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「 」  Sixth volume by hirumi 2008/04/26 (Sat) 23:59
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彼女が剣を落とした音が耳に届いた。

それから、彼女は突然現れた奴に向かって大声を張り上げた。




震えて力が入らぬ手に僅かだけ残っている意識を注いで、俺は立ち上がろうとする。


その頑張りの成果が現れて、上半身だけは地面と接触しなくなった。
しかし、掌に力が回っているせいで足にまで力が入らない。




故に、俺は立ち上がれない。





――よっ、お久しぶりぃー。おみゃーさんは元気ですかー。――



少しは頼むから俺の状況を察してはくれないか。
何処からどう見ても俺は全然元気ではない。

もしも喋る気力があるのならば、
その気力全てを使ってでも立ち上がり、
此処から直ぐにでも逃げるだろう。



顔だけ上げると目の前には、
黒くて実体が無く陽炎の様に揺らめいている何かがあった。



俺は直感によってそれが『声』であると体で判断して、
無意識の内に細い声で



「今の俺を見れば分かるだろ。」


と乱暴な口調で言い放った。

だが、
実は頭では未だに判断出来ていなかった。



難易度が高い知恵の輪を解いているのと同じ位、いやそれ以上だろう。
その位、今の俺は頭の整理がついていない。



冷静に物事を整理したり考えようとしても、
直ぐに頭に血が上ってしまう。

そもそも、俺はさっきまでの様に「何かに対して熱血になるタイプ」では無いと、
自らをそう認識している。


此処は精神を整えて、
来るべき二人の敵に立ち向かうべきではないのだろうか。


ならば、俺は冷静になれと自らに念じ続けよう。





(冷静になれ、冷静になるんだ。)
『冷静になっている暇なんぞあるか。
 そんな暇があったら全力で此処から逃げる方が良いだろ。』

(落ち着け、落ち着いて状況を把握するのが先決だ。)


『もしもだ。
 その把握をしている時に二人組が俺を襲ったらどうするんだ。
 いや、最早もしもじゃなくて確実と言い換ればよいな。』



(黙れ。今の俺はどのタイミングで逃げるかを場の雰囲気から読まなければならない。
 もっとも、あの二人が話している内容は理解できないがな。)




『今更、空気を読まなければならない理由はあるのか。
 空気を読んでいられる程、心にゆとりがあったのな。』





(五月蝿い。何故、俺が落ち着こうと決心したその時にお前はそう言うんだ。
 いや、どうしてお前は俺の心を揺さ振って冷静にさせてくれないんだ。)
 





『よく考えるんだな。どっちが正論を述べているか。』







(その前に、お前は何者だ。例の『声』とは全然違うな。
 また、新たな『声』なのか。
 答えろ、返事をしろ。
 返事を今すぐにしろっ。)








