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「 」  Fifth volume-1 by hirumi 2007/04/01 (Sun) 00:07
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目の前には何時も絶えずに青年の傍に居た女性が立っていた。

彼女の眼は俺ではない何かを見ていた。
しかし、俺を食い入るようにも見ていた。


彼女の震える唇から一つの単語が発せられた。




「殺したッ!」





体全体が小刻みに震えた。
雨による寒さのせいではない、
恐ろしさなのだろうか。

ふっと思う。

この言葉は俺の顔の両側に付いている耳では理解できなかった。
のに、俺は何故か判らないはずの言葉を脳内にて瞬時で変換できた。


理由は判らない、
今までそんなことは一度たりとも出来なかった。

偶然かそれとも奇跡か、
それとも俺の耳が進化したのか。

もう此処まで来ると良く判らなくなる。


取り合えず、言葉の口調から判断できたということにする。

否、
その様に信じないと俺がより変になってしまうというのが真実。

心にあるどこかが折れそうな気がしてたまらない。



頭から湯気が立っているかし
頭のネジが何本も外れているだろうし、
頭の回線がオーバーヒートして融けているだろうし、
頭から変な声は聞こえてくるし。


即ち、俺の脳が変だということか。

自分で認めるのも何だが、
俺は変だ。

だが、此処までは凄い経験は一度も無かった。


そう、

この良く判らない世界に来るまでは。









……っと……





……んとう……





本当にっ……、









本当にこの世界は何なんだっ!












その言葉と共に俺の視界に有った物の全てが、
ことごとく変化していった。











『俺はその時、
 突如して世界の全てが
 黒系統の色に変化していったのを覚えている。

 あくまでも、黒系統の色だ。
 純色の黒は一つもなかった。


 空にしろ、

平野にしろ、

 雨にしろ、

 地上にしろ、

 さらに俺の前に居た女性にしろ、    

 兎に角、俺の視界の全部がそうなっていた。

 あー、そういえば全部ではない。

 俺――自分自身は元の色だった筈だ。
 曖昧な記憶ではあるがな。

 何故か、
 その時は気付いていなかったが。』







何で、
   俺がこの世界にやってきた時、あの村は異様な程盛り上がったんだ。


何で、
   言葉が通じないが上に素性が全くわからない俺をあの旅人は快くっ!
何で、快く受け入れてくれたんだっ。


何でだ、
   普通の人間は素性がわからん人と関わりたくない筈だ。



なのに、

何故 だ。
何故 なんだ。



何で、
   この世界は俺が居た世界の過去の時と言葉が同じなんだ。






何で、


何故、


何で、何故、



何で ……だ。



何で   何だ……?




確かに、この世界の文字はノーマ学院で習った『古語』と殆ど同じだった。
しかし全部が全部、あの宿帳から見る限り同じではなかった。
文字や省略の仕方、ついでに言うなら文字が斜めになっていて読み辛かった。


――つーことは、
  この世界と俺も居た世界は違う時間軸に存在しているんじゃねーか。――

脳内の『声』に俺は賛同して、焦って言う。

(そうだろうな、
恐らくこの世界は俺が居た世界の過去じゃない。
恐らくそうじゃない、断言してみせる。)

――だと良いな。――

『声』は俺をはぐらかしつつ冷淡に答えた。
何というか、
『俺の考えが間違いだと事前から知っている』



まるで、
天才が無知である愚民共の考えを見下すかのように。




      *      *      *

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