
「え、えええぇええええ!?ノ、ノイさん!さっきのはリクレール様だったじゃないですか……ていうか、さっきまで反応が無かったのはもしかして気絶してたんじゃ……!」

スケイルがそう言ったその時――何故かノイが投げ捨てた松明の火が突然消えた。
原因は洞窟内に水たまりでもあったのだろう。ジュッ、という音とともに洞窟内唯一の光が消え全てが暗闇に満たされた。
そして、それに連動するかのようにノイがヒッ、という声を出して――

暗闇に次いで、今度はノイの絶叫で洞窟が満たされた。






あとがき
はい、最初のシリアスなんだろう。結構勢いに任せて書いたのでなんかおかしいかもしれない。後で修正するかも。
まーたシズナが出ませんでした……じ、次回こそ!トカゲのキャラを強くし過ぎたのが恐らくの原因。
ノイは……「悪霊退参!」とか「南無阿弥陀仏」でも唱えさせようかと思ったのですがこうなった。なんでだ。(勢いで書いたからだ)
バトルが書きたい。シリアスの。でも予定だと砦にいくまでないかも……もうちょっとなんとかしてペースを上げたい。

ちなみに私は一週間更新を掲げながら、今このテキストBBSで結構無謀な事をしている。
……やめときゃよかったかな……この文、分かる人には分かるはず。
では、今回はこの辺で〜〜
pass>>


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