『俺はお前さんが言っている「声」とは別物だ。
 それこそ頭を冷やせば直ぐに分かるだろうな。』





      *      *      *





何度、謝れば貴方にその声が届きますか。                    何度、謝ればお前にその声が届くんだ。



どうして、私は気づかなかったのでしょうか。                  どうして、俺は気づかなかったんだ。



もし気づいたとしても、私は一体どうしたんだろう。               もしもだ。俺が気づいたとしても、俺は一体何をしたんだろうな。



「何をするのか想像がつきません。」                      「何をするのか想像がつかん。」



と、最初は思いました。                            と、俺も最初は考えた。



しかし、そうとは違う気がしてきました。                    だが、どうやらそうとは違うと思い始めている。



あくまでも、何と無くですが。                         所詮、憶測にしか過ぎんが。





      *      *      *





頭を冷やそうとしても全く頭が冷えないばかりか、
もっと血が上った俺自身に俺は呆れた。


馬鹿馬鹿しい、
冷静になるほうがどうみても先決だ。本来ならば。
深呼吸を何度もしてみる。




よし、心の準備は大丈夫だ。
さぁ、何処からでもかかって来い。


俺は剣を構えて、鞭を打って立ち上がった。













プッツン。













ついさっき聞いたばかりの効果音が再び聞こえた瞬間、
俺が把握している全ての世界が光と闇の渦だけになった。

全てが混沌の渦となって幾何学模様を生み出していく。



唐突に俺は何かを悟った気がした。



「それ」が何かと具体的に聞かれたら俺は何も答えられん。

俺が「それ」を悟りきれたのか、
と更に聞かれたら俺は俯くしかほか無い。

「それ」が俺自身が今までに会得してきた語彙で表現できないという意味ではない。



言葉で表現するとしたら、至って簡単で単純明快なのだ。
唯、それを口に出したら俺が恐れていることが現実に起きてしまう気がしてならないのだ。











俺はこの見知らぬ地で見知らぬ者によって殺されてしまう運命なのだと。
だから、幾ら抗っても意味が無いのだと。










【――なぁ、アルバートさんよ。あんたは一体その言葉を何度口に出して考えたんだ。
    いい加減、聞いている俺としてはくどい、くどすぎる。
     男ならそろそろ肝を据えて立ち向かうべきだ。
      まっ、人間に限らず全ての生物が持つ本能だから仕方がねーけどな。――】







      *      *      *








「くっ。      あっ。」









そんな怪しげな嗚咽を漏らしながら、フラフラと立っていた俺はうつ伏せ状態で倒れた。


あぁ、俺の五感で感知できる範囲内での世界が歪んでいく。




俺の体が地に埋まって暗闇の世界へ落ちていく。




落ちる。



落ちる。




落ちる。





落ちていく。






暗闇の世界から伸びてくる無数の腕が、俺を手招きしている。



(お久し振りね。さぁ、こっちに来なさいよ。)

そんな若い女の声が頭に直接響いてくる。



「断る。」
耳を両手で塞いであらん限りの声を振り絞って、
目に見えぬ何かに向かって叫んだ。



(あらあら、もうそろそろ貴方は殺されるというのに。
 過程は違っているけど、結果は同じでしょ。
 何れにせよ貴方の人生に終止符が打たれるのだから。)



その言葉が聞こえてきた時、
途端に俺の体は落ちなくなってその場で止まった。

之が空中浮遊って奴か。



「そうだろうな。だが、俺はほんの少しの時間でも生きていたいんだ。」



無反応。
そんなことはお構いなしに俺は続ける。


「傍目から見たら俺は滑稽なんだろうが、生きて元の世界に帰りたい。それだけだ。」


言い終えた後、妙に脱力した。
心成しか、額が熱い気がする。風邪でも引いているのか、俺は。



(そう。)


あっさりと無数の腕はこっちに伸ばして来るのを止めた。



(それじゃぁ、また再び会えるのを楽しみにしているわね。)


艶やかな声が徐々に消えていった。


もう、何も考えられない。






考える気力が、無い。








そして、俺は更に下へ。






更に下へ







下へ








――








      *      *      *





「ようやく、落ち着いてくれましたか。スケイルさん。」

彼はそう言うと、小刻みに震えている私の右肩にポンと手を乗せてくれた。
実は私は全く落ち着いていない、心臓の鼓動が寧ろ増していく感じもする。

何度も深呼吸しても落ち着かない。


「えぇ、何とか。」

私は作り笑いを浮かべながら、彼に振り向きました。
そんな私を見ると、彼はしかめっ面をしながら悲しげに言った。


「まぁ、無茶は止せよ。」






やはり。
こういう所を分かっている、この人は。





「唯でさえブスな顔が更にブスになっちまうしな。」

にっ、と嫌らしい笑顔を浮かべながら私の頭をポンポンと叩く。
いじけてわざとそっぽを向いてみる。

私を慰めようとしているのか、それとも唯単純にからかっているだけなのか。

恐らく、前者でしょう。そうだと信じたいものです。


「俺の格好良さに今更気づいて照れてるのか。
 ハハハ、なら照れろ照れろ。もっと照れろ。」







私は彼の鳩尾に一発アッパーを。






      *      *      *


「さて、真面目にいきますか、スケイルさん。」

彼は私に冷たい視線を向けながら、鳩尾の辺りを擦っている。
仕方ありませんよね、自業自得ですから。


(なら最初からさっさとそうすればよかったじゃないですか。)
と言い出すと、絶対に言い訳を始める彼の姿が思い浮かぶので無言のままにしておきます。

鳩尾を擦るのを止めたと思ったら、
頭を左右に振って真剣な表情でこっちを見てきました。

「まず、ぐったり倒れこんでいる名も無き救世主様の身体を運ばないとな。
 よし、スケイル。先ず奴さんの回復を頼む。
 その間、俺はアーサの居場所を探してくるからここに居てくれよ。」


私は一瞬唖然として、口がポカリと開いたまま突っ立っていました。

「どうしたんだ、スケイル。おい。
 おーい、ぅおぉぉおぉぉぉおーーい、スケーールさーーん。
 起きてますかぁああぁあ。」


そんな返事を内心では期待していました。






ですが、





現実はそうではありませんでした。







「何、唖然としているんだ。唖然としている余裕があったら、さっさと行動しようぜ。」



と、いそいそと支度を始める彼。
何もしないままでいる私に向かって顔を向け、


「悪いがな、スケイル。俺はやるときゃやる男なんだよ。」


そう遠い目をしながら言い放った。



その彼の目の焦点は何処に向けられているのか分かりません。
少なくとも私ではない。


かといって、さっき私が倒した人でもない。

これ以上、詮索するのは止めましょう。
出口なき迷宮に入り込むのと同じ臭いが漂って来ました。



私は無言で一度だけコクリ頷いて答えました。


「分かりました。で、一体何を私はすればよいんでしょうか。」




彼は鳩尾を再び摩りながら呆れつつ、指差し説明を始めました。


「時間がないから要約して言うぞ。
俺はアーサを探しに行く、スケイルは回復を頼む。」




私は二つ返事をして、直ぐに回復作業に取り掛かるために彼の右脇を通り過ぎました。

彼も二つ返事をして、直ぐアーサの助けを要請するために私の左脇を通り過ぎました。




お互いが通り過ぎる際に、視線と視線を交わしながら。




      *      *      *





それは何年前の話だっただろうか。




――おい、そっちに逃げたぞ。お前がやれ。――




俺が十一歳の頃だから、今から八年前の話か。



――くっ、こいつ足が速いな。流石、ノーザニア系の血を引いている子というべきか。――






俺の両親が火事の中に飛び込んで以降行方不明となり、






――おい、子供とは俺らの敵だ。その敵を褒めるようなことを言うんじゃないぞ。――







俺の姉は旅に出ているので行方知らず、






――へっ、そうだな。さっさとこの隻眼君の首を討ち取って帰るか。温かい飯も食いたいしな。――








親友であったエシュターとは別れ、




(何で、どっちに逃げても奴らは追ってくるんだ。)






俺が一人で戦場を逃げ回っていた頃のことか。







To Be Continued……

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超絶おそがき

へへっ、やっちゃいましたよ。
何と九ヶ月振りの投稿です、正直自分自身も忘れてました。


覚えてくれた人何か居ないですよね。居たら奇蹟ですよね。
何かもう色々とグダグダですが今後は出来るだけハイスピード。そうですね、週間で10kbの割合で投稿できるように心がけたいです。


1kb書くのに三ヵ月も掛かったり、三十分で2kb仕上がったり。
何か文体が変わっていたり、レベルアップどころか寧ろダウンしていたり。


……取り合えず今後もがんばっていくので、暇な方はこれからも冷たい目で見下してやってください。
pass>>


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